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アニメ感想:艦これのなにに失望したのか #艦これ

2015年03月29日 03時03分34秒 | アニメ・コミック・ゲーム
続編製作決定のテロップにブーイングが起きるアニメも珍しい。

少なくともネット上で、艦これプレイヤー(提督)のアニメに対する評価は低かった。私が見た限りのことだし、不平不満の声が大きく聞こえるのがネットの常ではあるが、それを差し引いても提督の不興をかったのは確かだと思う。

何が原因か。ひとことで表すならば「愛が足りない」となる(笑)

コミックやライトノベルのアニメ化と比べて、ゲームのアニメ化は難しい。艦これは明確なストーリーが存在していないだけにより難しいと思う。

艦これは設定に関しても意図的に緩く作られている。艦これをノヴェライズした『艦隊これくしょん-艦これ- 陽炎、抜錨します!』と『艦隊これくしょん-艦これ- 鶴翼の絆』では同じゲームが原作かと思うほど設定が異なる。スポ根的な主人公の成長を描く前者と、先の大戦の記憶を持ちながら艦娘として生まれ変わって戦うことを描いた後者では、テーマも内容も180度異なる感じだが、それでも艦これらしさは漂ってくる。

艦これを触媒としながらも、様々なテーマ、様々な内容を描ける懐の深さが艦これの魅力でもある。ゲーム自体もプレイヤーによって様々な接し方がある。単純なブラウザゲームでありながらこの多様性こそが艦これらしさだろう。

コミック版も角川らしく様々な出版社から展開していて、明確なメインの存在がない。艦これという作品に合った戦略だと思っている。そんな中でのTVアニメ化だった。

TVアニメはコミックやライトノベルと比べて影響力は圧倒的に大きい。艦これの切り口のひとつという見方はされにくい。公式の設定、公式のストーリーという捉えられ方をされてしまう。

それを避けるいちばん良い方法と思っていたのは、鎮守府を舞台とした日常系という描き方だった。しかし、それを選択せず、ストーリーや戦闘を描いた。途中日常系的な話もあったが。

ストーリーや戦闘は描いたが、設定はあいまいなまま。これはかなり無理があった。そこに引っかかった視聴者は少なくない。それでもそれは些事に過ぎない。設定やストーリーなんてものは映像の力からすればどうとでもなる。名作と呼ばれる作品にだって、探せばストーリーや設定に矛盾はいくらでも出てくる。

ストーリーや設定の問題を吹き消すような面白さを描けなかった。単純に作り手の力不足なのだが、実はそれもたいした問題ではない。現在の日本のTVアニメの環境で、これほど大量に制作されながら話題になるような作品はほとんどない。艦これは人気タイトルだっただけに、それなりに力を入れている様子は見受けられるが、それでもクオリティはこれで精一杯と感じてしまう。

日常系に逃げずに真正面から向かっていって、力は及ばず知恵も足りず、ファンの反発という形では話題になったがそれで良かったのかどうか。

私が感じたこのアニメに最も足りなかったもの、それは原作へのリスペクトだ。原作のセリフを入れたりするのがリスペクトではない。ゲームの雰囲気、ファンが抱く想い、これまでの時間の中で積み上げてきたもの。そういった艦これの文化への敬意が感じられなかった。

艦これを表面的に知った人によって作られた印象。細部の違和感が積もり積もって、艦これらしさの感じられない作品となった。力が及ばなくても、知恵が足りなくても、作品への愛が感じられたらファンは受け入れたと思う。そこが感じられなかったことが何より残念だった。

続編が同じ轍を踏まないことを期待したい。

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2 コメント

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Unknown (名無し)
2015-03-29 23:45:53
昔、東浩紀が初期に動ポモで二次創作について触れられてた状況が似てるなとは思いますね。
キャラクターを「救い出す」とか表現してた気がしますが、それよりも時代は進んで、そもそも「認知されている物がコンテンツであり、そこに集客性が存在すれば公式ではなくともコンテンツに強度は存在する」と。

アニメ、自分はあれ結局見なかったのですが(苦笑)、というか、途中から見ても恐らく付いて行けない感じの感想を見たので断念したんですけどw、まあ、恐らく仰られてる通りなんだろうなあと。

影響力の問題なんですよね。
ちらちらと感想だけ覗くと、変な対立まで煽る例まで出てきてるようで、いやそれアニメだって「角川的な二次創作の一環でしょ」としか思えないのですが、力の入りようが他とは違うのでそうもいかないのでしょうね。
艦これ改にストーリーを付けるか否かでも疑問符が付くのはそこですね。
ヘンにストーリー固めると、東方的な今の戦略まで崩しかねない(ソシャゲだからこそ)よと。

ノベライズにしてもコミカライズにしても、統一された設定が時代から史実の扱い方から艦娘の詳細からスルーされてるからこその現在があるのでしょうし、そこに深入りするのは泥沼って気はするんですよね。
アニメはだから当初こちらで前評判として言われて想像してた「日常系艦娘」と違っていることにビックリしてますw
まあ、バトルならバトルでそれ自体が角川の創作の一環であることを予め明示できるような戦略、それこそ以前にもこちらで言われたような「並行して他の世界観を提示する艦これアニメも同時期に出す」くらいやれば違ったんじゃないかなあというか。

FATEなんかは設定的な物もあるでしょうけど、それが巧く機能してる事を考えれば、どうやって視聴者に届けるのか、届けた後でどういう反応を意図してそれに回答を返せるのかは重要だなと。
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Unknown (名無し)
2015-03-29 23:53:10
あ、続編はちょっと気になりますというか、いっそ別の世界観を提示する形で今回のを丸ごとスルーしてしまえば今回のをパラレルコンテンツとして提示できる伏線になるなとか思ったり(無茶)。

武蔵も見付かったことですし、大和型姉妹中心のドックで延々待機してダベり続ける日常系アニメとかどうですかね(真顔)……いえ、割と本気でw
史実ネタとかやるなら欄外にメタ解説放り込むくらいのコメディとかw

とりあえず鈴谷と漣の出番だけ確保して貰えれば後は文句ないですね(極め付けに個人的な事情から)……というのも割と本気ですけどw、ちょっと思ったのは、声優さんが複数のキャラを担当してるだけに、声優が被るキャラだと今回のアニメも大変そうですw
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