goo blog サービス終了のお知らせ 

杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

ハリー・ポッターと呪いの子 第一部、第二部 特別リハーサル版

2022年01月24日 | 

J.K.ローリング(著)、ジョン・ティファニー(著)、ジャック・ソーン(著)、松岡佑子(翻訳)

8番目の物語。19年後。『ハリー・ポッターと死の秘宝』での戦いから19年が経ち、父親となったハリーが2人目の子どもをホグワーツ魔法学校へと送り出したその後の物語です。ハリー・ポッターとして生きるのはもちろんたいへんなことだったのですが、その後のハリーも決して楽ではありません。今やハリーは、夫として、また3人の子を持つ父親として、魔法省の激務に押しつぶされそうな日々をすごしています。ハリーがすでにけりをつけたはずの過去と取り組まなければならない一方、次男のアルバスは、望んでもいない“ハリー一家の伝説”という重圧と戦わなければなりません。過去と現実は不吉にからみあい、父も子も痛い真実を知ることになります。(「BOOK」データベースより)

 

J・K・ローリングの原作をもとに作られたイギリスの2部作劇の脚本です。児童書の感覚で読むと期待外れになりますが、迷える思春期の親子の話としてはかなり切実な内容かもしれません。その分夢は・・・

大人(というより中年ですね)になったハリーの物語というより、彼の息子のアルバス・セブルス・ポッターが、人生に苦悩しながら自分の運命と向き合う姿に主眼が置かれているように感じました。

「ハリー・ポッターと死の秘宝」のラストシーンから始まります。スリザリンに組み分けされたらどうしようと不安なアルバスが、汽車の中でドラコの息子のスコーピウスと出会って友情を育んでいくんですね。偉大な父に似ていない落ちこぼれと悩むアルバスとヴォルデモートの息子ではないかと噂されるスコーピウス、まさに共通点は孤独です。不安が的中してスリザリンに組み分けられたアルバスでしたが、同じくスリザリンになったスコーピウスと唯一無二の親友となっていきます。ハリーの時もグリフィンドールかスリザリンかで帽子は悩んだのですから、アルバスがスリザリンだってちっとも構わない筈なのに、周りは「あのハリー・ポッターの息子がスリザリン」と言う目で見ますものね いじめも受けます。

数年経ったある日、亡きセドリックの父エイモス・ディゴリーがハリーを訪ねてきて、神秘部の戦いで破壊された筈の「逆転時計」が見つかったという情報をもとに、セドリックを生き返らせて欲しいと頼みます。ハリーは断りますが、立ち聞きしていたアルバスは、自分が代わりに過去に戻ってセドリックを救おうと考えます。これには親子喧嘩の際にハリーが思わず口にした「お前が息子でなかったら」という言葉にショックを受けたことも大いに関係していました。偉大な父親への尊敬の裏にある劣等感と子供らしい正義感がごちゃ混ぜになっているんですね。

ホグワーツ行きの汽車から脱走したアルバスとスコーピウスはエイモスに会いに行き、彼の姪のデルフィーニと一緒に魔法省大臣室のハーマイオニーの部屋から逆転時計を盗み出します。ここで使われるのが変身薬です。

彼らが手に入れた逆転時計は、時間の制限があり(5分だったかな)、過ぎると強制的に戻らされます。三校対抗試合の最初の試合でセドリックが勝ち進まないよう邪魔をした結果、現在が変わってしまいます。アルバスはグリフィンドール生になっていましたがロンとハーマイオニーは友達のままで結婚していないので娘のローズは存在していません。(実はスコーピウスはローズが好きなの)セドリックも生き返っていません。

焦った二人は今度は第二試合を邪魔しますが、今度はアルバスが消えてしまうの。 過去をいじれば現在が変わるのはタイムトラベルのお約束ですが、結果どんどん悪い方に変わっていくのです。

アルバスが消えた世界ではヴォルデモートが勝ってハリーは死んでいます。(だからアルバスも存在しないのね)セドリックは死喰い人になっていて(二人の魔法で辱められたのがきっかけです)彼がネビルを殺したことで、ナギニを倒す者がいなくなり、ヴォルデモードが生き残ることになったのでした。スコーピウスは「サソリ王」と呼ばれ周囲の畏怖を集めていましたがそれは彼の望むことではなかったのです。アルバスよりよほど賢くて冷静なんだよね

困った彼はスネイプ先生に助けを求めますが、初めは信じて貰えません。当然よねでもスネイプが本当はダンブルドアのために働いていたことやリリーを愛していたことを言い当てたことで、協力してくれることになります。この世界のロンとハーマイオニーも合流して何とか過去を修正しますが、戻ってきた彼らをディメンターが襲ってきます。スネイプ、ロン、ハーマイオニーはスコーピウスを庇って死んでしまいます。

もう一度、スコーピウスは、最初にアルバスと二人でセドリックを妨害した過去へ戻って自分達を阻止します。ここで全ての過去が修復されます。

実は二人を唆し操っていたのはデルフィーニで、彼女の正体は(ベラトリックスとの間に出来た)ヴォルデモートの娘だったのです。ヴォルデモートを敬愛し復活を望む彼女は、アルバスとスコーピウスが逆転時計を破壊しようとしていると知ると、時計を奪って二人を別の過去に連れ去ったうえで時計を破壊します。現在に戻れなくなった二人は、そこがハリーの両親がヴォルデモートに殺された1981年10月30日のゴドリックだと知って、何とか親に居場所を知らせようと考え、ハリーが両親の命日に唯一の形見のブランケットを眺めることを思い出してメッセージを残します。

現在では、マルフォイがハリーにセオドール・ノットが作った違法の逆転時計を見せ、協力を申し出ます。この時計は時間の制約無しで過去に戻れる優れものなのね マルフォイは妻をとても愛していました。何代か前の呪いを受けて虚弱だった妻との結婚も出産も反対されながらも愛を貫き通しスコーピウスが生まれたのです。息子を守るための行動が息子を孤独に追いやっていた・・これはハリーも同じです。ダンブルドアがかつてハリーを愛するあまりに遠ざけた時、あれほど傷ついたのに、大人になった今息子に同じことをしていたんですね

ドラコはまた、ハリーとロン・ハーマイオニーの友情が羨ましかったと告白します。そりゃ~クラッブとゴイルじゃ手下であっても友人にはなれないわな~。そもそも最初にハリーと友達になろうとしたのがドラコだった気が・・・。ダンブルドアを殺せなかったように、ハリーを庇った時のように、ドラコの心は悪に染まってはいなかったのですね。

この劇ではハリーや彼の息子たちより、ドラコたちの方が実は良い奴な印象を持ちました。

さて、ハリーたちは無事メッセージを受け取って、二人を救出し、デルフィーニを捕えます。

彼らは敢えて立ち去らずに、ジェームズとリリーが殺されるその場面を耐えます。アルバスは父親の悲しみを共有することで父子の関係性が一歩近づいたようでした。

これは大人向けの劇だなぁと改めて感じた次第です。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 後宮の烏5 | トップ | 鳩の撃退法 »
最新の画像もっと見る

」カテゴリの最新記事