およそ２ヶ月かけてようやくクリア到達。プレイ時間はトータルで８０時間弱。一応すべてのシナリオをコンプリートした。
『グリムグリモア』と同じ開発会社繋がりで興味を持った『オーディンスフィア』だったけれど、期待とは裏腹にいくつかの欠点が苦難の道のりを強いた。ジャンル的にはアクションRPGだが、肝であるアクション性にクセがあり、操作感覚の悪さや処理落ちの酷さがあった。更に、アクションの爽快感に欠け、また、かといってテクニックや戦術が問われることも少なかった。シナリオは１本道だし、重要な働きをするアイテム周りのシステムも使い勝手が悪い。これだけの難点がグウェンドリン編をあっという間にクリアしながらここまで時間を要した原因となった。
しかし、一方でこれだけの難点を擁しながらそれでもクリアしたいと思わせるものがあったのも事実だ。途中でゲームを放り出すことが少なくない私が最後までプレイしようと思ったのは、織り成すストーリーに惹かれた故である。
このゲームはRPGを銘打ってはいるが、それはレベルアップという成長システムがあるからだけであって、RPG的なキャラクターへの自己投影は存在しない。プレイヤーは５人のキャラクターを次々と操作していくことになるが、あくまでも彼等の物語を追っていくに過ぎない。極端な話、アクションRPGの仮面を被ったアドベンチャーゲーム、いや一種のアニメーションのようなものだ。
作り手もそうした構造を理解してか、演出はとても芝居がかっている。台詞回しは特にそう感じる。それがアクの強さとなり、好悪は分かれそうだが、他のゲームにはないような厚みのある物語に仕上がっている。単純な勧善懲悪でもなく、運命や予言に振り回される人々の苦悩が描かれている。基本的に登場人物は王族やそれに類する者たちで、その世界に生きる人々の視点は排除されているが、一種の「神話」劇なのでそれは仕方ないだろう。
ひとつの時間を５人のキャラクターの視点で繰り返すという手法はゲームに合っていると感じた。混乱しやすい部分もあるが、いつでもクリアしたイベントシーンを見直すことができる。台詞の意味が他のキャラクターを進めることで分かってくることも少なくない。
『グリムグリモア』が１人のキャラクターの視点で５度の時間を繰り返すという手法だったが、明らかに『オーディンスフィア』から作られたものだろう（発売は『グリムグリモア』が先行したが、開発は後らしい）。『グリムグリモア』の手法の方が感情移入しやすい作りだが、小説など他のメディアでも表現しやすい手法でもある。
こうした物語面での評価は高い。キャラクター、演出、音楽、どれも素晴らしい。特に台詞回しは世界観や設定によくマッチしている。しかし、先にも書いたようにゲーム性の数多くの欠点がゲームとしての評価を著しく低く抑えることになってしまった。
アクションゲームが苦手でも進められるように様々なフォローがさなれている。難易度はいつでも変更できる。サイファースキルという必殺技は強力だし、アイテムを使えばクリアするのは難しくない。ただそうした補助的要素があるせいかアクション自体の完成度は低く、またアイテム関連は面倒な点が多く苦痛を感じることも少なくなかった。準備すれば楽になるが、準備するのに手間が掛かる。
優れたストーリーを楽しんでもらうために、ゲーム性の部分を簡単にするやり方は『グリムグリモア』でも見られた。難易度を低くすればRTSが苦手でも楽にクリアできる。しかし、その事がRTSを作業に変えてしまった点も否定できない。本来ゲームの肝となるゲーム性の部分を誰もが簡単にクリアできるようにすることは面白さを消してしまう弊害も生む可能性がある。『オーディンスフィア』の場合は『グリムグリモア』と同じ弊害という訳ではないが、ゲーム性のアイデアを煮詰めていくのではなく他の要素でカバーすることに走ってしまい、アクションRPG自体の完成度が低いままといった印象を受けてしまう。アクション性のあるゲームは、プレイヤーが成長することでキャラクターも強く感じられるという面白さがあるはずだが、このゲームではそれを感じなかった。ラスボス相手でもサイファースキル連発で勝ててしまう。操作性の悪さもあって、アクションのテクニックを上げたいと思えないで最後までプレイしてしまった。
キャラクターやシナリオは素晴らしい。演出も面白い。それだけにゲーム性にもっと拘って欲しい。ヴァニラウェアの今後に期待している。
『グリムグリモア』と同じ開発会社繋がりで興味を持った『オーディンスフィア』だったけれど、期待とは裏腹にいくつかの欠点が苦難の道のりを強いた。ジャンル的にはアクションRPGだが、肝であるアクション性にクセがあり、操作感覚の悪さや処理落ちの酷さがあった。更に、アクションの爽快感に欠け、また、かといってテクニックや戦術が問われることも少なかった。シナリオは１本道だし、重要な働きをするアイテム周りのシステムも使い勝手が悪い。これだけの難点がグウェンドリン編をあっという間にクリアしながらここまで時間を要した原因となった。
しかし、一方でこれだけの難点を擁しながらそれでもクリアしたいと思わせるものがあったのも事実だ。途中でゲームを放り出すことが少なくない私が最後までプレイしようと思ったのは、織り成すストーリーに惹かれた故である。
このゲームはRPGを銘打ってはいるが、それはレベルアップという成長システムがあるからだけであって、RPG的なキャラクターへの自己投影は存在しない。プレイヤーは５人のキャラクターを次々と操作していくことになるが、あくまでも彼等の物語を追っていくに過ぎない。極端な話、アクションRPGの仮面を被ったアドベンチャーゲーム、いや一種のアニメーションのようなものだ。
作り手もそうした構造を理解してか、演出はとても芝居がかっている。台詞回しは特にそう感じる。それがアクの強さとなり、好悪は分かれそうだが、他のゲームにはないような厚みのある物語に仕上がっている。単純な勧善懲悪でもなく、運命や予言に振り回される人々の苦悩が描かれている。基本的に登場人物は王族やそれに類する者たちで、その世界に生きる人々の視点は排除されているが、一種の「神話」劇なのでそれは仕方ないだろう。
ひとつの時間を５人のキャラクターの視点で繰り返すという手法はゲームに合っていると感じた。混乱しやすい部分もあるが、いつでもクリアしたイベントシーンを見直すことができる。台詞の意味が他のキャラクターを進めることで分かってくることも少なくない。
『グリムグリモア』が１人のキャラクターの視点で５度の時間を繰り返すという手法だったが、明らかに『オーディンスフィア』から作られたものだろう（発売は『グリムグリモア』が先行したが、開発は後らしい）。『グリムグリモア』の手法の方が感情移入しやすい作りだが、小説など他のメディアでも表現しやすい手法でもある。
こうした物語面での評価は高い。キャラクター、演出、音楽、どれも素晴らしい。特に台詞回しは世界観や設定によくマッチしている。しかし、先にも書いたようにゲーム性の数多くの欠点がゲームとしての評価を著しく低く抑えることになってしまった。
アクションゲームが苦手でも進められるように様々なフォローがさなれている。難易度はいつでも変更できる。サイファースキルという必殺技は強力だし、アイテムを使えばクリアするのは難しくない。ただそうした補助的要素があるせいかアクション自体の完成度は低く、またアイテム関連は面倒な点が多く苦痛を感じることも少なくなかった。準備すれば楽になるが、準備するのに手間が掛かる。
優れたストーリーを楽しんでもらうために、ゲーム性の部分を簡単にするやり方は『グリムグリモア』でも見られた。難易度を低くすればRTSが苦手でも楽にクリアできる。しかし、その事がRTSを作業に変えてしまった点も否定できない。本来ゲームの肝となるゲーム性の部分を誰もが簡単にクリアできるようにすることは面白さを消してしまう弊害も生む可能性がある。『オーディンスフィア』の場合は『グリムグリモア』と同じ弊害という訳ではないが、ゲーム性のアイデアを煮詰めていくのではなく他の要素でカバーすることに走ってしまい、アクションRPG自体の完成度が低いままといった印象を受けてしまう。アクション性のあるゲームは、プレイヤーが成長することでキャラクターも強く感じられるという面白さがあるはずだが、このゲームではそれを感じなかった。ラスボス相手でもサイファースキル連発で勝ててしまう。操作性の悪さもあって、アクションのテクニックを上げたいと思えないで最後までプレイしてしまった。
キャラクターやシナリオは素晴らしい。演出も面白い。それだけにゲーム性にもっと拘って欲しい。ヴァニラウェアの今後に期待している。
