Rain or Shine~メイおばさんの宝箱

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底知れぬ深い悲しみを湛えた英雄ヘラクレス

2013-07-25 05:21:38 | トルコ


昨日お話した「アンタルヤ考古学博物館」で
もうひとつ
しばし立ち止まってしまったものがありました。

ヘラクレスの大きな彫像です。
だって、思ってもみてください。
人っ子一人いない薄暗い部屋の壁際に
こんな御仁がライトを浴びて
苦悶の表情を浮かべて立っていらしゃるのですよ。
立ち止まらずにはいられましょうか。

ヘラクレスと言えば
大神ゼウスを父に持ち、人間であるアルケメーネーを母に持つ
ギリシャ神話の悲劇の英雄です。

いい女と見れば神々だろうが人間だろうが
ちょっかいを出さずにはいられないゼウスの正妻ヘラの
嫉妬と憎しみを買って
すさまじいいじめに遭います。

なんたってまだ赤ん坊の時から
揺り籠に蛇を入れられたり
青年になればなったで呪いの狂気を吹き込まれ
突然自分をコントロールできない発作を起こすようになってしまうのですから。
あげく我が子を炎に投げ込んで殺してしまい
それを悲しんだ妻は自殺という不幸を背負います。

正気に戻れば
その後悔は大海のような苦しみとなって
ヘラクレスをさいなみます。
ヘラの呪いを解くためには
12の難行をくぐりぬける旅に出るしかありません。
手に持つのはオリーブの棍棒です。

まあまあ、立ち向かう敵たるや名だたる怪物ばかりです。
分厚い皮の獅子や9つの頭を持った水蛇
人食いの大猪もいれば、地獄の番犬もいます。

みごと12の難行を通り抜けたヘラクレスは
押しも押されもせぬ英雄となりますが
愛する妻との行き違いから
自らの身体に火をつけて死に至り
それを知った妻も自殺するという
悲しい結末を迎えます。

アンタルヤ博物館のヘラクレスは紀元300年から320年頃の
ローマ時代に作られた
「Herakles Farnese」と呼ばれる
ヘラクレス像のコピーです。
元はブロンズで作られていたと言います。

左の腕に
12の難行のひとつ
自らが射止めたネメアの獅子の毛皮と
それを殴り殺した時に使った棍棒を持って
底知れぬほどの深い悲しみを湛えた顔で
英雄は立っています。

小さなものまで含めたら
およそ60ものコピー(レプリカ)が世界中にあるそうですけれど
「この像が全てのレプリカの中で最も優れている。」
とは、この道の学者の言葉。

全てのレプリカを見ることなどできるわけもない私たちには
ただただ信じるしかありませんけれど
信じたくもなるほどに迫力を放つヘラクレスでした。


ご訪問をありがとうございました。
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