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中国配信ドラマ「鎮魂」が大ヒット~BL・耽美から“兄弟情”へ

2018年07月17日 | エンタメの日記
6月から大手動画サイトYoukuで配信されているドラマ「鎮魂」が大ヒットしています。
このドラマの原作は、2012年から2013年にかけてネット小説サイト「晋江」(晋江文学城)で連載されていた同名の小説です。
原作小説は、ジャンルでいうと「耽美SFバトルファンタジー」です。



配信期間:2018年6月13日~ Youku独占配信 話数:全40話、1話約45分
原作:Priest 主演:朱一龍、白宇

7月16日時点での再生回数は第1話が約2億回、配信済みの38話の合計再生回数は約20億回です。
この数字は、メジャードラマの大ヒット作と比べるとやや落ちる数字ですが、ネット配信ドラマとしては上出来の数字です。

ストーリー:人類と人類外の者(地星人)との共存バランスが崩れはじめる中、平和を維持するために戦う人々のお話です。
地星人の絡んだ事件を扱う「特別調査局」の局長・趙雲瀾とその仲間たち(猫や蛇に変身するキャラもいる)が、さまざまな事件を解決していくうちに、最終的に真の敵にたどり着くという物語です。


MARVELの世界観を中国風に置き換えたようなかんじで、特撮CGを多く使用しているので、ちょっと間違えば非常に滑稽なドラマになってしまうところですが、主役の二人が演技力でカバーしています。
主役を演じる二人は、これまでそれほど注目されていなかった俳優で、「鎮魂」が出世作になりました。

左:生物学専門の大学教授・沈巍(俳優:朱一龍)右:特別調査局の局長・趙雲瀾(俳優:白宇)


特に、若き大学教授かつ影のスーパー異能力者という突飛な役を、朱一龍が完璧に演じきっているのが圧巻です。
ネットドラマということもあり、作りがやや雑で、つっこみどころ満載のドラマですが、その分主役二人のルックスと演技が際立ちます。
ちなみに原作ではメガネが攻でヒゲが受です。前世とかも絡んでいます。




物語の主軸となる「4つの聖器」のひとつ。4つの聖器がひとつに集まると強大なパワーを発揮する。という設定です。


主役の二人以外のキャストは、全般的に大雑把なキャスティングで、ちょい役はスタッフが兼任してそうな雰囲気ですが、サブキャラの中にも味のある演技をする役者さんがいます。

原作小説が連載されていた「晋江」は、伝統的に耽美小説が多く連載されていたサイトです。
耽美小説なので、男二人が主役でヒロインは存在しません。

中国では2016年に「逆襲」「上瘾」(Addicted)「双程」など、一連のハイクオリティな実写BLドラマがいっせいに花開きました。
しかし、一瞬のうちに当局により配信禁止になりました。
「上瘾」「逆襲」など配信禁止になった作品に対する措置は厳しく、出演俳優が雑誌インタビューなどを受けるときでも、作品タイトルが伏せられるほどです。
「鎮魂」は原作は完全にBLですが、BLドラマは今の中国ではNGなので、BL要素を“兄弟情”つまりブロマンスに置き換えています。
ただしキャラクター的にはできる限り原作に近づけるよう、並々ならぬ努力が払われています。そして何といっても、俳優の演技力とルックスのクオリティが高いです。

中国はドラマ・映画俳優の人材が非常に豊富です。さらに「中国のエンタメ産業はまだ飽和状態ではない」と認識されているので、次から次へと新しい俳優が出てきます。
作品に恵まれれば、活躍できる素質のある人材がまだまだいるので、ネット小説を中心に魅力的な原作の発掘が異様な熱意をもって進められています。
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