上海阿姐のgooブログ

FC2ブログ「全民娯楽時代の到来~上海からアジア娯楽日記」の続きのブログです。

アニメ、漫画、ゲーム展示会 上海CCG EXPO2020(2020年7月16日〜20日)無事に終了

2020年07月21日 | エンタメの日記
毎年7月に上海で開催されるアニメ、漫画、ゲーム展示会「CCG EXPO」が無事に終了しました。
開催期間:2020年7月16日〜20日(5日間) 会場:上海世博展覧館 公式サイト:http://www.ccgexpo.cn/
公式発表によると、5日間の入場者数は82954名です。昨年ののべ入場者数が約24万人だったので、昨年の3分の1だったことになります。
現在、コロナウィルス対策として、座席のある劇場等は「定員の30%までしか観客を入れてはいけない」、美術館や観光地などは「通常時の30%以内に入場者数を抑えなければならない」という「30%ルール」を守らなければなりません。
CCG EXPOの場合、昨年の統計入場者が約24万人で今年が約8万人だったので、ちょうど30%に収まったことになり、作為的なデータのような気がしないでもないですが、実際行ってみたところ例年の30%くらいの客入りかな、という気がしました。



7月18日(土)にCCG EXPOの会場に行きました。
入場時は、過去14日間の移動履歴を確認する「健康コード」の提示、実名登録確認、身分証提示などのプロセスがありますが、来場者数が多くないので、チェックのために混み合うということはありません。
「マスクを着用し、1メートルの間隔を空けてください」と注意書きがありますが、私が行ったときは並ぶほどの来場者はいませんでした。


入場ゲートには、セキュリティチェックと同時に体温測定もできる機械が導入されています。青く光っているディスプレイに体温が表示されます。


今年の主な出展企業は、バンダイ(バンナムグループ)、DeNA、天聞角川、ANIPLEX、GOOD SMILE COMPANY、MAGAHOUSE、テレビ東京、HOT TOYS、テンセント動画(腾讯视频)、艾曼、幕星社、盛趣遊戯などです。


例年よりは開催規模は小さく、アニメイト、Media Link(羚邦)、MUSE(木棉花)、閲文集団、MARVEL、bilibili動画などは出展していませんでした。KOTOBUKIYAは物販はなく、展示のみの参加でした。
中国ゲーム会社の出展が少なかったため、相対的に日系の割合が上がっていました。

例年に比べると入場者は明らかに少なく、会場は空いていました。ですが、予想していたよりは活気があると思いました
入場者数が例年の3分の1以下なので、主催者や出展舎にとっては厳しい状況かもしれませんが、一般来場客の立場からいうと、空いてるので有り難いたいというか、良いイベントだったのではと思います。
はっきりした目的があって来場した人の割合が例年より高いのではと思います。例えば、限定品が買いたい、新発売のグッズが買いたい、行きたいサイン会がある、見たいイベントがあるなどです。

入口の真正面に位置するブースは例年どおりGUNPLA EXPO2020上海。ガンダム40周年関連の展示など。


ガンプラ組立ブース。ガンプラは限定品の販売があるので、相変わらず物販コーナーは並んでいます。


仮面ライダーゼロワン。中国ではテンセント動画(腾讯视频)で、日本語版と中国語吹替版が同時配信されています。昨年の「仮面ライダージオウ」から中国正規同時配信が始まっています。


変身ベルト、グッズの販売。ゼロワンとバルカンのツーショット握手会あり。


ANIPLEX。主にFGOと鬼滅の刃のグッズをメインに販売していましたが、鬼滅の刃のグッズの完売が目立ちました。




DeNA スマホゲーム中国版スラムダンク 3対3対戦イベント。ギルティクラウン、幽遊白書、食戟のソーマなどのスマホゲームをリリース。




バンナムトイズ&ホビー上海 中国向けに展開されている「十二支ガンダム」の鼠年版。 大河原邦男デザイン。


2019年に公開され大ヒットした中国3Dアニメ「哪吒之魔童降世」(Ne Zha)との合作フィギュアなどを展開。


PlayStation、XBOXのテストプレイコーナー。PlayStation「ソードアートオンライン」、「ワンパンマン」など。


SNKの「侍魂 暁」(日本名:SAMURAI SPIRITS)のPS4版。XBOX版もありました。


天聞角川 ライトノベルの中国語版のほか、キャラクターデザイン、公式資料本が人気です。「魔道祖師」のグッズは天聞角川が出しているグッズのクオリティが高いと思います。


幕星社(MOSSPACA STUDIO) 中国でカリスマ的な人気のある漫画家、坛九、old先のサイン会。「幕星社」は作家自身が運営するスタジオです。




7月18日、自分がいた時間帯に一番混んでいたのは、恋愛系スマホゲーム「恋とプロデューサー」(中国語名:「恋与制作人」)のグッズ販売に並ぶ列でした。


このゲームはビジュアルのレベルが高く、ストーリーも面白いのですが、少なくとも中国版は課金なしでやり続けるのは相当の根気と時間が必要だと思います。


中国アニメ「羅小黒」シリーズのブース。2019年に公開された映画「羅小黒戦記」(ロシャオヘイセンキ、罗小黑战记)は中国2Dアニメの目覚ましい進歩が見られ、高い評価を受けました。


来週7月25日、26日は同人・コスプレイベント「COMIC UP26」、その次の週末はゲームショー「CHINA JOY」、更にその翌週は、bilibili動画のオフラインイベント「BILIBILI WORLD」が控えています。
コロナウィルスの影響でイベントは大きな打撃を受けています。来場者数を制限されることは、イベント開催側にとっては大きな痛手です。
例年と比べると随分控えめなCCGでしたが、会場の雰囲気は悪くなかったです。今回のCCGに足を運んだ来場者は、具体的な作品・コンテンツのコアなファンなのだと思います。
夏だから、賑やかだから、とりあえず来た、といった、勢いで来場するお客さんが減って、本当に好きな作品やコンテンツがある人が集まっているという感じがしました。
コアなファンにとっては、それほど並ばずに目当てのものが手に入り、よいイベントだったのではと思います。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2020年異例の高評価サスペンスドラマ『隠秘的角落』~中国演技派ドラマ子役の出現

2020年07月18日 | エンタメの日記
動画サイトiQiyi(愛奇芸)配信のサスペンスドラマ『隠秘的角落』が大変話題になっています。配信スタート以来、異例の高評価を獲得しています。

タイトル:『隠秘的角落』(意味:秘密の片隅) 英語タイトル:『The Bad Kids』
原作小説『壊小孩』(意味:悪い子ども) 原作者:紫金陳
形態:ウェブドラマ 配信:iQiyi(愛奇芸)独占配信 配信開始日:2020年6月16日 全12話(完結)
出演:秦昊(チン・ハオ)、王景春 子役:栄梓杉、史彭元、王聖迪
追記:2021年1月21日よりWOWOWで日本放送。日本語タイトルは「バッド・キッズ 隠秘之罪」公式サイト:https://www.wowow.co.jp/detail/171862


舞台は2005年、高度経済成長期にある広東省の港湾都市。主人公の朱朝陽(ジュー・チャオヤン)は中学1年生の男の子。両親は離婚し母親と二人暮らし。質素な暮らしをしているが成績優秀で期末テストでは学年1位。特に数学が得意。ある日、小学校の同級生だった厳良(イェン・リャン)が幼い女の子を連れて「かくまってほしい」と訪ねてくる。思いがけず、福祉施設を飛び出してきた2人と夏休みを過ごすことになる。3人はある日、登山コースで自分たちが歌っている動画を録画する。家に帰って何気なく動画を再生してみると、偶然殺人現場が動画に映り込んでいることに気付く。殺人犯と3人の子どもたちとその家族、学校、職場、家庭、ごく普通の日常の中で殺人が進行するという心理サスペンスドラマです。

Trailer: The Bad Kids 隐秘的角落| iQIYI
https://www.youtube.com/watch?v=4X0zYbf1pYQ

「隐秘的角落」公式微博
https://weibo.com/u/7223927377

2005年の広東が舞台で、登場人物はシンプルな携帯電話を使いこなしています。すでに成功者と経済弱者の格差が生まれています。主人公が暮らす旧市街区は様々な不平が鬱積する場所でありながら、いまはもう見られなくなった人間的な生活臭にあふれており、2020年に生きる視聴者を強く引き付けます。
近年の中国ドラマの映像レベルが飛躍的に向上した理由の一つは、ドローンカメラ撮影の普及です。『隠秘的角落』でも要所要所でドローンカメラの活用が見られます。

脚本が非常に緻密に作られており、最後まで見終わってからもう一度1話から見直すと、様々な伏線が織り込まれていることに気付きます。最後まで緊張感が途切れることがありません。出演者全員演技派ですが、特に子役3人は天才的です。

栄梓杉(荣梓杉)2006年2月3日生まれ、現在14歳。四川省出身。2015年から子役・モデルとして芸能活動をしています。
彼が演じた主役の少年朱朝陽は、ドラマの中で中学1年生から2年生になります。


史彭元 2005年8月16日生まれ、遼寧省出身。
彼が演じた厳良は、福祉施設で暮らす14歳という設定です。常にノースリーブの服を着ています。


王聖迪(王圣迪) 2010年7月30日生まれ、現在10歳、ドラマ撮影時は8〜9歳です。
少女・普普は、両親を亡くして厳良と同じ福祉施設で暮らしているという設定で、劇中では明確な年齢が示されていません。


数学教師、張東昇を演じた秦昊(チン・ハオ)。明らかな異常性と、やけに平凡な面を合わせ持つ人物。「君は童話を信じるか?それとも現実を信じるか?」というセリフがキーワードになっています。


いわゆる義務教育年齢の子どもが、ドラマの主役として登場するケースは珍しいです。
しかも、ホームドラマでもなく、誰かの子ども役、孫役といった付属的な位置づけでもありません。サスペンスドラマの中で、独立した人格と意思を持つ人間を演じています。
監督・制作スタッフは、2000人の子役の中から選んだといいますが、子役のレベルの高さに驚かされます。子どもたちは、純粋な眼差しで、背筋の凍るような闇と毒を含んだ演技をします。
子役の選定には苦労したといいますが、中国芸能界の子役のレベルが上がったと言わざるを得ません。
最近は、子役出身で、そのままスター俳優・女優に成長するケースが中国でも見られるようなっています。
その代表例ともいえるのが、呉磊(ウー・レイ)です。
呉磊(ウー・レイ):1999年12月26日生まれ 上海出身、成都育ち。幼少期からモデル、子役として活動。
2015年に放送され社会現象にもなったドラマ『琅琊榜』(ろうやぼう)で、若き護衛・飛流を演じて注目を浴びました。主人公・梅長蘇(胡歌)と絡むシーンはとりわけ人気が高く、視聴者を圧倒させる美少年ぶりでした。




『琅琊榜』が撮影されたのは2014年前半だったので、逆算すると、呉磊は14歳のときに『琅琊榜』の撮影に参加していたことになります。その後、スムーズに名門国立演劇大学である北京電影学院に進学し、スター街道を歩んでいます。現在身長は182㎝、ドラマや映画の主役を演じるスターに成長しています。

呉磊(ウー・レイ)の成功によって、「義務教育中の年齢から芸能界に身を置き、そのままスターになる可能性もある」というロールモデルが示されました。
「第二の呉磊になれるかもしれない」と希望を持てることは、子役の総数を増加させる要因になっているのではと思います。

呉磊 2019年3月からメイベリンニューヨークのイメージキャラクターに就任。他にも数えきれないほどの商品・ブランドの代言をやっています。


なお、いわゆる子役出身で、大人の俳優・女優として成功した代表例は、張一山(チャン・イーサン)と楊紫(ヤン・ズー)です。
この二人は、2005年から4シリーズ制作された国民的ホームコメディ『家有児女』にメインキャストとして出演していました。


ドラマの中では薄幸で陰鬱な役柄を演じた3人の子役ですが、実生活では快活でポジティブな2020年の子どもたちで、そのギャップにも驚きます。栄梓杉はかなり背が高くなりそうな感じがします。
『隐秘的角落』が大ヒットした、栄梓杉と史彭元。ファッション雑誌「BAZZAR」のカバーフォト。
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

コロナ対策下で上演されたミュージカル「マイ・バケットリスト」中国語版の上海公演

2020年07月13日 | エンタメの日記
2020年7月現在、中国では日常的な生活はほぼ通常のペースに戻っていますが、エンタメイベントは「観客を定員の30%以内とする」等の感染予防ルールを遵守しなければならないため、公演の再開ぺースは遅いです。映画館はいまだに再開されず、アリーナクラスのコンサートは年内の開催は難しいのではと言われています。
そんな中、6月頃からエンタメ公演としては比較的早く再開を果たしているのが演劇とミュージカルです。
先日、上海文化広場で上演されたミュージカル「マイ・バケットリスト」を観てきました。


「マイ・バケットリスト」の原版は韓国ミュージカルで、2014年の韓国初演以降、何度もキャストを変えて再演されています。2017年以降は日本でも上演されています。
登場人物は少年2人のみというコンパクトなミュージカルで、様々なキャスト・組み合わせで上演されており、K-POPグループのメンバーも多くキャスティングされています。

2017年に上海で中国人キャストによる中国語版で上演されました。2020年7月の上海公演は中国版の4巡目の公演と言われており、これまでに多くの都市で上演されている人気作です。

ミュージカル「マイ・バケットリスト」中国語タイトル「我的遗愿清单」(我的遺願清単)
上演期間:2020年7月7日〜12日(全8公演) 会場:上海文化広場  チケット:380元/280元/180元/80元
キャスト:ヘギ(中国語版の役名は”劉宝”):方書剣、周可人、張博俊
カング(中国版の役名は“楊暁宇”):丁輝、張智涵、周継琛


この中の、方書剣、張博俊、丁輝は湖南テレビのミュージカル男性歌手のオーディション番組「声入人心」に出場していました。
ヘギ(劉宝)役のメインキャスト、方書剣。1998年生まれ、上海音楽学院在学中。カング(楊暁宇)役メインキャスト、張智涵。1995年生まれ、上海音楽学院卒。


ストーリー:余命宣告を受けた少年(ヘギ)と不良少年(カング)が、ヘギの「生きているうちにやりたい100のこと」を実現させるため、ときに衝突しつつ、生きる意味を見つけていく、というストーリーです。登場人物は主役の少年2人のみで、歌、演技、ダンスがバランスよく配分されたミュージカルです。

中国版のキャストは、ボーイズグループのメンバーや若手俳優ではなく、国立音楽大学で声楽・ミュージカルを専門に学んできた歌手が演じています。
本格ミュージカルの歌唱法で表現しているせいか、かなり真面目な演出になっていると思いました。
主役の二人は元同級生の「少年」という設定ですが、中国キャストの場合、ファッション、表情、仕草などが少年らしさに欠けるような気がしますが、歌唱力は高く、スタイル・ルックスは良いしダンスも上手いです。キャストの実力・芸風からすると、ポップな演目よりも古典ミュージカルの方が合っているように思います。

会場の「上海文化広場」は2016年6月に再建されたミュージカル・演劇専門の劇場で、上海市にある劇場施設の中では非常に設備の整っている劇場です。

まず、入口で、中国政府がビッグデータをもとに個人の移動履歴をチェックする「健康コード」を提示します(感染発生地域に行っていないことを証明するため)。同時に、劇場側が行う実名制オンライン登録を完了させたかをチェックします。




次に、入口でチケットをスキャンします。電子チケット(QRコード)形式になっています。スクリーンショットにより保存できない「動的QRコード」を採用しています。マスク着用が必須のため、入口で5枚10元(約160円)で使い捨てマスクを販売しています。マスク価格はかなり良心的です。地下鉄ではマスク着用が必須なので、マスクを持参していない人はほとんどいないと思います。


定員の30%しか観客を入れてはいけないため、一列ごとに空席を作り1席ずつ間隔を空けています。観客席は2010席ありますが、3分の1しか観客を入れないと、かなり閑散とした雰囲気になります。熱気には欠けるし、観客が立てる小さな音まで響いてしまいます。
2階席から見た客席:


1席ずつ間隔を空けるため、使用しない席にはテープが貼られています。テープに書かれた文字は、このミュージカルのテーマ・メッセージである「どんなことでもまだ実現できる!」。


使用しない列は立ち入りできないようにされています。


上海文化広場は公式Weiboでも、劇場側がコロナウィルス予防のため様々な対策を講じている様子を細かくアップしています。
https://weibo.com/shculturesquare

ここまでの対策ができる恵まれた条件を備える劇場はごく少数です。設備の整わない古い劇場や小さな劇場は、コロナ対策基準を満たしつつ商業公演を打つことは人的な面でも資金的体力の面でも難しく、演劇・ミュージカルの世界全体をみると依然として厳しい状況が続いています。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする