あぽいち

温泉とヨガ、たまに心臓外科医

CTO

2011-10-19 19:09:33 | 術者、勉強になった症例
今日のCABGは2枝CTOで4枝バイパスの方でしたが、やはりCTOの血管は普通とすこし攻め方が変わるものです。今日はボスに前立ちに入ってもらいました。ボスに前に立たれると、プレッシャーがかかり、やや平常心を保てなくなりますが、やはりいろいろと勉強になります。CTOの吻合についていろいろと教えていただきましたので、メモ代わりに。
1、まず、ほとんどの場合がCAGでひょろひょろとしか造影されず、もともとはそんなに細くなかったはずで、実際に心表面を走行している血管を露出してみると、それなりに太いのですが、開けてみると血管壁は肥厚していて、内腔は造影の通りということです。
2、内腔が狭いのでメスも尖刃で開けようとすると、うまい具合に内腔に刺さらず血が出て来なくて焦ることもあり、できれば円刃でこすって広い範囲を開けたほうが無難。
3、CTOの血管壁は太いくせに弱く裂けやすいという特徴がありますので、運針にはかなり注意が必要、ちょっと乱暴にするとすぐ避けてしますし、内膜も厚いのでバイトもいつも以上に取らざるを得ない。針はそっと置いてくるように運ぶ、まー、どんな血管でもそうすべきなのだが。
4、冠動脈の切開する位置についても、当然、術前にCAGでどこが開いているか確認して、狙っていくのだが、切開した後にバックフローがあったとしても、末梢側に1mmを入れて末梢まで行くことを、確認することが必要。
5、コラテがかなり発達していて、バックフローも多いので、スネアは吻合口のぎりぎりにかけないと、出血が多くて困る。シャントを入れれば出血のコントロールはできるが、血管は開かないし、狭いし、厚い内膜をしっかりと取らないといけないので、運針の難易度が一気に上がります。


ツンツンはいかんね。

2011-10-19 18:28:47 | 術者、勉強になった症例
先週、今週と学会やライブなどで、週3-4例のみで、暇です。おのずと執刀もあるかないかのであります。本日は自分でMTしたCABGでしたので、担当させていただきましたが、思えばちょうど一カ月ぶりで、今朝、ビート君で4本程度練習しておいたのだが、やはりしばらくやっていないと、針のキャッチボールがへたくそになりますね。4本繋いで、時間的にはいつもとあんまり変わらんが、絶好調ではなかった。SVGがいまいちでしたので、LITAを欲張って#14-#15と繋ごうとして、#14にツンツンで吻合したら、引っ張られて糸が緩んでしまいまして、一針追加してみましたが、じゃじゃ漏れでしたので、潔くすぐに縫い直ししました。ぎりぎりで吻合するときは糸の緩みや、吻合後も不用意に扱うと裂ける可能性があるので注意ですね。たまには練習しないといけませんね。そろそろ来年の学会の演題締め切りが、いくつか迫ってきていますので、この暇な時期にデータを集めますか。あ、でも専門医の勉強のほうが優先かな。