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上海阿姐のgooブログ

FC2ブログ「全民娯楽時代の到来~上海からアジア娯楽日記」の続きのブログです。

上海アニメ・漫画・ゲーム展 CCG EXPO 2013 (3)ミリオンアーサー中国モバイル版、中国初の軍事ゲームなど

2013年07月27日 | ACG
上海最大規模のアニメ・漫画・ゲームの展示会「第9回 CCG EXPO 2013」のゲームエリアの参観記です。
【前の記事】
CCG EXPO 2013(1)ガンプラ、ラノベ、アニメイトなど
CCG EXPO 2013(2)フィギュア、VOCALOID、SNH48など

CCGのゲーム展示は北ブロックに集められています。ゲームの展示会については、毎年7月の最後の週に「ChinaJoy」(中国国際数碼互動娯楽展覧会)というゲーム専門展示会が上海で行われており、CCGよりもChinaJoyの方が遥かに規模が大きいです。ChinaJoyは「東京ゲームショー上海版」のようなものです。
しかし近年のChinaJoyは、もともと入場者数が莫大なうえに、キャンギャルの撮影、記念品配布を求めて入場客が集中する傾向があり、なかなかゆっくり展示を見ていられないです。

この10年間、中国のオンラインゲーム産業は急成長し、2012年の市場全体収入は600億元(約9000億円)を超えたと発表されています。いまちょうどChina Joyを開催中ですが、今年の趨勢としては、スマホ・タブレットで起動するモバイルゲームのシェアが急激に伸びており、各種展示会では従来型オンラインゲームと拮抗する勢いを見せていると報道されています。

中国のオンラインゲームは、海外ゲーム移植ものと中国産のものがあります。
この10年で最も流行ったオンラインゲームは「World of Warcraft」(WOW)(中国語タイトル:魔獣世界)です。WOW(魔獣世界)は社会現象になるほど流行し、WOWユーザーが一種の社会的勢力になるほどの影響力があり、WOWユーザーが集うネットコミュニティはメンバーの多さとオンライン率の高さから、異常なほどの情報伝播力を持っていました。しかし、中国でのWOWブームのピークは2006年から2008年頃で、ちょうど網易(NetEASE)が運営代理権を獲得した2008年あたりからブームの下降が始まり、ユーザーが徐々に減少し、いまではピーク時の勢いはないです。
韓国系ゲームの移植も多く、NCsoftの「タワーオブアイオン」の中国版「永恒之塔」などは一時期非常に派手なタイアッププロモーションをしていましたが、現在では勢いがダウンしています。

中国製オンラインゲームのヒット例は、歴史や武侠小説を題材にしたものが多く「夢幻西遊」「天龍八部」「征途」などがあります。ファンタジー系では「完美世界」(パーフェクトワールド)は成功した例といえます。「完美世界」は日本向けにもサービス提供されています。

現在オンラインゲーム業界は、産業規模自体は急激に成長したけれど「行き詰まりの状態」にあると言われています。その主な理由は、

1.ゲームのシステムがマンネリ化しユーザーに飽きられている。
2.課金システムが不合理。
3.CG技術の全体的なレベルが上がりすぎて、ビジュアル面での差別化が難しくなった。

などが挙げられています。

1点目は特に強く言われており「中国のオンラインゲームはシステムが本当にワンパターン。ヒット作のシステムをそのままコピーしてキャラクターを少し変えただけのようなゲームがたくさんある。」のだといいます。

今年のCCGでは、従来型オンライン、アーケードゲームのほか、モバイルゲームのプロモーションもあり、中国ゲームのアニメ映画化など多メディア化の動きも見られます。

-CCG Expo 2013 ゲーム出展 日系関連-
・Dance Evolution/ダンスエボリューション(KONAMI)+「世宇科技」
・湾岸ミッドナイト4(namco)+「華立科技」
・鉄拳(namco)+「久娯」(鉄拳中国大会を開催)
・スクエニ+盛大(SNDA) 盛大遊戯は中国最大のオンラインゲーム会社の一つ、スクエニと提携してファイナルファンタジー、拡散性ミリオンアーサーなどをリリース。
・SEGA(精文世嘉)「WCCF」
など

-中国ゲーム-
・「完美世界」(完美世界)
・「光栄使命」(無錫巨人網絡)
・「秦時明月」(玄機科技)
など

CCG Expo2013のゲーム出展で一番目を引いたのは、中国ゲーム会社「盛大遊戯」からリリースされた「拡散性ミリオン・アーサー」(スクエア・エニックス)の中国版です。(中国タイトル:百万亜瑟王)
盛大遊戯(Shanda Games Limited )はNASDAQに上場もしている中国で最も早く発展したオンラインゲーム会社の一つです。スクエア・エニックスと盛大は2010年頃から「ファイナルファンタジー14」の中国版リリースに向けて提携を開始しています。
「拡散性ミリオンアーサー」はオンラインカードバトルRPGで、2013年7月18日から中国版のiOS、アンドロイド版(β版)のリリースが始まりました。
「拡散性ミリオンアーサー」中国版「百万亜瑟王」iOS、アンドロイド版リリース公式サイト:
http://ma.sdo.com/web1/home/index.asp

「拡散性ミリオンアーサー」の中国モバイル版がリリースされたことは、「中国のオンラインゲームも、従来型から本格的にモバイル型に移行する時代に入った」ことを表すニュースとして注目を集めています。
【関連ニュース】
・盛大遊戯、7月18日の「拡散性ミリオンアーサー」モバイル版リリースを受け、NASDAQの当社株価が19%上昇。(7月19日 新浪科術
・盛大遊戯、モバイル版ミリオンアーサーの反響が予想を大きく上回る。App Storeでの無料ダウンロードランキングで1位に。(7月22日 網易遊戯

■盛大遊戯のブース。プロモーションに大量のメイドコスを動員。このメイドコスの中には「男の娘」も混じっています。




■今年の盛大遊戯のブースはもっぱらスクエニの作品を宣伝していました。FF14:中国タイトル「最終幻想XIV」


アーケードゲームの出展では日本製のソフトが目立ちますが、ゲーム機筐体と運営を提供するのは中国のゲーム会社というケースが多いです。
■湾岸ミッドナイト4(namco)+ゲーム会社「華立科技」。レースイベント開催中。




■鉄拳(namco)+「久娯」。鉄拳中国大会を開催。


■Dance Evolution/ダンスエボリューション(KONAMI)+「世宇科技」


■SEGA(精文世嘉)「WCCF」


中国ゲームで目を引くブースの一つは歴史アドベンチャーゲーム「秦時明月」です。アニメ版も制作されており、この夏はアニメ劇場版が公開される予定です。

■サイン会をやっていました。サインしているのは原作者かキャラデザイナーかと思ったら、有名コスプレーヤーでした・・・。




すごかったのが、中国初の軍事ゲーム「光栄使命」です。これは、巨人網絡(GIANT)と中国人民解放軍の南京軍区と共同開発した中国軍事ゲームで、この夏オンライン版が正式にリリースされました。武器や服装などのビジュアルがものすごくリアルです。






中国人民開放軍は、軍隊生活を舞台にしたテレビドラマや映画の制作によく参画していますが、商用ゲームの開発に参与したという話は初めて聞きました。このゲームは海外からの引き合いもあり、輸出が解禁される可能性も出てきたと報道されています。もし輸出されたら、中国軍事ゲームという新しい種類のゲームとして、世界のゲームファンの関心を集めるかもしれません。(参照ニュース

CCG Expo2013年の入場者数は昨年を上回ったと報道されていますが、私の感覚でいうと、昨年よりも人出が少なかったように感じます。出展企業からもそういう声がありました。
昨年出展していた企業で今年出展していなかったものとして目につくのは、一つはアサツー・ディケイです。昨年アサツー・ディケイは「新テニスの王子様」のプロモーションで大きなブースを出していましたが、今年は出展がありませんでした。もう一つは、昨年は大規模な「スター・クラフト」大会が開催されていましたが、今年はありませんでした。

CCGは、全体的に日系コンテンツが目立ちます。但し、漫画・アニメ・ゲームといったいわゆる文化産業は、中国の政策上、独資で運営することが不可能な部分があり、或いは独資では運営・流通・販売が難しいこともあり、合弁またはライセンス契約などの形が取られていることが多いです。しかし、ライセンス契約、合弁契約の中身がどうなっているのか、また、ライセンス料がいくらなのか、契約が正しく履行されているのかなどは外部からは知ることができません。そのため、外面的には華々しく日本産コンテンツがプロモーションされているように見えても、日本企業側にとって実際にどれほどの収益に繋がっているのかは見えにくい面があります。とはいえ、中国の消費者にとって、日本のアニメ、漫画、ゲームのコンテンツそのものは高い人気があります。

【おまけ】隣で開催していたComiCon13のコスプレ
■2013年春・夏 一番話題の「進撃の巨人」104期訓練兵団。




■左:ハンジ。 右:サシャ。
 

■レールガン
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上海のアニメ・漫画・ゲーム展 CCG EXPO 2013 (2)フィギュア、VOCALOID、SNH48など

2013年07月24日 | ACG
7月11日から7月15日まで上海世博展覧館で開催された、上海最大規模のアニメ・漫画・ゲームの展示会「第9回 CCG EXPO 2013」参観の続きです。(前の記事:CCG EXPO 2013(1)ガンプラ、ラノベ、アニメイトなど
展示場の南ブロックにアニメ・漫画関連、北ブロックにゲーム関連の出展が集められています。南ブロックの奥一列にはフィギュアショップのブースが並んでいます。

-フィギュア、プラモ関連の主な出展企業-
コトブキヤ (フィギュア、プラモメーカー)
ALTER (フィギュアショップ。上海に店舗があり、中国フィギュアショップの草分け的存在)
GOOD SMILE (フィギュア、ねんどろいど)
MEGA HOUSE (フィギュア)
海洋堂 (フィギュア)

コトブキヤは大量の商品をブースに搬入しており、プラモ制作の工具などの即販も行っていました。入口には「ソードアートオンライン」アスナのコスプレの女の子が出迎えています。
■KOTOBUKIYA CCG上海2013


■コトブキヤブース内。来場者は展示品の写真撮影に異様なほどの熱意を傾けています。


ねんどろいど・フィギュアの専門ショップは、実店舗販売もありますが、ネットモールでの販売の方が多いかもしれません。アニメイト中国もネット販売が中心です。
ねんどろいどのGOOD SMILEは中国最大手のネットモール「天猫 Tmall」(涛宝/タオバオのB-to-Cチャネル) に専門ショップを開設しています。今回のCCGでは「まどか舞妓バージョン」と「ミク浴衣バージョン」を先行発売。ミク、まどか、セイバー、綾波などが、中国ではフィギュアのキャラクターとして特に人気があると思います。

■GOOD SMILEのねんどろいど広告


海洋堂は2013年10月27日から2014年1月15日まで、上海のアートスペース「1933老場房」(1930年代に場として使われたユニークな構造の建物を改造して飲食店・アートスペースとして利用)で「海洋堂 世界美術館 フィギュア芸術展」を開催します。その前売りチケットを先行発売していました。

■海洋堂 「海洋堂 世界美術館 フィギュア芸術展」チケット前売り。CCG前売り価格50元。
  

VOCALOID CHINAは、今年のCCGでは中国語VOCALOID第2段「VOCANESE・言和Project」を発表。「言和 YANHE」のボイス提供者(声優の劉セイラ)がステージで原曲を披露したり、「言和」ソングのファン参加コンテストなどのイベントが行われていました。ACGカルチャーにおいて中国が発信源になる貴重なチャンスなので、VOCALOID CHINAの動向は常に関心を寄せられています。


「言和」は「洛天依」と異なり、MARCURY SHANGHAIが主催で、上海禾念信息科技有限公司が運営という形態です。(昨年2012年にスタートした「洛天依」はYAMAHA VOCALOIDの中国代理店である上海禾念信息科技有限公司が企画・運営)




■ VOCALOID CHINAのブース。言和のボイス提供者、声優の劉セイラさんが原曲を披露(7月13日)。7月14日は一般参加型の言和ソングコンテストを開催。


アニメチャンネル動(TOONMAX TV)のオープンスタジオに、AKB48の上海姉妹グループ・SNH48のメンバー4名、莫寒(momo)、湯敏、李宇、董�徂依が登場。momoはコスプレイヤーとしても有名です。





-アメリカ系-

3Dアニメで知られるアメリカの「ドリーム・ワークス・アニメーション」は中国と提携し「Oriental DreamWorks」(東方夢工房)という中米合弁プロジェクトを起こしています。DreamWorksの3Dアニメは「カンフー・パンダ」を筆頭に中国で高い興行成績を上げています。今年の春に公開された「CRODS」(中国タイトル:瘋狂原始人)などは、大人と子供が一緒に楽しめる、アトラクション性と啓発的なメッセージを備えた良質の3Dアニメ、と高く評価されました。





ディズニーがCCG上海に初出展。現在上海ディズニーランドを建設中ですが、上海ディズニーランドが開園すると中国で本格的にディズニーキャラクターの知名度が高まることになります。ディズニーは今後、中国の海賊版キャラクター商品に対してどういう対処を取るのでしょうか。

■ディズニーがCCG上海に初出展。ディズニーランドのプロモーションではなく、ディズニーアニメとキャラクターの歴史の紹介に重点が置かれた展示でした。


ゲームの分があるので、あと一つ続きます・・・m(__)m
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上海最大のアニメ・漫画・ゲーム展 CCG EXPO 2013 (1)ガンプラ、ラノベ、アニメイトなど

2013年07月21日 | ACG
7月11日から7月15日まで上海世博展覧館で「CCG EXPO 2013」が行われました。
CCG EXPO(中国国際動漫遊戯博覧会/China International Cartoon&Game Expo)とは上海最大規模のアニメ・漫画・ゲーム専門の展示会です。今年で9回目の開催になります。
オフィシャルサイト:http://www.ccgexpo.cn/
会場の「上海世博展覧館」は上海万博跡地にあり万博中はパビリオンの一つとして使われていました。万博終了後は見本市などの展示場として使われています。今年のCCGは初日7月11日はのべ3.5万人を動員し、イベント全体ではのべ21万人と動員記録を更新したと報道されています。
参考ニュース:「CCG閉幕、動員客数のべ21万人、記録更新。」(2013年7月16 和訊ネット報道

■会場入口


■会場内ロビー。日中合作劇場版「一休さん」のプロモーション


おおまかに分けると、展示場の南ブロックにアニメ・漫画関連、北ブロックにゲーム関連の出展が集められています。
日本の企業も多数出展しています。

主な出展企業 
アニメ・漫画・フィギュアなど
-日系-
バンダイ (GUNPLA EXPO SHANGHAI 2013開催)
週間少年JUMP SHOP
アニメイト
天聞角川 (角川グループ出資の中国販売会社。主に中国語翻訳版ライトノベルを販売)
VOCALOID CHINA
コトブキヤ (プラモデル、フィギュアメーカー)
海洋堂 (フィギュア)
ALTER (フィギュアショップ。上海に店舗があり、中国フィギュアショップの草分け的存在)
GOOD SMILE (フィギュア、ねんどろいど)
MEGA HOUSE (フィギュア)
ANIPLEX
龍漫 (小学館の作品と中国作家の作品を掲載する漫画雑誌「龍漫少年」を中国で発行)

-台湾-
木綿花 (アニメグッズショップ)
曼迪 (アニメグッズショップ)
※台湾のアニメグッズショップだが日本アニメのグッズを販売している。

-アメリカ-
ディズニー
ドリームワークス (東方夢工房)(3Dアニメ映画の制作会社、「カンフーパンダ」などを制作)

入口を入るとまず目に入るのがバンダイ/瑞華行のブースです。


「GUNPLA EXPO SHANGHAI 2013」と銘打ち、世界ガンプラコンテスト(GBWC)の優秀作品や、話題の新モデルを多数展示しています。GBWC(ガンプラビルダーズワールドカップ)のアジア地区大会は何年も前から行われており、長年の蓄積があります。
■GBWC中国地区の予選方式説明ボード。華北地区、華東地区、華南地区、ネット応募の4つの予選区から中国本戦で絞られ、世界決戦に進む。


とにかく来場客は写真を撮りまくっています。そんなに撮ってどうするの?というくらい撮りまくっています。みんないいカメラを持っています。バンダイの展示ブースに群らがっている来場客のほとんどは男性で、小学生の男の子から30代くらいの男性が多いです。





ガンダムユニコーンのデザイン画、詳細スペック資料などを展示。


ONE PIECEのフィギュアのエリアは女の子が多いです。


ガンプラの販売。上海CCG限定販売もあります。会場で3000元(約5万円)以上する製品を購入している人もいます。
■限定発売製品のラインナップ。発売開始時間が指定されている製品もあります。

■レジの様子


このようなアニメ・ゲーム系のイベントには、アニメグッズショップがよく出展します。
中国展開している主なアニメグッズショップはアニメイトと台湾の木綿花と曼迪などです。台湾系のショップは日本アニメのキャラクターグッズを販売しています。
いま中国で一番人気のあるアニメは「進撃の巨人」です。動画サイト「愛奇藝」で字幕付きで無料配信されています。配信期間の限定はありません。
■アニメショップのブースの壁。ウォール・マリア・・?


■アニメショップ「木綿花」の入口。入場規制の列ができています。



■レジ


アニメイトには更に多くの人が並んでいます。アニメイトは断トツのブランド力があります。アニメイトの商品を見てみたいと思う人は多く、ブースの回りに長い列ができます。




そこまで並んで入場したのだから、大量のグッズを購入して出てくるかというと、そうでもないように思います。アニメイトはブランド力があり作りもキレイなので、商品を見てみたいと思う人は多いですが、台湾系ショップの方が単価が安いので、そちらで買う人も多いです。台湾系のショップには、台湾や香港のアニメのキャラクターグッズもあるにはありますが、ごく少数に留まります。

■ソードアートオンラインのオンリーショップ。(ANIPLEXが出展していたのでしょうか?)


こういうイベントに来ていつも思うことは、角川書店の中国合弁会社「天聞角川」のレジは稼働率が高いです。「天聞角川」は、中国のメディア会社「天聞」と角川グループの香港子会社の合弁で、角川系(富士見ファンタジア、電撃文庫など)のライトノベルの中国語版を販売しており、グッズも取り扱っています。

このような展示会ではブース内で即販が行われますが、ブース内は混み合っていてもレジの周りは空いているという現象がよく起きます。特にフィギュアなどは並んでまでしてブースに入っても、見るだけで何も買わずに出てくるという人が少なくありません。しかし、天聞角川は商品が小説という誰でも手が出せるもので、しかも単価が中国の一般書籍と同じレベルなので、購入率が高いです。
■ピーク時はレジ5台がフル稼働。

出口のところでしばらく見ていたのですが、一番多く売れている小説は「ソードアートオンライン」でした。レジに向かう子の半分くらいがソードアートオンラインを手にしており、残りの半分が「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」「アクセルワールド」「桜荘のペットな彼女」などの作品が分け合っているかんじです。「お試し読み」として超低価格で提供したり、小説だけではなくグッズの販売、無料ポスターの配布など充実していると思います。
また、CCGの天聞角川ブースでは例年人気ラノベ作家のサイン会を行っています。今年は「はたらく魔王さま!」で人気の和ヶ原聡司先生サイン会を開催。(2013年7月13日)




ただし、中国大陸での日本ライトノベルの普及度は台湾に比べるとまだまだのようです。台北国際ブックフェアで行われるラノベ作家のイベントでは、もっともっと長い行列ができていると聞きます。

今回のCCGには「JUMPショップ」が登場しました。バンダイ、天聞角川、アニメイトなどは中国のイベントではお馴染みの存在ですが、JUMPショップの出展を見たのは初めてです。


ショップ内では週間少年JUMP掲載作品のモニュメント展示、グッズや複製原稿を販売しています。


複製原稿は1枚100元(約1500円)で販売されており、安い金額ではありませんが、高すぎて手が出ないというほどでもありません。買っている人も結構いました。但しアニメ化されている作品とされていない作品で、商品の減り方にかなり差があるようです。
中国は紙文化が成熟する前に、デジタルメディア時代が来てしてしまったので、紙文化が質的にあまり発達していません。「原稿」の価値を中国の来場客はどう受け止めたでしょうか。



週間少年JUMPが、“中国大陸版・少年JUMP”「漫画行」の創刊を発表。2014年2月創刊予定。「ジャンプ世界漫画賞」は各国から作品投稿を呼びかけ、大賞、日本語人気TOP賞、英語人気TOP賞、中国語人気TOP賞という、言語別に賞を設けています。




写真が多すぎるので分けます・・・m(__)m
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2013年上海国際映画祭~日本映画週間とタイ映画ウィークの開幕セレモニー

2013年07月08日 | タイドラマ
6月15日から6月23日まで上海国際映画祭が開催されました。1週間あまりの開催期間中に、約25ヶ国約360作品が上海市内の映画館で上演されたほか、多くの映画関係者が上海を訪れました。中華圏からだけではなく、スーパーマン新作映画「マン・オブ・スティール」のザック・スナイダー監督、主演のヘンリー・カヴィルなどもイベントに参加し話題を呼びました。

上海映画祭では日本映画も多数上映され、6月16日(日)午後2時から「日本映画週間」開幕式が上海影城で行われました。開幕式には日本からのゲスト(映画監督:君塚良一、古澤健、川村泰祐、Claude Gagnon、雑賀俊郎、女優:余貴美子、工藤夕貴)も出席しステージで挨拶をしました。
参考(上海映画祭 日本映画週間オフィシャルサイト):http://cjiff.net/index_jp.html


上海映画祭は、約1週間の開催期間中、市内複数の映画館約10ヶ所で出品作品が上映されます。上海の映画館はショッピングモール内に入っている新しいシネコンが多いですが、歴史建築物を利用しているところもあります(中身はシネコン形式)。
■国泰電影(CATHAY CINEMA)

■衡山電影院

■大光明電影院



■上海影城(メイン会場)


今回の映画祭で特に楽しみにしていたのはタイ映画です。

6月16日の20:45からBie(Bie Sukrit Wisetkaew)というイケメン俳優主演の「愛触摸心」(英語名:The Rainbow In The Night)というミュージカル映画を観る予定になっていました。
公式スケジュールでは20:45から上映とされていたのですが、会場に行ってみると入口に人だかりができていました。警備員の背後で多くのファンが映画のポスターや電飾ボードを持って待機しており、明らかに入り待ちをしているのです。

会場に行ってみて初めて知ったのですが20:45から映画上映だけでなく、タイ映画ウィークの開幕式をやるというのです。開幕式には「愛触摸心」の主演女優Noonaが出席することになっているのですが、まだ到着していないのでファンが入り待ちをしている状態でした。関係者はなかなか到着せず、開幕式が始まったのは9時過ぎでした。

普通、夜の9時から開幕式始めるか・・・?

こんな時間しか場所が取れなかったのか、それともタイ側の事情なのかは分りませんが、日本映画週間の開幕式が日曜日の午後2時というまともな時間に行われたのと対照的でした。しかもタイ映画ウィーク開幕式の会場は映画館の中でも外れた位置にある小さな上映ホールでした。

夜遅くから開催されたタイ映画ウィークの開幕式は、小規模ながらも熱気に満ちていました。
まずはこの種のセレモニーでは必ず行われる、領事館大使の挨拶です。
タイ大使の挨拶がアツかった。
まず、「お忙しいところお集まりいただいたご来賓の皆さま、観客の皆さま、メディアの皆さま・・・」と始まるのはいいのですが、タイ領事館大使はこれに加えて、中央列に固まって座っている入り待ちをしていた女の子たちに向って、

タイ芸能ファンの皆さん、こんばんは!!

と熱意をこめて呼びかけます。

そして、原稿も手にせずにステージを自在に使って、中国語で熱弁をふるいました。
いかにタイ側がこの上海映画祭を重視しているかということに始まり、ドラマも含め、タイ芸能を中国に広めるためのこれまでの努力と成果についても語りました。

そして最後には、「ファンの皆さんの応援があってこそなのです!ファンの皆さんの応援があれば、私はタイのスターを必ず中国にもっと連れてきてみせます!!」

と、大使というよりはどこかの劇場の支配人みたいでしたが、たしかにタイ側は、タイ芸能の中国プロモーションに力を入れており、入り待ちの女の子たちが集まったように成果が表れています。
領事館の祝辞というものは、厳粛な雰囲気のもと行われるものだと思っていたので、タイ大使の熱弁には驚きました。

タイは対中国プロモーションとして、観光・グルメ・エンタメの三つを中心に掲げています。これはタイだけでなく、多くの国が採用する手法で、タイよりも早くこれを徹底して行ったのは韓国です。韓国のPRフィルムでは「イビョンホンが済州島で遊びながら韓国宮廷料理を食べている」といった、スター・グルメ・観光地を一体化した内容のものが作られています。
しかし、ペヨンジュンやソンヘギョ、Rainに相当するような、中国人に広く知られているタイのスターというものがまだ存在しません。そこで、意識的に「タイの顔になるスター」を育てようとしているのだと思います。その足場として、中国でタイドラマを放送できるように中国安徽衛視と協議を締結した経緯もあります。

また、挨拶の中で「芸能を通じてもっとタイに親しみをもってほしい、そしてタイに旅行に来てもらいたい」というメッセージを発しました。

日本領事の挨拶でも同じようなメッセージを発していますが、「映画の舞台となった風景を、実際にも見てほしいと思います」といった奥ゆかしい表現をされていました。タイ大使はもっとストレートに「多くの人にタイを訪れて、タイの食べ物、風景、そしてタイの人情を感じていただきたい!これは映画を見ているだけでは判りません!!」と訴えていました。

タイ映画ウィーク開幕式では更に特別ゲストとして「愛触摸心」の主演女優であるNoonaのインタビューが行われました。しかもインタビューだけではなく、その場でアカペラで中国語の歌をワンフレーズ披露したのです。この映画はもともとミュージカルを映画にしたもので、Noonaは歌手でもあるわけですが、あの場でいきなりアカペラで歌うのはすごいサービス精神だと思いました。フレンドリーなのはタイのお国柄なのでしょうか。集まっていたタイ芸能ファンの女の子たちはNoonaのファンというよりはBieのファンなので、Bieからのファンへのメッセージ動画も最後に放映されました。



日本領事館の挨拶とタイ領事館の挨拶を聞いていて、気になったことがあります。

日本領事館の挨拶では「映画という文化を通じて、両国の理解を深めたい」と語り、映画のことを「文化」と表現しています。
これに対してタイ領事館挨拶では「映画などの娯楽を架け橋として、タイのことをもっと知ってほしい」と語りました。内容的には同じような意味ですが、表現が異なります。日本は映画は「文化」と捉えており、タイは映画は「娯楽」と表現しています。
映画は「文化」かそれとも「娯楽」か・・・上海映画祭でタイ映画を2本観ましたが、たしかに娯楽作品でした。また、タイ領事館代表は映画だけではなく、現在中国で放送されているタイドラマのことも含めて話をしていたので「娯楽」と言ったのかもしれません。

中国では映画は「文化」というより「娯楽」として扱われています。文化を理解し合うより、娯楽をともに楽しむ方が容易く実現できると思うので、言葉の使い方の問題に過ぎないかもしれませんが、「娯楽を架け橋にして交流を深める」方が現実味があるように感じました。

今回の上映作品主演のBieにしても、タイドラマ俳優として中国で最も有名なPongにしても、インタビューなどを読む限り、彼らは中国だけではなく日本にも活動の幅を広げたいと考えているようです。中国だけをターゲットにしているわけではないけれど、日本は進出ルートが開かれておらず、参入が難しいのかもしれません。

日本でタイ芸能は流行るでしょうか?
タイドラマ(ラコーン)は次の展開が気になってしょうがない面白い作品もあります。しかし作り方に雑なところがあるので、大らかな心を持たないと受け入れられないかもしれません。タイドラマは台湾アイドルドラマと似たところがあり、女優よりも美男俳優を中心に据えた作品が多いです。タイ独特の雰囲気を持ったイケメン俳優も豊富です。
F4など台湾アイドルが好きだった、若しくは1990年代の香港スター(アンディ・ラウ、アーロン・クォックなど)が好きだった人は、タイスターに引かれる部分があるのでは。1990年代の香港スターが持っていた、アジア人なんだけど白馬の王子さま的なキラキラテイストがタイ俳優にはあります。かつての香港芸能を懐かしく思う方は、タイに目を向けてみてもいいかもしれません。

Bie Sukrit Wisetkaew(中国では通称Bie。タイのショウ・ルオ的な存在なのでは。)


Tik(Jesdaporn Pholdee)上海国際映画祭上映作品「Super Sarary Man」に出演。軍服を着るシチュエーションが多いのがタイ俳優の特徴か・・・
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