水の門

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歌集『カインの祈り』

澤本佳歩歌集『カインの祈り』
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蒔く人も刈る人も

2008年01月02日 15時27分00秒 | その他
昨年末 最後のお茶のお稽古の後、先生が関わっていらっしゃる「(憲法)9条の会」の話になり、『点滴 石を穿つ』という会報を見せて頂いた。
そこには、秋に観た『六ヶ所村ラプソディー』の上映会後のトークショーで監督さんにインタヴューされた方を含めた北杜市在住の子育て中の女性達と、9条の会の世話人の方々が平和について語り合った交流会の様子が掲載されていた。
また会報の別ページには、近日上映予定の映画の告知も。私が「長坂のコミュニティホールは面白そうな映画を沢山演っていますよねぇ」と感心して漏らすと、「2、3年前はそうじゃなかったのよ」と先生。先生曰く、私の言葉が発端だとか。
以前、先生に「9条の運動はいつも年寄りばかりなのよ。どうしたら若い人に平和に関心を持ってもらえるかしらねぇ」と訊かれたことがあった。私は咄嗟の思いつきで「映画でも上映したら、観てもらえるんじゃないですか」と答えた。その後、9条の会の方々は映画会社や行政に掛け合い東奔西走されて、映画の上演に漕ぎ着けた。
それは小さな一石だっただろう。だが、その石が無関心の水面に起こした波紋は、地域に輪を描いて広がっていったようだ。
私はそのことを聞いて、福音書の「一人が種を蒔き、別の人が刈り入れる」(ヨハネによる福音書4章37節)という言葉の不思議を思った。私は以前は完全な自己完結型の人間だった。自分で立案し完遂する。上司の意向を仰ぐことはあっても、基本的には一人作業。そんなことにずっと慣れてきていた。しかし、そのプライドと完璧主義が発病によって挫かれ、いつしか自分に期待することもやめてしまっていた。
私が何気なく言っただけのことを、他の人が労苦して耕し、その実りに私が今あずかっている---。意図せずに行われた共同作業に御手を見た気がした。「種を蒔く人も刈る人も、共に喜ぶ」(ヨハネによる福音書4章36節)というその喜びの大きさを神様は私にも味わってほしかったのだろうか。
今年、自分にできることがどれほどのものかは分からない。でも、自分の思惑を超えたところで、それを用いられる方の存在を信じつつ、種を蒔き耕せればと思う。

そういうわけで蛇足になるが、今年のテーマ・ソングはヴァン・ダイク・パークスの「Clang of the Yankee Reaper」にしたい。収穫の喜びにあふれた一曲である。
コメント (2)
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