あぽいち

温泉とヨガ、たまに心臓外科医

お盆は休みたい

2012-07-28 22:54:56 | Weblog
今週もなんとか終了です。
2例ともCABG後の再手術ということで、どちらも変則的な手術となりました。
2人目のAVRはRITA-LADのliving graftを避けるため、予定通り第二肋間横断での胸骨T字切開で行いましたが、大腿送血にして、フレキシブルの遮断鉗子で胸骨の下に潜り込ませて遮断すれば、AVR自体は全く問題ありませんでした。癒着は全体的にガチガチでしたので、右室前面から左室方向は一切剥離せず、横隔膜面から右房側面を通過して大動脈へと、右側のみの剥離で行いました。左がはがれていないということもあり、基部が上を向いてくれませんでしたので、やや弁置換自体の視野は今一つでしたが。一番苦労したのはRITAの露出でした。おそらくスケルトナイズでとってないのかと思われますが、なかなかきれいにグラフトが出てこず、結局はグラフトが入っていると思われる索状物をひと塊りにして遮断しました。初回の手術を自分でやっていないと、他人の手術の再手術というのはイメージがつきにくいですね。
縫合部などの出血はありませんでしたが、骨と筋肉、剥離面からの出血がいつまでも止まらず、ポンプ時間は2時間程度でしたが、手術は結局5時間と、なかなか疲れました。
また、RCAがCTOでCXが90%であり、下壁心筋はペラペラで血行再建の絶対的な適応ではないと判断し、無理はせず術後にPCIという方針で、逆行性心筋保護併用でやりましたが、やはりRCAへの心筋保護が不十分だったのか、遮断解除後の右室の動きが戻ってくるのに、少し時間がかかりました。
出血はそれなりでした。血小板減少があるためか、体質的なものか、皮膚切開から、もう出血がだらだらで、全く止まりませんでしたので、あきらめてだらだらしながら手術へ突入、術後もそこそこ出ましたが、時間100前後でしたので、そのまま、抜管は翌朝まで待ってからにしました。翌朝には無事、目も覚めて、離床もしていただけて、一安心です。

来週はAVR+CABGとAVR、それと静脈瘤で3件といった予定でしたが、金曜日にカテ室でCABG適応が生まれましたので、来週に追加で4件となりました。
しかし、本日またカテ室で透析患者さんのAMIがいて、AMIサイトはPCIやってましたが、ガチガチで2枝残枝あり、ischemic MR3度、EF30%台と、どうやら回ってきそうな感じがします。
お盆前はもう、手術は入れられそうなとこがありませんので、待てれば、お盆後でお願いしたいところであります。

心臓外科はとりあえず4月から週2の枠で手術室を使わせていただいていますが、結局、今月も13件と毎週3件以上のペースできてしまいましたので、9月から週3件の枠に増やしていただこうと考えています。あとは前立ちの先生を如何に捕まえるかが問題であります。