環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

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 緑の福祉国家38 廃棄物に対する「製造者責任制度」の導入② 1990年代の廃棄物政策 

2007-05-08 08:36:57 | 市民連続講座:緑の福祉国家


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国際的に製造者責任の議論が始まったのは1994年、OECDの「拡大生産者責任(EPR)に関する検討委員会)が発足したときです。この年に、スウェーデンでは「廃棄物に対する製造者責任制度」が導入されました。


★廃棄物に対する製造者責任制度

製造者責任とは、「製品の製造者がその製品の廃棄についても責任を負う」という考え方で、この制度のもとでは、製品の廃棄後にかかるすべてのコストを製造者が負担することになります。生産だけでなく、回収・リサイクルの仕組みづくりまでが製造者の責任とされるのです。回収・リサイクルのコストは製品価格に上乗せされますから、実質的に負担するのは製造者だけでなく、流通にかかわる事業者と消費者ということになります。

これまで、都市廃棄物(都市ゴミ、日本の法律では「一般廃棄物」)は日本でもスウェーデンでも地方自治体が回収・処理してきました。しかし、製造者責任制度の導入によって対象となる製品は、製造者が回収・処理を行うことになるため、地方自治体はそれらの製品の回収・処理の義務が免除されます。

製造者が生産から廃棄まで責任を持つことになると、製造者は自然に、廃棄物がなるべく出ないような工夫、あるいは有害な化学物質をなるべく使わない工夫、再利用が容易な製品の開発などの努力をするようになるはずです。
 

国際的な動きに先駆けて、1990年5月にスウェーデンの「1990年代の廃棄物政策」が正式決定されました。この政策と1992年6月成立の「循環政策」のもとで、「廃棄物の収集・処分に関する法律(1979年)」が改正され、廃棄物に対する製造者責任制度が導入されました。この法律は、後に99年1月1日施行の「環境法典」に統合され、環境法典の「第15章 廃棄物と製造者責任」に位置づけられています。
 

★1990年代の廃棄物政策

「1990年代の廃棄物政策」はスウェーデンの廃棄物政策に製造者責任制度を導入するきっかけとなった重要な政策ですので、明日から数回に分けて概要を説明します。

この政策は廃棄物の処分に関する中央の行政機関を環境保護庁に一元化し、284の自治体の権限を拡大して、製造者、国・地方の行政機関、消費者の責任分担を明らかにした、廃棄物処分の包括的なプログラムです。 





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