あぽいち

温泉とヨガ、たまに心臓外科医

綺麗な穿孔

2010-01-23 22:06:32 | Weblog
昨日は2件の手術を終えて、今週もようやくこれで手術終了と思っていたら、夜の10時ごろにカテ室に呼び出され、PCIラプチャーでコイルつめたり、脂肪つめたりいろいろやったが止まらないとのこと。
すぐに外科チーム集合して手術となりましたが、通常PCIの穿孔というと、ちょっとした解離とか、ワイヤー穿孔でいわゆるoozing ruptureというやつで、カテで止まることも多く、手術となっても、もう心外膜の血腫がこんもりとなっていて、血管自体は血腫の中でどこにあるかわからず、ひたすら止血剤で押さえるというパターンが多いのですが、今回は、きっと穴が大穴だったのと心外膜の脂肪が少なかったのでしょう。心膜をあけてみたら心外膜面に血腫は全くなく、綺麗に血管が見えて、穴が丸見えでありました。まるでoff-CABGで冠動脈を切開したかのようでありました。
これはさすがにカテでは止まりませんって感じで。
もともと完全閉塞でつぶしても差し支えない枝でしたので、直接血管壁をぐりぐり縫って止血は成功。
LADが狭かったので、IMAを取って、バイパスを一本加えて無事終わりとなりました。

壁を越えた

2010-01-23 20:12:52 | Weblog
昨日の2例目は比較的、単純なAAAであり、私の担当となりました。
連日の手術と術後管理、睡眠不足で、こんなこといっては患者さんに失礼ですが、ややローテンションで手術に入りました。
逆に、そういう時は意外と落ち着いているものなのでしょうか、イージーケースという事もありますが、8cmの切開でtryして、皮膚を閉じ終わり、今日は順調だったなと思い、ふと時計を見ると1時間37分でした。
ついに2時間の壁を超えることができました。
ここのところ、AAAについては、少しずつやり方を変えていき、道具をあれこれ試してきましたが、これで一つ自分の方法が完成した気がします。
手術はあわててはいけませんが、早いに越したことはありません。
後輩にも、ぜひ、同じようになってほしいです。