クラリネットの練習を始めて約一カ月半。一度プロの方に楽器の組み立て方や、基本的な吹き方、必要な教則本などを教わった。
バスーンを吹くときと大きく異なることは、まずはアンブシュア。バスーンの場合、ダブルリードであるから上下とも唇で包み込むようにし、基本口腔内は広く保つ。クラリネットは、リードが触れる下唇は軽く歯を包むようにし、マウスピースは上の歯で噛んで上唇はあまり力を入れないで、唇の両端のみに力を入れる感じで唇を閉じる。顎は皺ができないように張る。この状態で、ある程度マウスピースを噛む力が必要で、楽器を右手の親指で少し上に持ち上げ、マウスピースで上の歯の裏側をぐっと押す感じで、と教わったが、ここのところの力加減がいま一つ分からない。そして、口腔内は息のスピードを上げるために狭くするのだそう。ともかくも、この正しいアンブシュアの型を身につけないといけないので、鏡で度々チェックする。
そしてリード。メーカーは色々あるようだが、主にはバンドレンとダダリオ(昔のリコ)の二つ。リードは、硬さと形(削り方含む)で種類があり、硬さは1~5ぐらいで識別され、数字が大きくなるにつれ硬くなる。クラリネット吹きの方が「リードが厚い、薄い」と言うのはこの硬さのことで、実際の厚さのことではなく、硬いものを「厚い」柔らかいものを「薄い」と表現している。形は各社数種類あり、先端の厚さやヒールの厚さ、削り面の傾斜などで分かれている。
面白いのは比較のための基準となるものがあり、バンドレンの「青箱」とよばれるリードで、このリードと比べてどうか、というのが一つの目安になるらしい。硬さは、0.5刻みで2、2.5(2 1/2)、2.5(2 1/2)、3、3.5(3 1/2)、4…となっているが、この1/2の違いが大きい。初心者は、まずは柔らかい(軽い)ものから始めて上達するにしたがい硬いものへと移行する、と思っていたのだが、奏者により考え方が異なるようだ。そこには、マウスピースとの関わりがある。
マウスピースも色々なメーカーがあるが、もっともメジャーなのはバンドレン。細かい仕様まで含むと三十種類以上存在する。違いの基本となる仕様は二つ。
先端の開き(ティップオープニング/リードの先端とマウスピースの先端の開く距離)、とリードの振動面の長さ(フェイシング/先端からリードがマウスピースに触れるまでの距離)。ティップオープニングが広ければリードを振動させるためには大量の息の量と息のスピードを求められる。結果、ティップオープニングが広いマウスピースには柔らかめのリードが合う、といわれる。逆もまた然りで、狭いティップオープニングには硬めのリードが合う、という。
同じティップ・オープニングの場合、ロング・フェイシング(振動面が長い)では硬めのリード、ショート・フェイシング(振動面が短い)では、やわらかめのリードが合うといわれる。これにより、理想とされるマウスピースとリード(硬さ)の組み合わせが存在し、バンドレンの場合マウスピースの箱に、リードの種類ごとに合う(適正)の番手が記載されている。
ただ、このあたりはあくまで基準であって、自分の体力や技量、好みによって変わってくる。ということで、まずは初心者の私に合うマウスピースとリードの組み合わせを見つけることが急務、と考えリードを数種類購入した。
まず、先生に薦められたのはマウスピースはバンドレンのB40とリードはバンドレンの青箱。B40は、バンドレンのマウスピースの中でも比較的吹奏感が「重い」とされるもので、音色は太くまろやかだという。リードは先生から1枚いただいたが、青箱の3番。けっこう重い(硬い)感じがしたので、まず自分で購入したのは青箱の2.5。
バンドレンのリードは一箱に10枚入っている。以前からクラリネット吹きの方から、一箱に当たり(吹きやすい)リードは1~2枚、と聞いていて、初心者の自分ではそうリードの違いは分からないかもしれないと考えていたが、初心者なりに吹きやすいリード、そうでないリードがあることが分かった。おそらく、同じ番手(硬さ)といっても数値にはある程度幅があって、その幅の中で硬度が偏らないように入っているのではないか。むろん削りの精度や密度などもあると思う。その結果、自分にとっての当たりリードは、一箱に1~2枚となるようだ。ただ、初心者の私の場合はそこまで突き詰めても仕方ないので、吹きにくいリードをはずすだけにして数枚を使うことにした。
しばらくは、B40と青箱2.5の組み合わせで練習したが、いかんせん重い。この重さが普通なのか、吹き方が悪いから重いのか分からない。この先クラリネットの練習にあてるつもりの時間は、一日30分。できるだけ効率よく練習したい。この重さでは音を出すのがやっと。うーん、どうするか。
ネット情報や周辺のクラ吹きの方の話だと、初心者の場合は、バンドレンの5RVL(5アールブイライヤー)というマウスピースで始めることが多いとのこと。ただ初心者用のマウスピースということではなく、プロの方も普通に使っているマウスピースで、息を入れやすく楽器を鳴らしやすいので初心者にも向いているらしい。私が先生からB40を薦められたのは、先生がその系統のものを使用している、ということと、バスーン経験者であれば肺活量や体力や息の問題はないだろうからB40でどうか、ということらしい。いやいや、私は肺活量は平均以下、体力もそんなにありません。なのでバスーンのリードも軽めです、とも言えず。まぁ、練習すれば何とかなるのだろうか、と思った次第。
で、練習を始めて、重い。この重さに慣れる日がくるのだろうか。と不安になり、先生に内緒で5RVLを購入した。確かに軽い。ただ、リードが柔らかいと今の自分では音が細くキンキンしてしまうし、リードミスも頻発。そこで少し硬めのリード(3)を購入。多少音がまとまるが、上の方の音はキンキンする。もし、これから毎日2~3時間練習できるのであれば、そのうちに音をまとめて吹けるようになるかもしれないが、そんな時間はない。何とかならないものか、と情報を集めると、B40L(B40ライヤー)がB40よりも息が入りやすいらしい。
マウスピースもそうそう安価ではないし、同じ製品でも個体によってもだいぶ違う、とのことなのでどなたかに選んでもらうのが良さそうだが、先生にお願いするのも気が引けるしなかなか時間もない。なので、ネットで選定品を購入することにした。非選定品よりも値が張るが、とにかく試したくなると試さずにはいられない。信頼できそうなお店を見つけ注文し、先日手元に届いた。
さっそく吹いてみる。吹きやすい。無理せずに息が入る。リードも手元にある数種類をすべてためしてみたところ、バンドレンのV12の2.5が合いそう。これなら、基礎練習を苦にすることなく進められそうだ。
その後、ダダリオのレゼルブクラシック(2.5)を試しに購入したところ、1枚だけ異様に重い。まったく音がでない。なんでだろうと、よくよく見てみると、刻印が3.5。1枚だけ違う番手が入っていた。
後日、クラ吹きの方にその話をすると、クラリネットを吹き始めてから30年以上になるが、そんなことは一度もなかった、とおっしゃる。クラリネットを始めて三カ月にも満たない私のところにくるとは……。
バスーンを吹くときと大きく異なることは、まずはアンブシュア。バスーンの場合、ダブルリードであるから上下とも唇で包み込むようにし、基本口腔内は広く保つ。クラリネットは、リードが触れる下唇は軽く歯を包むようにし、マウスピースは上の歯で噛んで上唇はあまり力を入れないで、唇の両端のみに力を入れる感じで唇を閉じる。顎は皺ができないように張る。この状態で、ある程度マウスピースを噛む力が必要で、楽器を右手の親指で少し上に持ち上げ、マウスピースで上の歯の裏側をぐっと押す感じで、と教わったが、ここのところの力加減がいま一つ分からない。そして、口腔内は息のスピードを上げるために狭くするのだそう。ともかくも、この正しいアンブシュアの型を身につけないといけないので、鏡で度々チェックする。
そしてリード。メーカーは色々あるようだが、主にはバンドレンとダダリオ(昔のリコ)の二つ。リードは、硬さと形(削り方含む)で種類があり、硬さは1~5ぐらいで識別され、数字が大きくなるにつれ硬くなる。クラリネット吹きの方が「リードが厚い、薄い」と言うのはこの硬さのことで、実際の厚さのことではなく、硬いものを「厚い」柔らかいものを「薄い」と表現している。形は各社数種類あり、先端の厚さやヒールの厚さ、削り面の傾斜などで分かれている。
面白いのは比較のための基準となるものがあり、バンドレンの「青箱」とよばれるリードで、このリードと比べてどうか、というのが一つの目安になるらしい。硬さは、0.5刻みで2、2.5(2 1/2)、2.5(2 1/2)、3、3.5(3 1/2)、4…となっているが、この1/2の違いが大きい。初心者は、まずは柔らかい(軽い)ものから始めて上達するにしたがい硬いものへと移行する、と思っていたのだが、奏者により考え方が異なるようだ。そこには、マウスピースとの関わりがある。
マウスピースも色々なメーカーがあるが、もっともメジャーなのはバンドレン。細かい仕様まで含むと三十種類以上存在する。違いの基本となる仕様は二つ。
先端の開き(ティップオープニング/リードの先端とマウスピースの先端の開く距離)、とリードの振動面の長さ(フェイシング/先端からリードがマウスピースに触れるまでの距離)。ティップオープニングが広ければリードを振動させるためには大量の息の量と息のスピードを求められる。結果、ティップオープニングが広いマウスピースには柔らかめのリードが合う、といわれる。逆もまた然りで、狭いティップオープニングには硬めのリードが合う、という。
同じティップ・オープニングの場合、ロング・フェイシング(振動面が長い)では硬めのリード、ショート・フェイシング(振動面が短い)では、やわらかめのリードが合うといわれる。これにより、理想とされるマウスピースとリード(硬さ)の組み合わせが存在し、バンドレンの場合マウスピースの箱に、リードの種類ごとに合う(適正)の番手が記載されている。
ただ、このあたりはあくまで基準であって、自分の体力や技量、好みによって変わってくる。ということで、まずは初心者の私に合うマウスピースとリードの組み合わせを見つけることが急務、と考えリードを数種類購入した。
まず、先生に薦められたのはマウスピースはバンドレンのB40とリードはバンドレンの青箱。B40は、バンドレンのマウスピースの中でも比較的吹奏感が「重い」とされるもので、音色は太くまろやかだという。リードは先生から1枚いただいたが、青箱の3番。けっこう重い(硬い)感じがしたので、まず自分で購入したのは青箱の2.5。
バンドレンのリードは一箱に10枚入っている。以前からクラリネット吹きの方から、一箱に当たり(吹きやすい)リードは1~2枚、と聞いていて、初心者の自分ではそうリードの違いは分からないかもしれないと考えていたが、初心者なりに吹きやすいリード、そうでないリードがあることが分かった。おそらく、同じ番手(硬さ)といっても数値にはある程度幅があって、その幅の中で硬度が偏らないように入っているのではないか。むろん削りの精度や密度などもあると思う。その結果、自分にとっての当たりリードは、一箱に1~2枚となるようだ。ただ、初心者の私の場合はそこまで突き詰めても仕方ないので、吹きにくいリードをはずすだけにして数枚を使うことにした。
しばらくは、B40と青箱2.5の組み合わせで練習したが、いかんせん重い。この重さが普通なのか、吹き方が悪いから重いのか分からない。この先クラリネットの練習にあてるつもりの時間は、一日30分。できるだけ効率よく練習したい。この重さでは音を出すのがやっと。うーん、どうするか。
ネット情報や周辺のクラ吹きの方の話だと、初心者の場合は、バンドレンの5RVL(5アールブイライヤー)というマウスピースで始めることが多いとのこと。ただ初心者用のマウスピースということではなく、プロの方も普通に使っているマウスピースで、息を入れやすく楽器を鳴らしやすいので初心者にも向いているらしい。私が先生からB40を薦められたのは、先生がその系統のものを使用している、ということと、バスーン経験者であれば肺活量や体力や息の問題はないだろうからB40でどうか、ということらしい。いやいや、私は肺活量は平均以下、体力もそんなにありません。なのでバスーンのリードも軽めです、とも言えず。まぁ、練習すれば何とかなるのだろうか、と思った次第。
で、練習を始めて、重い。この重さに慣れる日がくるのだろうか。と不安になり、先生に内緒で5RVLを購入した。確かに軽い。ただ、リードが柔らかいと今の自分では音が細くキンキンしてしまうし、リードミスも頻発。そこで少し硬めのリード(3)を購入。多少音がまとまるが、上の方の音はキンキンする。もし、これから毎日2~3時間練習できるのであれば、そのうちに音をまとめて吹けるようになるかもしれないが、そんな時間はない。何とかならないものか、と情報を集めると、B40L(B40ライヤー)がB40よりも息が入りやすいらしい。
マウスピースもそうそう安価ではないし、同じ製品でも個体によってもだいぶ違う、とのことなのでどなたかに選んでもらうのが良さそうだが、先生にお願いするのも気が引けるしなかなか時間もない。なので、ネットで選定品を購入することにした。非選定品よりも値が張るが、とにかく試したくなると試さずにはいられない。信頼できそうなお店を見つけ注文し、先日手元に届いた。
さっそく吹いてみる。吹きやすい。無理せずに息が入る。リードも手元にある数種類をすべてためしてみたところ、バンドレンのV12の2.5が合いそう。これなら、基礎練習を苦にすることなく進められそうだ。
その後、ダダリオのレゼルブクラシック(2.5)を試しに購入したところ、1枚だけ異様に重い。まったく音がでない。なんでだろうと、よくよく見てみると、刻印が3.5。1枚だけ違う番手が入っていた。
後日、クラ吹きの方にその話をすると、クラリネットを吹き始めてから30年以上になるが、そんなことは一度もなかった、とおっしゃる。クラリネットを始めて三カ月にも満たない私のところにくるとは……。