あぽいち

温泉とヨガ、たまに心臓外科医

2尖弁

2012-05-29 20:51:00 | Weblog
学会明けの1例目はBAVでしたが、ガチガチの石灰化でとても形成には向かなそうな感じ。
しかし2尖弁にはいい思いがありません。弁輪にかかっておらず、リポンプしたいやな思い出がある。
とにかく弁輪がよくわからんのです、ただ視野はいいことが多いのだが、今回はあんまりよく見えんかった、ちょっと切るライン高かったか?
それにいつもと風景が違うので、ちょっといろいろと戸惑ってしまします。あまり私自身の経験はありませんが、交連部の石灰化が激しい症例が多い印象です。
ま、糸さえ、ちゃんとかかれば、あとは普通と一緒でありますが。
今回も先日教えていただいたレトロを使用、カニューレはなんか誘導せずとも勝手にCSに入っていた、ラッキー。
AVRのレトロは初めてやってみましたが、やはり手を止めなくていいので、無駄がありませんね。人工弁に糸をかけている間に2回目の心筋保護液が入れられて、そのまま閉じれますので、今回は弁を切除するのに結構時間がかかりましたが、レトロのおかげで遮断は80分程度で、エア抜け、立ち上がりもよくポンプ110分、手術197分とまずまずでした。
今回の前立ちは、私のお師匠さんの1番弟子?になるのでしょうか、これまで独立した兄弟子たちは4人ほどおりますが、おそらく最初に独立した兄弟子だと思います。一緒に手術したのは7-8年前の私がまだ駆け出しのことろに数回だけですが、基本的なやり方が一緒ですので、何も考えずに、お互いの近況報告などして、無駄口をたたきながらも、無事終了でした。

上行の石灰化が多くて、送血は弓部で、遮断部位も珍しくちゃんとテーピングして、かなり慎重に遮断しただけに、目が覚めてくれるか不安でした。
術後はHCU入室して、すぐブリディオン使用したが、ピクリともせず、、、いつもなら2時間程度で抜管と行くところですが、びびってグリセとラジカットを開始し始めたら、術後4時間ぐらいで目が覚めて、抜管となりました。
うーん、上行硬かっただけに、ちょっとビビりました。
フェンタの抜けが悪かったのかもしれん、男性でしたが、身長150cmの体重40kg台だったので、ちょっとフェンタが多かったのかもしれない。おかげで術当日の夕飯とリハビリはパスされてしましました。
これで半日~1日、回復が遅れてしますのであります。そう思うとレミフェンタを使ってみたくはなるが、まー、贅沢を言ってはいけません、目が覚めただけで十分と思わなくては。
来週は前立ちの先生方の都合もあり、ちょっと無理して開心術3例となります。


みなさんお疲れ様でした。

2012-05-29 08:40:21 | Weblog
学会の夜は14人ほど有志?が集まりまして、最後は2時までいろいろと語り合いました。私は宿がなくsktさんと駅前の漫画喫茶に泊まる羽目になりましたが、それもよしであります。皆さんお疲れ様でした、ありがとうございました。また、次があれば医局や派閥の関係ない飲み会やりましょう。
発表はいつもの通り、ろくに勉強せずに、ぶっつけ本番でありまして、質問の意味も分からず、たじたじで終了。
しかしながら、今年の印象としては、ステントグラフトも見直されるじきに入ってきたかもという感じであります。昨年の沖縄の血管外科では何でもかんでもステントグラフトという感じで、私がステント適応外で手術に回した症例の内訳を提示したら、ほとんどの症例はステントグラフトで可能だみたいな、こといわれて、H先生にいじめられて小ばかにされるようないいかたされたが。
出来るのとやっていいのは違うし、そりゃ、できるだろうけど遠隔期の成績を持たずに、いいのかなーと思っていたが、案の定、今年はどちらかというとオープン派が少し増えた感じです。
うる覚えではありますが、たしか、ステントグラフト委員会のデータでは、術後に拡大するのが5%という、ものすごいことが判明。
5%はステントグラフトやった意味なく、開腹手術が必要になると、しかも、ステントが入った状態での手術となりますので、通常の手術よりは数段難しくなします。
また、瘤径の縮小するのは2-3割といわれていますので、縮小していない7割程度のものは、いったいどういうこと?、ステントやらなくても瘤径は変わらないかもしれないし、、、、といつも思う。
ということは、だれも口にはしないが、ステントグラフトの成功率て言うのは、20-30%ということになるのでしょうか。これは、言い過ぎかな、でも、実際そういうことだと思うけど。瘤が縮小しなかったら、いくら、テンションはかかっていない?といっても、今のシステムでは証明できないし、あとから、リークが出ることもあるようだし、結局は常に破裂の可能性を抱えたままなのか?
早期や遠隔期のトラブルは統計上、少ないようにみえるが、ホントにみんなが申告しているのか、かなり疑問だ、1700やって瘤関連の手術死亡0、入院死亡がたったの3例となっているが、今回の学会でのこまごました報告聞いていると、自験例で2-3例の死亡がありましたなんて、報告している施設がいくつかあったような、、、そうすると、この10倍ぐらい軽くはいるはずだけどなー、、、手術関連で死亡したことにしていないのかな、でも、術後に無くなったら、やはりいくら間接的とはいえね、、、もう一度言うけど、みんなほんとに申告してるの。
症例報告では意外と、大変なトラブルもたくさん発表されていたが、どーなんでしょうかね、公表されている合併症の数は死亡と同じで、まるで1施設分ぐらいしかない気がするが、、、。エンドリークもね、、、これは相当、優秀で成績の良い施設しかデータを出していないとしか思えん。
論文だって嘘で何十本も通ってしまう世界だもんね。恐ろしいです。

私はまだ、自分の親兄弟だったら、ステントグラフトは勧めないです、だから患者さんにもお話はするけど、おすすめはしていない。手術時間も皮膚切開長も、食事開始も離床も入院期間も、そんなに変わらんしね、下手したら手術の方が速く終わるよ。それに、なんてたってこれでもう破裂の心配はありませんよって、胸を張って患者さんに言えますもんね。動脈瘤の治療って、何って破裂を未然に防ぐことじゃなかったのか????
どうしても開腹手術ができない方には、確かにすばらしい技術だとは思うが、、、ちょっと大丈夫なのかなと、患者さんに、これでもう心配ありませんよって、何時になったら言っていいのやら、、、、。縮んだ人には言えるけど、縮んでない人には絶対に心配ないとは言えず、見てるほうも、ずーとドキドキしながらフォローしなきゃいけないのでは。PCIとは似てるけどちょっと違う、それは基本的には症状のない病気だから、、、PCIは再狭窄はするけど、一度は広がるわけで、ステントグラフトは初回治療で一度は縮んで、良かったねとはならないからね。
本来、ステントグラフトは開腹手術や全身麻酔のriskが高い人が適応ということになっていたけど、リスク高くても開腹手術ができない症例って、ほとんど経験したことないけど、、、、、、それに、ステントを全身麻酔でやっているのが、6-7割ぐらいだったかな、、、。全麻までかけて、ステントは成功しました、でも結局、瘤は小さくなりませんでしたで、いいのか。
ほんとに開腹できない症例だけステントって言っても、いざ、その時だけってなると上手にできるんですか?、常日頃ステントに慣れるために、開腹できる症例で技術的に慣れておく必要があるのでは、、という本音の質問があったが、OPCABのときとまったく同じ論争、確かにそれはあるのかもしれないが、今の世の中の常識的にそれが許されるのか、医者の世界はまだまだ、世間とかけ離れているなーと。日本人は本音と建て前があって、かなり厄介であります。
また、ステント支持派の方々はすぐに欧米の開腹手術の成績、死亡率5%とかを持ってきて、比較するので困る、日本の施設では死亡率は1%前後なのではないかと思われ、遠隔成績は考えなくても明らかだし、早期成績も変わらないのではないかと思われる。なにより安いしね、、、。
それとある先生が言っていたけど、追加治療を合併症と考えてもらっちゃ困ると、、、血管だめになったら人工血管いれるなりで何とかすればいいと、、それでも開胸や開腹するより低侵襲だからと、、やれやれだね。それで、みんな縮むならいいけど。
ちょっと、言いすぎでしょうか、、、、でも、先ほども言ったけど、否定しているわけではなく、適応をちゃんと考えてやるべきではと思うのです。患者さんの背景や状態を考えリスクとベネフィットを考えると、今の成績では、年齢だけで見たら、ちょっと80歳以下には向かない気がする。10年保障されてないもんね。5%は結局手術になるわけだし。