環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

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「将来不安」の解消こそ、政治の最大のターゲットだ

住環境② 高層ビル

2007-06-16 08:12:06 | 巨大構造物/都市/住環境


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20年近くタイムスリップしたついでに、私が1990年前後に抱いていた「住環境に関する懸念」を今日から数回にわたって紹介します。あれから20年近く経った今、事態は改善されているのかどうか、はなはだ疑問です。

ビルに入ると中央が最上部まで100メートル以上も吹き抜けになっているビルが増えてきました。1990年5月19日付けの朝日新聞は「高層ビルの巨大吹き抜け、大災害防げと基準」と題して、東京都消防庁が報告書をまとめ、この報告書を基に、建設省など関係省庁とも検討を重ね、防災上の指針となる初のガイドラインを6月初めにも作成すると報じています。

「アトリウム空間の防災上の特性を踏まえた安全基準は現行の消防法や建築基準法にはなく、特別扱いとなっているのが実情。報告書ではアトリウム空間を持つ建物では、火災が起きたとき、空間そのものが煙突状態となって建物全体に火や煙が一気に広がる危険を指摘」といっていますが、日本では、なぜ、この様な素人でも想像できそうなことを建設前にはっきりとさせておかないのでしょうか? 

大手建設会社は「160階、高さ800メートルの超々高層ビル」、「地上480メートル、100階建て」、「800メートル、200階建て」、「600メートル、一五〇階建て」などの空中都市構想を競っています。そして、「容積率」が緩和されれば明日にもという状況だそうです。このことについては、4月5日のブログ「①90年代の建設業界の環境意識」から4回にわたって紹介しました。

一方、高層住宅に住む幼児の発育に関する懸念や超高層ビルで働く人々の中には眩暈や耳鳴りを訴える「超高層ビル症候群」などと呼ばれる問題点が指摘され始めました。いずれにしても、高層ビルを建てれば、必ずその中で人が生活したり、あるいは仕事をしたりするわけでしょうから、この様な技術競争を競うよりも、もう少し、そこで仕事をしたり、住む人の健康への配慮をしたほうがよいと思います。高層住宅と健康については、4月7日のブログ「③技術者の恐ろしい単純思考」 で触れました。

最近、建てられる高層住宅は非常に気密性が高まっていますから、従来にも増して室内環境に注意を払わなければならないのですが、日本の建築家は建築デザインや機能性については熱心なのに、建材についてはあまり関心がないようです。新建材の多くがプラスチック系であり、多くの家具類にもプラスチックが使用されている現実を考えますと、気密性の高いビルの室内環境の問題は今後ますます重要になってくると思います。



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2 コメント

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はじめまして (*~hanaka~*)
2007-06-16 13:01:04
はじめまして。
環境ブログに登録しておりますhanakaと申します。
個人的に北欧に興味がありまして(と、いっても社会生活やアロマが好きなので自然に対する考え方など、なのですが)こちらのブログを時々拝見させていただいております。
日本の現在の住環境は、わたしも考えさせられます。おしゃられるように、建築家の方はデザインや機能性については熱心で建材についてはあまり興味がおありでなさそうで。
オシャレなビルも、建設されており光を取り入れることを考えてなのか、窓ガラスの多いこと。
東京でいうならば、地震を考慮して建築されているとは思えません。
今の社会は、まずは自分達さえよければ。という風潮があり、悲しくも思ったり・・・。

先生の御本にも興味があり、手にとってみましたが、これはじっくり読まなければ。と、思い時間に余裕がある時にでも、拝見し勉強させていただこうと思っております。
個人的に(詳しい知識など全くありませんが)、あちらの国、社会生活など、どうして日本は取り入れられないのかと・・・。いつも、不満であります。
これからも、ブログを拝見しながら、いろいろと勉強させていただきます。
今後も、様々な分野でご活躍されることを期待しております。




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こちらこそ (小澤)
2007-06-18 06:06:21
 私の本やブログにご関心をいただきありがとうございます。

 北欧諸国はいずれも、“20世紀の判断基準”であった人口・経済規模・軍事力などの大小で判断すれば、日本が常に参考にして来たG8の国々に比べ小国ですが、“21世紀の判断基準”である「持続可能な開発(資源・エネルギーの消費量やCO2の排出量を抑えた経済成長)や持続可能社会へ向けた行動力」のような新しい指標で判断すれば、米国に変わる21世紀のフロントランナーであることがおわかりいただけるでしょう。

 判断基準を変えれば、今まで見えなかったものが見えてきます。日本は北欧諸国を真似したり、ある制度を断片的に取り入れるというような“20世紀型の行動基準”ではなくて、北欧諸国がめざしている方向性を総合的に検証することが大切だと思っています。

 北欧のアプローチは、人権や自然科学・社会科学に基づいて当たり前のことを当たり前に行っているため、人口や経済規模の大小にかかわりなく普遍性が高いからです。

 今、日本で大問題となっている「年金制度」についても同様です。私の本の34ページ「大混乱する日本の年金改革」と206ページから始まる「国民の不安に対応する国づくり」をご覧いただければと思います。


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