酔眼独語 

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トヨタの焦りと傲慢

2008-11-15 17:51:14 | Weblog
 世界一の自動車メーカーにのし上がったばかりのトヨタが、金融不安に端を発する世界大不況の波にあえいでいる。車を売るのはもちろん、「トヨタ銀行」と称されるように豊富な余剰資金を投資に回して稼ぐおいしい商売も怪しくなっている。


 だからという訳でもないだろうが、元社長の奥田碩がキレまくっている。歳を取って耄碌したのかもしれないが、とてもまともな経済人の発言ではない。下記の厚労省懇談会での暴言のことだ。テレビの厚労省たたきに業を煮やして「スポンサーを降りてやろうか」などと恫喝したのである。  


 《政府の「厚生労働行政の在り方に関する懇談会」の奥田碩座長(トヨタ自動車相談役)は12日に首相官邸で開かれた会合で、厚労省に関するテレビなどの報道について、「朝から晩まで年金や保険のことで厚労省たたきをやっている。あれだけたたかれるのは異常な話。正直言ってマスコミに報復してやろうか。スポンサーでも降りてやろうかと」と発言した。

 奥田座長は「ああいう番組に出てくるスポンサーは大きな会社ではない。地方の中小とかパチンコとか」とも述べた。

 これに対して、委員の1人である浅野史郎前宮城県知事は「スポンサーを降りるぞとか言うのは言い過ぎ」ととりなした=12日 時事》


 日経広告研究所の調査によると、トヨタはわが国で唯一年間広告費1000億円以上を使っているスポンサーの王様である。その威光をカサに着ての発言としか思えない。「そこのけそこのけ、トヨタ様が通る」である。


 この種の圧力が民主主義と相容れないということが分かっていない。奥田といえば、丹羽宇一郎などと並んで政府の審議会や有識者会議の常連だ。前の福田政権では内閣特別顧問も務めていた。引っ張りだこだったのは、結局は財力ということか。



 そのトヨタは利益が70%減ったからといって、非正規社員の首切りを容赦なく行っている。米国では民主党のバックボーンであるAFL-CIOを恐れて従業員の解雇に慎重なくせに、日本ではやりたい放題ということか。


 自動車の将来はかなり厳しい。トヨタや奥田の非道ぶりはそうした焦りが噴き出したものと考えたい。


 《トヨタ自動車九州(福岡県宮若市)が、年内に計画していた生産能力の増強を延期することが11日わかった。世界的に自動車需要が低迷しており、今後も生産の回復が期待できないためだ。増強先送りに伴い、人員削減が加速する見通しだ。

 計画では、将来のモデルチェンジ車の投入などに備え、高級車「レクサスIS」「レクサスES」などを生産する宮田工場(宮若市)の第2ラインに生産速度を高める設備などを設置。生産能力を年20万台から23万台に引き上げ、第1ライン(年産23万台)と合わせ年46万台とする予定だった。

 同社は今夏、派遣社員800人を削減したほか、正社員をグループ会社に出向させるなど人員削減を進めている。増強に備えた人員は確保していたが、延期により余剰感が高まることは必至で、現在、1400人いる派遣社員も大幅削減が避けられない情勢だ=11日 読売web》


 《トヨタ自動車は6日、09年3月期連結決算(米国会計基準)の業績予想について、売上高を前期比12.5%減の23兆円(従来予想25兆円)、営業利益を同73.6%減の6000億円(同1兆6000億円)、最終(当期)利益を同68%減の5500億円(同1兆2500億円)にそれぞれ下方修正した。00年3月期以来9年ぶりの減収減益に陥る見通し。世界最大規模の自動車メーカーの「7割減益」は、米国発の金融危機が産業界にも大きな打撃を与えていることを強く印象づけることになりそうだ。

 連結業績予想の減額修正は、06年に通期見通しの公表を開始してから初めてで、連結営業利益の1兆円割れは01年3月期以来8年ぶり。トヨタの09年3月期の連結業績予想は、売上高で三菱商事に、営業利益ではNTTに抜かれ、国内企業トップの座から転落する可能性が出てきた=7日 毎日web》  
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