あぽいち

温泉とヨガ、たまに心臓外科医

内視鏡が好きになってきた。

2014-06-29 17:24:21 | Weblog
先日、MICS-MVP+MAZEの症例を担当させていただきましたが、MAZEもやるので今回は8cmだけど肋間はしっかり開けさせてもらって、MAZEは直視で行いました。前回は開胸器かけずに行って、かなりつらかった。直視では片目で見ているような状況が多く、カメラではよく見えるけど、運心がむずかしい。今回は左心耳の出血したら大変やし、MVPは結局、遠すぎて直視で見れないもんだからカメラが大活躍だったけど、交連部からP3の病変であったこともあり、縫いつぶして終了、直視より断然見えるのだが、針は思ったように動いてくれない、、、ここがつらいところ、そのまま弁輪形成も行いましたが、これまたトライゴンのあたりは難しい、普通にはかけられず、いろいろとコツがいるようで指導医から伝授してもらいながら、カメラを見て頑張りました。大きな問題なく滞りなく終わったけど5時間、、、どうしても鏡視下となると未熟な私には一針一針に時間がかかるので致し方ないのであるが指導医ならもう一時間は速いかと。反省点を挙げるとなると、ちょっとカメラポートの位置が低すぎたこと、あと左手用のポートを入れなかったことで、今回は距離が遠くて、左右の器械の自由度が低すぎて苦労した。
同僚の親御さんだっただけに、手術入るまではちょっと緊張、やりだしたら忘れてたけど、さすがに無事終わった時はほっとしました。面対が保たれたというかなんというか。とにかくうまくいってよかった。
今回は内視鏡がほんと大活躍で、カメラなしでは逆につらかったかな、だんだんと慣れてきて、少し内視鏡好きになってきました、これからも仲良くしなきゃ。

mics summit

2014-06-29 16:57:05 | Weblog
先日のjapan mics summitでは、前の日に串揚げをたらふく食べたけど、あまり居眠りしないで、久しぶりに朝から晩まで椅子に座って話を聞くという、私にしては珍しく頑張りました。
今回はどちらかというとMEさんなどのコメディカルの話が大変勉強になった。
印象に残っているのは
1、心筋保護の話、MICSではというわけではないのだが、これまで散々、議論されてクリスタルよりブラッドがいいということで、世の中ではブラッドが当たり前かと思っていましたが、ここにきてまたクリスタルでまったく問題ないというはなし(これまで言われてきた、立ち上がりや、術後の不整脈やら)、、、ほんまかな、、、これについては、いろいろあるけど、そんなにメリットがないような気がして、確かにMVPの時は赤いのが出てくると煩わしいし、30分おきに入れるのは、手間ということもあるが、やはりブラッドの方が安全かなと。

2、送血管入れている足の虚血のはなし、これは以前からMICSで出てくる話で、時々、聞く話、これでアンプタや命を落としたなんて話もたくさんMICSやっているところでは、ちらほら聞きます。これについてはいろいろ、大腿動脈径の70%以上の太さの送血管は入れない、必要なら両足で送るといった施設もあり、一番堅いのは人工血管をたてるか、腋窩からも送ることだろうが、これも考え方。うちでは幸、まだ経験していないけど、とにかく、送血管は細めで深く入れないことでコラテを残すこと、後はダイレーターを外腸骨まで打ち込んでスパズムを予防すること、それといちおうINVOSで監視しているけど、あまりあてにはならん、なぜなら必ず下がるから、どこまで下がればどうするといった、明確な基準がないので、、、。そこで、酸化と脱酸化のヘモグロビンまで見れる少し賢いINVOSがあって、それだと虚血がはっきり分かるようで、ほしいけど高いらしい。もし、怪しければシースを逆刺しすればよしとのこと。

3、術後の再膨張性肺水腫について、これは会場に来ている先生方は経験ないとのことであったが、見過ごしているだけのような、うちでもなかったよなーと思っていたけど、今思うと、あれそうだったかもという症例があります。本来の肺水腫は3日以上、30%以上の虚脱で起きやすいということだったと思うが、右開胸手術の場合は何ぼ長くても数時間の虚脱、それでも起きてくるのは、ちょっと自然気胸の時とは話が違うのだろうが、人工心肺や手術の侵襲でむくみやすい状況に追い打ちがかかるのだろうけど、この再膨張性肺水腫、原因はもちろん機械的な刺激もそうだが、ケミカルメディエーターも関与している、だからつぶしていない肺も同時に肺水腫になる、其れが鑑別かも知れんが、うちで経験したと思われる症例、話聞いて帰ってきてからレントゲン見てみたら、両肺の肺水腫だったから、たぶんそうだったのだろう。つぶした肺が多少白くなるのは開胸手術では時にあることなので、どこまでがそうなのかは不明。なってしまったら、ステロイドとPEEPでね。

あとは海外のかた3人ぐらいお話を聞きましたが、部分切開や直視下のMICSであり、鏡視下のレベルの話はなくて、あんまり新しいことはなかった。よっぽど日本からの発表方法が手術としてのレベルは高かったかなという印象。ただ、日本はデバイスの認可が遅くて、そこが遅れているところ。

最近、すんなり終わることも少なく、つらい思いばかりしてきたMICSだけど、今回、参加してコメディカルともどもまたMICSに対するモチベーションが上がりまして、頑張っていこうと思った。