奇想庵@goo

Sports, Games, News and Entertainments

『グリムグリモア』インプレッション

2007年04月20日 23時43分13秒 | アニメ・コミック・ゲーム
これまでさんざ書いてきたが、まとめとして感想を。
シナリオ、フリートライ全てノーマルでクリアし、ハードモード出現までプレイした上でいろいろと述べてみたい。

○ストーリー

繰り返される5日間というシチュエーションは、主人公が徐々に強くなる様を表現するのに適していた。初めはプレイヤー同様何も分からない主人公リレだが、2度目の初日にはそれまでの経験によってもう初心者とは呼べない域に達している。その実力を知ることで周りの反応も変わっていく。プレイヤー自身の成長と周りの反応の変化の表現は巧みだった。
非常に練られたストーリーであることは間違いない。それを支えたのは主人公リレの頭の良さだった。彼女は最初の5日間で起こる破滅を体験し、その知識を持ったまま5日前に戻る。そこで、彼女はその体験を学長のガンメルに話すが、それが破滅の回避に繋がらずむしろ更なる悲劇を生み出したことを知り、次に時間が巻き戻った時にはそのことをガンメルに話さない。彼女はその時々で最善の判断をして、それでも繰り返される破滅にもたじろがず前へ前へと進んでいく。彼女のこうした賢明さや勇気は彼女を魅力溢れるキャラクターにしているものの、一方でプレイヤーを置き去りにしてしまった部分もある。
ストーリーに対しプレイヤーは一切の関与ができない。ただリレの行動を追い掛けるのみだ。練ったストーリーと細部にまで行き渡った演出のために分岐をすることはできなかったと考えられる。一部に分岐やマルチエンディングを求める声もあるが、実際のところそれをしたらストーリーの密度や精度にマイナスだっただろう。ストーリー自体がゲーム部分の根幹ではないため、一本道の展開を採用したことは悪い判断だとは思わない。ただ、リレがもう少し迷ったり悩んだりすることで、プレイヤーとの共感できる余地を入れた方が良かったようには思う。余りにもリレは正解を導きすぎる印象は拭えない。いちおう、描かれたループ以外にも実際には数多くのループがあり、それが彼女を強くしたという設定は語られているが、もう少し描きようがあったのではないかという感想を持った。もちろん、それでもゲームとしては最上等の部類に入るストーリーであるのだが。

○キャラクター

登場人物はみな裏の顔を持っている印象だ。少なくとも最初に会った時の姿がごく一面に過ぎないのは確かだ。短いストーリーの中でキャラクターの描き方は見事と言うほかない。演出の巧みさと相まってそれぞれのキャラクターの魅力は強く印象付けられた。しかし、それだけにストーリーの短さが惜しく感じられてしまう。仕方ないことだがストーリーはリレが破滅を救う話に限られている。個性的なサブキャラクターたちもリレのその物語の流れの中でしか関わってこない。おまけ要素として、彼ら彼女らのサブストーリーが語られる部分があってもよかったのではと思ってしまう。

○演出

シナリオでのキャラの表現は一見の価値ありだ。立ち絵での会話だが細部の動きがキャラクターの個性をうまく描き出している。無名の声優陣だがいい仕事をしている。見せるということに無駄が無く、ロード画面なども素晴らしい出来だ。
戦闘でも使い魔たちの声やセリフがとても印象的だ。たった一言のセリフだけで使い魔の個性が表現し切れているとまで思えてしまう。
私の知る限り演出という基準だけで言えばこれを越えるゲームはない。ゲームにおいて演出を評価するのならこのゲームをプレイしてから言うべきだと思うだけのものを持っている。

○戦闘

リアルタイムシミュレーションというジャンルのために二の足を踏んだ人が多いのだろう。戦闘自体の難易度は抑えられているし、マップごとに難易度を設定できるといった親切な作りになっているのでクリアすることは難しくない。問題はこの戦闘を楽しめるかどうかだ。
ネット上での評価を見ると7:3くらいで評判は悪い。その理由はいくつか挙げられる。力押しで容易に勝てるマップが多い。マップ背景が全て同じで新鮮味がない。作戦目的がほとんど一緒。敵のパターンも一緒。これらは否定しようのない事実だ。
これらの批判は十分に納得できるものだが、それでもなおこの戦闘システムを気に入っている。安直にSRPGにしなかったことを高く評価している。この評価の違いにはゲーム観の差があるのだろう。ストーリーやキャラクターの魅力を堪能したいプレイヤーにとってはこの戦闘は面倒なノルマに過ぎない。シナリオを進めるために仕方なくプレイしているのだから楽しめるはずがない。私にとってはストーリーやキャラクターの方がツマに過ぎない。それはゲームの本質に関わっていないからだ。あくまでもこの戦闘を楽しむためのオマケであって、極端な話、無くても構わないものだ(もちろんそれに代わるものが必要となるが)。このように、主客をどちらに置くかで評価が変わってくる。
いつの頃からか、ストーリーやキャラクターがゲームの本質より評価される風潮が生み出された。そういう評価があってもいいし、そうしたゲームがあっても構わない。しかし、私はそうしたゲームを全く評価しない。このゲームもストーリーやキャラクターを評価しないわけではないが、それはこのゲームの本質とは離れたものとなっている。この戦闘システムとストーリーやキャラクターが十分に密接な関連があるとは言いがたい。そういった面での緊密さがもっとあれば更に高い評価を与えられたのにと思うが。

改めて戦闘自体の評価をしてみよう。繰り返すが欠点は少なくはない。それでも、自分なりに思い描く戦術を表現できる点にこの戦闘の面白さがあると思う。SRPGで失われた自由度がそこにあると言い換えてもいいだろう。自由度とはフリーシナリオや分岐、マルチエンディングを指す言葉ではない。あくまでゲーム内で自分の望む表現ができるかどうかだ。とってつけられたようなマルチエンディングなどは自由度とは対極の存在だ。こんなプレイをしたいという望みがゲーム内で叶えられるか。その点でこの戦闘システムは評価できる。

○欠点

既に数多くの欠点を述べた。いくつかはこのゲームの仕様上、仕方ないものだろう。最大の欠点はボリューム不足と言わざるを得ない。メインストーリーはあれで十分だが、サブストーリーなどもう少し追加できなかっただろうか。また、戦闘ではもっと多様な戦闘スタイル、作戦目的を用意してほしかった。戦闘マップ数は50と少なくはないが、似たようなものが多いのは確かだ。見た目なども含め、戦闘に多様性が乏しかったことが戦闘への低評価を招いたことも間違いない。

○その他

いま初回生産版同梱のサントラCDを聞きながら書いているが、音楽は悪くない。新規タイトルで、リアルタイムシミュレーションというジャンルで、作り手の意欲、志を強く感じるが、残念ながら今のゲーム界、特にそれを支えるファンに、これに応える気運が感じられないのがとても残念だ。
ストーリーやキャラクターの評価が高いこのゲームだが、あえて戦闘を楽しんで欲しいと思っている。例えばノーマルの難易度でクリアできないマップをスイートでクリアしてコツを掴み、改めてノーマルでプレイすれば意外とすんなり勝てたりする。プレイすればするほど上達できると実感できるゲームだ。力押しでプレイしていた人は、違った戦術でやってみれば、また別の面白さが見えてくると思う。単純だけどそうした懐の深さを持ったシステムだ。こうしたゲームが評価されないとしたらそれはとても寂しいことだ。


Wikiについて

2007年04月19日 23時52分13秒 | デジタル・インターネット
ウィキペディアはわりとよく見ている。内容の正確性はともかく、ちょっと調べたりするときはグーグルの検索にwikiの文字を追加することが多い。また、ひとつの記事から別の記事にリンクをたどって見ていることもよくある。軽い読み物感覚で楽しめる。
私自身インターネットは利用者が相互に知恵や知識を共有していく場だと思っているので、ウィキは素晴らしい文化だと感じている。本当は利用するだけでなく、少しくらいは貢献できればいいなと思っているのだが、勉強不足というか単なる怠慢のために自分が書き込むことはこれまでなかった。

ウィキの登場は攻略サイトのあり方も変えてしまった感がある。これまで個人サイトでファンサイトと兼ねる形で行われていた攻略の有り様がウィキによるもの主体へと変化している。例えば、FFXIでは「eLeMeN」さんという個人サイトが情報量などからナンバーワンの座にあったが、最近はバージョンアップ後の更新速度ではWikiの方が速くなっている。協力者がいるとはいえ個人中心のサイトと、誰もが書き込めるサイトの差が出ている形だ。
以前、拡張ディスク「アトルガンの秘宝」導入時にまだ未知のエリアを踏破しに行ったことがある。バージョンアップで追加されたときもそうだが、まだ情報が出揃っていないコンテンツをプレイすると参加者の多くはそれぞれにネットで情報を集めたりしているものだ。このときはそれだけでなく、パーティメンバーの一人がその時に分かったことをWikiに書き込むと話していたので感心した。私も全く情報が出ていないアサルトの内容を「eLeMeN」さんの掲示板に書き込んだりはしているが。

しかし、情報の正確さに問題があるだけでなく、管理の難しさも思い知らされたことがあった。「FF11用語辞典++」はFFXIの膨大な用語や流行語、アイテム名などを登録したWikiで非常に読み応えがあった。ところが管理者が放置するようになると記事を巡っての様々な対立が激化し、最後にはほとんどの記事が削除されるという事態を招いた。モラルだけでは成り立たない難しさがそこにはあると思う。

「グリムグリモア」の攻略Wikiは3つも乱立した。そのうちどれかひとつに絞られるのだろう。まあ攻略が必要かどうか微妙な気もするが(って攻略サイトの管理人のセリフではないが)。ただWikiは便利な代物だけど、ファンサイトのようなコミュニティの形成には不向きな感じだし、ちょっともったいなさも感じてしまう。個人のファンサイトや攻略サイトにももうちょっと愛情を、なんて思ってしまうのは感傷かな。


近況~とはいえグリムグリモア漬けの日々

2007年04月18日 23時03分59秒 | アニメ・コミック・ゲーム
シナリオクリア後、Fan Siteの攻略記事を書きつつ改めてプレイ。記憶力に全く自信がないので、クリアした直後でないと書けないので、シナリオ編も再度プレイしている。
初めての時は、シナリオのみプレイしたが、今回はシナリオとフリートライを交互にやっている。フリートライは戦闘のみだが、シナリオを1日分(1戦闘)クリアするとひとつ追加され、トータルで25となる。フリートライのいくつかは、シナリオの裏マップみたいな形で作られていてなかなか面白い。

現時点で、シナリオ、フリートライ共に残り1ずつとなった。前回どうしてもNORMALでクリアできなかったシナリオの5―4のマップを今回クリアできて嬉しかった。やはり、それだけ腕が上がったのかな。まあ今でも十分に苦戦はしているのだけど。シナリオ編でもポカをしてリスタートすることがあるし、フリートライはNORMALでクリアできずにSWEETでクリアして、それからもう一度NORMALに挑んで突破している。同じマップを何度かプレイすることで、見えない敵の動きが予測できるようになる。終盤はどうしてもその予測なしにはクリアするのが難しい。
逆に言えば、SWEETでやればほとんどのマップは楽勝だったりする。物語を楽しみたいだけであれば、それで十分だろう。

2ちゃんのスレも時々覗いているが、戦闘システムの評価はあまり高くない。評価している人の割合は3割程度だろうか。確かに万人受けするシステムではない。それを自覚しているがゆえにSWEETなんて難易度を付けたのだろうし。
この戦闘の妙味は、どう戦うかを表現できる点にある。一部のマップを除いて、戦術の幅が非常に広い。もちろんあまり考えずに力押しだけでなんとかなるものも少なくないが、自分なりに思い描いた戦術をうまくやり遂げたときの喜びは格別だったりする。
クリア後にシューティングでよくあるようなスコアが表示されるが、その得点の付け方はあまり面白くない。殺された数が多いと点が低いといった、偏った採点基準に見える。理想を言えば、1マップでいいのでクリア後、暗闇を消去し時間が止まっている部分もカットしたリプレイを見てみたい。この戦闘システムの楽しみはそんなところにある。

自分で確認してから書こうと思っていたが、ハードモードは存在するらしい。シナリオならびにフリートライをNORMALですべてクリアすれば出現するという話だ。明日にはその確認が取れるだろう。しかし、NORMALでも非常に難しいマップがいくつかあるのに、ハードでそれらをクリアできるのか。私のへたれな腕ではとてもとても心配だ(笑。

ここ3日ほど「グリムグリモア」バブルと言っていいほどここのアクセスが伸びた。倍から3倍近い伸び。とはいえ、もう落ち着きを取り戻しつつある。ほとんどは「攻略」とセットで検索して来ている。今回はちゃんと攻略サイトまで作ってるので、ダマシテナイヨ(苦笑)という感じなのだけどね。今日は知らないが昨日まではどの攻略Wikiよりも充実していたはずだし。そんな攻略サイトもあと二つ攻略記事を書けばもう終わりだ。このやり込み要素の乏しさが最大の欠点だったりするが……。
それにしてもBBSまで設置したけど書き込みが皆無で、ホントに見ている人いるのかちょっと不安になる。カウンターも置いておけばよかった。


『ひだまりスケッチ』

2007年04月17日 23時25分46秒 | アニメ・コミック・ゲーム
今年1月にスタートしたアニメの中では、『セイントオクトーバー』に次いで印象に残った作品。BS-iで視聴したので本放送よりは約2週遅れだった。

高校の美術科に通う4人の少女が主人公。学校の真ん前にあるひだまり荘で一人暮らしをしている4人。基本的に1話で1日の出来事を描いた。ユニークなのは、時系列がバラバラだったことだ。

特別何か起きるわけでもない、日常系マンガ。特にテーマがあるわけでもなく、ただまったりと日常が描かれているだけだが、それでも楽しめたのは演出が丁寧だったからだろう。

終わって悲しいとかではなく、もう会えなくなるのが寂しいといった感じの作品だった。男が描く女の子じゃなく、女が描いた女の子って雰囲気がよかったんだけどね。


「瀬戸の花嫁」「風の少女エミリー」「精霊の守り人」

2007年04月16日 22時44分08秒 | 2007春アニメ
○瀬戸の花嫁[第二話]

テンポとノリの良さは今春スタートしたアニメでは随一。主人公の顔の変わりようは田丸浩史を髣髴とさせる。
そうしたギャグの部分はもちろんだが、物語としても押さえるべきところはキチンと押さえていて安心して見ていられる。お婆さんからデート代5千円渡される場面など小憎らしいまでの演出だ。
ヒロインの方言もぐっと来るものがあるし、魅力的に描けている。ギャグマンガとして目に付くような欠点もなく、非常に楽しめる作品だ。
45点。


○風の少女エミリー[第二話]

NAの気風、気概が感じられる。原作の持つそうした雰囲気をキチンと表現しようとする姿勢がいい。エミリーの強さはまだ恐れを知らぬがゆえでもあるが、見ていて気持ちがいい。
手堅く、丁寧に作られたアニメだけに特段の批評の余地がないくらいだ。名作ものはそれで十分だろう。
35点。


○精霊の守り人[第二話]

よく出来ている。よく出来ているのだが、流麗に描かれる世界の中に入っていけない。ただそれを呆然と見送るしか出来ない感じだ。原作のファンであれば十分なのかもしれないが、原作を知らない者には世界が遠い。
良質のファンタジーにはその世界の理がある。小説ならともかく、細切れとなるアニメであれば、それをまず見る者に伝える必要があるだろう。世界の肌触りを。
よく出来ているだけに余計それが気になってしまう。このまま淡々と、原作を知らぬ者を置き去りに、話が進んでいくようでとても残念だ。
35点。


この形態でアニメ評を書くことが負担になってきたので、とりあえず休止ということに。書きたいことがあればその都度書く形になると思うが、毎回追いかけたい作品ができればそれは単独で取り上げたいと思っている。
もう少ししたらまとめ記事のような形でとりあえずの総括も書く予定。


『セイントオクトーバー』第15話

2007年04月15日 19時50分46秒 | アニメ・コミック・ゲーム
あいかわらず、細かな部分まで計算され尽くしたバカアニメ(笑)。

今回はリバース社はお休み。赤ロリの三咲をメインに据えた回となった。登場時に見せた過去の記憶。それが前世の記憶と明かされた。実は公式サイトの人物紹介では当時から前世の記憶と書かれていたが、作品内で語られるのは今回が初。しかし、そんな大切なシーンをあんな風に落ちに使っていいのか?(爆)

久しぶりに探偵事務所でお茶。お約束のヨシュアのケーキが今回のネタに繋がった。功士朗も久々にいい味を出している。
そして、今回のゲストキャラは「死神(はーと)」。なかなかユニークなキャラだ。最後のお茶会にもしっかり参加してるし、これからも出番があるのかな。

かわいい顔した腹黒キャラ(?)ユアンくんもその発言がどこまでホントか分からない感じで、狙ってるなぁと思わせる。絶対、「慈愛」じゃねエじゃん!って感じ。

三咲もなかなかキャラが固まらなかった感じがしていたが、変に色付けされずに面白いキャラになったものだ。二人の危機に必ず現れる野性味溢れる彼女が、このアニメのバトルシーンを一新させた。イモリ(?)の黒焼きを主食とし、食い意地の張ったところも彼女の個性だ。今回見せた一途さも結構彼女に合っていて良かった。まあヨシュアのケーキの前にその一途さも吹っ飛んじゃったけれど。


「セイント・ビースト」「Darker than BLACK」「かみちゃまかりん」「風のスティグマ」

2007年04月15日 11時01分42秒 | 2007春アニメ
○セイント・ビースト~光陰叙事詩天使譚[第二話]

第1話での振りが興味深くて楽しみにしていたが、残念ながら平凡な落ちでがっかり。天使(♂)たちの交流や心の葛藤はあまり興味を持てないだけに、設定面でぐいぐいと引っ張って欲しかったがそれは期待外れに終わった。
面白ければBL系でも平気だが、見たいと思わせるレベルには達していない。そんなに悪い作品ではないが、もう少し何かが欲しいと思ったがそれは欲張りすぎか。作り手が見せたいと思っている相手にはこれで十分なのだろうから。
20点。


○Darker than BLACK―黒の契約者―[第二話]

饒舌すぎるという印象は落ちを見て納得できた。決して悪い作品ではない。演出もきちんとしている。だが、問題はキャラの顔が見えない点だ。
何を求め、何に従い、生きているのか。それが見えてこない。更に言えば、どう描きたいのかが見えない。話の軸となる部分が雲を掴むような状況では、何を楽しめばいいのか困ってしまう。
細部をどれだけ丁寧に描こうと根幹が無ければ物語として成り立たない。というか、枝の付け根に幹が無いという印象だ。これでは本末転倒。2話で一つの話という構成なので、これからどうなるかもう少し見定めてみたい。
25点。


○かみちゃまかりん[第二話]

キャラも描こうとしていることも悪くないのに、演出が全てをぶち壊している印象だ。
今時風な少女漫画のキャラクターに、分かりやすいテーマを与えて物語としている。十分に面白くなりそうなものを持っているが、それを生かせていない。
要は見せ方の問題。場面場面の構図も酷いし、テーマの描き方もセリフでしか表現できていない。大事なシーンを効果的に見せるために、逆算して積み上げていくのが演出だ。それが無ければ薄っぺらくなってしまい、面白さは消散する。原作は面白そうに見えるのに残念だ。
20点。


○風のスティグマ聖痕

精霊使いとか次期当主はハネッカエリ娘とか炎の聖剣とかありがちなネタのオンパレードだが、押さえるべきところをきっちり押さえているため、十分に楽しめるものとなっている。キャラや設定、筋立てに目新しさがなくても、要所がしっかり描かれているので次を見たくなる。
奇をてらった演出ではない。炎や風を操る表現はよくあるものだし。それでもキチンとした演出が作品をしっかりと引き立てている。
第1話を見た限りだが、よくまとまった印象を残す作品だ。
30点。


『グリムグリモア』のおもしろさ

2007年04月15日 08時02分36秒 | アニメ・コミック・ゲーム
シナリオは悪くない。キャラクターも悪くない。しかし、このゲームの面白さの要は戦闘だ。

例えば。
フリートライ06「グリモアのすすめ」というマップがある。(フリートライはシナリオとは関係なく、ただ戦闘のみのおまけのようなもの)
乏しいマナ供給状況で全ての魔法陣を破壊せよというマップだ。

1回目は完全に手探り。このゲームでは視界が限られているため、見えるごく一部の範囲以外は敵の様子をうかがい知れない。とりあえず最強の使い魔のひとつであるドラゴンを召喚して中央のクリスタル(マナが獲得できる)に侵攻した。しかし、敵の攻撃が苛烈で、更に敵にもドラゴンがいて、スタート地点と中央の二ヶ所を守り抜くことができずにRESTARTを選択した。

2回目はドラゴン対策に黒猫のグリマルキンを用意。攻撃力はほとんどない使い魔だが、スリープの魔法を使えるのでドラゴン相手には無くてはならない存在だ。戦法は1回目と同じ。ただドラゴン対策をしておいたことでなんとかクリアまで到達した。

クリアしたことで、敵の魔法陣の配置や敵の使い魔の種族、攻撃パターンなどを掴んだ。そこから攻略方法を考え、3回目をプレイした。始めから中央には出ずに真上へ攻め込みドラゴンを召喚される前に敵の魔法陣を叩く作戦だ。これが図に当たり、前回32分掛かったものが16分を切るタイムでクリアした。

攻略法がうまくいくと、今度はドラゴンを使わずにクリアを目指したくなる。タイムは落ちるだろうが、ドラゴンを封印してもクリアはできるだろう。どうやって攻略するか、それを考える楽しみがそこにある。

このゲームは1面ずつ独立したものとなっている。失敗してもやり直せばいい。話を追うだけならば難易度をSWEETにすればほぼ負けることはないはずだ。SRPGでユニットを育てることは楽しみである反面、それが重荷となることも少なくない。ただ戦術を楽しむのなら、こうしたそのマップ限りのシミュレーションは最適だ。
更にこのゲームはアクションゲームに似ている。最初からうまくはできない。失敗して、覚えることで上手くなる。

フリートライ05「精霊と幽霊のワルツ」は、20分以内に敵の魔法陣全てを破壊せよという勝利条件だ。
20分以内という制約がなければ、決して難しくはない。しかし、この制限時間が非常に厳しい。最初の2回くらいはまるっきり時間不足だった。そして、あと10秒あればという惜しい敗北を経験する。その後、また時間が全然足りない敗戦を何度か繰り返した。
ここで気分を入れ替えて、EASYに難易度を下げてプレイした。これは16分でクリアに成功。この経験を生かして再びNORMALに難易度を戻してプレイ。今度は19分34秒でなんとか時間内にクリアすることができた。

リアルタイムシミュレーションではあるが、アクション要素はそうあるわけではない。時計を止める方法はいくらでもあるから、落ち着いて考えられるし、操作ミスが致命傷になることも稀だ。でも、自分の考えがダイレクトに反映されるという点ではアクションゲーム的だ。
もちろん基本は戦術性だし、戦力の集中が最も効果的なゲームに仕上がっている。
敵を探り、戦術を立て、それを実行する。うまくいかなければノーリスクでやり直せるし、1つのマップをプレイするのに1時間も掛からない(やり直せばトータルで越えることもあるだろうが)。先にも述べたように、自分に制約を課してみたり、流麗に勝つことにこだわることもできる。

やればやるほど、知れば知るほど、この戦闘は奥深く、楽しみが詰まっている。


攻略情報(戦闘にのみ特化):グリムグリモアFan Site
過去記事:『グリムグリモア』攻略
『グリングリモア』クリア
『グリムグリモア』ファーストインプレッション


「ヒロイック・エイジ」「ひとひら」「ギガンティック・フォーミュラ」「ウェルベールの物語」

2007年04月14日 16時19分11秒 | 2007春アニメ
○ヒロイック・エイジ[第2話]

同時期スタートの他のSFアニメに比べると少しパッとしない印象だったが、第二話はその見方を変えるものとなったかもしれない。
エイジの圧倒的強さは前回も垣間見えたが、その強さと普段の様子とのギャップが際立った回となった。数の概念すら理解していないというあたりは上手い描き方だ。
そして語られる12の契約の内容。そのあまりの過酷さに唖然としつつも、この物語のスケールの大きさに感嘆した。サル扱いされるエイジと強すぎるエイジ、極めて激烈な契約に縛られるエイジとそれぞれの姿の隔たりを巧みに描き切れれば傑作と呼べるものになるかもしれない。
そんな契約を求めた人類の側も決して愉快な状況ではないらしいことが会話の端々から見て取れる。これだけの大風呂敷をきちんと畳めるかどうか非常に注目だ。
35点。


○ひとひら[第3話]

早くも初舞台。主人公の麦にこれを乗り切らせるために用いた演出は、野乃先輩の抱えている問題を明らかにすることだった。神奈の使い方が上手く、手堅い演出が見られた回となった。
周りに助けられながら少しずつ前へ進んでいる、そんな麦の様子が巧みに描かれているのがこのアニメの魅力だ。初舞台は乗り切ったが、まだまだこれから先が長そうで、でもその分楽しみもあるという感じ。
派手さはないがよく出来ているアニメだけに、これからもとても楽しみだ。
40点。


○機神大戦 ギガンティック・フォーミュラ

作画は綺麗だが、キャラデザに独特なものがあり、ちょっと生理的に受け付けがたく感じるが、それも個性のうちだろう。
世界観や設定にも力が入っているが、それに主人公がマッチしていない。ゲーム大会がロボットの操縦者適正試験と言えば、同じバンダイの「スーパーロボット大戦OG」が思い浮かぶが、第1話を見る限り主人公の凄さは全く伝わってこない。彼が乗った途端にロボットが強くなったが、操縦シーンがなく、何が強さを引き出したのかが見えないからだ。
ユニークな戦争の開始と庶民の反応までは上手く描けているのに、主人公がそこから浮いている点もかなり気になった。折角面白い舞台装置を用意しているのに、主役がこれでは作品は台無しになる可能性を秘めている。もう少し様子見するが、もったいないという印象だ。
20点。


○ウェルベールの物語~Sisters of Wellber~

ファンタジーで逃亡、護衛ときたら、「精霊の守り人」を連想させるが同じProduction I.G制作(アニメーション制作はトランス・アーツ)だったりする。いきなりベッドシーン(の終わった後)だったり、裸の妖精やら、姫様が抱こうとした王子を全裸で刺し殺すなどなかなかインパクトはあった。
それでも世界観や設定などで興味を惹かれる要素に乏しく、キャラクターもまだなんとも言えない感じだ。妖精にせよ、自ら喋り動き回る戦車にせよ、どんな世界なのか見る側に理解させる演出が乏しく、特に戦車は唐突に出現しすぎだった。
姫と女盗賊が追っ手から逃れながら遠い国を目指すという奇譚はファンタジーではありがちなものだ。予想される展開をいかに裏切り、どう見せていくかが問われるが果たしてどうだろうか。もう少し様子見が必要そうだ。
25点。


「鋼鉄三国志」「シャイニング・ティアーズ クロスウィンド」「Over Drive」「アイドルマスター」

2007年04月14日 04時10分47秒 | 2007春アニメ
○鋼鉄三国志

三国志を下敷きにしたアニメということで期待していたのだが、大きく裏切られた。
同じ三国志を下敷きにした一騎当千は主人公は女性だが、バカだけど真っ直ぐで見ていて気持ちいい。こちらは主人公は男性だが、女々しくて見ていられない。
玉璽の力や運命に翻弄されるだけで、定めに抗う気概が見えてこない。世界観もよく分からない。当時の気風で描きたいのか、現代的な心性を表現したいのかなんとも中途半端。戦闘の描写もあまりにちゃち。
女性向けとはいえ、こんなのでいいのかと思ってしまう。見続ける気が起きないアニメだ。
15点。


○シャイニング・ティアーズXクロスウィンド

見始めて5分で心が折れそうになった。Aパートを見終わった段階でもう拷問に等しかった。これを書くために決死で最後まで見たが、もう二度と見ようとは思わない。
シャイニングシリーズは、セガが誇る看板RPG。とはいえ、その評価は決して高くない。その一作目「シャイニング&ザ・ダクネス」を除くとどれもありきたりの世界観、ありきたりの設定、ありきたりのキャラクター造形が目立っている。システム的にも斬新という言葉からはほど遠い印象だ。それでも、よくまとまっている作品も多く、決して悪いシリーズだとは思わないのだが……。
しかし、そうした陳腐なままアニメを作るとこれほど酷いものとなってしまうのか。現代風からスタートしてもそこにはリアリティが微塵も存在せず、出てくる魔物なども手垢にまみれたものを何の考慮もなく描いている。女の子から剣が現れる描写は『X』でお馴染みだし。よくも恥ずかしげも無くこんなものを作るなと感心してしまうほどだ。
0点。


○Over Drive

日本ではマイナーな競技、ロードレース。しかし、世界基準では超が付くメジャー競技だ。とはいえ、スポーツ観戦オタクな私でもロードレースは見ない。見る機会がほとんどないせいだが……。
そんなロードレースを題材にしたコミックのアニメ化作品。その第1話は微妙な内容だった。ただスポーツ系は実際の試合などになって初めて面白さが見えて来るものだ。その意味ではもう少し様子を見てみたいと思う。
心の動きなどの追い方は実は悪くない。時折見せるマンガ的演出が作品の雰囲気を壊している感じだ。原作を知らないのでよく分からないが、少なくともアニメ作品として見た場合、不必要な演出に思う。
20点。


○アイドルマスターXENOGLOSSIAゼノグラシア[第二話]

ロボットアニメとして見れば割と普通。というか、全体にどこかで見たような印象が漂うような内容だ。意思のあるロボットや敵の勢力の様子など既に食傷気味と言いたくなる。
更なる問題はやはりアイドルマスターという名前だろう。作中のセリフではないが、詐欺だ!と言われても仕方が無い。作り手としては遊び感覚なのかもしれないが、面白い仕掛けとはお世辞にも言えない。
キャラは悪くないので設定等にひねりがもう少し感じられればそう悪い作品ではないだけに、こうしたあざとさは却ってマイナスに働いていると思う。一種のスピンオフ企画とも言えるが、原作から何を引き継ぐのかという部分でどうしても肯定できないものが残ってしまう。
25点。