酔眼独語 

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何度目の「最後のご奉公」?

2012-10-26 09:10:24 | Weblog
東京都知事の石原慎太郎が辞職し、国政復帰を目指すと宣言した。御年80歳、チック症状はいよいよ激しくなり、足元はよたよた。口を突いて出る元気さより、衰えが目についた会見だった。

 ≪石原慎太郎東京都知事(80)は25日記者会見し、都知事を辞任して、近く行われるとみられる衆院選に出馬すると表明した。ナショナリストとして知られる同知事は、尖閣諸島の領有権問題を日本の最大の政治課題に押し上げようとしている。

石原氏は緊急記者会見で「きょうをもって都知事を辞職することを決めた」と述べ、同志とともに新党を結成する意向を明らかにした。石原新党が国政政党となれば、国政レベルの新党や会派結成は過去1年間で7つ目となる。その多くは民主、自民の両党からの集団離党で形成された。

 石原氏は、都知事としての任期を2年余り残して辞任を決断した理由について、1つには政府が尖閣諸島のインフラ整備に後ろ向きであることを挙げた。石原氏は今年4月に突然、都が尖閣諸島を民間所有者から買い取ると発表、その発言がきっかけとなり、政府が都と所有者との譲渡交渉に介入し同諸島を買い上げた。その結果、中国で反日デモが相次いで発生し、デモ隊の一部が暴徒化するなど対日感情が悪化している。

 石原氏は会見で、政府が尖閣諸島の魚釣島に船だまりと灯台を建設するよう「監督して」いきたいと述べた。政府は同諸島にいかなる建造物も建設しないとしている。同氏はまた、平和憲法の改正にも言及した。

 新党については、次期総選挙で30~40人を立候補させる考えを示した。保守系の「立ち上がれ日本」の勢力と結集する見通し。

 人気の高い橋下徹大阪市長が率いる、大きな影響力を持つ「日本維新の会」との連携の可能性もある。石原氏も会見で、日本維新の会との連携に前向きな姿勢を示したが、石原氏と橋下氏の間には原子力発電などの問題で大きな意見の隔たりがある≫=ウォールストリートジャーナル日本版=。

 昨年春、引退の意向を覆して都知事選に出ることを決めた時、石原は「最後のご奉公をと思い決断した」と述べている。今回の国政復帰も「最後のご奉公」だそうだ。最後、最後と繰り返すのは政治家の口ぐせなのか。選挙の街宣車ががなり立てているあのセリフ「最後のお願いに上がりました」。最後とは「また」と同じ意味しかないらしい。

 ところで、石原は何にご奉公しようというのか。都知事時代も都民に奉公するなどと言う感覚は皆無だった。国政の場でも同じことだろう。

 あの大震災の際、「日本人のアイデンティティーは我欲。この津波をうまく利用して我欲を1回洗い落とす必要がある。やっぱり天罰だと思う」「アメリカのアイデンティティーは自由。フランスは自由と博愛と平等。日本はそんなものはない。我欲だよ。物欲、金銭欲。我欲に縛られて政治もポピュリズムでやっている。それを(津波で)一気に押し流す必要がある」。我欲に凝り固まった国民への奉公などありえまい。

 石原がご奉公する先は、抽象的な「国」であろう。国家主義者と呼ぶにふさわしい。

 難しい判断を迫られているのが日本維新の会の橋下だ。石原、平沼などという戦前の名残みたいな爺さんたちに絡みつかれれば、立ち腐れする恐れさえある。「政策で一致すれば」の原点を守り抜けるかどうか。

 作家としてはデビュー作以上のものを残せず、国政の場でも運輸相がせいぜい。「一匹狼」が取り柄だった石原が、政界再編の核になれるとは思わない。息子が自民党総裁選で惨敗したことで、焦りもあるのだろうが、またまた老醜をさらした印象は否めない。
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