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ミュージカル「アポロニア」(ミア・ファミリア中国版)~Kミュージカルの中国進出

2022年08月29日 | エンタメの日記
ミュージカル「アポロニア」の上海8月公演を観てきました。この作品は韓国ミュージカル「ミア・ファミリア」の中国版で、2020年8月に上海初演が上演されて以来、現在に至るまでロングランを続けています。


ミュージカル「アポロニア」(中国語タイトル:阿波羅尼亜/阿波罗尼亚)韓国ミュージカル「ミア・ファミリア」の中国版。
原作脚本:Lee Hee-joon  音楽:Park HyunSuk  出品:Hong Company
上演時間:約120分(途中休憩なし)
上海常設劇場:上海星空間1号・一台好戯小劇場(住所:上海市漢口路650号亜州ビル4階。人民広場駅から徒歩3分)


チケット価格:カウンター席(ドリンク付):380元、コーナー席:380元(ドリンク付)、酒箱席前列:280元、酒箱席後列:200元
日本円換算:380元→7000円 280元→5200円  200元→3700円
現在の為替レートで円換算すると高めに出ますが、上海のエンタメ市場の相場からすると高い値段ではなく、リピーターが通える値段設定です。席数は100席強。


韓国ミュージカル(Kミュージカル)は2016年前後から少しずつ中国に輸入されていますが、2020年頃から演目ごとに常設劇場を設置するという手法が定着したことにより、上海ではちょっとしたブームになっています。
数ある演目の中で商業的に最も成功しているのがこの「アポロニア」(ミア・ファミリア中国版)だと思います。
「アポロニア」の常設劇場は、上海の中心地・人民広場エリアにある商業ビルの4階にあります。同じビルの1階、2階、5階、7階、11階も劇場になっており、「劇場マンション」と化しています。
作品の舞台が「アポロニア」という名前のバーなので、観客は作品世界の一部にいるような感覚で鑑賞できます。






Kミュージカルは作品の舞台が欧米など韓国以外であるものが多いので、歌詞やセリフが中国語化されていれば、観客は原版が韓国ミュージカルであるということをほとんど意識せずに作品を観ることができます。

「アポロニア」の舞台設定とあらすじ:
1930年代大恐慌下のニューヨークのバー・アポロニア。禁酒法のもとマフィアが横行し、アポロニアもマフィアの手に渡ろうとしている。アポロニアの役者・リチャードは観客との約束を果たすため、最後まで舞台をやり抜こうとするが、同僚のオスカーは結婚に逃げようとしている。アポロニア最後の日が近づく中、マフィアの一味・スティーブが店に現れる。スティーブは自ら持参した脚本をリチャードらに演じさせようとする。演者の数が足りずスティーブも巻き込んで3人で舞台を作ることになる・・・。
リチャードの舞台に対する執着、オスカーとのすれ違いと友情をベースに、よそ者・スティーブを加えた3人で、さまざまな劇中劇が展開されます。劇中劇はマフィアに関するストーリーで、女装がやたらに多いです。

中国人キャストは歌、芝居、ダンス、ルックスともに申し分ない実力です。特に、リチャードを演じたミュージカル俳優は若く美形で細身のスタイルで、女装がものすごくきれいでした
中国に輸入されるKミュージカルの多くは、基本的に演者が男性のみ、2名または3名など少人数の演者で構成されており、一つの役に複数のキャストが用意されており、毎日キャストが変わります。
劇場入口に掲示される「今日のキャスト」


リチャード役のキャスト  オスカー役のキャスト
  

つまり、女性リピーター客を取り込むことを想定しており、キャスト目当てで通うリピーターをどれだけ掴めるかが成功の鍵になります。
俳優と観客の距離は非常に近く、カウンター席に座れば、その距離はわずか1メートルほどです。
私が観た回も、カウンター席で観ているお客さんの大半はリピーターのようでした。フィナーレには撮影可能タイムが設けられており、あれだけ近距離にいるのに一眼レフカメラを構えて撮影している女性客が多かったです。


現在、多くのKミュージカルが中国に上陸しており、一種のブームになっています。しかし、すべての演目が興行的に大成功するとは限りません。
現在上海で上演中のKミュージカルは以下の演目がありますが、長期公演で平日でも満席にできる演目は多くはありません。
「ミオ・フラテッロ」(中国版タイトル:「サンタルチア」)
「天使について~堕落天使編~」(中国版タイトル:「堕落天使」)
「銀河鉄道の夜」(韓国版)(中国版タイトル:「銀河鉄道之夜」)
「ザ・フィクション」(中国版タイトル:「小説」)
「ブラックメリーポピンズ」(中国版タイトル:「水曜日」)※10月から成都。

このようなモデルの公演では、お客さんはキャスト目当で通うはずです。
そうなると、出待ちなどのときにキャストにプレゼントを渡したり、連絡先を交換し合っているのではと想像していたのですが、意外とそんなことはなく、秩序が取れた健全な現場でした。
公演終了後、約15分ほどでキャストが正門から出てきます。
出待ちをしているお客さんはかなりいましたが、遠巻きに見送るだけで、キャストに近づいたり、追いかけたりするファンはおらず、独特の雰囲気の中でマナーが守られていました。
キャストの1人は電動バイクで通勤しているようで、もらったお花を電動バイクに乗せてすぐに帰っていきました。
もう一人のキャストには、すごくスタイルの良い目立つ女の子がテイクアウトしたドリンクのようなものを渡して、やや親し気に話をしていました。
一瞬彼女かな?と思いました。まさか、堂々と彼女と一緒に帰るのか?と思いましたが、さすがにそうではなく、キャストは一人で帰っていきました。
正直、出待ちなどの場でキャストがもっとファンサービスをしているものと思っていました。
もちろん、2020年の初演から2年も経っているので、いまのような秩序ある状態になるまでには紆余曲折があったかもしれません。
コメント (4)
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