酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

「新聞週間」が泣いている

2012-10-15 15:58:47 | Weblog
 きょうから「新聞週間」が始まった。明日は青森市でメーン行事の新聞大会が開かれる。

 1947年に始まったこのイベントは、今年で65回目。新聞が健全な社会の発展にどれほど役立っているかをアピールするのが目的である。新聞界挙げての行事に合わせるかのように、超特大の虚報が放たれた。読売がスクープし、共同通信が追いかけた「ips細胞臨床応用に成功」がそれである。

 読売は11日付朝刊のトップで報じ、共同は同日の夕刊用に出稿、各地方紙が掲載した。ところがこれが真っ赤なウソだった。読売、共同とも異例の大きさで「移植は虚偽」と伝え、検証記事も併せて掲載した。

 「検証」なるものを読んではっきりしたのは、日本の大メディアが事実確認をいかにおろそかにしているかである。いろいろ誤報の言い訳をしているが、要は森口某の口車に乗ったということでしかない。論文が掲載されるというのなら、発行者にその事実を確認しさえすれば、真偽はすぐわかるはずだ。手術をしたという病院にも全く当たっていない。驚くべき責任さと言わねばならない。

 「科学物」は判断が難しい。「科学記者」などといったところで、しょせんは素人である。間違いを犯さないためには、その道の第一人者などに徹底確認するしかない。それができなかった。インチキ発表をした当の研究者同様、メディアも「先陣争い」に前のめりになっていたのだろう。

 とりわけ深刻なのは共同だ。読売をうのみにした誤報というしかない。業界では「後追いの共同」と呼ばれているらしいが、こんなことでは得意の後追いもままならない。

 読売が検証の続報で日経や毎日も過去に森口某の業績を伝えている―などと書いているのは見苦しい。

 「新聞が 見ぬく 見つける 見きわめる」。今年の新聞週間標語の佳作に選ばれた作品である。明日の大会で特別決議でもして、誤報や虚報の一掃を誓ってほしいものだ。

 
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