God is in the details ~神は細部に宿る~

一箱古本市専門店《吉田屋遠古堂》主人のぐうたらな日々。。。。

あてにならない!!

2006-12-02 19:57:06 | 歴史/民俗/伝統芸能
のは、私の記憶でした。自宅に戻ってから兎唇の件を
再確認すべく、資料を漁っていたら、出てきました。
文化人類学の巨人、レヴィ=ストロースの神話と意味
みすず書房1996でした。その第3章です。

「兎唇と双生児」と言うタイトルで、
神話における兎唇と双生児の共通性を説いてます。
南米の話でした。呪術とは全然関係なかった!!!!

兎唇はその身体的特徴から、二つになりきれなかった双生児と見なされます。
双生児は一方は善・一方は悪であり、片方は幸せをもたらすもの、
片方は災厄をもたらすものとされます。
ですから、兎唇はその両方を併せ持つ存在です。

あらためてそれを読んで、私なりに考えるに、
双生児がある意味超自然的な能力を持つと考えられており、
兎唇もその延長ととらえられていることは間違いありません。
で、双生児の善なるほうは天と人々を取り持つ能力を有すると
考えられる場合があり、また、逆に悪なるほうはその逆です。
であれば、兎唇は善にも悪にも通じる存在ではないのでしょうかね。
ゲドが己の影を取り戻して全きものになったようなものでしょう。

日本でも兎唇に関する民間伝承が多数存在するというのは
単に目立つ部分にその特徴があるからと言うだけではないのでしょう。
鼻や唇は体の始まりの部分と見なされており、
その部分に特徴があるということはからだが作られる段階
もっというと胎内に宿るときから、体がある程度出来上がる
段階までの間に、なにか禁忌を犯したとか、
その父親が超自然的な存在であるとか、
その出生以前に遡って原因が考えられます。
その点に関してはやはり双生児も同様なようです。

南米と日本で、ともにその出生以前に遡って特徴づけられる兎唇、
まさに神話構造の見本のようです。

で、なんであの埴輪が兎唇であるかというと、
結局なんか、わかったようなわからなかったような・・・
もっと勉強しま~す

呪術!?

2006-12-02 14:22:20 | 歴史/民俗/伝統芸能
読売新聞でこんな記事をひろいました。
http://www.yomiuri.co.jp/national/culture/news/20061201i516.htm

ふむふむ、一つの埴輪に二つの顔!
それは呪術のにおいがぷんぷんですな。
それはなにも顔が二つあるからということ
だけではないのです。
写真を拡大していただければわかると思いますが、
裏の顔、というかどっちが表なのかわからないので、
矢印がかかれている方の顔なのですが、
わかりますか?兎唇です。口唇裂というやつ。

最近は医療技術の発達で、出産後間もなく、
ほとんどわからなくなるように整形してしまいます。

兎唇にまつわる民間伝承はゴマンとありますが、
とある地方(国外の話です)では兎唇には
呪力がやどると信じられていました。
このへん、珍しくネタもとを忘れてしまっているので
再確認しないで記憶で書きます。
いつものことながら、違っていたらごめんなさい。

兎唇の女の子が生まれるとシャーマンがそれを
養女にして、自分の助手にするのだったような
気がします。兎唇の娘自身が呪術者だというのではなく、
兎唇に宿る力をシャーマンが利用するという
ようなニュアンスだったと思います。

であるとすれば兎唇は単独で活動することはなく、
常にシャーマンの道具として力を発揮するのでしょう。
この埴輪はもしかすると、シャーマンと兎唇が
表裏一体、一対になって呪術を執り行う様を
示しているのかもしれません。
ミズラを結っているので男性らしいのですが、
表のほうが男性のシャーマンで、裏が女性
という可能性もあり得ます。

今回はかなりつっこみが浅くてごめんなさい。
とりあえず動物シリーズの延長と言うことで(笑)