上海阿姐のgooブログ

FC2ブログ「全民娯楽時代の到来~上海からアジア娯楽日記」の続きのブログです。

“肖戦(シャオジャン)所属グループ”「X玖少年団」(X9(エックスナイン)少年団)とそのメンバーの現在

2021年01月20日 | エンタメの日記
中国ドラマ「陳情令」の主役を演じて一躍人気俳優となった肖戦(シャオジャン)は、もともとボーイズグループ誕生企画番組の出身です。
番組で結成されたグループは「X玖少年団」(X9(エックスナイン)少年団)といいます。
過去記事:9人組の中国ボーイズグループ「X玖少年団」

グループとしての「X玖少年団」は現在具体的な活動をしていません。
そもそも活動自体が少なかったので、「X玖少年団」に関する情報も少ないと思います。
ただし、肖戦の公式Weiboのアカウントが今も「X玖少年団肖戦DAYTOY」となっているように、グループ自体は存続しています(解散はしていない)。
(9人のメンバーのうち、陳澤希が2020年9月に正式に脱退)

2017年4月2日に開かれた「X玖少年団「以己之名」上海1stコンサート」は今になって思えば貴重なイベントでした。(過去記事

公式グッズとしてTシャツなども販売されました。いまではレアアイテムです。(写真:2017年4月2日撮影)


2017年当時、肖戦の人気はグループの中でも真ん中くらいでした。ボーカル担当でダンスはやや苦手そうでした。




当時から「X玖少年団は逸材が揃っているのにもったいない」と言われていました。
グループ結成後、活動が軌道に乗らなかった理由は、
・オーディション企画番組から出てきたため、番組制作各社の利権争いに足を引っ張られた。
・グループアイドルを選ぶことはできても、グループをプロデュースするノウハウがなかった。
・メンバーの年齢のばらつきが大きく、年少メンバーの進学問題にぶつかった。
などと言われています。

グループ活動がままならない中、肖戦はその並外れたルックスによってドラマ出演のチャンスを掴み取りました。

肖戦以外のメンバーも、それぞれ芸能活動を続けています。
リーダー伍嘉成は主にバラエティで積極的に活動しています。
谷嘉誠と郭子凡は俳優としてドラマに出演。
彭楚粤、夏之光、趙磊、焉栩嘉の4名は、グループ誕生サバイバル番組「創造営2019」に参加し、焉栩嘉、夏之光、趙磊の3名はデビューメンバーに選ばれました。3人は現在も「R1SE」の一員として活動しています。
デビューメンバーから外れた彭楚粤も歌手、俳優として活動しています。

11人グループ「R1SE」2021年1月1日に公式Weiboにアップされた写真。リーダーの周震南が圧倒的に人気があります。個別の活動が多く、比較的スキャンダルの多いグループです。


「創造営2019」は「PRODUCE 101」の中国男性アイドル版に相当する番組で、「R1SE」は2年間の期間限定グループです。
「R1SE」は2019年6月に結成されたため、2021年5月には活動期間を終える予定ですが、現状からみると「X玖少年団」が再びグループ活動をする可能性は低いと思います。

サバイバル番組でグループメンバーを選ぶプロセスはドラマチックで刺激的です。
しかし、いざグループが結成され、活動を始めてみると「なぜグループでなければならないのか」という根本的な問題にぶつかります。
中国(本土)芸能界には「グループアイドル文化」があまり根付いていません。協調性、団結といった概念が日本ほど重視されておらず、個人間の競争が激しい中国では、チームで行動するということ自体があまり馴染まないのかもしれません。

なお、「X玖少年団」のメンバーは、グループ誕生のオーディション番組をプロデュースした芸能事務所「天娯伝媒」(EE-Media)の所属でした。しかし、「天娯伝媒」の代表プロデューサーである龍丹妮(ロン・ダンニー)が「天娯伝媒」を離れ、新会社を設立したため「X玖少年団」のメンバーも新会社「哇唧唧哇娯楽」(WAJIJIWA Entertainment)の所属となっています。「R1SE」もWAJIJIWAの所属です。
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中国戦争映画『八佰』~2020年世界映画市場の興行収入トップに

2021年01月14日 | エンタメの日記
先日2020年度の中国映画興行収入が公表されました。
中国では2020年1月24日からコロナウィルス流行拡大により映画館が全国一斉休館となり、映画館が再開されたのは7月20日です。つまり、2020年は約6ヶ月しか映画館か稼働できませんでした。
公表されたデータによると、2020年の中国映画興行収入は約204.17億元(約3250億円)です。これは前年の約30%にあたる数字です。
2020年の世界各地の映画市場は「前年の約30%程度に落ち込んだ」と言われています。
日本では『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の大ヒットがありましたが、映画業界全体の興行収入をみると、最高額を記録した2019年の2611憶円の35~40%とみられます。アメリカは特に大きなダメージを受け、北米映画市場は前年比の約18%まで落ち込みました。

北米のダメージが大きかったこともあり、コロナウィルスが世界的に流行する2020年に中国映画市場が北米を抜いてトップに立ちました。

2020年の中国映画市場の特徴は、ランキングTOP10の作品がすべて中国映画であることです。
これは、日本も同じで、上位を占めたのはほとんど日本映画です。ハリウッド大作映画が公開を延期したことが影響しています。

2020年興行収入1位となった映画は『八佰』という中国映画です。
『八佰』(The Eight Hundred) 147分 興行収入31.09億元(約490億円) 2020年8月21日公開
監督:管虎 主演:黄志忠、欧豪、王千源、姜武



第二次世界大戦中の1937年上海、第二次上海事変(淞滬会戦)の最後の戦役といわれる「四行倉庫の戦い」(当時の四つの銀行の倉庫)を描いた作品です。当時の上海は欧米列強がひしめく租界が置かれ、四行倉庫は租界と川一本隔てたところにある倉庫でした。上海が陥落しかける中、本当は400名余りしか兵士がいないのに「800人の兵力がある」と敵に偽り抵抗を続けた「八百の壮士」の逸話(謝晋元等八百壮士)がもとになっています。
しかし、映画では1937年とは思えない荘厳な屋外セットに異様な火力の武器が投じられ、クセの強い個性的な兵士が多数登場する派手でキッチュな戦争映画となっています。ドラマチックに仕立てるために様々な描写がデフォルメされていると感じます。
プレミアム試写会で鑑賞した大人たちの中には映画の誇張された描写に疑問を呈する人も多かったのですが、いざ全国で一般公開されると、若い世代に非常に歓迎され、予想を大幅に上回る興行収入を記録しました。







現代の観衆を飽きさせないためには、最新の撮影機材と技術を駆使し臨場感あふれる激しい戦争シーンを作り、ドラマチックかつスピーディに話を展開させる必要があります。

中国では最近、過去の出来事・歴史を当時の条件そのままに描くのではなく、いまの価値観と美意識で解釈しなおす映画が目立ちます。
また、「中国人としてあるべき精神」を表現して観衆を感動させることが優先されるため、事実との合致は二の次とされる傾向があります。
一方で、最近の中国映画は莫大な制作費とハイテク機材、美しい俳優・女優を大量に投入するため、視覚的には非常にハイレベルの作品が出来上がります。

2020年は世界中の映画市場がコロナにより打撃を受けたため、この『八佰』が2020年世界映画市場の興行収入1位の作品となりました。

実は、映画『八佰』は公開にこぎつけるまでに非常に苦労した作品です。
撮影が始まったのは2017年9月、2018年4月末には撮影終了していたのに、政治的、社会的な問題にぶつかりなかなか公開することができませんでした。結局1年以上公開が延びて、コロナ感染予防対策のため座席使用率の規制がある中、見切り発車的に公開されたところ、思わぬ大ヒットを記録しました。まさか『八佰』がこれほどの興行収入を上げるとは誰も思っていませんでした。特殊な条件が重なり、制作側の予想を遥かに上回る結果を出しました。

この現象は、日本の『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』にも共通する部分があります。
『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』は1年前に放送されたTVアニメ版の延長上にある映画で、よくある「ヒットアニメの劇場版」に過ぎなかったはずなのに、様々な条件が重なり歴代記録を更新することとなりました。

『八佰』の舞台となった「四行倉庫」はいまも存在します。
砲弾の撃ち込まれた壁が残されており、内部は博物館として一般公開されています。「八百の壮士」の逸話が当時の写真や新聞、彫像などで説明されていますが、博物館で表されている内容と映画『八佰』はかなり隔たりがあると感じます。
住所:上海市静安区光復路21号


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2020上海英雄“魂”展〜上海のウルトラマン&仮面ライダー展

2021年01月03日 | エンタメの日記
上海で開催された「特撮ヒーロー2020上海英雄“魂”展」に行ってきました。
ウルトラマンシリーズと仮面ライダーシリーズの映像作品の紹介、フィギュア展示、周辺グッズ・玩具販売のほか、キャラクターショーも開催され、ウルトラマンと仮面ライダーの世界と歴史、そしてニュージェネレーションに向けた意気込みが強く感じられる素晴らしいイベントでした。



上海 TOKUSATSU HEROES feat. TAMASHII NATIONS (通称:2020上海英雄魂展)
開催期間:2020年12月5日(土)〜2021年1月3日(日)
場所:龍湖上海虹橋天街モール
主催:上海新創華文化発展有限公司(SCLA)https://www.scla.com.cn/ バンナムグループ各社
料金:無料。一部の特別展示のみ有料。

会場はショッピングモール内にあり、大スクリーンも設置されており、ウルトラマンと仮面ライダーの映像が交互に流れています。


仮面ライダーシリーズは、2018年の「仮面ライダージオウ」からテンセント動画での正規同時配信が始まり、正式に中国進出しました。
2019年の「仮面ライダーゼロワン」、現在放送中の「仮面ライダーセイバー」ともに、日本語版と中国語吹替版の2バージョンで同時配信されています。旧作も正規版を視聴することができます。基本的に有料会員向けです。


仮面ライダーは昔から台湾での人気が高く、台湾・香港には成熟したファン層が存在します。中国大陸では「ジオウ」から本格的な展開が始まったといえます。
ウルトラマンシリーズと仮面ライダーシリーズは、SCLA(上海新創華文化発展有限公司)という会社が中国代理店として版権展開しており、SCLAが強い影響力を発揮しています。

「上海英雄”魂”展」の展示コーナーは、「特撮とは何か?」から始まり、ウルトラマンと仮面ライダーの歴代ヒーローがフィギュア、玩具(変身ベルト)等と合わせて紹介されています。


S.H.Figuartsの商品の中で売切れとなっていたのは、ウルトラマンベリアル、ウルトラマントレギア、ウルトラマンジャックの三つでした。中国でも悪役が人気のようです。


魂之工房(TAMASHII STUDIO PREMIUM)ウルトラマンゼロ-10年の軌跡- は中国でも「バンダイTmall旗艦店」で予約受付しています。
価格:8999元(日本価格の132,000円とほぼ同じ価格です)


ウルトラマンは色々な意味で「中国ローカル化」が非常に進んだコンテンツだと思います。
最も顕著なのが玩具です。ウルトラマンのキャラクター商品は、玩具、お菓子、衣服、日用品などが幅広く大量に生産されており、バンダイなどの日本メーカーの輸入製品ではなく、中国現地玩具メーカー生産なので値段が安いです。
ウルトラマンシリーズの中国代理店であるSCLA(上海新創華文化発展有限公司)の授権により、現地メーカーが生産しています。

玩具メーカー 森宝积木 http://www.semboblock.com/ の商品。


玩具メーカー 灵动创想 LDCX http://www.chinaldcx.com/ の商品。


ゲーム機「ウルトラマン フュージョンファイト!」(中国語名:奥特曼融合激战!)
ショッピングモール内のゲームセンターにもよく設置されており人気があります。


また「ウルトラマンカード」も現地メーカーの生産で安く手軽に購入でき、種類も豊富です。

ウルトラマンが中国に浸透する上で大きな役割を果たしたのが「ウルトラマンティガ」です。
中国版権代理店SCLAを通じて、2004年から「ウルトラマンティガ」は中国全国のテレビ局で放送され、高い人気を博したと言われています。
確かに、いま20代、30代の中国人から「子どもの頃ウルトラマンティガを見ていた」という声を頻繁に聞きます。そして現在も「ティガ」は非常に高く評価されています。なお、日本で「ティガ」が放送されていたのは1996年から1997年なので、中国とは放送時期にタイムラグがあります。

当時「ウルトラマンティガ」は中国語吹替版でテレビ放送されており、主題歌とエンディングも中国語版の楽曲があります。
テンセント動画の「ウルトラマンティガ」(中国語名:迪迦·奥特曼)は、中国語吹替版の再生回数が合計10.1億回となっています。(全52話)吹替版に対し日本語版の再生回数は798.9万回なので、中国語吹替版が浸透していることが分かります。

ティガを見ていた世代は大人になり、現在では「ウルトラマンZ(ゼット)」が子どもたちに人気です。


「ウルトラマンZ」はテンセント動画で「評価9.6」という高評価を受けています。
「ウルトラマンZ(ゼット)」中国語タイトル:泽塔奥特曼 全28話 2020年6月~12月放送。
配信プラットフォーム:テンセント動画、IQIYI、Youku、BesTV等の非独占配信。
再生回数は、テンセント動画(非独占)で中国語吹替版:2.2億回、日本語版:1.1億回とかなり良い数字をあげています。(28話合計、2021年1月3日現在)

「仮面ライダー」は、2018年の「ジオウ」から中国での正規配信が始まりましたが、ウルトラマンほどにはローカルに浸透していないように思います。
変身ベルト等のグッズも、どちらかというと「大人のコレクション」としての側面が目立ちます。

「仮面ライダー」はテンセントの独占配信で、基本的には有料会員向けのコンテンツです。
「仮面ライダージオウ」(中国語名:假面骑士时王)(全49話、2018年)
中国語吹替版:2.9億回、日本語版:4.4億回(49話合計、2021年1月3日現在)

ウルトラマンと異なり、仮面ライダーは中国語吹替版よりも日本語版の方が再生回数が高いです。日本語原版を好む大人のファンが多いためと考えられます。
「仮面ライダーゼロワン」も、中国語吹替版:2.1億回、日本語版:3.2億回で、日本語版の方が数字が高いです。

とはいえ、「大人のコアファン」だけでは億単位の数字にはならないので、相当数の中国の子どもが「仮面ライダー」を視聴していると考えられます。

イベントのキャラクターショーでは、現在放送中の「仮面ライダーセイバー」が登場。
セイバーが登場したとき、中国の子供たちが「シェンレーン!!」(sheng ren/圣刃)と中国語で呼びかけていたので、実際に子どもが見てるんだなと思いました。


他のイベントで仮面ライダージオウやゲイツの撮影会を見たことがありますが、今回登場したセイバーは背が高く、体格が良いように見えました。


イベントが行われたショッピングモールは「虹橋交通ハブ」と呼ばれる空港と高速鉄道(新幹線)駅が隣接している新しいエリアにあります。上海市内中心部にも近く、高速道路の乗り入れも便利なので、比較的裕福な若いファミリー層が多く住む地域です。


特設グッズ売り場には多くの親子連れが商品を熱心に見ており、ほとんどの親が何らかの物を子どもに買ってあげていました。子どもの玩具は消耗品なので、1000円前後、または2000円以内の商品が好まれるようです。
コメント (6)
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