企業・組織再生現場からの独り言

仕事の中で、覚えていったこと。感じたことなどなどを記していきます。我以外皆我師也。あと、読んでいる本を簡単に紹介。

フリーターが増える?そういう問題ではないのでは?

2005年04月09日 | 過去の不満たらたら記事
フリーターという言葉が、ほんとうに定着してしまったようです。35歳以上で、フリーターをしている人が2001年に46万人いたこと、そして、2021年には200万人を超えてしまうということが指摘されています。フリーターの定義自体が、まぁ、微妙ではありますが。。。この記事からは、どうやらパート・アルバイトで、主婦・学生以外ということらしいですね。なんか、記事の前段では、正社員という言葉も使われていますが、派遣や契約社員というのは、どう扱われているのかは、この記事からは正確にはわかりません。ただ、年齢が高くともバイト・パートの人が増えるということは、なんとなく読み取れます。
そもそも、バイト・パートという言葉がよく分からないのですが、どっちも同じなのでは?と感じる私は間違っているのでしょうか?別に、短期契約だからバイトで、長期契約だからパートという区別があるとは思いません。時給、日給で働いている人であることは同じだと思います。まぁ、その意味では、派遣社員も、限りなく時給の世界ですね。労働時間が長いか短いかも、最近はあまり関係なくなっていると思います。短時間だからパート、とか長時間だからバイトというのもないしね。加えて、バイトやパートだからと言って、全く福利厚生がない、というわけでもなく、研修もあれば、社会保険に入る人もいます。有給休暇を取る人だっています。
正社員にしても、残業代が出る人がいれば、完全年報制の人もいるし、それがかならずしも労働組合とリンクしなくなってきているのも事実。昔みたいに、組合員だから残業がついて、管理職だからつかない、とかそんなことを言っているのは、昔から続く大企業だけになってしまったのではないか、とまで感じるほど労働の実態は変わってきているのですね。サービス業を中心に、営業時間が長くなり定休日が減ったこともあり、休暇の取り方も変われば、就業時間も変わって来ている。それなのに、昔から続く就業規則を頑なに守ろうとするから、実態と規則との間の乖離が大きく問題になって来ていると思います。
残業というものも、本来的には誰かの段取りが悪いから発生するものだと思います。現場の段取り、管理者のマネジメントの失敗、営業マンのミス、営業と現場のコミュニケーションの失敗、また、雇用政策の間違い(仕事量に対して、雇用が足りない。。など)。そういう失敗の積み重ねが、最後に、現場での残業を引き起こしている。また、残業代をあてにして、職務を怠ける人もいる、と言う問題も、仕組みに問題がある、と考えることができます。
今の日本においては、バブル期に比べて仕事が少なくなったとは言っても、本当に仕事がないわけではないです。多くの中小企業が求人をかけても、なかなか応募すらなく、また応募があっても求める人材とは違う、というミスマッチが多数起きている。残業というのは、組織の中だけで考えるのではなく、さらなる雇用の流動性とともに語らなければならないのではないでしょうか?そしてフリーターという問題も、社会の持つ雇用の仕組みと、切って切れない関係にあると思います。
フリーターが問題だ、ということは、多くの場合、収入が低いことや社会保障を支えきれないこと、などで語られます。でも、正社員だからといって、みんなが収入が高いわけでもない。また、同じ企業で長く働くから、本当に信用があるというわけでもないはずなんですね。フリーターだからといって、いくら確定申告をきちんとしていても、収入があっても、住宅ローンの審査が下りなかったり、また幼稚園の入学審査で子どもが落とされたりするのは、おかしいはずなんですよ。でも、社会はそれを受け入れない。
雇用にしても、物価にしても最後は、需要と供給に大きく左右されてしまいます。市場を無視した値付けをしたら、採用されなかったり、売れなかったりする。そうすると、生活のため、また運転資金を考えて、値引きをしなければならなくなります。そんなのは、当たり前の話であって、その上で、どういう努力(という言葉が適切でないかもしれませんが)をするか、ということが、成果につながるのだと思います。
人が夢を持ち、それを実現しようと頑張るのは、決して悪いことではないと思いますし、目標を持つからこそ、達成できるのは間違いないと思います。目標なくして達成なんていいませんよね。その手段がフリーターであってもかまわないと思うし、逆に、フリーターだからだめだ、なんて言うのは、大いなる間違いだと思うのですね。実際、サービス業の多くは、フリーターなくしては成り立たないところまできています。
今後、フリーターの増加で、税収が不足するというのなら、それにどう対処するか。また、社会保障財源が足りないというなら、それをどうやって克服するか。収入を増やすか、支出を減らすかを、両面で、いろんなアイディアをもちよって考えなければなりません。この記事を読んで、だからフリーターはだめなんだ、と考えるのではなくて、既に起こりつつある社会問題を、雇用、そして社会保障、政府のあり方なども含めて考え直すことが肝要と思います。
繰り返しになりますが、世の中には、いろんな形で、人が不足している場所がたくさんあるのです。対価を払える企業でも、困っているし、対価を払えないけれど助けがほしいところもたくさんある。それなのに、そういうマッチングの強化の必要性について目を瞑り、フリーターは問題だ、問題だと言うのは、いまだにスタートラインにも立っていないのと同じではないかと思ってしまいます。だからといって、私に、「じゃぁ、どうしたらいいのか?」と答えを聞かれると、即回答できるわけでもないのですが。。。(泣)


中高年フリーター、2021年には200万人突破 (読売新聞) - goo ニュース
2005年04月04日(月)

中高年フリーター、2021年には200万人突破

 大手調査研究機関のUFJ総合研究所は4日、35歳以上でフリーターをしている「中高年フリーター」が、2001年の46万人から、2011年には132万人に増え、2021年には200万人を超える見通しだとする推計を発表した。
 フリーターの多くはいずれ定職を持ちたいと考えているものの、年齢が高くなるほど正社員になるのが難しく、この状況は変わらないとの前提で推計した。
 推計では、フリーターは所得が比較的少ないため、2021年に200万人を超える人が正社員にならずに「中高年フリーター」となることで、国の税収が1兆1400億円、社会保険料が1兆900億円減少するほか、2021年のGDP(国内総生産)成長率を1・2%押し下げる要因にもなる。また、所得が少ないフリーターは、結婚する割合が低いため、子供の出生率を年間1・0~2・1%押し下げ、少子化を加速させるなどとも指摘している。
 内閣府の国民生活白書によると、2001年に35歳以上でフリーターに相当する人は46万人いた。フリーターは、パートやアルバイトなどのうち、主婦や学生を除いた人を指す。
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