さて、のびのびになっていた英国フォークソングの話を再開します。今回は非トラッド系のフォークソングが中心になります。しかしながら、これはそれほど系統だって発展したジャンルではないので、むしろ私の愛聴盤の紹介になってしまいますが、悪しからず(笑)
その前に少し、英国フォークのリスナーの話をしておきましょう。そうしないと我が国における英国フォークの受け止められ方の特異性がなかなか理解できません。英国フォークのファンは、大きく二つに分けられます。まず、アイリッシュパブなんかを根城にする、トラッド系フォークあたりから聴き始めた人たちがいます。ある意味正統派であり、けっこうお互いに情報を共有していたりして、微笑ましい(?)人たちです。また、同じイギリスのパブ・ロックやアメリカのフォークソングなんかから聴き始めた人たちも割と近い位置にいます。
そしてもうひとつ、プログレッシブロック通称プログレと呼ばれる、70年代にイギリスから始まった一風変わった音楽からなだれ込んできた人たち。もしかするとこちらのほうが多数派かもしれません。もっとも、絶対数はどちらも微々たるものですが(笑)私ももちろん、プログレから入っていきました。
いつの頃からかプログレファンのなかでは、英国フォーク三種の神器あるいは三大美神という呼ばれ方が広まっていました。これはチューダーロッヂ、メロウキャンドル、スパイロジャイラをさす言葉です。スパイロジャイラが3枚のアルバムを出している以外は、いずれも1枚しかアルバムを出していない、いわば一発屋的なバンドです。というか、あれほどのアルバムを一枚でも作ったことが奇跡に近いと言えるでしょう。
その中で、頂点に君臨していたのがこのスパイロジャイラのサードアルバムです。どこかくぐもったうつろな響きの奥から、壊れてしまいそうな女声が漂ってくるような、クラシカルな音作り。それに色々な音が絡み付き、ときおりしゃがれた男声が浮かび上がってくる。しっとりした、まさに英国の片田舎の霧の中から、はかなく響いてくるような音です。私も思い入れたっぷりですが、このアルバムを好きな人はみんな思い入れがあるはずです。この女声、バーバラ・ガスキンさんは、その後ハットフィールド&ザ・ノースというプログレバンドを経て、80年代には先進的なポップス・デュオを結成しています。その辺も女神の頂点たるゆえんでしょう。
その一方で、このチューダー・ロッヂはどちらかというと素朴で暖かみのあるアコーステックな音作りで、「カレッジバンド」などと評されたりもします。紅一点ヴォーカルのアン・スチュアート嬢の声はしっとりとして、オーボエなんかの木管楽器とよくなじみます。暖かな木漏れ日のようなバンドでございます。
このメロウ・キャンドルは女声二人を要する、三つのバンドの中では一番カラフルな音作りをしているバンドです。カラフルというか一番リズムがはっきりしています。けっこう勢いのある曲もあり、パワフルなボーカルを聴かせてくれたりもします。
このメロウ・キャンドル、80年代頃からずっと囁かれていたひとつの噂があります。それは「どうもセカンドアルバムがあるらしい」ということなのですが、長い間噂のままでした。その噂の真偽が比較的最近になって、マニアの努力によりようやく解明されたのです!実はメロウ・キャンドル解散後、ボーカル一名を含むメンバーの幾人かが南アフリカにわたり、そこで限定200枚の自主制作アルバムを制作していたのだそうです。おそらくこれが幻のセカンドアルバムというふうに伝わっていたのでしょう。しかし、誰が発掘してきたのでしょうかねぇ、そんなマイナーなアルバムを(笑)
ここでお気づきでしょうか?どのバンドも女性ボーカルです。プログレ好きは美しい女声が大好きなのです(笑)ですが、女声ボーカルのプログレはそれほど多くないので、ついフォークのほうまで遠征してしまうのでしょうか。まるで男子高生が女子高の文化祭のフォークダンスに参加するように(笑い)
次回はそれ以外の非トラッド系フォーク、たとえばトレイダーホーンやトゥリーズをはじめ、あの人たちやあの人たちの話をします。多分。ああ、なんか別館と区別がつかなくなってしまった・・・
その前に少し、英国フォークのリスナーの話をしておきましょう。そうしないと我が国における英国フォークの受け止められ方の特異性がなかなか理解できません。英国フォークのファンは、大きく二つに分けられます。まず、アイリッシュパブなんかを根城にする、トラッド系フォークあたりから聴き始めた人たちがいます。ある意味正統派であり、けっこうお互いに情報を共有していたりして、微笑ましい(?)人たちです。また、同じイギリスのパブ・ロックやアメリカのフォークソングなんかから聴き始めた人たちも割と近い位置にいます。
そしてもうひとつ、プログレッシブロック通称プログレと呼ばれる、70年代にイギリスから始まった一風変わった音楽からなだれ込んできた人たち。もしかするとこちらのほうが多数派かもしれません。もっとも、絶対数はどちらも微々たるものですが(笑)私ももちろん、プログレから入っていきました。
いつの頃からかプログレファンのなかでは、英国フォーク三種の神器あるいは三大美神という呼ばれ方が広まっていました。これはチューダーロッヂ、メロウキャンドル、スパイロジャイラをさす言葉です。スパイロジャイラが3枚のアルバムを出している以外は、いずれも1枚しかアルバムを出していない、いわば一発屋的なバンドです。というか、あれほどのアルバムを一枚でも作ったことが奇跡に近いと言えるでしょう。
その中で、頂点に君臨していたのがこのスパイロジャイラのサードアルバムです。どこかくぐもったうつろな響きの奥から、壊れてしまいそうな女声が漂ってくるような、クラシカルな音作り。それに色々な音が絡み付き、ときおりしゃがれた男声が浮かび上がってくる。しっとりした、まさに英国の片田舎の霧の中から、はかなく響いてくるような音です。私も思い入れたっぷりですが、このアルバムを好きな人はみんな思い入れがあるはずです。この女声、バーバラ・ガスキンさんは、その後ハットフィールド&ザ・ノースというプログレバンドを経て、80年代には先進的なポップス・デュオを結成しています。その辺も女神の頂点たるゆえんでしょう。
その一方で、このチューダー・ロッヂはどちらかというと素朴で暖かみのあるアコーステックな音作りで、「カレッジバンド」などと評されたりもします。紅一点ヴォーカルのアン・スチュアート嬢の声はしっとりとして、オーボエなんかの木管楽器とよくなじみます。暖かな木漏れ日のようなバンドでございます。
このメロウ・キャンドルは女声二人を要する、三つのバンドの中では一番カラフルな音作りをしているバンドです。カラフルというか一番リズムがはっきりしています。けっこう勢いのある曲もあり、パワフルなボーカルを聴かせてくれたりもします。
このメロウ・キャンドル、80年代頃からずっと囁かれていたひとつの噂があります。それは「どうもセカンドアルバムがあるらしい」ということなのですが、長い間噂のままでした。その噂の真偽が比較的最近になって、マニアの努力によりようやく解明されたのです!実はメロウ・キャンドル解散後、ボーカル一名を含むメンバーの幾人かが南アフリカにわたり、そこで限定200枚の自主制作アルバムを制作していたのだそうです。おそらくこれが幻のセカンドアルバムというふうに伝わっていたのでしょう。しかし、誰が発掘してきたのでしょうかねぇ、そんなマイナーなアルバムを(笑)
ここでお気づきでしょうか?どのバンドも女性ボーカルです。プログレ好きは美しい女声が大好きなのです(笑)ですが、女声ボーカルのプログレはそれほど多くないので、ついフォークのほうまで遠征してしまうのでしょうか。まるで男子高生が女子高の文化祭のフォークダンスに参加するように(笑い)
次回はそれ以外の非トラッド系フォーク、たとえばトレイダーホーンやトゥリーズをはじめ、あの人たちやあの人たちの話をします。多分。ああ、なんか別館と区別がつかなくなってしまった・・・