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ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日

2013年02月19日 22時23分36秒 | 映画



平日が休みでしたので、シネコンプレックスで映画観てきました。

ちょっと興味があった【ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日】
映画観に行く前は海洋冒険&虎と少年の交流・・・みたいなイメージでしたが。
ある意味驚きです・・・いい意味で。

以下、観た客観的な感想ですので作品の真意やメッセージと異なるかもしれません・・・

まず、海洋冒険が主体ではなく、海洋を舞台とした信仰や宗教が底辺にある作品でした。
主人公の名前(ニックネーム)が【パイ】これは円周率のπです・・・永遠に続く数字。
多分これはインドの宗教観を表していると思う・・・【輪廻転生】ですね。
昔ほではありませんが、インドはカースト制度で生まれた時から職業が決まっている。
王族に生まれたら死ぬまで身分が高くて、農家に生まれたら一生農民。
「次に生まれ変わったらもっと身分が高い人間になりたい」というのは当たり前の考えでしょう。
仏教はインド発祥で【輪廻転生】を否定した宗教でしたが、インドでは根づかなかった・・・

ストーリーの途中でミーアキャットの島に偶然流れ着くが・・・
再びパイと虎はその島から出ていく・・・
昼間は楽園のようですが、夜は島全体が酸性化して人間が住める土地ではなかった。
その島の姿は釈迦の涅槃像そっくりなのが印象的です。
これは宗教の素晴らしさと怖さのメタファーだと思う。

主人公パイは獰猛な虎と、どうやって生き延びたか・・・
それはパイを自分のエサとしてとらえている存在から分かり合える、少なくとも危害を加えない存在へと
虎が理解していく過程が面白いですが、これも宗教観、価値観が違う人類のメタファーと思う。

終盤でメキシコにたどり着いた時に、虎はフラフラで空腹だったにも関わらずパイを飛び越えてジャングルに消えていく。
振り返りもせずに淡々と、別れの抱擁も何もないのが、かなり印象的です・・・

と、ここまでは【ライフ・オブ・パイ】というパイさんの回想録ですが。
ラストの真実かも知れないアナザーストーリーを語るパイさんはもっと印象的です。
私は正直「えっそうだったの・・・」って思った、多分、これは予想出来ないと思う。

真実味としてはこっちなんだろうね・・・

貨物船の船員(コック?)にジェラール・ドパルデューが出ていたけど
私の好きな【1900年】にも出ていたフランスの名優があんな使われ方していて
違った意味でも、とても印象深い作品でした。