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中国芸能ベンチャー 坤音娯楽(QIN'S ENTERTAINMENT)×BC221 ONERデビュー

2018年05月13日 | エンタメの日記
2018年冬季バラエティ「偶像練習生」(Idol Producer)が終了し、上位9名に入った練習生が「NINE PERCENT」としてデビューしました。
この番組は、韓国Mnetで2017年に放送された「プロデュース101」をテンプレートとしており、異なる事務所に所属する約100名の男子アイドル練習生が参加します。よって、グループデビューする9名の所属事務所もバラバラです。
「偶像練習生」には、31の芸能事務所+8人の無所属の練習生が参加しました。練習生個人の競争であると同時に、事務所同士の戦いでもあります。

グループデビューできる上位9名の中に1人も入らなかったにもかかわらず、それ以上の注目を集めているのが坤音娯楽(QIN'S ENTERTAINMENT)所属の4人です。4人は「ONER」というグループ名で、雑誌やテレビ・配信番組に出まくっています。

もともと「BC221」をグループ名にしていましたが、「偶像練習生」終了以降「ONER」という名前を使うようになりました。


左上:卜凡 KATTO  右上:岳岳 PINKRAY  左下:木子洋 KWIN  右下:灵超 DIDI


■ リーダー 岳岳 (ユエユエ) 本名:岳明輝。1992年7月11日生まれ 身長183cm 北京出身「偶像練習生」最終順位27位
航空工学の有名国立大学である南京航天航空大学卒業、英グラスゴー大学の大学院に留学という異例の高学歴。24歳になってから本格的にアイドルを目指したことで、年齢をよくいじられています。
左腕や胸にかなり大きいタトゥーがあります。最近の動画ではタトゥーにモザイクがかけられていて、今後どうするつもりなのか気になります。

■ 木子洋(ムーズヤン)本名:李振洋 1994年4月21日生まれ。山東省出身。身長188cm、体重68kg。「偶像練習生」最終順位22位。
芸名の木子洋は本名の一部をもじったもの。「李」という漢字を分解すると「木子」になります。
服飾系の有名大学北京服装学院の「服装表現学科」つまり、モデル学科の出身。この大学のモデル学科は入学条件が非常に厳しく難関です。在学中からショーモデルとして活動することが多く、木子洋もDiorなど多くの有名ブランドのショーに出た経歴があります。
ショーモデルをやれるだけあって、肩幅が広くスタイルがいいです。爬虫類系の厭世的な顔立ちながら、温厚で人当たりがよく、すごく優しい話し方をします。ホストをやらせたら4人の中で一番成功しそうです。

■ 卜凡(ブファン)本名:卜凡凡 山東省青島出身。1996年4月13日生まれ 身長192cm。RAP担当 「偶像練習生」最終順位12位
4人の中で一番単独でもやっていけそうなのは卜凡だと思います。バラエティセンスがあります。
木子洋と同じく北京服装学院のモデル学科出身、現在休学中。身長192cmというのは普通の人の中にいると灯台のように大きいです。平均身長185cmの「ONER」の中にいるので、違和感なく溶け込めます。大柄ながら情に厚く繊細なハートの持ち主。イメージはスラムダンクの桜木花道。
木子洋と卜凡は、難関校のモデル学科出身だけあり、ポージングやカメラ写りが抜群にいいです。どんな変わった服でも着こなします。

■ 霊超 (灵超 リンチャオ)2001年1月9日生まれ 身長182cm、体重56kg。河北省出身。本名:李英超。「偶像練習生」最終順位15位。
まだ17歳で、4人の中で飛びぬけて若いので弟として非常に可愛がられています。当初は「憂いの王子さま」というキャラ設定でしたが、実際には3分以上じっとしていられないほど元気でハイテンションなので、キャラ設定が修正されました。写真よりも映像の方がキレイです。
系統的にいうと、元EXOのルハンに似ています。細身で子顔、高長身で色素が薄いです。

現状「ONER」はアルバムを出しているわけでもなく、代表曲もありません。「全員高身長でルックスのよい、キャラが立っているトークの面白い人たち」としかいえないのですが、彼らのミニバラエティやインタビュー動画などが、ものすごく面白いのです。
編集と戦略が舌を巻くほどよくでてきています。スポンサーや監督が見せたいものを撮っているのではなく、ファンが見たいものを作っているから面白いのです。

BC221 ONER TV 0506 | ONER生活日常 「偶像練習生」終了後に作られた日常動画。ファッション誌の撮影風景が多く収められています。



ONERはファッション関係の仕事を次々に受けていますが、中国の男性ファッション誌の服装センスは独特です。はっきりいって変な服が多いですが、着こなしているのがさすがだと思います。





常に卜凡×岳岳(卜岳)、木子洋×灵超(洋灵)の2人に分けてCP(カップリング)になっています。CPを意識的にやってるのは明らかなのですが、仲がいいのは確かだと思います。
 

坤音娯楽(QIN'S ENTERTAINMENT)の創業者・秦周懿(通称:秦女史)は若い女性で美人です。
ロンドンの大学院で金融学を専攻し、中国に帰国後エンタメビジネスで起業した・・・と紹介されています。

坤音娯楽(QIN'S ENTERTAINMENT)秦社長。4月6日配信の「偶像練習生」決勝戦に出演。


秦女史は、もともとアイドルは好きだったけれど、イギリス留学中にBIGBANGやSUPERJUNIORの海外公演の盛況ぶりをみて、芸能ビジネスを立ち上げる思いを強めたと記事に書かれています。
創業資金として、自ら約7千万円(480万人民元)を投じて事務所を設立し、自分でタレントの卵をスカウトして7人の練習生を集めたけれど、最終的に残ったのは現在「ONER」として活動している4人です。
20代である程度の資金を用意できることから、もともと裕福な家庭の出身だったと推測されます。しかし、7千万円では到底足らず、途中から他の出資者が加わり、4人をボーイズグループとして人前でパフォーマンスできるレベルに育てるのに、約1億6千万円(1000万人民元)使ったと語っています。そのほとんどは、レッスン料と宣伝に費やされたそうです。

人数で割って計算すると、タレントを1人デビューさせるのに、1500万円~2500万円かかる計算になります。
日本でもよく、タレントを育てるには最低でも1000万円かかるといいますが、中国では恐らく日本以上にお金がかかります。

報道によると、QIN'S ENTERTAINMENTは最近株式の10%を割当て、約5億円(人民元3000万元)の融資を受けたとされています。
つまり、会社の価値が日本円換算で約50億円(人民元3億元)と評価されたことになります。創業者の秦女史は約7千万円(480万元)を投じて起業したと語っているので、設立から2年で会社の価値が60倍以上になった計算になります。
「ONER」はまだアルバムを出してもいないし、曲がないのでライブをやる力もありません。
それなのに、彼らの「人気」のおかげで事務所の価値が60倍になりました。
「フォロワーが多く、今後もフォロワーが増加する見込みが極めて高い」ことは、ネット化が進んだ中国では異常な価値をもたらします。

「ONER」は5月20日に北京で初のファンミーティングを行います。「北京M空間」というライブハウス開催で座席数が少ないこともあり、発売から1秒でチケットが完売したそうです。


坤音娯楽 BC221 公式Weibo https://weibo.com/u/5460766524

発売から1秒で完売というのは嘘ではないと思います。

もともと自社サイトで販売するつもりだったのですが、アクセス集中とサーバー攻撃に遭い、予定どおり発売することができず販売方法と時間を当日変更しました。
その際に、どれだけのアクセスが集中し、問題解決するためにサーバーを何台追加したかのデータを当日のうちに公式Weiboで公開したのです。
やることがいちいち斬新で、何をやっても注目を集める存在になっています。

現政権のもと、中国の各分野の規制はますます厳しくなり、表現は自由とは言いがたく、比較的自由だったネットの規制も急速に進んでいます。
そんな環境の中でも、QIN'S ENTERTAINMENTのように、戦略力により頭角を現す人々がいます。それは中国の人口パワーのなせるわざでもありますが、波に乗って成功すれば巨額の富が手に入るという現実が、人々を奮い立たせるのだと思います。
コメント (5)
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