河童の歌声

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ある歌声仲間の死

2021-08-18 14:18:37 | 日記
あちこちの歌声喫茶で何度も一緒に唄っていた、
ある男性の死を聞かされたのは、彼の死後数か月が経ってからだった。

彼は中野区から、足の悪い母親を伴って来る事が多かった。
歌声バス旅行の時も、母親を介護しながら参加した事もあった。
170センチくらいの身長で、体重は58キロだった。
とてもスリムでカッコ良くて羨ましいくらいだった。

彼に「俺は以前はデブだった」と聞かされた時は信じられなかった。
何でも不摂生な生活を続けているうちに体重は90キロ近くまで行き、
「このままでは俺は一生ブタで終わる」と、
ある時、一念発起してダイエットを始めたそうです。
「どうやってダイエットしたの?」と訊いたら、
「空腹で目まいがして倒れそうになるまで我慢した」そうです。
ダイエット期間は訊かなかったのですが、それで30キロ痩せたのです。

そんな彼だったのですが、
気がつくと彼を何ヵ月も見かけなくなっていました。
歌声喫茶でそんな彼の事を話していたら、
もうずい分前に亡くなったよと聞かされました。

彼が亡くなったと言った人は、
さも、皆さん知ってるよ、みたいな口調だった事に私は不快感を覚えました。
最初から知っていたのなら、
「皆さんご存知の〇〇さんが不幸にも亡くなられました。
彼の為に祈りましょう」くらいの事を言ってくれるべきだと思ったからです。
その方は歌声喫茶では名の通った人だっただけに、無責任さを感じて不愉快になったのです。

亡くなってから、かなり経過していたので、
私は彼の死の真相を知りたく、そこらの時期の縮小版新聞を探しました。

ありました。
2015年12月1日付の朝日新聞でした。

彼の死を知っていた男性と、新聞記事との両方からですが・・
新聞には彼の住んでいた一戸建ての俯瞰写真が添付されていました。
彼は一匹狼で不動産屋さんをしていたそうです。
もし、会社勤めだったら、あんな悲惨な死ではなかったと思います。


写真は彼とは無関係です。

家には88歳の足の悪い母親と、
56歳の彼との二人住まい。
ある日、風呂から上がった彼は、
心筋梗塞か心不全か、あるいは脳梗塞か?
突然倒れてそのまま逝ってしまいました。

隣の部屋に居る母親は、食事を作ってくれる息子の突然死を、
気づいたかどうか、結局、餓死という悲劇的な死を迎え、
近所の女性が回覧板を持って来た時に、
郵便受けの新聞が貯まっていて、応答が無い事で発見されたのでした。

死後数週間が経っており、腐敗が始まっていたそうです。
あのスリムでカッコ良かった彼が・・絶句。

彼は独身でしたが、ある時、歌声仲間の女性と籍を入れた事がありました。
しかし、彼女が彼の家に同居する事は無かったみたいです。
というのは、彼の母親は息子以外の人間を信用しないみたいな面があり、
歌声喫茶に来ても他の人と言葉を交わすのは、殆ど見た事はありませんでした。
ですから彼女としても、あの気難しい母親と同居は無理と感じたのかどうか?

彼等は短期間で別れてしまったみたいでした。
彼女は、結婚の為に長年勤めた職場を辞めたばかりでの離別に、
我々歌声仲間は「それはないだろう」といきどおりを口にする人もいたのです。

もし彼の母親が気さくな人だったら。
もし彼の仕事が個人営業ではなく普通のサラリーマンだったら。
全ては後の祭りですが、あまりにも悲しい死です。

後日、思ったのですが彼の突然死は、
過去のあまりにも激し過ぎるダイエットと因果関係があったのか?
さて、それは誰にも分かりません。

しかし、これからは歌声仲間でも孤独死する人が・・考えたくない。
私だってどうなるかなんて誰にも分らない。
いくら人間死ぬときは独りとか言ったって、
彼等のあまりにも悲劇的な死は勘弁してほしい。

私は毎日妻にゴマ擦って、心の中でお願いしてるんです。
最後は俺を優しく看取っておくれよね。




コメント
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