陽だまりのねごと

♪~思いつきひらめき直感~ただのねこのねごとでございますにゃごにゃご~♪

同窓会

2005-06-20 06:20:15 | Weblog
★十年ぶりに初めての同窓会案内が来て、出席か?欠席か?長く逡巡した。
多くの都会育ちでお嬢様の雰囲気を持つ同級生たちは、
今はまた絵で描いたような幸せ奥様になっているのだろうか?

田舎者ばかり集まって暮らした寮仲間には、
同じ釜の飯、今更気取っても始まらない裸の付き合いがあった。
会えるチャンスなら会ってみたい。

寮仲間に電話をして出欠を訊ねると皆返事が渋い。
『しあわせに暮らしている人だけが出席するもの』
と、言う人も居て、逆に反発を覚える。

確かに着て行くモノから、それなりに悩む。
場所はホテルだし、
お世話になった先生の退官のお祝いも兼ねているし、
お金のかかった衣装の用意をするゆとりはない。

もう7年も前になる寮仲間の同窓会もそう言えば、
寮の監守の教授の退官を祝う集いだった。
その先生が一番ラフなスタイルで、
ただただ懐かしい過去にタイムスリップしたんだった。

『同窓会の後で同じ安いビジネスに泊まろうよ』
と言う寮仲間の電話の声で
大きく出席に気持ちが傾いた。

当日、タンスを開けて、ちょっと迷って、
亡夫の着物で作ったワンピースにした。
生地は紬だから,
お祝いの席には本当はマズイかもしれないけど、
気取りのない普段着で感覚で夫も連れていく気分になる。
気持ちにぴったりだ。

出会ってしまえば、着てるモノも今の環境も飛んでしまう。
只々、懐かしい。
外見こそ老けたけど、若かったあの頃の雰囲気はみんなそのまま。
どうしてこう変わらないんだろう?
ツンとして見えたお嬢様方が、
みんな柔らかな雰囲気のおばさんに成っている。
歳を経たまろやかさは、
経て来た苦労が身に纏わせたモノかもしれない。

退官教授の独特の話し振りは、一足飛びに学窓に戻した。
この先生から『福祉の心』をもらったんだ。
学校に赴任されたばかりで、その前のケースワーカーとして勤められていた
重度心身障害児施設の話をよく聞かされた。
福祉の狭間、児童福祉の狭間に置かれたこの子たちの尊い命について力説されていたのを思い出す。
その所為あってか、
障害児施設に職を求め長く在職の人が結構居た。

宿泊組みの寮仲間とビジネスホテルのシングルに集まって、
夜ふけまで苦労話に花が咲いた。
夫のリストラ、無理の効かない自分の体、不意に襲う家族の病…

何も形をなさない人生などないのだと思う。
専業主婦で頂いた資格がなんの役にもたっていないと話した
しあわせ奥様風の人もまた、
種々の苦労を潜ってきてのだろう。
それがその人のまろやかさとなって、そこにあったから。

来れない人には来れない事情があり、
集えた人には集えた幸運が招かせたのだろう。
またいつか?次に会える時は?
命の儚さ、出かけられるなる諸事情、
次の幸運は巡ってくるか?否か?

計画してくれた幹事に感謝しつつ、参加して郷愁に耽った後は
みんな同じ現実に立ち戻っている事だろう。
留守居の息子は相変わらずで、
でも、疲れた母に

『何もするな!』

と命じて不出来な夕食を整えてくれ、
洗濯機をも回して、ダンゴ状態干しながらチャンと干し上げてくれた。

何の偶然で、私に巡って来た人生なんだろうか?
アスペ特有の特徴で話す息子と
相変わらず噛みあわない会話に身を置きながら
私に与えられた人生は大事に丁寧に生きようと言う気になっている。

次会う時はもっと出会って恥ずかしくない生き様をしていようと誓う。
三日坊主の決心かもしれないケド…

しかし良い学校に学んだと誇りに思う。
偏差値も高くはない、知名度も高くない、
ちょっとしたはずみで入学した地方都市の小さなキャンパスだったけれど。