上海阿姐のgooブログ

FC2ブログ「全民娯楽時代の到来~上海からアジア娯楽日記」の続きのブログです。

KING GNU アジアツアー「THE GREATEST UNKOWN」上海公演(2024年4月14日、15日)

2024年04月25日 | エンタメの日記
4月14日、15日にKing Gnuの初上海ライブが開催されました。King Gnu(キングヌー)はいまものすごく売れている日本のミクスチャー・ロックバンドです。2024年4月に台北、シンガポール、上海、ソウルの4都市で開催された「Asia Tour THE GREATEST UNKOWN」はKing Gnuとしては初の海外ツアーとなります。



King Gnuは2018年に初シングル「Prayer X」がアニメ「BANANA FISH」のエンディング曲に起用され、翌年2019年にはドラマ「イノセンス 冤罪弁護士」の主題歌「白日」で紅白歌合戦に初出場しています。ソニー・レーベル所属のアーティストになってから短期間のうちに急激にメジャーになりました。
2024年4月14日、15日に上海静安体育センターで開かれたライブが「初の上海公演」となりましたが、本当は2020年に上海に来るはずでした。ライブの会場と日程の情報まで流れていたのにコロナの影響で実現されませんでした。
King Gnuは売れてきたところにコロナ規制に遭遇し、他のバンドと同様にライブ活動ができなくなりました。しかし結果的にいうと、コロナの3年の間にKing Gnuはさらに売れているバンドになりました。

2020年に計画されていた上海ライブの会場は「ModernSkyLAB上海」(摩登天空上海)だったと言われています。
ModernSkyLAB上海は2017年にオープンした上海の中では大きいライブハウスで、詰め込めば1000人以上収容できる会場です。
2024年4月のアジアツアー上海公演で実際に使われた会場は「上海静安体育センター体育館」でした。アリーナに椅子をぎっしり敷き詰めていたので4000人弱収容できたのではと思います。4000人弱×2日間の公演で、のべ約8千人弱集客したことになります。

上海静安体育センター体育館 地下鉄1号線 汶水路から徒歩5分




King Gnuの上海ライブの情報が発表されたとき、ファンの間では「どうしてこんな小さい会場でやるんだ」「チケット取れるわけがない」「なぜメルセデスベンツアリーナでやらないんだ」と不満の声が上がりました。メルセデスベンツアリーナは約1万5千人収容可能なアリーナホールで、上海においてはさいたまスーパーアリーナのような位置づけの会場です。
当初は4月14日の1公演でしたが、急遽15日が追加になりました。それでもチケットは発売から数秒で完売でした。

上海公演のチケット価格は人民元1380元、1180元、980元、680元、480元です。現在の為替レートは人民元1元=約20円なので、日本円に換算すると、27,600円、23,600円、19,600円、13,600円、9,600円という値段になります。決して安くはありません。日本の場合、東京ドームなどのドームコンサートでの指定席が11,000円なので、日本に比べると上海はざっと2~3倍高いイメージです。

2024年4月14日、15日 King Gnu Asia Tour THE GREATEST UNKOWN 上海公演座席表 静安体育センター


中国では公式ファンクラブ経由でチケットを販売するという仕組みは基本的に普及しておらず、チケットアプリで一斉発売されます。
この数年、中国ではダフ屋行為・転売の防止対策として、チケットアプリに身分証番号と携帯番号を紐付けさせてかなり厳しい実名制販売を実施しています。
King Gnuの上海公演は、チケットアプリ「大麦」(damai)と「票星球」で発売されました。
実名制なので、チケットアプリで購入する時点で自分の身分証情報を登録する必要があります。会場にもよりますが、入場の際に電子チケットのQRコードを読み込んで入場するのではなく、身分証カードを機械で読み込む、または公安システムと連動して顔認証でゲートを通過する方法が取られています(外国パスポートでの購入者は別途設けられた有人ゲートから入場)。つまり、QRコードの譲渡は不可能で、身分証を借りたとしても顔認証でひっかかる可能性もあり、かなり厳しくなっています。
かといってダフ屋が撲滅されたかというと、決してそうではなく、発売の時点で代行業者にチケット購入を依頼する人が増えています。代行に頼まないと取れない公演も多いです。
代行業者は超高速ネット環境で、プログラミングコードを実行してチケットを取っていると言われています。代行依頼料は公演の人気度によって異なり、安ければ100元(2000円)、高ければ2000元(4万円)というケースもあるようです。
つまり、人気のあるアーティストの大型会場でのコンサートの場合、かなり厳しい実名制が採用されているので、発売日を過ぎて完売となった後にチケットを入手することは非常に難しいです。実名制の救済として、キャンセル・リセールがありますが、リセールされる枚数はやはり少ないです。

King Gnu上海ライブのお客さんは女の子が多かったです。
7対3くらいの割合で女の子が多く、20代、30代の社会人がメインだと思います。日程的に大学生は来にくかったかもしれません。中国では中学生や高校生がこういったコンサートに出掛けることは少なく、遊びは大学生になってからという風潮があります。

予想はしていましたが、「呪術廻戦」のコスプレをしてライブに来ている人が結構いました。
King Gnuはあらゆるジャンルでのタイアップを軒並み成功させていますが、その中でもアニメ「呪術廻戦」の影響力は絶大です。
King Gnuはタイアップしたアニメのほぼすべてが中国で正規配信されています。偶然かもしれませんが、結構すごいことだと思います。
『BANANA FISH』(中国語タイトル:战栗杀机) 「Prayer X」 当時IQIYIで正規配信。いまは配信されていないかもしれません。
『王様ランキング』(中国語タイトル:国王排名) 「BOY」 bilibili動画などで正規配信。『王様ランキング』第1期は中国でかなり人気がありました。
『呪術廻戦 第二期 -渋谷事変-』 (中国語タイトル:咒术回战第二期)「SPECIALZ」 bilibili、Youku、iQIYi、テンセントビデオで正規配信
『劇場版 呪術廻戦 0』 中国未公開。正規配信もされていないと思います。「一途」「逆夢」

日本のアニメは中国で人気がありますが、すべての作品が正規ライセンスされるわけではありません。
センサーシップの強化により、正規ライセンスされる日本アニメの本数は一昔まえに比べると減っています。
『進撃の巨人』や『トーキョーグール』は中国で配信停止になったのに、『呪術廻戦』は配信停止になることなく、いまも大人気でアーカイブ配信されています。中国当局の規制の基準は曖昧で、表現の規制はどこにボーダーラインがあるのか不明瞭です。そのときの社会的な空気にも左右されます。

人気アニメとのタイアップは海外向けには絶大なアピール力があります。
また、対象を中国に絞っていうと、「日本で売れている」こと自体が大きなアピール材料になります。
日本には多くの中国人が留学や就労のために居住しており、日本に頻繁に旅行に行く人も多いです。彼らは日本での生活のキラキラした一面を動画にして中国SNSアプリで発信しており、その中でも「人気アーティストのコンサート」は一度は経験してみたい憧れの対象です。
日本に滞在している大小さまざまな中国人インフルエンサーが発信する日本でのコンサートの熱気や非日常感に惹きつけられ、「自分もこのアーティストのライブに行ってみたい」と思う人は少なくありません。



コロナ規制が解除された2023年以降、怒涛の勢いでライブが再開され、日本アーティストも次々と中国に来ています。
日本の音楽アーティストに対する評価は全般的に高く、とくに日本のバンドのライブ演奏には絶大的な信頼が寄せられています。
中国ではライブ中の撮影が事実上取締られていないこともあり、SNSにライブレポをアップする人はすごく多いです。
King Gnuも他の日本アーティストも、中国人ファンがSNSにアップしたライブの感想やレポをみると、褒めちぎられています。
そんな絶賛の対象であるアーティスト自身は、上海の繁華街を歩き回ってファンに遭遇してはサインやツーショットに応じ、上海でシェアサイクルに乗るなど庶民的な姿をインスタグラムにアップしています。そのような情報は瞬く間に中国SNSで拡散されます。

上海淮海中路のSONYショールーム PlayStation × King Gnu メンバーのサインが入ったプレステが展示されています。




King Gnuは若い子たちの支持を集める人気バンドです。
4人のメンバーは1992年、1993年生まれですが、彼らの親の世代にあたるような大人が聴いても純粋に良い曲だと思えるハイクオリティなJPOPを作り出しています。世代を超えて受け入れられるのは、メンバーが好んで聴いたきた音楽と、その親世代が好んで聴いてきた音楽に重なり合う部分があるからかもしれません。

いわゆるJPOPの曲風自体は宇多田ヒカルがデビューした1990年代から現在まであまり変わっておらず、歌詞やアレンジが時代ごとにアップデートされ続けています。それは音楽的に進歩していないのではなく、多くの人々に愛される音楽が受け継がれるというJPOPの普遍性が形成されているのだと思います。

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 中国の"グランドスラム俳優”... | トップ | 映画『君たちはどう生きるか... »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
GWですよ! ()
2024-04-25 08:37:00
 阿姐さん こんにちは!King Gnuは凄い人気ですね。オリコンの2023年ランキングでシングル・アルバム・アーティスト別など1位を総なめです。時代は変わっていますね(年がバレますわ(笑))
 日本でもチケット事情は年々厳しくなっています。先日行ったイマーシブ公演では身分証が必要でした。FC限定などではなく、一般販売なので意外でした。
 余談ですが私はトンペンなのですが、去年のツアーのチケットがFCでも一般でもさっぱり当たらず、結局ドームしか当たりませんでした。その一方で協賛企業の(高額な)商品を(多数)購入すると当たるチャンスが結構あったようで。そういう意味でもチケット事情は変わりつつありますね。
 ところで上海ディズニーランドは復活しましたか?一時期は荒れていたようですが。また行きたいなと思っています。
返信する
玲さん (上海阿姐)
2024-04-26 23:28:10
こんにちは!コロナがきっかけとなったのかチケット事情は大きく変わりましたね。実名制が増えましたね。中国の場合、大きい会場だと自動ゲートで身分証カードを直接読み込むか、顔認証になってます。ゲートが沢山あるので入場もスムーズです。逆に、そういう設備がない場合は、スタッフが目視で身分証を確認するということはほぼないです。人間が目視で身分証を確認するのは、確認する側もされる側もお互いに疲れるので、自動チェックする仕組みがないなら、スルーにしてほしいですね・・・。
上海ディズニーランドはズートピアがオープンして結構盛り上がってます。混み具合からすると東京の方が混んでるのではと思います。日本が休日で中国が平日の日に合わせて行くと、かなり違うと思います。上海の場合、来てもあまりアトラクションに乗らない人が多いような気がします。パレードも、特定のキャストを見るための場所取りみたいなのは、そこまで激しくないと思います。
返信する

コメントを投稿

エンタメの日記」カテゴリの最新記事