環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

「経済」 「社会」(福祉) 「環境」、不安の根っこは同じだ!

「将来不安」の解消こそ、政治の最大のターゲットだ

技術に対する考え方に大きな落差  

2007-05-02 12:41:21 | Weblog


私のプロフィールや主張、著書、連絡先は、ここをクリック

持続可能な緑と福祉の国をつくる会(仮称)のブログは、ここをクリック


今年1月1日に始めた私のブログが昨日で5ヶ月目に入りました。この機会に、「技術」に対するスウェーデンの考え方と私の基本的な認識を紹介しておきましょう。

環境問題を考えるときも、持続可能な社会の構築を議論するときも、技術は重要です。日本は技術立国を標榜しています。技術者もエコノミストや主流の経済学者も「技術が日本を救う」的な発想で動いているように見えます。しかし、ほんとうにそう考えてよいのでしょうか。

日本とスウェーデンの間には、技術に対する理解と認識に大きな落差があると思います。スウェーデンの「1969年の環境保護法」(99年施行の「環境法典」に統合)は、ほとんど同じ時期に成立した日本の「1967年の公害対策基本法」が規定する「汚染物質の排出行為」を規制するだけでなく、「土地、建物あるいは設備の使用」「環境に有害な活動」と規定し、事前の環境アセスメントの対象としています。

仮にこの判断基準に従えば、日本の大都市につぎつぎに建てられる巨大構造物の建設は、スウェーデンでは「環境に有害な活動」と見なされたでしょう。また、公共事業や発電所建設などの際に、計画段階から住民の意見を聞き、環境影響評価を行う「戦略的環境アセスメント(SEA)」について、環境省は、経産省に押されて、発電所を適用対象外とする方針を固めたそうです(毎日新聞 2007年3月27日)。スウェーデンでは、発電所こそ、何よりも先に環境アセスメントの対象となるところです。

今回の環境省の決定も、私の環境論の根底を流れる 「今日の決断が将来の環境問題を原則的に決める」という経験則によって、将来の禍根を残すこととなるでしょう。日本の環境アセスメントについては、10年以上前に、次のような報道があったことを思い出しました。

スウェーデンでは、一度、操業許可を受けた施設でも、一定期間(原則的に10年間)経過後には再審査が行なわれます。その理由は「技術」が次の図のように理解され、認識されているからです。つまり、技術それ自体は重要だが、もっと重要なことはその技術が社会のなかで働き、認知され、信頼されることだと考えられているからです。このような考えに従えば、 「原発」は到底、環境にやさしい技術などとは言えないでしょう。


この考えと認識は私の環境論の根底をなすもので、ブログ全体の背景にある考えです。技術立国を標榜する日本の技術論はいったいどうなっているのでしょうか。皆さんはどう考えますか。



それぞれのマークをクリックすると、リアルタイムのランキングが表示されます。お楽しみください。

      



緑の福祉国家32 新しい化学物質政策の策定① 2つの判断基準  

2007-05-02 09:23:38 | 市民連続講座:緑の福祉国家


私のプロフィールや主張、著書、連絡先は、ここをクリック

持続可能な緑と福祉の国をつくる会(仮称)のブログは、ここをクリック



「健康に有害」あるいは「環境(生態系)に有害」な化学物質を製品に使うのは、むろん好ましいことではありません。化学物質を合成するときには、この2つの基準に照らして、適当かどうかを判断する必要があります。


日本の環境省によれば、この2つの判断基準のうち、2002年の時点で「OECD加盟25カ国のうち生態系保全を考慮していないのは日本だけ」だそうです(毎日新聞2002年9月13日付)。

判断基準が変われば、今まで見えてこなかった問題が見えてきます。 

ちなみに、1973年に成立したスウェーデンの「健康および環境に有害な製品に関する法」には、その名が示すように、最初からこの2つの判断基準が盛り込まれていました。この法律は85年の「化学製品法」を経て、99年1月1日施行の「環境法典」に統合され、環境法典の「第14章 化学製品およびバイオ・テクニカル生物」に引き継がれました。





それぞれのマークをクリックすると、リアルタイムのランキングが表示されます。お楽しみください。

      


緑の福祉国家31 「福祉国家」から「緑の福祉国家」への転換政策の検証  

2007-05-01 08:34:30 | 市民連続講座:緑の福祉国家


私のプロフィールや主張、著書、連絡先は、ここをクリック

持続可能な緑と福祉の国をつくる会(仮称)のブログは、ここをクリック


今年1月11日から始めた「市民連続講座:緑の福祉国家①」では、スウェーデンにおける20世紀の「福祉国家」(人にやさしい社会)から21世紀の「緑の福祉国家」(人と環境にやさしい社会)」への転換プロセスをフォローしています。


そして、1月21日から、次の4つの主な転換政策を検証して来ました。

(1)気候変動への対応(国際的な対応) 
 
(2)オゾン層保護への対応(国際的な対応) 

(3)税制の改革:課税対象の転換

(4)エネルギー体系の転換:原発を新設しない・脱石油 


明日から、次の4つ主な転換政策を検証して行きます。

(5)新しい化学物質政策の策定

(6)廃棄物に対する製造者責任の導入 

(7)持続可能な農業、林業、漁業

(8)都市再生(都市再開発) 



それぞれのマークをクリックすると、リアルタイムのランキングが表示されます。お楽しみください。