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酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

世論調査政治の害

2010-07-06 05:55:13 | Weblog
 朝日新聞が毎週世論調査を行うという異様な挙に出ている。菅内閣発足の6月8日から始まった。1回当たり数百万円は掛かる調査を、毎週行うとは豪勢なものだ。腐っても朝日、の貫禄か。

 でも、この調査の狙いが分からない。ほぼ毎月実施されている調査でさえ、「世調が政治を振り回す」傾向がうかがえる。麻生、鳩山、菅らの発言がぶれるのは、彼らの定見のなさもさることながら、発言に対する反応を受けて軌道修正を図っているからだ。世論調査が「ぶれ」を誘発しているとも言える。

 世論調査の弊害については、すでにさまざまに指摘されている。5日付け毎日の「風知草」からひく。

 《政治も、報道も、世論調査に振り回されている。個々の調査は客観的なのだけれども、近年、回数が飛躍的に増えた結果、データを利用する側に中毒症状が広がっている。

 この病に「ファスト(fast=速い)政治」と名を付けてみせた社会学者・佐藤卓己(49)=京都大准教授、メディア論=の文章(東京新聞6月15日夕刊)を面白く読んだ。

 ファストは、ファストフードのファストである。ハンバーガーの「マクドナルド」の創業が1940年。有名なギャラップが初めて世論調査機関をつくったのがその5年前。当時の米大統領F・ルーズベルトは、世論調査に表れた民意を盾に議会の抵抗を退けた……。

 佐藤に聞いてみると、「ファスト政治」について考えるきっかけになった本の一つは「高速社会と人間」(辻村明著、80年かんき出版)であるという。この本は谷川俊太郎の「急ぐ」という詩の引用から始まる。以下に全文を引く。

 

 こんなに急いでいいのだろうか/田植えする人々の上を/時速二百キロで通りすぎ/私には彼らの手が見えない/心を思いやる暇がない/(だから手にも心にも形容詞はつかない)/この速度は速すぎて間が抜けている/苦しみも怒りも不公平も絶望も/すべては流れてゆく風景/こんなに急いでいいのだろうか/私の体は速達小包/私の心は消印された切手/しかもなお間にあわない/急いでも急いでも間にあわない

 

 60年代、開業して間もない東海道新幹線に乗った詩人の観察と感想である。当時の「ファスト文化」の象徴は新幹線や高速道路だった。いまならインターネットだろう。

 この10年、世論調査が激増したのは、調査手法が、面接から手軽な電話方式に変わったからだ。絶えずデータが提示され、政治家は、議事堂に代わって主戦場となったテレビスタジオで声をからす。メルマガやツイッターの発信にも忙しい》

 金がなくてなかなか世論調査ができない毎日だから書けた、などとうがったことは言うまい。山田孝男が述べていることは正論である。

 共同も国政選挙になると「トレンド予測」なる連続調査を仕掛けて記事にしている。証券会社じゃあるまいし、グラフの線の上がり下がりで政治を論じる愚かしさにそろそろ気付いていいころだ。

 もっとも、大新聞には政治を正そうなどという気はないのかもしれない。撹乱して動揺させ、大見出しが躍る局面を演出。かくて紙面は活況を呈する。めでたし?!めでたし!?
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