四角いのがアリエスのせっけんで、粉がリンス。丸いのは母ちゃんの。
私は肌が強いほうではなく、洗顔後のクリームひとつだけを除いては化粧品類もつけない。同様に、ボディシャンプーも数年前からやめた。特に「うるおう」などの付加価値の乗っかった製品は好きではない。要するにずっと皮膚に「うるおう」成分をへばりつけておくってことだよね、なんて勘繰ってしまうのです。その点せっけんは、高性能ではない安心感・・・?
なのにアリエスにはこれまで、液状のシャンプーを使っていた。せっけんは洗い流しやすいのは分かっていたが、泡立ちに不安があったからだ。素早く泡になってくれないと、余計な時間がかかって気の毒じゃないか、と。
人類のせっけんの使用起源は紀元前3000年にさかのぼるという。メソポタミアのsapoの丘で、神に捧げる羊を焼いて垂れ落ちた脂が木の灰に混ざってできたものが初めらしい。soapの語源であり、現在に比べ効率は悪くても汚れの落ちる不思議な土くれは珍重され、やがて偶然ではない形で作り出されるようになった。
せっけんは要するに脂肪酸のアルカリ塩であって、それ自体化学反応により生まれるものだ。無香料のものを選ぶと脂っぽい匂いがあるけど、無理に香りをつけてあるよりいいと思っている。グルーミング用品でもおもちゃでも、鋭敏な鼻を持つ犬の物品なのに、人間の尺度での「いい香り」を炸裂させるものが多すぎる。鼻はすぐバカになるかもしれないが、毛が乾いた後も芳香剤が歩いてるみたいなのはまったく理解不能だ。私にしたって、アリエスの匂いこそが芳香であるのに、花の香りなんかがした日にゃ大迷惑よ。
合成洗剤との違いや、使うアルカリの種類や、界面活性剤の分類や、奥深くて興味深い話の尽きないジャンルではあるけど、それはさておきひとつ頼んでみました。個人で半分趣味で犬のせっけんを作製している人が、結構いるのである。劇薬NaOHやKOHの保管はどうしているのだろう・・・なんて要らぬ心配をしつつ。
洗ってみましたよ、真っ黒なアヤツを。すると、毛に直接こすりつけるためか思いのほかよく泡立ち、もちろんすぐ落ちる。粉状のリンス(クエン酸。せっけんのアルカリを中和)は水に溶かして流しかけるだけ。せっけんの何ともいえない匂い、リンスはハーブの香り。どちらも水で流した時点で残らないのでとても良い。
肝心の洗いあがり、乾かしてみて大満足。汚れもシャンプーに引けを取らず落ちて、アンダーコートまでふんわりとしている。リンスのお陰でゴワつきも全然ない。いいねぇ!これ!母ちゃんも、髪までせっけんで洗うことにしようかな。