あぽいち

温泉とヨガ、たまに心臓外科医

2本バイパス

2011-11-04 06:37:16 | 術者、勉強になった症例
今週は前半にA型がきてオペとなり、6件の手術となりました。私は2枝のバイパスと傍腎動脈AAAの担当となりました。
CABGはボスも部長も忙しく、手術に入れないとのことで下々でやりましたが、吻合は12分、14分でトラブルなく3時間ぐらいで終了、術後の経過もよさそうです。上司に指導されながら胸を借りて手術するのも勉強になりますが、こういう状況も別の意味で勉強になります。何もトラブルなければ、かえって緊張せずにリラックスしてできるということもありますが、調子に乗ってはいけません。AAAは最近はEVAR症例が増えて、外科に回ってくるのは、こうした腎動脈がらみやASO、血管の正常の悪い症例に限られてきて、難易度は急激に上がってきています。なかなかレジデントに回せる症例も少なくなってきました。時代の流れですので仕方ありませんが、本当に何でもかんでもEVARがベストかどうかはわかりません。確かに侵襲は少ないので開腹術が不可能な症例には良い選択ですが、根治という点では疑問が残りますので。現在、開腹術の成績もけして悪くはありませんので、おそらく、いずれは冠動脈の領域と同じようなところに落ち着くのではないかと思います。

B型の恐ろしさ

2011-11-04 06:14:18 | 術者、勉強になった症例
先週末の足のバイパスをしたB型解離の方はイレウスとなり、AMIとなり、冠動脈のPCIと解離した腹腔動脈と上腸間膜動脈にステントを留置する羽目となり、大変な経過となりました。解離というのはホントに経過中に何が起こるかわからないもので、合併症の玉手箱のような疾患であります。
腸管の虚血に対しては外科的には、虚血に陥った腸管の切除、開窓術を行い、それでだめならバイパスというのが、現在のところやれる手段と考えますが、広範囲に腸管の壊死が始まっているケースでは、腸管切除しても厳しい成績のようです。また、私もB型は何があっても保存的に見ることが多く、開窓術やバイパス、腸管切除といった経験が少ないので、なかなか積極的に手術に踏み切れないこともあります。ただ、やはり、怪しいときは積極的に開腹することが必要だと今回思いました。