東京の中野で購入した文庫本。
手塚治虫の恐怖短編集の中に「アトムの最後」という短編が非常に後味悪い・・・
まさに恐怖な短編集でした。
後書きにもありましたが「アトム=ヒューマニズム」と勝手に思い込みがちですが
「ロボット=人間の役に立つ科学」という常識を覆す作品ですね。
こういうブラックユーモアっていうのは藤子不二夫の短編集にあった「ヒョンヒョロ」や「流血鬼」に似ている。。。
表紙のアトムの表情も怖いです。。。
未来の人間は優秀な遺伝子を保管されており、試験管から生まれてくる。
それを管理しているのはすべてロボットであり、子供を育てていた。
成長した人間はロボットの娯楽のためにコロシアムで人間同士の殺し合いをさせて楽しんでいた。
その真実を知った青年の丈夫(たけお)は幼馴染のジュリーと逃亡する。
ロボット博物館に保管されていたアトムを再起動させ二人は助けを求めるのだが。。。
完全にロボットに支配された世界ですね。
ロボットの発展や進化が必ずしも幸せな未来をもたらさないという強烈なメッセージ。
さすが手塚治虫ですね、社会的風刺とかペシミズムっていうか只者では無い(笑)
どんなに科学が進歩してもそれを使う人間のあり方っていうことかも。。。
さて作品の中のアトムですが、やっぱり「アトム=ヒューマニズム」で最後まで人間の味方でした。
そこまであってのラストの主人公の行動はやっぱり後味が悪いです・・・
だれも救われない、久しぶりに気持ちが落ち込んだ作品でした。。。