上海阿姐のgooブログ

FC2ブログ「全民娯楽時代の到来~上海からアジア娯楽日記」の続きのブログです。

ダンス系リアリティショー「了不起!舞社」(Great Dance Crew)~威神Vのテンがナビゲーターとしてレギュラー出演

2022年06月24日 | エンタメの日記
中国動画サイトYoukuで配信中の「了不起!舞社」(Great Dance Crew)がまもなく決勝戦を迎えます。「了不起!舞社」は60人の女子ダンサーが参加するダンスリアリティショーです。NCT(WayV)のテンがナビゲーター(主理人)としてレギュラー参加としています。
「了不起!舞社」(Great Dance Crew)配信プラットフォーム:Youku独占配信  放送日:2022年4月16日(土)スタート
ナビゲーター(主理人):王菲菲(元Miss Aのフェイ)、程瀟(宇宙少女 ソンソ)、 李永欽(WayV テン)、賛多(INTO1 サンタ)
クルー長:蘇有朋(アレック・スー)※アレック・スーはダンスを直接指導することはなく、クルー長という立場。


2018年から2021年までの4年間、中国では「PRODUCE 101」フォーマットのアイドルサバイバル番組が毎年開催され大変盛り上がっていました。しかし、昨年2021年5月、投票にて順位を争うオーディション番組は社会に悪影響を及ぼすと当局から明文で批判され、特に課金を伴う視聴者投票によって順位を競い合うような番組は制作できなくなっています。
オーディション番組がなくなったことにより、露出する機会を失ってしまったアイドル候補の子がたくさんいます。「了不起!舞社」は、年齢やルックスにとらわれず、ダンサーとして成長することをテーマにした番組ですが、実際にはアイドル的な可愛いルックスの子が多く参加しています。SNH48からは李佳恩、唐莉佳(GNZ48)、由淼の3名が参加しています。

中国政府当局は芸能やメディアに対する規制を年々強めており、ネット世論も大きな圧力になっています。政府の規制に抵触せず、世論の反発も招くことなく、しかも面白い番組を作るのは容易なことではなく、様々な試行錯誤がなされています。「了不起!舞社」は60人の女子ダンサーがダンスパフォーマンスを競い合いますが、試行錯誤によりルールが途中で変更されたりしています。

この番組のナビゲーターとして、威神V(WayV)のテンがレギュラー出演しています。
テン(TEN)中国名:李永欽 1996年2月27日生まれ タイ人(華僑)、SMエンターテイメント NCT、威神V(WayV)のメンバー。


テンは「タイ華僑の男性歌手・TEN李永欽」として出演しており、番組の中ではNCTはもちろん威神V(WayV)についてもほとんど触れられません。そのため、NCTを知らない人にとっては、この人は誰なんだろう?と思うかもしれません。

威神Vの中国での扱われ方は微妙です。2019年のユニット結成時には、「威神V(WayV)」としてバラエティ番組に出たり、音楽イベントに出演したりもしていました。しかし、2021年以降は「威神V」としてではなく、個々に活動しています。
「了不起!舞社」は威神Vのことを積極的に取り上げることはありませんが、完全にスルーするわけでもなく、5月28日放送回で威神Vの「Take Off」がパフォーマンス曲に使われたときは、テンが飛び入り参加するという場面もありました。

テンは番組内では中国語でコメントしていますが、ときどき英語が混じります。英語は非常に流暢で、タイ語より英語の方が話し慣れているのかもしれません。番組でのファッション、メイクは中国向きにアレンジされており、韓国活動時とは違ったテンの姿を見ることができます。


6月18日放送回では同じくナビゲーターを務める宇宙少女のソンソ(程瀟/チェンシャオ)と裸足での中国民族舞踊を取り入れたパフォーマンスを披露。曲は映画「チャイニーズ・ゴースト・ストリー」の挿入歌。ソンソは「宇宙少女」の中国人メンバーですが、2018年以降活動の場を中国に移しており、今後韓国でのグループ活動に復帰する可能性は低いと思います。


この番組には、賛多(サンタ)という日本人ダンサーもナビゲーターとして参加しています。
賛多(サンタ)は2021年春に開催されたオーディション番組「創造営2021」(PRODUCE 101フォーマットの中国版)に参加し、最終順位2位グループデビューを果たしました。現在INTO1のメンバーとして中国で芸能活動をしています。
サンタ(SANTA)本名:宇野賛多 1998年生まれ 名古屋市出身 身長181cm ストリートダンスの世界大会で何度も優勝した経験を持つ。INTO1のメンバー。2021年から中国で芸能活動中。


6月18日放送回のナビゲーターパフォーマンスでは、賛多は王菲菲(元Miss Aのフェイ)と組んで「一生所愛」(映画「大話西遊」のテーマソング)をアレンジしたパフォーマンスを披露。賛多はストリートダンスという一種のソロ競技の世界で踊ってきたので、振付や即興のスキルも高く、創作性があります。


賛多もTENも、この種の中国バラエティ番組にナビゲーターという立場で出演するのは初めてです。4人のナビゲーターのうち外国人を2人も起用したのは、かなり冒険的な試みです。ナビゲーターの主な役割は参加者のパフォーマンスを審査し、ダンスに関するコメントをすることですが、すべて中国語で対応しなければなりません。
二人の中国語レベルは同じくらいですが、文法、発音はテンの方がナチュラルかもしれません。
ただし、賛多は多少無理をしてでも自分が言いたいことを伝えようとするタイプで、よくも悪くもそれが個性となっています。
テンは自分の語学力のキャパをオーバーすることなく、温厚なコメントをすることが多いです。爆弾発言をしたり、地雷を踏んだりすることはないので安心して見ていられますが、審査する立場としてはちょっと優しすぎるかなという気もします。
二人とも言葉の壁があり、コメンテーターを務めるのはやや荷が重いとはいえ、それを補うに十分なダンススキルがあります。
サンタは多様なダンステクニックを持ち、長身ながら柔軟性が高く、ステージを支配する度量の大きさと独創性があります。
テンはどんなジャンルのダンスでもテンが踊ると上品に見えて清潔感があります。

「了不起!舞社」(Great Dance Crew)は中国配信大手Youkuが新しく始めたWebバラエティ番組です。この番組とは別に、Youkuには「这!就是街舞」(Street Dance of China )というストリートダンス系の看板番組があり、まもなく「这就是街舞」のSeason5が始まります。
Season5のレギュラーゲストには、ハンギョン(韓庚)、王一博(ワン・イーボー)、劉雨昕(リウ・ユーシン)、李承鉉(イ・スンヒョン)が内定しています。同じ配信プラットフォームが制作する番組なので、テンやサンタも「这!就是街舞」Season5にゲスト出演することが期待されますが、テンの場合は韓国に戻ってしまうと、コロナ水際対策が続く中国に再度入国することは難しいかもしれません。
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メタバース化する中国エンタメ~SNH48の「META48」、3D VRアイドル「A-SOUL」

2022年06月19日 | エンタメの日記
上海はロックダウンが解除されましたが、エンタメの再開は目処が立っていません。
コロナ流行以来、厳しい規制を受けながらもどうにか継続してきたミュージカル、演劇、舞踊なども劇場自体が休業となっており、再開されるのは8月以降になるのではと言われています。夏の音楽フェスも今年は上海ではできないと思います。
また、毎年7月末には上海で中国最大のゲームショー「China Joy」が開催されていますが、2022年度はオフラインでの開催はないことを主催者がすでに発表しています。その代わり、オンラインにて「CJ Plus」を MetaJoy 元宇宙数字世界(メタバースデジタルワールド)にて開催するそうです(2022年8月27日~9月2日)。

オミクロン株の蔓延拡大により、深セン、上海、北京などの大都市が都市封鎖を行い、エンタメやイベントが次々と中止になり大きな打撃を受けています。これを打開する方策として、エンタメのバーチャル(VR)化やメタバース展開が流行っています

“中国最大のアイドルグループ”SNH48は今年10周年を迎えるにあたり、「今後はアイドルとファンとの交流をメタバースで展開していく」と宣言し、社名も「META48 HOLDINGS LTD」(「美踏控股」)に変更する と発表しました。


SNH48は「AKBの上海姉妹グループ」として2012年に発足しましたが、2016年にAKBから離脱し、それ以降は中国会社が独自運営しています。上海(SNH48)、広州(GNZ48)、北京(BEJ48)、重慶(CKG48)にグループを設置しています。
AKBのコンセプトに基づき、常設劇場での定期公演、握手会などを通じて「会いに行けるアイドル」として活動してきたSNH48ですが、ゼロコロナ政策のため常に劇場が閉鎖されるリスクがあり、従来のスタイルを貫くことは極めて難しくなっています。
さらに、中国当局は、ファンがアイドルを応援するために大量の金銭を投じることを厳しく取り締まっており、大きな声で「総選挙」を宣伝することもできなくなってきました。公演、握手会、総選挙というこれまでの枠組みが成立しなくなっています。
そのため、SNH48グループは、メンバーとファンとのバーチャル空間での交流を強化し、さらに新たなバーチャルアイドルをファンとともに育成していく・・・という事業プランを発表をしました。

「メタバース」(中国語:元宇宙)というキーワードが使われていますが、実質的には「オンライン」と大差ないのではと思います。
「オンライン」という言葉にはもう新鮮味がないので、「メタバース」といっているだけのような気もします。
一方、ファンがメタバース化やバーチャル化を望んでいるのかというと、なんとも言えません。物理的に現場に来ることができないファンにとっては楽になるのかもしれません。

もともとバーチャルとしてスタートするVtuber、VRアイドルもすでに大量に在します。
中国のサブカルに強い動画プラットフォーム「bilibili動画」では、Vtuber、VRアイドルのアカウントが3000以上あると言われています。
その中でも、短期間でファン獲得に成功し、高い技術力を誇るのが3DのVRアイドルA-SOUL」です。
「A-SOUL」は2020年11月に「芸能事務所楽華(YUEHUA)がプロデュースする初のバーチャルアイドルグループ」としてデビューしました


「A-SOUL」のメンバーはAva(向晩)、Bella(貝拉)、Carol(珈楽)、Diana(嘉然)、Eileen(乃琳)の5人で、それぞれに細かいキャラクター設定があります。一番左のDiana(嘉然)が圧倒的に人気があります。ビジュアル、キャラが特に可愛いです。一番動きがナチュラルなのはBella(貝拉)と言われています。

楽華娯楽(YUEHUA ENTERTAINMENT)は中国の大手芸能事務所で、ハンギョン(韓庚)、王一博(ワン・イーボー)、黄明昊(ジャスティン)など多数のアイドルが所属しています。韓国支社(ウィエファ)では宇宙少女、EVERGLOW等をプロデュースしています。

Vtuberは2Dと3Dでコストが大きく異なり、3D化すると器材やソフトウェアにかかるコストが桁違いに上がります。
A-SOULを手掛ける「杭州看潮信息諮詢有限公司」はバイトダンスの孫会社なので、A-SOULの実質的な出資者はバイトダンスと認識されています。バイトダンスはTikTokの親会社で、中国IT巨頭の一つです。

A-SOULはデビューしてから瞬く間に人気を獲得しました。
5人組のアイドルグループとして楽曲も定期的にリリースしていますが、曲がいいから売れたというわけでもないです。熱狂的なファンを短期間で獲得できたのは、A-SOULがファンとリアルに交流できるVRアイドルだったからです。

2021年7月に開催されたアニメ・ゲームイベント「BILIBILI WORLD」に「A-SOUL」のブースがあり、ファン交流イベントが開催されていました。
イベントを見たとき、「一体どんな技術を使えばこんなことができるのだ」と衝撃を受けました。
3DのVRアイドルがリアルタイムに動き、滑らかにファンにレスポンスを返しています。さらに、5人のメンバーが互いに人間と同じように触れ合っています。
指先に至るまで動きがリアルで、人間らしく振り付けを間違えたりしますが、そのビジュアルはバーチャルならではの可愛らしさです。






イベントのスクリーンに現れたA-SOULのメンバーは、ファンとリアルタイムに交流していますが、私たちが見えないどこかで、3D VR用の黒い全身装着型スーツを身にまとい、素顔を決して見せることのない「中の人」がA-SOULを演じているのです。
Vtuberには声を担当する「中の人」がいるものですが、A-SOULはグループアイドルという設定なので、ダンスや歌もこなさなくてはなりません。

飛ぶ鳥を落とす勢いで成長してきたA-SOULですが、公式は5月10日にメンバーの一人、CAROL(珈楽)が活動を休止すると発表しました。休止する原因は、CAROLの声や動作を担当する「中の人」の健康及び学業上の問題だと説明がありました。
つまり、CAROLの「中の人」との契約を続けられなくなったため、CAROLの「中の人」を交代するのではなく、CAROL自体を休止することにしたのです。突然の発表ではありましたが、公式はCAROLを円満に「卒業」させようとしていました。

ところが、これに対してファンが猛烈に反発しました。
反発を煽ったのは、ネット上に流布された「CAROLの「中の人」が辞めたのは、新卒社員よりも安い賃金で酷使されて体調を崩し、スタッフから十分なケアも受けられなかったから」という"暴露”情報でした。この情報の真偽は明らかではないものの、バイトダンスの関係者と名乗る人物が流布したこと、CAROLの中の人のアカウントとされるSNSが暴露され、そこに体調不良を訴える書き込みがあったことで火がつきました。

公式はもちろんこの暴露情報を否定しましたが、報酬に関して具体的な金額を公表することはできなかったため、ファンの怒りを鎮めることができませんでした。

3DのVRアイドルであるA-SOULを運営するために、立上げ時には300名のスタッフが稼働しており、立上げ後も裏方で支えるスタッフが200名いると言われています。
プロジェクト運営側にとっては、声や動作を担う「中の人」はプロジェクトメンバーの一人に過ぎません。プロジェクト全体をみれば、「中の人」よりももっと重要なタスクを担うエンジニアもいるはずです。
しかし、A-SOULをアイドルとして応援しているファンにとっては、感情移入する対象はエンジニアではなく、あくまで声や動作を演じる「中の人」である女の子だったのです。
「中の人」が代わりがきかない存在なのであれば、VRアイドルであれど、生身のアイドルと変わらないのではないでしょうか。
人間が感情移入するのは結局人間なのかもしれません。
ファンはA-SOULの高度な技術に魅了されましたが、技術を第一に考える人間は、VRアイドルを応援する側ではなく、作る側になるのかもしれません。
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2022年第25回上海国際映画祭、“来年に延期”~映画「花束みたいな恋をした」中国でヒット

2022年06月08日 | エンタメの日記
約2ヶ月間続いた上海のロックダウンは6月1日にほぼ解除されました。6月1日に再開したのは交通機関、病院、スーパー、飲食店(主にテイクアウト)、宅配便、理髪店、スポーツ施設などです。劇場や映画館は全面休業が続いており、いつ営業再開するのかまだ告知されていません。

上海では毎年6月に「上海国際映画祭」が開催されていますが、先日「2022年6月に予定されていた第25回上海国際映画祭を来年に延期する」と発表がありました。
毎年開催されるイベントなのに「来年に延期する」という不自然な表現が用いられたため、「要するに中止なのになぜ中止と言わないのか?」「来年2年分やるつもりなのか?」と波紋を呼んでいます。上海映画祭が中止されるのは、SARSが流行した2003年以来だそうです。


コロナが世界的に流行しはじめた2020年の上海映画祭は、観客数を30%に制限し、約1ヶ半月遅れで7月下旬に開幕しました(過去記事)。
翌年、2021年は海外ゲストは呼べなかったものの、客席100%使用に戻し、上映本数も本来の規模で開催されました。「機動戦士ガンダム閃光のハサウェイ」「劇場版るろうに剣心最終章」などの新作が日本とほぼ同時に上映されました。
コロナをかいくぐってきた上海映画祭も、2022年になってついに中止となりました。世界的にはコロナ対策規制が解除される傾向にありますが、中国は逆行する状況にあります。

日本映画は昔から上海映画祭に力を入れており、日本映画は上海映画祭の目玉です。多くの新作日本映画が上海映画祭で先行上映され、日本国内でも滅多に上映されないような旧作も多く上映されます。2021年の第24回上海映画祭では「ARASHI Anniversary Tour 5×20 FILM “Record of Memories”」がDolbyシアターを使ってワールドプレミアムとして世界初上映されました。
中国で映画を劇場公開するためには中国当局のセンサーシップに通過する必要がありますが、「映画祭」の枠で申請するとセンサーシップに通りやすいと言われており、このことも日本側が上海映画祭を重視する一因と思われます。

中国映画市場は中国映画のシェアが圧倒的に高く、中国映画に対抗しうるのがハリウッド大作、MARVEL作品、ディズニー等の3Dアニメです。
日本映画の場合、やはりアニメが強く、名探偵コナン、ポケモン、ONE PIECE、ドラえもんなどのメジャータイトルの劇場版は、かなり中国にも入ってきています。
日本実写映画はアニメに比べて存在感が薄いと言わざるを得ませんが、2022年2月に菅田将暉、有村架純主演の「花束みたいな恋をした」が中国で公開され、日本映画としては大ヒットしました。

「花束みたいな恋をした」 日本公開2021年1月29日 主演:菅田将暉、有村架純
中国タイトル「花束般的恋爱」(花束般的恋愛) 中国公開2022年2月22日


“2”は中国語の語呂では「愛」を表し、“2”が並ぶ2022年2月22日にこの映画が公開されたのは特別な意味があります。
とはいえ、実際には、2月下旬は中国各地でコロナ感染者数が増加傾向にあり、2月22日だから何か特別なことをしようという雰囲気でもなかったのですが、「花束みたいな恋をした」は大きな反響がありました。
特に都市部に暮らす20代の若い女性社会人からの反響が大きく、レビューサイトで高い口コミ評価がつきました。恋愛のあり方について自身と重ね合わせた深いコメントが多く、主人公と同年代の男女が真正面からこの映画を受け止めていました。
「花束みたいな恋をした」に出てくる様々なサブカルネタが中国人に分かるのかな?と思ったのですが、押井守が本人役で登場するシーンで客席から「おお~」と唸り声が上がったので、観客の多くは日本カルチャーに対する見識が深く、ネタをかなり理解できているようです。

「花束みたいな恋をした」の中国興業収入は、2022年6月7日の時点で9545.8万元、現レートで換算すると約18.6億円になります。
この数字は当初の予測を大幅に上回っており、日本実写映画としては大成功です。




このポスターは、上映期間が6月21日まで延長されたことを宣伝するものですが、
「中国正規上映された日本実写映画ラブストーリー作品興業収入TOP1」
「中国正規上映された日本実写映画総合興業収入TOP2」
と書かれています。
「花束みたいな恋をした」は中国で正規劇場公開された日本実写映画として歴代2位の興業収入を記録したのです。
1位は2018年8月に公開された「万引き家族」の9674.6万元です。つまり、1位との差はごく僅かです。
もし「花束みたいな恋をした」の中国公開時期がオミクロン株の流行と重ならなければ、興業収入はもっと伸びたはずです。
とはいえ、上海、北京が本格的にロックダウンする前に公開できたので、ギリギリセーフだったとも思います。

この数年、中国の映画館では「貸切上映」が流行っています。
中国の映画館は基本的にすべてシネコンなのですが、個人でも割と簡単にスクリーンを貸切ることができます。映画チケットアプリに貸切上映を申請する機能もあります。
「花束みたいな恋をした」も貸切上映が多数行われていました。貸切上映を主宰するのは菅田将暉のファンサイトであったり、映画鑑賞サークルであったりと様々です。貸切上映の規模が大きくなると、企業がスポンサーにつくこともあります。

2022年4月以降、中国ではオミクロン株拡大の影響を受けて、ほとんどの新作映画が公開延期となっています。
5月のゴールディンウィーク、6月1日国際こどもの日、6月3日端午節連休などに合わせて多数の新作がラインナップされていたのですが、上海、北京などで映画館が全面休業となったため、多くの作品が公開を見合わせました。
中国映画は莫大な資金を投じて制作されるため、投資を回収するためには全国の映画館がマックスで稼働する時期に公開を合わせる必要があります。
そんな中、「ドラえもん のび太の宇宙小戦争2021」が5月28日に中国で公開され、好成績を上げています。


「ドラえもん のび太の宇宙小戦争2021」は北京と上海の映画館が完全休業する中、公開に踏み切りました。(北京は5月29日から一部の映画館で営業再開)
同じ時期に公開された作品が少なかったため、「ドラえもん のび太の宇宙小戦争2021」は6月1日の子どもの日(国際こどもの日)の単日興行収入がトップとなりました。これは快挙です。映画レビューサイトでの評価スコアも高く、レビューサイトにコメントを書くのはもちろん大人の観客なのですが、非常に高い満足度を表すコメントが多く寄せられています。

昨年2021年10月29日には映画「おくりびと」が中国で再公開され、興業収入6622億元(現レートで約13億円)を記録しました。
「おくりびと」も、コロナの影響で他の中国映画が公開を渋り、映画館で流す作品が不足していた時期にちょうど上手く当てはまりました。
その少し前には岩井俊二の「ラブレター」も中国で再上映されており、「おくりびと」と同じ水準の興業収入を上げています。
「おくりびと」も「ラブレター」も大分前の作品ですが、豆瓣(ドウバン)など中国のレビューサイトでの口コミ評価が非常に高い作品です。
2021年夏以降、コロナがなかなか収束しない中国の映画館で、いくつかの日本映画が思いのほか好意的に迎えられ、興業的にも健闘したということができます。
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