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2024年の中国映画市場~数字を稼ぐコメディ映画俳優沈騰(シェン・タン)

2024年11月02日 | エンタメの日記
現在開催中の東京国際映画祭に合わせて、今年も「東京・中国映画週間」が開催されました。
「東京・中国映画週間」では『黙殺』『抓娃娃(じゅあわわ)』『デクリプト(解密)』など2024年に公開された新作も多く上映されています。
2024年が終わるまであと2ヶ月ありますが、中国の映画興行は、1~2月の旧正月(春節)連休と10月の国慶節連休が勝負で、その時期に期待度の高い作品をぶつけてくることが多いです。11~12月は閑散期にあたるので、2024年度の興行収入TOP10は11月の時点でほぼ確定している思われます。

2024年中国映画興行収入TOP10(2024年11月1日現在の累計興行収入)

1位 熱辣滚燙(『百円の恋』の中国リメイク版)34.6億元(約690億円)
2位 飛驰人生2  33.98億元(約680億円)
3位 抓娃娃(じゅあわわ)33.27億元(約660億円)
4位 第二十条  24.54億元(490億円)
5位 熊出没・タイムツイスト 20.06億元(約400億円)
6位 黙殺    13.51億元(約270億円)
7位 志願兵・存亡之戦  11.66億元(約230億元)
8位 ゴジラxコング 新たなる帝国 9.56億元(約190億元)
9位 君たちはどう生きるか  7.91億元(約158億円)
10位 エイリアン:ロムルス  7.86億元(約157億円)

2024年の中国映画市場について
1位から7位が中国映画で、8位と10位がハリウッド映画、9位が日本アニメです。
上位10作のうち、アニメ映画が2作を占めています。5位の「熊出没」は中国の人気アニメシリーズ映画版で、9位の「君たちはどう生きるか」は宮崎駿監督作品です。

興行収入からみると、2024年の中国映画市場は全般的に不調です。
中国映画は振るわず、それ以上にハリウッド映画の落ち込みが激しいです。
そんな中、相対的にいうと日本アニメ映画は健闘しています。数字からいうとそこまで突出しているわけではないのですが、巨額の費用を投じて制作された中国大作映画が当たらなかったり、ハリウッド人気シリーズの続編がまったく振るわなかったりする中、日本アニメは一定数のファンを呼び込むことに成功しています。この現象は中国に限ったことではなく、米国や韓国の映画市場でも同様に日本アニメの健闘がみられるのではと思います。

2024年に中国で劇場公開された主な日本アニメ(中国興行収入順)
『君たちはどう生きるか』 7.91億元(約158億円)
『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』2.93億元(約58億円)
『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』2.86億元(約57億円)
『ハウルの動く城』 1.67億元(約33億円)
『映画ドラえもん のび太の地球交響楽』1.3億元(約26億円)
『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』1.29億元(約25億円)
『ルックバック』 3664万元(約7億円) 10月26日に公開されたばかりなので、まだ伸びる可能性が高いです。
『劇場版ブルーロック -EPISODE 凪-』 3344万元(約6億円)

宮崎駿作品のほか、 SPY×FAMILY、コナンなど対象年齢の幅が広いメジャー作品が健闘しています。

2024年興行収入1位となった『熱辣滚烫』は、安藤サクラ主演の映画『百円の恋』の中国リメイク版です。
『熱辣滚烫 YOLO 百元の恋』は、人気コメディエンヌの賈玲(ジア・リン)が『你好,李焕英』に続いて監督・主演を務めた作品で、ふくよかな体型がトレードマークの賈玲が「50kgの減量をして挑んた作品」という触れ込みで大宣伝がなされました。
作品の出来栄えの評価は分かれましたが、いま中国のネット上ではフェミニズムが強いので、この映画の批判はできない雰囲気がありました。賛否はあるものの話題作りに成功し、『熱辣滚烫 YOLO 百元の恋』は中国で2024年興行収入1位(34.6億元=約690億円)というヒットを記録しました。

2位と3位につけているのはコメディ映画です。その主演俳優は2作ともに沈騰(シェン・タン)です。
沈騰(シェン・タン)は中国で非常に人気のある俳優で「开心麻花」というコメディ舞台集団の出身です。「开心麻花」は舞台から映画制作を手掛ける大手ブランドに成長しており、その看板俳優として大きな貢献を果たしたのが沈騰(シェン・タン)です。

沈騰(シェン・タン) 1979年10月23日生まれ、黒龍江省チチハル出身、身長180cm、解放軍芸術学院卒業。「开心麻花」のコメディ舞台劇で人気を博し、中国版紅白「春晩」で風刺の効いたコントを演じて注目を集める。2015年以降は『夏洛特烦恼』を皮切りに、主演俳優または監督として現代コメディ映画を次々とヒットさせる。「开心麻花」の盟友・馬麗とのコンビ作品が多い。


2024年中国映画興行収入3位『抓娃娃(じゅあわわ) ー後継者養成計画ー』は「東京・中国映画週間」でも上映されました。


主演は沈騰(シェン・タン)と馬麗(マー・リー)で、このコンビが夫婦役を演じ、年を取ってから授かった息子の育成のために奇想天外な仕掛けをするという現代風刺コメディです。


この映画では、中国人の子育てに投入される過大なパワーと教育熱、親と子の愛と束縛、一人っ子政策の緩和・終了により生じた異常に年の離れた兄弟など、リアルな中国社会を映し出しています。
日本人からみると、親が子どもにそこまで執着することに誰もが共感できるわけではないので、風刺として笑えない部分もあるかもしれません。
ただし、脇役まで味のある俳優が配置され、洗練されたカメラワークと高い編集技術でテンポよく話が進み、いまの中国映画はハイレベルの映像制作力を備えていることがよく分かる作品です。
息子役を演じるのは中国ドラマ「バッド・キッズ」(2020年放送)で少年・厳良(イェン・リャン)役を演じた史彭元です。
2005年生まれの史彭元は「バッド・キッズ」の少年役で一躍有名になり、その後、多くの芸能関係者を輩出する名門大学・中国伝媒大学に進学し、現在は第一線の若手映画俳優として、順調にキャリアを重ねています。
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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんにちは (はるみとまこ)
2024-11-07 12:54:45
いつかは東京国際映画祭を見に行きたい!と、思いつつ未だに行けてません。
「じゅあわわ」予告を見て、見たいと思いました。
関西では香港映画祭があるのですが、私がもたもたしてるうちに完売になってました(´;ω;`)ウッ…
面白い作品は普通にロードショー希望です。
先日、カリーナ・ラウのインスタにユンファが写ってて( ノД`)シクシク…
しかもGDRAGONとのショットもあって、不思議で仕方なかったです。
1980年代、1990年代の香港映画に思いを馳せました(´;ω;`)ウゥゥ
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はるみとまこさん (上海阿姐)
2024-11-07 21:45:53
こんにちは!最近の香港映画は大作と小作品との差がすごく大きいですね。大作は減りましたが、年に数本はアクション系のスリリングな作品がでてきますね。
「決戦!九龍城砦」が日本で劇場公開されますね。これは久しぶりに香港らしい(?)大作映画かもしれません。ルイス・クー主演です
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