春陰や榎の大樹仰ぎゐて
春の曇り空をいう。
春は晴れると日差しが溢れ暖かくなるが、曇りの日が続くことがある。
そのときは寒さがぶり返し、陰鬱な気分になる。
陸游の詩「春陰雨に成り易く、客病(かくへい)寒さを禁ぜざる」(「春雨詩」)などの漢詩による。
春の空が寒そうに曇っていた。
大木の榎に寄り添い仰ぐと、雄々しく曇り空に伸びていた。
春陰のマレットゴルフ眺めけり
春陰や榎の大樹仰ぎゐて
春の曇り空をいう。
春は晴れると日差しが溢れ暖かくなるが、曇りの日が続くことがある。
そのときは寒さがぶり返し、陰鬱な気分になる。
陸游の詩「春陰雨に成り易く、客病(かくへい)寒さを禁ぜざる」(「春雨詩」)などの漢詩による。
春の空が寒そうに曇っていた。
大木の榎に寄り添い仰ぐと、雄々しく曇り空に伸びていた。
春陰のマレットゴルフ眺めけり
歩きゐる脚に力や春北風(はるならひ)
低気圧が北海道の東の海上に達し、西から移動性高気圧が進んでくると、一時的に西高東低の冬型の気圧配置に戻る。
このときに吹く北寄りの風を「春北風(はるきた)」と呼ぶ。
「ならい」は東日本の太平洋側、特に関東地方で吹く冬の季節風の呼び名だが、春先にも吹き、これを「春北風(はるならい)」という。
春北風が激しく吹いていた。
風に向かって歩くには、脚に力を入れなければならなかった。
春北風や用水の棕櫚煽られて
春雨に畑の湿つてきたりけり
単に春に降る雨を意味するのではなく、春に静かに降る雨をいう。
古くから、しっとりとした情緒のある雨として詠まれてきた。
春先の台風のような激しい風雨は「春雨」ではなく、「春荒」「春嵐」と呼ぶものである。
春雨が降っていた。
畑が次第に湿ってきた。
境内に駐輪ありぬ春の雨
畑には足跡のなし春の雪
春になってから降る雪をいう。
関東以西では、真冬より春先に雪が降ることが多い。
春の雪は融けやすく、多少積もってもすぐに消えてゆく。
畑に春の雪が降り積もっていた。
足跡などなく、真っ白であった。
春雪や幼の記憶よみがへり
春陰や伊豆殿堀の今もなほ
春の曇りがちの空をいう。
「花曇」の花時に限らず、初春から晩春まで使われる。
中国北宋の詩人蘇瞬欽の「春陰野に垂れて草青青たり」などの漢詩に由来する。
近代以降に使用されるようになった季語である。
「伊豆殿堀」は野火止用水のことで、知恵伊豆と呼ばれた松平伊豆守信綱がこの用水路を造ったことによる。
春陰のもと、伊豆殿堀には今もなお清らかな水が流れていた。
春陰や雑木林の横長に