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この事例も、20年近く前の1990年前後の話です。
日本では、数年前から「アロマコロジー」などという言葉と共に、大手の建設会社と化粧品関連会社などが「香りビジネス」を展開しつつあります。森林欲の気分にひたれる家庭用空気清浄機、森の匂いをまく目覚し時計、フロラール調の香りつき布団乾燥機、ラベンダーの香る足袋、パンストなどそれぞれの製品の基本的な部分はほぼ必要十分なレベルまできているために、いかに付加価値を付けていくかが商品開発の焦点になってきたとメーカーの担当者は言っているそうです。
この様な製品を「エコ・ビジネス」の一つにあげるようなマスメディアや“環境問題の評論家”もでてきました。環境問題をこの様な薄っぺらな発想でとらえたり、おもしろおかしく次から次へとこの種の製品を供給していく企業の風潮には警告を発せざるをえません。
1989年の秋頃からは「人工の香りで能率アップ」、「空調から香りが出る、ぼけ防止になるかも」、「香りをつける空調」などのタイトルをつけた記事が目につきはじめました。最近になりますと、香りを空調を通じて流すことは快適なオフィスの条件の一つであるかのような記事が出始めました。
ここで問題視したいのは「低濃度とはいえ、人工の化学物質を空調施設を通じて流すというアイデア」です。私たちは嫌な匂い、まずい物には比較的注意が働き、拒否する能力が備わっていますが、いい香りや、おいしい物には弱いという弱点があります。最近のオフィス、特に、最近の建設ブームにのって次々と建設される高層のいわゆる「インテリジェント・ビル」では気密性が非常に高まっています。
日本のある大手の化学会社と大手の建設会社は共同で建物の中に香料を流して気分転換や心身の沈静などに役立てる「環境フレグランス(香料)システム」を開発しました。そうして、水仙、桜、ユズ、はまなす、ハーブなど九種類の植物の芳香を人工的に再現しました。いずれも、エアゾール状にして容量千ミリリットルのボトルに詰め、これを30分に1秒の割合で建物の空調ダクト内に噴霧すると、空気に乗って香りが流れるという仕掛けです。
会議が半ばともなれば必ず眠気をもよおす人が出てきます。そのような場合に、空調を使って会議室に流す香りの濃度を高くしたり、あるいは眠気を払う効果のある香りを流すなど様々な応用が可能だとしています。
スウェーデン労働安全衛生庁の空調の専門家は、日本のこの様な流行の兆しに対する私の懸念に対して、「スウェーデンでは、そのような空調の利用は許可されないであろう。スウェーデンをはじめヨーロッパでは空調を通して新鮮な空気を供給する以外は許されない。例外として、希に新鮮な空気に水蒸気を添加して供給する場合がある」とテレックスで回答してきました。
「空調施設を通じて供給される空気は可能な限り新鮮なもの(フレッシュ・エア)であるべきだ」というのが住環境や室内環境の改善に多くの研究をしてきたスウェーデンの基本的な考えです。
20年近く前の話です。
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