9月14日から台湾映画「あの頃、君を追いかけた」が日本公開されました。
この映画は台湾では2011年に公開され、社会現象になるほど大ヒットした映画です。
■台湾版ポスター 原題「那些年, 我們一起追的女孩」(原題の直訳:あの頃、僕らが追いかけた少女)

映画「あの頃、君を追いかけた」日本版オフィシャルサイト:http://www.u-picc.com/anokoro/
台湾では2011年の累計興行収入が4.6億台湾ドルを超えて「海角七号」(2008年)の記録を抜いたと言われています。実際、台湾人のほとんどがこの映画を観たと思います。
これほどのヒットに導いた要素は何かというと、共感とノスタルジーです。
1990年代の台湾の普通の小都市の生活習慣、当時の流行などがリアルに描かれており、ノスタルジーを誘うアイテムやエピソードが多分に含まれています。例えば、美人女優ジョイ・ウォン(チャイニーズ・ゴーストストーリー主演)、中華POPSの神話的存在、香港男性歌手のジャッキー・チュン(張学友)、アーメイを育てたミュージシャン張雨生(1997年に交通事故で急逝)などの存在が息づいています。
そして、スラムダンク、飯島愛といった日本のサブカルチャーも当時の台湾の男子学生の生活を取り巻く重要なファクターとして登場します。この映画を通じて、日本カルチャーがいかに台湾に融合しているのかということが分ります。スラムダンクや飯島愛は日本のものというより、完全に「彼らのもの」として存在しています。
実は台湾ではここ数年、“社会現象”と言われるほどの大ヒット台湾映画が比較的頻繁に生まれています。「海角七号」(2008年)を契機に、「MONGA」(2010年)、「セデック・バレ」(2011年)、「あの頃、君を追いかけた」(2011年)などが続いています。これらのヒット作に共通するのは「共感とノスタルジー」を喚起するという点だと思います。
しかし、台湾人にはウケでも、外国人にはピンとこないという場合もあります。「海角七号」などは台湾であれだけヒットしながら、中国大陸ではあまり反響はなく、日本人が観ても、「確かに面白いけど、どうしてそこまでヒットしたのかは分らない」と感じる人は少なくないと思います。ですが、「あの頃、君を追いかけた」は、国を問わず共感を呼ぶと思います。しかも、共感の中から救いや啓発を得られると思います。
ノスタルジーという面ではどうでしょうか。
そもそも、台湾そのものが、日本人にとってノスタルジーを感じさせるところです。
私が最初に台北を訪れたとき、西門町や龍華の雰囲気が日本の下町の商店街にそっくりで、しかも夜遅くまで独特の活気に満ちていて強い衝撃を受けました。
「異なる時間軸を歩んだもう一つの日本がここにある」
そう感じて、不思議な感動を覚えました。
文化、流行、生活習慣など日本と共通するところ、日本の影響が色濃くあり、異なる運命を歩んできた二つの主体が共通の記憶を持っていると感じました。
しかし、この10年ほどの間にSARSや景気低迷、都市浄化を目的とする行政政策により、台湾のノスタルジックな部分はかなり消失し、または寂れてしまったと感じます。
「あの頃、君を追いかけた」に描かれている90年代の台湾と、現在の台湾は相当の違いがあります。映画を観て懐かしさを感じさせるものがあったとしても、それは今の台湾にはもう存在しないものかもしれません。
なお、この映画には台湾芸能ファンには見逃せないポイントがあります。
周杰倫(ジェイ・チョウ)が2003年にリリースしたアルバム『葉恵美』に「三年二班」という曲があります。「Jayの卓球の曲」といった方が分かりやすいかもしれません。そのイントロ部分が映画の中に出てきます。「三年二班」というのは「3年2組」という意味で、男子高校生の心理を歌った曲です。この曲のイントロ部分では「訓導処報告 訓導処報告,三年二班 周傑倫,馬上到訓導処来!」という音声が入り、これは、校内アナウンスで3年2組に在籍するJayが指導室に呼び出されるというものです。
「あの頃、君を追いかけた」の主人公たちが通う高校のシーンで、この校内アナウンスが出てきます。
ジェイ・チョウは1979年生まれなので、1990年代に高校生活を過ごしていますが、もちろんこの映画の舞台となった高校にジェイが通っていたわけではなく、制作側の遊び心です。映画開始から20分くらいのところでこのシーンが入ります。どうぞお見逃しなく・・・!
■周杰倫(ジェイ・チョウ)「三年二班」(アルバム『葉恵美』に収録)

【おまけ1】柯震東の広告
主役を演じた柯震東(クー・チェンドン)はほぼ新人でこの映画の主役に選ばれ、一躍人気スターに。大陸でも多くのCMに出ています。今までだったらRainとかウーズンがやっていそうな広告を柯震東がやっています。
■ガムStrideの広告。このCMは中国で大量に流れています。

■ニベア男性向け洗顔料。

また、2013年には映画『小時代』(Tiny times)に出演。参考:本ブログ過去ログ
【おまけ2】映画テーマソング(エンディングに使用)「那些年」(あの頃)を歌うのは、1990年生まれの男性歌手胡夏(フー・シャー)です。台湾のボーカルオーディション番組「超級星光大道」第6期(2009年~2010年に放送)で優勝しデビュー。ソニーミュージックと契約。台湾のテレビ番組で有名になりましたが、中国広西省の出身です。
テーマソングも大ヒットし、カラオケ必唱曲になりましたがなかなか上手く歌える人はいないです。作詞は、原作者であり監督である九把刀(ジョーバーダオ)、作曲は日本人の木村充利さんです。
■胡夏アルバム「燃点」
この映画は台湾では2011年に公開され、社会現象になるほど大ヒットした映画です。
■台湾版ポスター 原題「那些年, 我們一起追的女孩」(原題の直訳:あの頃、僕らが追いかけた少女)

映画「あの頃、君を追いかけた」日本版オフィシャルサイト:http://www.u-picc.com/anokoro/
台湾では2011年の累計興行収入が4.6億台湾ドルを超えて「海角七号」(2008年)の記録を抜いたと言われています。実際、台湾人のほとんどがこの映画を観たと思います。
これほどのヒットに導いた要素は何かというと、共感とノスタルジーです。
1990年代の台湾の普通の小都市の生活習慣、当時の流行などがリアルに描かれており、ノスタルジーを誘うアイテムやエピソードが多分に含まれています。例えば、美人女優ジョイ・ウォン(チャイニーズ・ゴーストストーリー主演)、中華POPSの神話的存在、香港男性歌手のジャッキー・チュン(張学友)、アーメイを育てたミュージシャン張雨生(1997年に交通事故で急逝)などの存在が息づいています。
そして、スラムダンク、飯島愛といった日本のサブカルチャーも当時の台湾の男子学生の生活を取り巻く重要なファクターとして登場します。この映画を通じて、日本カルチャーがいかに台湾に融合しているのかということが分ります。スラムダンクや飯島愛は日本のものというより、完全に「彼らのもの」として存在しています。
実は台湾ではここ数年、“社会現象”と言われるほどの大ヒット台湾映画が比較的頻繁に生まれています。「海角七号」(2008年)を契機に、「MONGA」(2010年)、「セデック・バレ」(2011年)、「あの頃、君を追いかけた」(2011年)などが続いています。これらのヒット作に共通するのは「共感とノスタルジー」を喚起するという点だと思います。
しかし、台湾人にはウケでも、外国人にはピンとこないという場合もあります。「海角七号」などは台湾であれだけヒットしながら、中国大陸ではあまり反響はなく、日本人が観ても、「確かに面白いけど、どうしてそこまでヒットしたのかは分らない」と感じる人は少なくないと思います。ですが、「あの頃、君を追いかけた」は、国を問わず共感を呼ぶと思います。しかも、共感の中から救いや啓発を得られると思います。
ノスタルジーという面ではどうでしょうか。
そもそも、台湾そのものが、日本人にとってノスタルジーを感じさせるところです。
私が最初に台北を訪れたとき、西門町や龍華の雰囲気が日本の下町の商店街にそっくりで、しかも夜遅くまで独特の活気に満ちていて強い衝撃を受けました。
「異なる時間軸を歩んだもう一つの日本がここにある」
そう感じて、不思議な感動を覚えました。
文化、流行、生活習慣など日本と共通するところ、日本の影響が色濃くあり、異なる運命を歩んできた二つの主体が共通の記憶を持っていると感じました。
しかし、この10年ほどの間にSARSや景気低迷、都市浄化を目的とする行政政策により、台湾のノスタルジックな部分はかなり消失し、または寂れてしまったと感じます。
「あの頃、君を追いかけた」に描かれている90年代の台湾と、現在の台湾は相当の違いがあります。映画を観て懐かしさを感じさせるものがあったとしても、それは今の台湾にはもう存在しないものかもしれません。
なお、この映画には台湾芸能ファンには見逃せないポイントがあります。
周杰倫(ジェイ・チョウ)が2003年にリリースしたアルバム『葉恵美』に「三年二班」という曲があります。「Jayの卓球の曲」といった方が分かりやすいかもしれません。そのイントロ部分が映画の中に出てきます。「三年二班」というのは「3年2組」という意味で、男子高校生の心理を歌った曲です。この曲のイントロ部分では「訓導処報告 訓導処報告,三年二班 周傑倫,馬上到訓導処来!」という音声が入り、これは、校内アナウンスで3年2組に在籍するJayが指導室に呼び出されるというものです。
「あの頃、君を追いかけた」の主人公たちが通う高校のシーンで、この校内アナウンスが出てきます。
ジェイ・チョウは1979年生まれなので、1990年代に高校生活を過ごしていますが、もちろんこの映画の舞台となった高校にジェイが通っていたわけではなく、制作側の遊び心です。映画開始から20分くらいのところでこのシーンが入ります。どうぞお見逃しなく・・・!
■周杰倫(ジェイ・チョウ)「三年二班」(アルバム『葉恵美』に収録)

【おまけ1】柯震東の広告
主役を演じた柯震東(クー・チェンドン)はほぼ新人でこの映画の主役に選ばれ、一躍人気スターに。大陸でも多くのCMに出ています。今までだったらRainとかウーズンがやっていそうな広告を柯震東がやっています。
■ガムStrideの広告。このCMは中国で大量に流れています。

■ニベア男性向け洗顔料。

また、2013年には映画『小時代』(Tiny times)に出演。参考:本ブログ過去ログ
【おまけ2】映画テーマソング(エンディングに使用)「那些年」(あの頃)を歌うのは、1990年生まれの男性歌手胡夏(フー・シャー)です。台湾のボーカルオーディション番組「超級星光大道」第6期(2009年~2010年に放送)で優勝しデビュー。ソニーミュージックと契約。台湾のテレビ番組で有名になりましたが、中国広西省の出身です。
テーマソングも大ヒットし、カラオケ必唱曲になりましたがなかなか上手く歌える人はいないです。作詞は、原作者であり監督である九把刀(ジョーバーダオ)、作曲は日本人の木村充利さんです。
■胡夏アルバム「燃点」

「あの頃、君を追いかけた」 観てみたいです。
ところで五月天ですが、「僕は阿信というのですが、おしんは中国語では“阿信”と訳されていて・・・・」というトークを雑誌のインタビューで本当にやっていました
昔ながらの下町も、「今」として活気がある・・・それがアジア~な魅力ですよね。
もう今では皆無に近いかもしれませんが、昔の(田舎の)日本の商店街にはプロの看板屋さんが手描きで書いた、お店の名前の看板が並んでいましたね。台湾は簡体字を使っていて、字体も明朝体で何となく似ているので、それだけで懐かしい気持ちをさそいました。
でも、台湾も随分変わったし、ローカルな部分が寂れたところもあります。
台湾人も東京の下町的な場所を旅するのが好きで、「谷根千」(谷中、根津、千駄木)は台湾人にとって東京の定番スポットです。あと江ノ島とかも人気ありますね。和風のものは、彼らにとっても懐かしい何かを感じるのかもしれません。
「あの頃、君を追いかけた」は主演の柯震東がかっこいいです
めざましで紹介されて見たかった作品です。
明日、水曜日なので見に行く予定です(笑)
楽しみです。
柯震東はちょっと韓国俳優っぽい雰囲気あります。どう思われるか気になります!
ロリポップの傲犬も出てますよ。ヒロインはミシェル・チェンです。台湾ドラマで時々見たことがあると思いますよ~
それにしても台湾人は若く見えます・・・!!
最後の結婚式でのシーンと過去がフラッシュバックするあたりの盛り上がりに胸がいっぱいになり、泣きそうになりました。
全く世代が違うんですが、気持は共有できました。
笑う場面もたくさんあり、エッチ満載ですが、楽しく見る事ができました。
主演の柯震東くんは凄いハンサムではないのですが、魅力的な俳優さんだと思いました。
他の作品も見たいです(91ラインなんですね!若い!)
ミシェル・チェンと8歳も違うようには見えませんでした。
彼女はレイニーのドラマで見たことがありました。
阿姐さんのおかげで下準備をして見る事が出来て良かったです(笑)
学友やエアサプライに90年代の自分を思い出してました。
ラストがいいですよね。柯震東ならではのラストの演出です
柯震東はほぼ新人であの映画に出てます。
この映画が公開されたのは2011年ですので、20歳くらいでデビューしたかんじになりますね。最近中華圏では若い俳優が出てこないので、ものすごく人気が出ましたよ。この映画の演技は素っぽいかんじがしますが・・・
ミシェル・チェンはけっこう実績があるドラマ女優なのに、よく高校生の役が回ってきたな、、と思いました。でも、ミシェル・チェンの方が先に配役が決まってたみたいですね。