香港映画「トワイライト・ウォリアーズ 決戦! 九龍城砦」が1月17日に日本全国の劇場で公開され、公開から4週目に入っても集客数を伸ばしています。また、発声OKの「応援上映」が開催されるなど、久しぶりに香港映画が日本で盛り上がっています。

映画「トワイライト・ウォリアーズ 決戦! 九龍城砦」の制作地は香港で、撮影期間は2021年11月30日から2022年4月までと言われており、コロナのさなかに撮影されたことになります。
香港・中国大陸で2024年5月1日に公開され、香港では約1.08億香港ドル(日本円換算約21億円)、中国大陸では6.85億元(日本円換算約140億円)の興行収入を上げています。
公開当初、中国では興行収入そのものよりも、第77回カンヌ国際映画祭で上映されて大喝采を浴びたとか、米アカデミー賞の国際長編映画賞の香港代表作品に選ばれたなど、久しぶりに香港映画らしい香港映画が国際舞台に躍進しているというニュースで話題を集めました。
日本でも興行収入1億円を突破し、過去5年間に日本で上映された香港映画の中で最も良い成績を残したことが嬉しいニュースとして伝えられています。
制作者のFacebookアカウントでも日本の観客に感謝を伝える言葉が投稿されています。
https://www.facebook.com/KowloonWalledCityMovie
~ 「トワイライト・ウォリアーズ 決戦! 九龍城砦」(中文原題:九龍城寨之圍城)のあらすじ ~
香港に実在した危険なスラム街「九龍城砦」に逃げ込んだ不法移民の男(主人公)は、九龍城砦の中で床屋を営む九龍城砦の白髪まじりの男に助けられる。
孤独な主人公は身分証を手に入れるお金を作るため、九龍城砦にひっそりと身を置き黙々と働く。やがて、過密空間に生きる九龍城砦の訳ありの住民たちの懐の深さに引かれて、主人公は九龍城砦に住みつくことになる。
しかし、親の世代から続く因縁の戦いに否応無しに巻き込まれていく。
仲間、兄弟、父、師、義侠的な男同士の人間関係の中で私欲や裏切りが渦巻く。欲やしがらみを、武侠、カンフー、気功などのアクションで爽快に突破していく映画です。
後半はとくに、香港映画ならではの激しいカンフーアクションシーンが続きますが、「親世代の確執を子どもの世代で精算・昇華すること」がストーリーの軸になっています。
本作の時代設定は1980年代(具体的には1984~85年)です。
その30年前の1950年代(具体的には1957年)に親世代の時代の九龍城砦で勃発した抗争が、30年先まで禍根を残しています。
劇中に出てくる暦や身分証などから推測すると、子ども世代の人物が20代後半から30歳前後で、親世代の人物が50代後半から60代のはずです。
この映画では、親世代の人物を香港芸能界の大スターが演じており、子ども世代の人物は、それほど有名ではない新しい世代の香港俳優陣が演じています。
親世代の俳優陣:
本作の主人公の一人といえる”龍捲風”。九龍城砦内に店を構える床屋の店主で、九龍城砦を取りまとめるボスでありガーディアンのような存在。”龍捲風”は竜巻という意味で、決着シーンでの隠喩となっています。

この役を演じるのは香港映画界を支え続けてきた大スター、ルイス・クー(古天樂)です。ルイス・クーは1970年10月21日生まれで現在54歳。
端正な顔立ちでアクションを得意とし、警官や司令官など正義感の強いヒーロー役を演じることも多いです。
”龍捲風”の義兄弟で九龍城の不動産権利を握る”秋兄貴”。30年前(1957年)の抗争で妻子を陳占に殺害され、その恨みを陳占の息子の命をもって贖わせようとしている。

”秋兄貴”を演じるのは、台湾出身の超有名な歌手であるリッチー・レン(任賢齊 )です。リッチー・レンは1966年6月23日生まれ、現在58歳。1990年代に中華圏全域で記録的なヒット曲をとばし、C-POPを代表する歌手。リッチー・レンの歌は多くの人の共感を呼ぶ親しみやすいもので、本人も気さくで明るいキャラクターです。タレントイメージとしては、ヤクザ役をやるタイプではなく、また、広東語もネイティブではありませんが”秋兄貴”に起用されています。
”大老闆”を演じるのはサモ・ハン・キンポー(洪金寶)。サモ・ハン・キンポーは1949年12月11日生まれ、現在75歳(1952年1月7日生まれの説もあり、その場合は現在73歳)。子ども時代からアクションで活躍し、香港カンフー映画の重鎮であり指導者。

本作では冷血なボス役として激しいアクションを演じていますが、実際にはもう70代です。受賞式典などスクリーンの外では、杖をついていたり、誰かに支えられて現れる姿も見られ、アクションシーンをどうやってやり遂げたのか不思議です。
30年前の抗争で右目を失った”虎兄貴”を演じるのはケニー・ウォン(黃德斌)。1963年4月30日生まれ、現在61歳。

そして、”殺人王”の異名を持ち30年前の禍根の中心となった陳占を演じるのがアーロン・クオック(郭富城)です。

アーロン・クオックは香港芸能の黄金時代を代表するスターの一人。1965年10月26日生まれ、現在59歳。
元祖ダンス・キングであり、ソロ男性歌手として香港芸能ならではのド派手舞台を作り出すエンターテイナーとして多くの人を魅了してきました。俳優業にも精力的に取り組んでおり、多数の賞を受賞しています。
子ども世代の俳優陣:
主人公・陳洛軍。身寄りがなく身分証を持たない不法移民で、マフィアに追われて九龍城砦に逃げ込み、龍捲風らと出会う。

陳洛軍を演じるのはレイモンド・ラム(林峯)です。レイモンド・ラムは1979年12月8日生まれ、現在45歳。
主人公・陳洛軍は30歳前後のはずですが、現在45歳のレイモンド・ラムが演じています。撮影時はいまから3年ほど前とはいえ、年齢的にはギャップがあります。しかし、ギャップをまったく感じさせない演技とアクションを見せています。
ソンヤッ(信一)。九龍城砦のボスである龍捲風から厚い信頼を得ており、主人公のことを気にかける情に厚い若者。

ソンヤッ(信一)役を演じたのはテレンス・ラウ(劉俊謙)、1988年9月26日生まれ、現在36歳。
信一は陳洛軍よりも目を引くキャラクターで、色気も華もあり主人公と言われてもおかしくないルックスです。
テレンス・ラウは本作で注目を浴びましたが、それほど有名な俳優ではなかったと思います。2021年に公開された映画『梅艶芳』の中でレスリー・チャン役を演じて知名度を上げ、最近では台湾Netflixドラマ「次の被害者」シーズン2に出演しています。
セイジャイ(四仔):医学の知識を持つ腕っぷしのよい青年。顔に傷跡がありマスクで隠しており、主人公のために敵と闘う。義理堅く理知的で頼もしい味方。

四仔を演じるのはジャーマン・チョン(張文傑)。1985年12月3日生まれ、現在39歳。多くの映画でアクション・武術指導を担当しています。これまであまり俳優としては表に出てきていないのではと思います。
サップイー(十二少)。”虎兄貴”を慕う九龍城出身の青年。主人公・陳洛軍に過去の自分の姿を重ねて、命をかけて共闘する。

十二少を演じるのはトニー・ウー(胡子彤)。1992年4月16日生まれ、現在32歳。野球選手だったが2016年に映画『点五步』に抜擢されて俳優になり、その後多くの香港映画に出演しています。
十二少は主人公を含めた4人の青年たちの中でも最も少年らしさを残すルックスをしています。
4人のキャラクターの個性や役割が非常に明確で、ビジュアルもうまくはまっています。

主役の陳洛軍を演じたレイモンド・ラム(林峯)は香港では知らない人はいないほどのスター俳優で、華やかなコンサートを開く歌手でもあります。
レイモンド・ラム(林峯)2024年9月マカオコンサートのポスター

レイモンド・ラムは実際には現在45歳、ルイス・クーは54歳です。
役柄としては親世代と子世代にあたる関係ですが、実年齢は10歳も違いません。
しかし、香港芸能人としてみると、レイモンド・ラムとルイス・クーはやはり世代が違うスターといえます。
ルイス・クーは1990年代から多くの作品に出演し、2010年以降香港映画が低迷していく中でも、意欲的に映画に出演し主役スターとして香港映画を支え続けている人です。香港返還前にデビューしており、広東語で育っているため北京語があまり流暢ではないと認識されています。
一方、レイモンド・ラムが有名になったのは2000年代後半からです。
レイモンド・ラムは中国福建省アモイ生まれで、父親が福建省の不動産業で成功した裕福な家庭の出身で留学歴もあります。広東語も英語も北京語も流暢で、身長も180㎝と香港芸能人の中では長身です。
レイモンド・ラム以外の若手役を演じた3名は、それほど有名な俳優ではありません。
ですが、本作をきっかけに、子ども世代の人物を演じた香港俳優陣はこれからの香港映画を引っ張る存在になるのではと思います。
そして、親世代の人物を演じたベテランスター俳優陣も、まだまだ香港で活躍してくれるはずです。
「トワイライト・ウォリアーズ 決戦! 九龍城砦」は三部作として作られており、今回公開されたのは第一部で、この後、第二部、第三部が控えています。
第二作「龍頭」の舞台は1950年代、禍根となった抗争の主要人物である雷震東、その兄弟分で”殺人王”として恐れられた陳占、そして龍捲風がメインとなるお話のようです。
第三作「最終章」は時間が進み、九龍城砦が取り壊された後の時代が舞台で、陳洛軍、信一、四仔、十二少ら4人が九龍城砦を失った後、新たな戦いに立ち向かう・・・という物語とみられます。
香港にかつて存在した九龍城砦は治安の良くない場所だったと言われています。
ですが、実際には不法滞在者や犯罪者ばかりが寄り集まっていたのではなく、家賃が安くて立地が良いという理由で短期的に賃貸居住していた人の割合が高かったという説もあります。
「トワイライト・ウォリアーズ 決戦! 九龍城砦」のエンディングでも、九龍城砦の廊下の壁に「水は大切に使いましょう」と書かれているなど、生活感溢れるひとつの「共同住宅」としての一面が描かれています。
中国広東省の広州や深センなどにも九龍城砦に相当するような、外の人からはスラムと呼ばれる異空間的なエリアがつい最近までありました。一部はまだ存在していると思います。
しかし、それらは九龍城砦と違って、物理的に取り壊されると同時に消え去り、回顧されることもほとんどありません。
香港九龍城砦が解体から30年余りを経ても、いまなお語り継がれるのは、九龍城砦が政府の統治が及ばない空白地帯であったというロマンに魅せられた人々が、探検記を残し、多数の創作物を生み出したからだと思います。
当時の独特の香港文化との相乗効果で九龍城砦は野次馬も含め多くの人を惹きつけ、解体されたいまも創作のインスピレーションを与え続けています。それが、九龍城砦とその他の世界の”スラム”との違いです。
●音楽を担当する川井憲次
「トワイライト・ウォリアーズ 決戦! 九龍城砦」の音楽は川井憲次が担当しています。
川井憲次はサントラ音楽界の大御所で、ドラマ、アニメ、映画、ゲームなど幅広いジャンルの作品を手掛けています。
日本国内ではNHK大河ドラマ『花燃ゆ』のサントラの評価が高いですが、海外では「攻殻機動隊」をはじめとする押井守監督とのコンビ作や、「信長の野望 Online」「機動戦士ガンダムOO」「Fate/stay night」などで知られています。
また、中華圏では、川井憲次が手掛けた香港映画『セブンソード』(中国語タイトル「七劍」、ツイ・ハーク監督)の戦いのシーンの音楽がものすごく有名です。2022年放送の中国大作歴史ドラマ『風起隴西』にも川井憲次が起用されていますが、中華圏の映画・ドラマ監督にとって川井憲次は憧れのサントラ音楽家なのだと思います。

映画「トワイライト・ウォリアーズ 決戦! 九龍城砦」の制作地は香港で、撮影期間は2021年11月30日から2022年4月までと言われており、コロナのさなかに撮影されたことになります。
香港・中国大陸で2024年5月1日に公開され、香港では約1.08億香港ドル(日本円換算約21億円)、中国大陸では6.85億元(日本円換算約140億円)の興行収入を上げています。
公開当初、中国では興行収入そのものよりも、第77回カンヌ国際映画祭で上映されて大喝采を浴びたとか、米アカデミー賞の国際長編映画賞の香港代表作品に選ばれたなど、久しぶりに香港映画らしい香港映画が国際舞台に躍進しているというニュースで話題を集めました。
日本でも興行収入1億円を突破し、過去5年間に日本で上映された香港映画の中で最も良い成績を残したことが嬉しいニュースとして伝えられています。
制作者のFacebookアカウントでも日本の観客に感謝を伝える言葉が投稿されています。
https://www.facebook.com/KowloonWalledCityMovie
~ 「トワイライト・ウォリアーズ 決戦! 九龍城砦」(中文原題:九龍城寨之圍城)のあらすじ ~
香港に実在した危険なスラム街「九龍城砦」に逃げ込んだ不法移民の男(主人公)は、九龍城砦の中で床屋を営む九龍城砦の白髪まじりの男に助けられる。
孤独な主人公は身分証を手に入れるお金を作るため、九龍城砦にひっそりと身を置き黙々と働く。やがて、過密空間に生きる九龍城砦の訳ありの住民たちの懐の深さに引かれて、主人公は九龍城砦に住みつくことになる。
しかし、親の世代から続く因縁の戦いに否応無しに巻き込まれていく。
仲間、兄弟、父、師、義侠的な男同士の人間関係の中で私欲や裏切りが渦巻く。欲やしがらみを、武侠、カンフー、気功などのアクションで爽快に突破していく映画です。
後半はとくに、香港映画ならではの激しいカンフーアクションシーンが続きますが、「親世代の確執を子どもの世代で精算・昇華すること」がストーリーの軸になっています。
本作の時代設定は1980年代(具体的には1984~85年)です。
その30年前の1950年代(具体的には1957年)に親世代の時代の九龍城砦で勃発した抗争が、30年先まで禍根を残しています。
劇中に出てくる暦や身分証などから推測すると、子ども世代の人物が20代後半から30歳前後で、親世代の人物が50代後半から60代のはずです。
この映画では、親世代の人物を香港芸能界の大スターが演じており、子ども世代の人物は、それほど有名ではない新しい世代の香港俳優陣が演じています。
親世代の俳優陣:
本作の主人公の一人といえる”龍捲風”。九龍城砦内に店を構える床屋の店主で、九龍城砦を取りまとめるボスでありガーディアンのような存在。”龍捲風”は竜巻という意味で、決着シーンでの隠喩となっています。

この役を演じるのは香港映画界を支え続けてきた大スター、ルイス・クー(古天樂)です。ルイス・クーは1970年10月21日生まれで現在54歳。
端正な顔立ちでアクションを得意とし、警官や司令官など正義感の強いヒーロー役を演じることも多いです。
”龍捲風”の義兄弟で九龍城の不動産権利を握る”秋兄貴”。30年前(1957年)の抗争で妻子を陳占に殺害され、その恨みを陳占の息子の命をもって贖わせようとしている。

”秋兄貴”を演じるのは、台湾出身の超有名な歌手であるリッチー・レン(任賢齊 )です。リッチー・レンは1966年6月23日生まれ、現在58歳。1990年代に中華圏全域で記録的なヒット曲をとばし、C-POPを代表する歌手。リッチー・レンの歌は多くの人の共感を呼ぶ親しみやすいもので、本人も気さくで明るいキャラクターです。タレントイメージとしては、ヤクザ役をやるタイプではなく、また、広東語もネイティブではありませんが”秋兄貴”に起用されています。
”大老闆”を演じるのはサモ・ハン・キンポー(洪金寶)。サモ・ハン・キンポーは1949年12月11日生まれ、現在75歳(1952年1月7日生まれの説もあり、その場合は現在73歳)。子ども時代からアクションで活躍し、香港カンフー映画の重鎮であり指導者。

本作では冷血なボス役として激しいアクションを演じていますが、実際にはもう70代です。受賞式典などスクリーンの外では、杖をついていたり、誰かに支えられて現れる姿も見られ、アクションシーンをどうやってやり遂げたのか不思議です。
30年前の抗争で右目を失った”虎兄貴”を演じるのはケニー・ウォン(黃德斌)。1963年4月30日生まれ、現在61歳。

そして、”殺人王”の異名を持ち30年前の禍根の中心となった陳占を演じるのがアーロン・クオック(郭富城)です。

アーロン・クオックは香港芸能の黄金時代を代表するスターの一人。1965年10月26日生まれ、現在59歳。
元祖ダンス・キングであり、ソロ男性歌手として香港芸能ならではのド派手舞台を作り出すエンターテイナーとして多くの人を魅了してきました。俳優業にも精力的に取り組んでおり、多数の賞を受賞しています。
子ども世代の俳優陣:
主人公・陳洛軍。身寄りがなく身分証を持たない不法移民で、マフィアに追われて九龍城砦に逃げ込み、龍捲風らと出会う。

陳洛軍を演じるのはレイモンド・ラム(林峯)です。レイモンド・ラムは1979年12月8日生まれ、現在45歳。
主人公・陳洛軍は30歳前後のはずですが、現在45歳のレイモンド・ラムが演じています。撮影時はいまから3年ほど前とはいえ、年齢的にはギャップがあります。しかし、ギャップをまったく感じさせない演技とアクションを見せています。
ソンヤッ(信一)。九龍城砦のボスである龍捲風から厚い信頼を得ており、主人公のことを気にかける情に厚い若者。

ソンヤッ(信一)役を演じたのはテレンス・ラウ(劉俊謙)、1988年9月26日生まれ、現在36歳。
信一は陳洛軍よりも目を引くキャラクターで、色気も華もあり主人公と言われてもおかしくないルックスです。
テレンス・ラウは本作で注目を浴びましたが、それほど有名な俳優ではなかったと思います。2021年に公開された映画『梅艶芳』の中でレスリー・チャン役を演じて知名度を上げ、最近では台湾Netflixドラマ「次の被害者」シーズン2に出演しています。
セイジャイ(四仔):医学の知識を持つ腕っぷしのよい青年。顔に傷跡がありマスクで隠しており、主人公のために敵と闘う。義理堅く理知的で頼もしい味方。

四仔を演じるのはジャーマン・チョン(張文傑)。1985年12月3日生まれ、現在39歳。多くの映画でアクション・武術指導を担当しています。これまであまり俳優としては表に出てきていないのではと思います。
サップイー(十二少)。”虎兄貴”を慕う九龍城出身の青年。主人公・陳洛軍に過去の自分の姿を重ねて、命をかけて共闘する。

十二少を演じるのはトニー・ウー(胡子彤)。1992年4月16日生まれ、現在32歳。野球選手だったが2016年に映画『点五步』に抜擢されて俳優になり、その後多くの香港映画に出演しています。
十二少は主人公を含めた4人の青年たちの中でも最も少年らしさを残すルックスをしています。
4人のキャラクターの個性や役割が非常に明確で、ビジュアルもうまくはまっています。

主役の陳洛軍を演じたレイモンド・ラム(林峯)は香港では知らない人はいないほどのスター俳優で、華やかなコンサートを開く歌手でもあります。
レイモンド・ラム(林峯)2024年9月マカオコンサートのポスター

レイモンド・ラムは実際には現在45歳、ルイス・クーは54歳です。
役柄としては親世代と子世代にあたる関係ですが、実年齢は10歳も違いません。
しかし、香港芸能人としてみると、レイモンド・ラムとルイス・クーはやはり世代が違うスターといえます。
ルイス・クーは1990年代から多くの作品に出演し、2010年以降香港映画が低迷していく中でも、意欲的に映画に出演し主役スターとして香港映画を支え続けている人です。香港返還前にデビューしており、広東語で育っているため北京語があまり流暢ではないと認識されています。
一方、レイモンド・ラムが有名になったのは2000年代後半からです。
レイモンド・ラムは中国福建省アモイ生まれで、父親が福建省の不動産業で成功した裕福な家庭の出身で留学歴もあります。広東語も英語も北京語も流暢で、身長も180㎝と香港芸能人の中では長身です。
レイモンド・ラム以外の若手役を演じた3名は、それほど有名な俳優ではありません。
ですが、本作をきっかけに、子ども世代の人物を演じた香港俳優陣はこれからの香港映画を引っ張る存在になるのではと思います。
そして、親世代の人物を演じたベテランスター俳優陣も、まだまだ香港で活躍してくれるはずです。
「トワイライト・ウォリアーズ 決戦! 九龍城砦」は三部作として作られており、今回公開されたのは第一部で、この後、第二部、第三部が控えています。
第二作「龍頭」の舞台は1950年代、禍根となった抗争の主要人物である雷震東、その兄弟分で”殺人王”として恐れられた陳占、そして龍捲風がメインとなるお話のようです。
第三作「最終章」は時間が進み、九龍城砦が取り壊された後の時代が舞台で、陳洛軍、信一、四仔、十二少ら4人が九龍城砦を失った後、新たな戦いに立ち向かう・・・という物語とみられます。
香港にかつて存在した九龍城砦は治安の良くない場所だったと言われています。
ですが、実際には不法滞在者や犯罪者ばかりが寄り集まっていたのではなく、家賃が安くて立地が良いという理由で短期的に賃貸居住していた人の割合が高かったという説もあります。
「トワイライト・ウォリアーズ 決戦! 九龍城砦」のエンディングでも、九龍城砦の廊下の壁に「水は大切に使いましょう」と書かれているなど、生活感溢れるひとつの「共同住宅」としての一面が描かれています。
中国広東省の広州や深センなどにも九龍城砦に相当するような、外の人からはスラムと呼ばれる異空間的なエリアがつい最近までありました。一部はまだ存在していると思います。
しかし、それらは九龍城砦と違って、物理的に取り壊されると同時に消え去り、回顧されることもほとんどありません。
香港九龍城砦が解体から30年余りを経ても、いまなお語り継がれるのは、九龍城砦が政府の統治が及ばない空白地帯であったというロマンに魅せられた人々が、探検記を残し、多数の創作物を生み出したからだと思います。
当時の独特の香港文化との相乗効果で九龍城砦は野次馬も含め多くの人を惹きつけ、解体されたいまも創作のインスピレーションを与え続けています。それが、九龍城砦とその他の世界の”スラム”との違いです。
●音楽を担当する川井憲次
「トワイライト・ウォリアーズ 決戦! 九龍城砦」の音楽は川井憲次が担当しています。
川井憲次はサントラ音楽界の大御所で、ドラマ、アニメ、映画、ゲームなど幅広いジャンルの作品を手掛けています。
日本国内ではNHK大河ドラマ『花燃ゆ』のサントラの評価が高いですが、海外では「攻殻機動隊」をはじめとする押井守監督とのコンビ作や、「信長の野望 Online」「機動戦士ガンダムOO」「Fate/stay night」などで知られています。
また、中華圏では、川井憲次が手掛けた香港映画『セブンソード』(中国語タイトル「七劍」、ツイ・ハーク監督)の戦いのシーンの音楽がものすごく有名です。2022年放送の中国大作歴史ドラマ『風起隴西』にも川井憲次が起用されていますが、中華圏の映画・ドラマ監督にとって川井憲次は憧れのサントラ音楽家なのだと思います。
昨年、公開が決まってから手帳に書いて見るのを楽しみにしてた作品です。
しかし!殆ど行くことのない映画館での公開、その上、シニア料金が昨年より改悪してて65歳からだと(-_-;)
それで見るの諦めた次第です(-_-;)
面白くないゴールドフィンガーは見たのに( ノД`)シクシク…
WOWOWでの放映を待ちます。
まだ上映していると思うので、サービスデーに折よくぶつかるときがあればぜひご鑑賞ください!