ホワイトシェパード・アリエスの日々 ≪一雲日記≫

いつまでもどこまでも一緒に歩こう!

なんか言ってる!

2012-04-05 | 4~5歳
 飛ぶんですか?

 
 アリエスはよくしゃべる。ワムワムと不満を述べる時もあるし、ヒュウーウォンといじける時もある。うれしくてワヘワヘ言う時もあるし、もちろん声だけでなく、何種類もの笑顔や元気なしっぽやペッタンコの耳や、驚くほど陰影の変わる目や手足や毛でも、気持ちを豊かに表現する。寝てる時だって、走りながら何やらしゃべっている。 

 アリエスを迎えて、日々を生きてゆくことをつとに考えさせられるようになり、これからの時間をどう送るのかに思いを馳せるようになった。
 はじめの頃は、しつけの点で泣いたり怒ったりしながら一緒に悪戦苦闘した。けれどそのうちに、問題が起こる時は、自分に足りないものがアリエスに表れるのだと分かった。犬が神様からのメッセンジャーであると言われるゆえんを、身を持って理解した。そうなると自分の至らなさに思い詰めることもあったけど、やがて自分の存在はそこまでのものでもなく、アリエスの生来の個性も犬舎での発育も全部が相互に関わっていると、落ち着いて判断できるようになった。結局、アリエスがまるごと大好きであって大事であるという事実こそが、いつもすべてだと悟るに至る。

 こうしてアリエスが育ってみて、隣にいることの喜びをつくづく感じると同時に、ヤツはもっと大きなメッセージを伝えているように見えるようになった。母ちゃん今日はどんな一日でしたか、と。

 朝起きて、しっぽを振りまわして目覚めを喜ぶ。ハツラツと背伸びをして盛大におしっこする。風のように疾走して泥だらけになる。叱られてしょげる。バッチャバチャ音をたてておいしく水を飲む。疲れて寝てしまう。あっという間にごはんをたいらげる。歯のCMに起用してほしい程いい音でりんごを噛み、いちばんおいしい果汁は全部垂らす。「シルキーバナナ」と我が家で名づけた素晴らしいうんちをする。時々お腹をこわしてゴロゴロいう。外出から帰ると、必ず起きて歓迎式典をしてくれる。期待してたのにお腹をなでないで通り過ぎると、アザラシみたいに首を持ち上げて「なんで?」という目をする。お気に入りのソファのふちにつかまり、丸まって眠る。一人掛けのソファにぎゅうぎゅう詰めにはまる。庭に出ると室内側で尾行し、戸口に先回りして待っている。洗面中は洗面台の下、入浴中はおどり場で張り込んでいる。食事の順番がちゃんと分かって、台所のゲート前に並ぶ。家をのぞき込んでいる人に吠える。どうしても芝生をペロペロする。四つ足の動物を超警戒する。カラスにバカにされる。家にくる人をもてなし、あちこち案内する。怒られてる最中にいびきをかく。暗闇でおならをする。車の窓から流れてくる風に気持ちよさそうに目を細める。傷の治療を神妙にがまんする。ちゃんと自分の敷物の上に乗っかる。私と同時に寝床に横になり、やれやれとため息をつく。(読んでくれた方、長々ごめんなさい)

 どのアリエスも生き生きとして、淡々として、書いていてもうれしくなる。動物は邪念がないというのは本当か、それは知らない。未知のことに対して過度な美化はいかんと思うけれども、アリエスと共に過ごして、欺かれたこともなければヤツが自分の気分で不愉快な接し方をしてきたこともない。そう思うと、本心はどうあれヒトよりもはるかに抑制がきいて紳士的じゃないか。

 アリエスが携えて持っているメッセージをちゃんと受け止めて、誠実な毎日を送りたいものだ。それはヤツを私達のもとに送り出した、生と死をつかさどる神様、母なる自然へのひとつの返答になるだろう。