アーティゾン美術館「山口晃 ここへきて やむに止まれぬ サンサシオン」を見てきました。
こちらも開催を知った時から楽しみにしていた展覧会です。画伯がジャム・セッション・シリーズでいったい何をするのか…と、否が応でも期待が高まります。そして、期待に違わず、いろんな意味でこれまで見たことない感じの展覧会でした。ネタバレにならないよう詳しいことは書きませんが、のっけから思いっきり感覚を揺さぶられます!また、これほど文字情報が多い展覧会は見た記憶がなく、画伯の文才の方も堪能できます。
画伯がジャム・セッションの相手として選んだのは主に雪舟とセザンヌです。巨匠中の巨匠といえる二人とどうセッションするのか…。今回、画伯の解説で雪舟の凄さをあらためて認識…見る者の脳だか心だかに、がっと入り込んでくる絵。また、セザンヌの絵は「見える」ということ自体を凄まじく実感させられる絵、と。描くべきなのは「見ている対象」なのか、「見ている感覚(サンサシオン)」なのか。そもそも、見るとは、描くとはどういうことなのか。現象の再現にとらわれず、絵に永続的な時間を流すこと…。近代絵画に連なる伝統を持たない国では「サンサシオンを内発し、愚直に続けること」が唯一無二の戦法かもしれず…「ここへきて やむに止まれぬ サンサシオン」なのかもしれません…。
この日は以前から気になっていたカフェにも寄っていきました。白桃ジャスミンティーを頼みましたが、甘味と酸味のバランスが絶妙で、美味しゅうございました。飾りつけも綺麗だったなぁ…。
また、同じ日に日本橋三越で開催されていた「第70回伝統工芸展」の方にも行ってきました(展示は既に終了しています)。テレビの「日曜美術館」で見た、ある作品をどうしても生で見たくなり…日本工芸会総裁賞を受賞した「彫漆箱『遥かに』」です。夜の海の煌きのような不思議な色合い。見ていると暗い海を漂っているような心地に…。染織の受賞作「波に魚」「みなも」「蒼晶」はいずれも海や水を思わせる作品。さらさらと涼しげな青色を見ていると、今年の夏の過酷な暑さを忘れるようでした…。
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