MASTER PIECE

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風の歌を聴け

2012年10月24日 02時43分08秒 | 書籍



村上春樹のデビュー作品を初めて読んだ。

まず思ったのが、村上龍よりはるかに読みやすい・・・
(多分、改行や文章のまとめ方なんだろう)

こちらも本文153ページ足らずの中編小説で主人公は一人称の【僕】として書かれている。
読んだ感想としては村上春樹本人の自伝的な小説のようですね。

主要な登場人物は【僕】と【4本指の彼女】と【鼠】と【ジェイズ・バーの女主人】
登場人物が少ないのは物語が頭の中で整理がとてもしやすいです・・・(笑)

特別ドラマチックな展開が起こるわけでも、悲劇が起こるわけでもないが
【僕】が1970年の夏に体験した思い出の情景がとても印象深く、初めて読んでとても新鮮でした・・・
その辺の文章力が村上春樹が支持される理由なんだと思いましたね。

そういえば自殺した3番目の彼女の理由はなんだろうか?
4本指の彼女の行方は?

物語にはその辺が描かれていないので重くはならないのだけど
一人称の語り部である【僕】は深く追求することも後悔も悲しみも特にはなさそうです・・・
あくまでも乾いた感情でクールな表現・・・

これが村上春樹の感性なんだろうね、読み終わった後の不思議な感覚はこれが理由だと思った。

しかし【僕】はビール飲み過ぎです(笑)

初めての村上春樹としては面白い作品でした。

次は【1973年のピンボール】に挑戦してみようと思う。