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FC2ブログ「全民娯楽時代の到来~上海からアジア娯楽日記」の続きのブログです。

2PM 2ndアジアツアー「What Time Is It」 11月17日上海コンサート コンレポ

2012年11月18日 | エンタメの日記
2PMの2回目のアジアツアー「What Time Is It」が11月17日に上海からスタートしました。

日時:2012年11月17日(土)19:30開演
チケット:アリーナ1280元(約1万6000円)、スタンド1階 980元(約1万3000円)、780元(約1万円)、スタンド2階 480元(約6000円)
会場:メルセデスベンツアリーナ(梅賽得斯奔馳文化中心)上海万博会場跡地内にあるアリーナホール。万博の開閉幕式が行われた会場で、万博終了後は主にコンサート会場として利用されている。コンサートで使用する場合は、収容客数1万3千くらい。




この会場では毎週のように、中国・欧米・港台・日韓アーティスト(日本のイベントは尖閣問題のためしばらくなさそうです)のコンサートが行われています。
【11月~1月のメルセデスベンツアリーナ イベントスケジュール】
11月17日(土) 2PM  / 11月23日(土)エルトン・ジョン / 11月24日(日)ジェニファー・ロペス
12月2日(土)ジョイントイベント(五月天他)/12月8日(土)イーソン・チャン(陳奕迅) /12月15日(土)ジャム・シャオ(蕭敬騰)
12月24日(月)MC Hot Doc 12月31日 / SMG年越しコンサート / 1月12日(土)ハッカン・リー(李克勤)
この中で、圧倒的にチケットの売れ行きが良いのが、12月8日のイーソン・チャン(陳奕迅)です。イーソンは今大陸で一番チケットが売れるアーティストです。香港スター・ハッカンリーのコンサートでは、香港独特の360℃ステージを上海にも導入する予定。


2PMのステージを観るのは3回目です。1回目は2009年12月にWonderGirls上海コンサートで2PMがゲスト出演したときで(Heart Beat活動期)、2回目は2010年11月のマカオで行われたMAMA(I'll be back活動期)です。
2009年WonderGirs上海コンサートレポ過去ログ
2010年MAMAレポ過去ログ
2PMを見るのはちょうと2年振りになりますが、その間に日本にK-POPグループが大量進出し、2PMもその一角として日本活動に力を入れています。
前回MAMAで見たときは「I'll be back」活動期で、当時は「スモークメイク」が大流行していて目の周りが真っ黒でした。衣装もハリネズミみたいに銀のトゲトゲがいっぱいついたブーツを履いていたり、世相(北朝鮮との緊張)を反映してアーミー系だったり、好みは分かれますが韓国タレントとしての個性が強かったです。しかし今回のアジアツアーでは、すっかりカラーが変わっていました。シックというか、日本のファッション雑誌に載っていそうな格好でした。それはそれで非常にカッコイイのですが・・・ビジュアルでびっくり仰天することはもうないのかと思うと、ちょっと寂しいです。
ツッコミどころがないすごいイケメンのお兄さんたちがステージに6人並んでて、うわあ~すごいわ~・・・と望遠鏡は手放せません。マッチョなイメージがありますが、6人とも細いです。ウヨン、ジュノ、ニックンなどは特に足が細くてバランスがいいです。スタイルが一番キレイなのはウヨンではないでしょうか。手足が長くて上腕部の筋肉がきれいです。あと姿勢がいいと思います。ジュノも肩幅が広くてスタイルがいいですが、露出が少ない衣装だったので、ウヨンの方が目立ちます。顔がとてもキレイなのは・・・チャンソンです・・・。

開演予定時刻から15分遅れて19:45からスタート、客入りはだいたい8割~9割だったと思います。アリーナは熱心なファンで埋め尽くされていますが、スタンド席後方は空席があります。見た目には「結構入っている」というかんじで、現地のマスコミは「大入り」と書くレベルだと思います。(※中国のコンサートは完売しないのが当たり前と思われているので、8~9割入れば大入り(火爆)と書かれる。本当に満員のときは(「一票難求」1枚も手に入らない)等と表現される)


1曲目は「I'll be back」。花道のセンターからメンバーがせり上がり登場します。コンサートポスターにもなっている黒い戦隊物みたいな衣装です。ステージの正面と左右、それからステージ中央の上方にモニターが設置されているのですが、そのモニターを見てぎょっとしました。モニターの右上の角に「Mnet Live」とピンクの文字が表示されています。このコンサートはMnetで中継されていたのでしょうか・・・?中継までいかなくても、Mnetで放送されるのだと思います。ステージモニターに映像が写されるのは中国のコンサートでは当たり前なのですが、Mnet用のカメラが撮っていたので、普通の中国コンサートよりも撮り方が断然上手くて、ついつい生ステージよりモニターを見てしまいます。


どんなお客さんが観に来るのか気になっていましたが、なんのことはない、大半がニックンファンの女の子でした。バラエティ「私たち結婚しました」のニックンとf(x)のVictoriaの「クントリア」コンビが中国で非常に人気があり、ほとんど「クントリア」のファンでした。ニックンのパートでニックンがモニターでアップになるたびに大歓声で、他の5人との人気の差は圧倒的でした。
「I'll be back」「I was crazy about you」「I hate you」とダンス曲が続きますが、最初からずっとインカムで生歌です。最初はインカムの調子がすごく悪そうでしたが、4曲目くらいからPAが安定してきました。ソロは一部口パクだったと思いますが、ソロ以外は全部生歌でした。生ステージだとやはりジュンスの歌が一番安定しています。

最初のMCでツアーのイメージ衣装でもある、仮面ライダーみたいな黒い戦隊服を脱ぎます。この衣装が唯一のビックリ衣装で、他は基本的にスーツ系です。MCは韓国語で通訳は入りません。モニターに中国語字幕が入りますが、字幕と会話が全然合っていません。自己紹介のときチャンソンが中国語で挨拶しましたが、ほとんどのメンバーは挨拶も韓国語でした。テギョンが「上海のコンサートで・・」中国語で話し出したけれど、その後は韓国語になっていました。
後半のMCの途中で6人が輪になって何やら相談を始める場面がありました。随分長い間相談しているので、何かスゴイことをやってくれるかな・・・?と思って待っていると、くるりと振り向いたメンバーが声を揃えて言った言葉は、

「謝謝大家~!!」(皆さんありがとう~!!)

という極めて簡単な中国語の挨拶だったのでガクっときました。かわいいといえばかわいいですけど・・・・。
2PMは中国語には力を入れていないようです。JYPは女の子には中国語を勉強させるけど、男の子にはやらせないのでしょうか。中国語より日本語の方が遥かに必要でしょうから中国語までやらなくてもいいと思いますが・・・。JYPではWonderGirlsに一時期ものすごく中国語を勉強させていて、かなりしゃべれるようになっていました。SJ-Mとかより上手かったです。Miss-Aの韓国人メンバーも少ししゃべれます。
ですが、ジュンスがMCで中国語の曲をワンフレーズ歌いました。曲婉婷(チュー・ワンティン)の『我的歌声里』(私の歌の中に)という、今年中華圏で大ヒットした曲で、ナイス選曲です。発音も歌も上手かったので、中国ファンにとても喜ばれました。MCで一番屈託なくふるまっているのはジュンスとウヨンでした。

コンサートの構成は非常に良かったです。全体の時間は2時間20分くらい、アルバム「Hands Up」収録曲を中心にアップテンポとスローテンポの曲が上手く混ざっていて、間にソロが2人ずつ入り(年齢が若い順にソロが回ってきます。前半がチャンソン、ジュノ。中盤がウヨン、テギョン。後半にニックン、ジュンス)、MCの回数、MVが入るタイミングもちょうどいいです。
チャンソンはソロで脱ぎました。脱いだというより、マジックのごとく滑らかにタンクトップを裂きました。あれは一体どういう素材のタンクトップなんでしょう・・・なんであんなに滑らかに裂くことができるんでしょうか・・・。これ以外には唐突に脱ぐシーンはなかったです。野獣アイドルではなく大人のイケメングループでした。
コンサート用のMVもとても良い出来で、6人がHottest(ファン)にお礼をするというテーマで爽やかなメンズ服のCMみたいなかんじです。雨に打たれながら脱走してピストルをパーンとかそういうテイストではないです。2PMは本当は爽やかな方が似合うんだなと思いました。
中盤のピークになるのは「Heart Beat」「Again Again」ですが、衣装もスーツ系で、リリース時の振り付け・イメージとは大分違います。
バラード曲「I Can't」「Only you」は白いスーツで増設の壇上ステージで歌います。6人で階段を下りてくるのですが、階段を下りてくるときテギョンがジュノの腕を支えていました。
そのとき、やはりジュノのコンディションが相当悪いのだということが分かりました。その前に、他のメンバーが階段を上がって壇上ステージで歌うと場面がありましたがジュノがいなかったので、「あれ?」と思ったのですが、ジュノは階段を上れなかったのだと思います。特に階段の一番最後の段とステージの間がかなり離れていたので、足を開いて跨ぐことができなかったのだと思われます。最初のMCのときからテギョンが妙にジュノのことを気にしているかんじがしたので、何かあるのかなとは思っていましが、そんなにひどい怪我をしているとは思いませんでした。

「Only you」で階段から下りた後、花道の先端まで歩いて来ますが、そのときはニックンがずっとジュノの腕を組んでいました。20曲目の「映画みたい」では、演出上1人で階段を下りてこなければならなかったのですが、そのときは一人で下りてきたので、人に支えてもらわなければならないほど悪くはないのかもしれませんが、メンバーは心配だったのだと思います。
「Heart Beat」のエンディングもジュノに負担がかからない演出になっていて、これはこれで面白い演出でしたが、曲中でもジャンプを一切せず、激しい動きの振り付けはパスしています。振り付けをパスするときは、ステージ中央の一番奥に後ろ向きに立つようにして、自分の歌のパートのタイミングで振り返ってステージ中央に戻ってきます。
かつて、ジェボムがセンターで難しい振り付けをこなして、その両サイドでウヨンとジュノがジェボムを追いかけるようにシャープなダンスやアクロバットをやっていたことを思い出すと、自由に飛び跳ねられない姿を見ているのは辛いです。MVの中で練習風景が映ったのですが、ジュノが右腕を吊って固定して、腰にサポーターを巻いていました。但しコンサートを見る限り、腕が悪いのではなく、腰が悪いように見えます。ですが、苦しそうというか痛そうな素振りは見せてなかったので、どこが悪いのかは観客としてはよく分からなかったです。

一番盛り上がったのは「Hands Up」です。「Hands Up」で終わりかなと思ったら、その後に「10点満点の10点」が来たのが嬉しかったです。セットリストには大満足です。「10点満点の10点」ではアクロバットをウヨン、最後の回転はチャンソンがやりました。全体的に振り付けが大分緩やかなものになっており、がっちりダンスをするのはウヨンのソロくらいでした。ウヨンはステージ栄えがします。ピンクのポイントヘアも似合っていたし、ダンスが上手いというのもありますが体が柔らかそうで立ち姿がきれいです。

アンコールではメンバーがツアーTシャツに着替えて登場、「I'll be back」と「Hands Up」の別バージョンです。アンコールになるとファンが花道に結構モノを投げ込みます。SuperJuniorほどではないですが・・・。メンバーもファングッズを拾っていじったり身につけたりします。ニックンが向日葵の飾り物をつけたり、ジュンスがパーカーを拾って羽織ったり・・・少しですがファンと撮影もしてました。ジュノはピンクパンサーの大きなぬいぐるみを手にして、ずっと体に巻きつけていました。アンコールでも振り付けをパスする代わりに、花道の先端でずっとファンサービスをしていました。花道の先端にいるときに、ニックンが寄ってきて、近くにジュノのファンが作ったロゴ入りのパーカーが投げ込まれたのでそれをジュノに羽織らせていました。

最後までステージに残っていたのはジュノとウヨンで、ジュノはピンクパンサーを抱えたままステージを去り、最後の一人となったウヨンは、ファンに手を振り、ステージの端でお辞儀をして去っていきました。

とにかく6人のお兄さんたちがカッコよくて、全員が華もスター性もあり、楽曲にも恵まれた素晴らしいグループです。ただ、本来最大の長所であったはずのタフで高度なダンスをやらなくなっているのはもったいないです。特に初期の「Again Again」、「Heart Beat」などは振り付けを前提に作られたような曲ですが、全開で踊っているとはいえないので少し物足りなく感じます。ですが、ダンスがソフトになった分歌に重点を置いていて、歌は上手くなったし生歌で丁寧に歌おうとしているのが伝わります。こんなに生で歌うとは思わなかったので、そのことに感動しました。これからは更にボーカルに重心が傾いていくのかもしれませんが、「Heart Beat」のような芝居系ダンスが上手いのが2PMの魅力だし、斬新で奇抜な演出がK-POPグループの面白さだと思っているので、そういう意味でK-POPであり続けてほしいです。でもまずは何よりも、ジュノが自由に踊れるように回復することを祈ります。

~~セットリスト 2012年11月17日 2PM「What time is it」上海コンサート ~~

19:45 スタート 黒い戦隊服
1. I'll be back
2. I was crazy about you
3. I hate you
MC  戦隊服を脱ぐ
4.Give it to Me
5. もし君が離れても(Stillの3曲目)
6. チャンソンソロ
7.ジュノソロ
8.Heart Beat
9.Again Again
10.Back 2U
11. ウヨンソロ
12.テギョンソロ
MC ジュンス「我的歌声里」
13.Without U
14. Don't Stop Can't Stop
~MV「Thank you Hottest」~
15. I can't
16. Only you
17. Don't you know
18. ニックンソロ
19.ジュンスソロ
20.映画みたい
MC
21.Hot
22. Hands Up
23.10点満中の10点
アンコール メイキングMV
24.Without U (アップテンポバージョン)
25.Hands Up (アップテンポバージョン)
22:10 終演

終演後の花道
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今週の土曜日は2PM上海コンサート~ アジアツアー「What Time Is It」 

2012年11月15日 | エンタメの日記
11月17日(土)に2PM上海コンサートが開催されます。2回目のアジアツアーとなる「What Time Is It」の皮切りとなるのが今週末の上海公演です。



中国は反日デモの報道などで「危ない」というイメージを持たれているかもしれませんが、今は別に普通です。11月8日に開幕した「十八大」(中国共産党第18回全国代表大会)という中央政府の政治的大イベントに報道が集中することもあり、尖閣問題も一時期ほどは取り上げられなくなっています。日本が関係するイベントが軒並み中止になりましたが、他のイベントは通常どおりに活発に開催されています。

2009年以降(金融危機の影響を脱して以降)、中国のコンサート市場は良好と言われています。しかし、アーティストによってチケットの売れ行きが大幅に異なります。これは当たり前のことなのですが、中華圏、特に中国大陸では音楽CD自体が壊滅状態で「CDの売上げ」という方法で人気を計ることは数年前から不可能になっており、中国大陸向けの公式ファンクラブが機能していないことも多いため、ファンの規模が測りにくいところがあります。
7月から8月にかけて中国三都市でBIGBANGの「ALIVE GALAXY TOUR」コンサートがありましたが、いずれもチケットは入手難でした。公演日の約3週間前にコンサート日程が正式発表になったほどで、大した宣伝もしていないし、BIGBANG自体中国にはほぼ来ていないのに、驚くほどの売れ行きでした。それと比較すると、2PMの上海公演のチケットはBIGBANGほどは売れ行きが良くないです。BIGBANGと2PMは同じ会場(メルセデスベンツアリーナ)でコンサートを開きます。
いま中国で韓国芸能が流行っているかというと、すごく流行っている時期とはいえないと思います。中国に「韓流ブーム」が到来したのは1990年代の末尾で、音楽はH.O.T、ドラマはアン・ジェウクとチェ・ジンシルの「星に願いを」が中国における「韓ドラブームの始まり」と言われます。2001年前後「秋の童話」が放送された頃に一つのピークが訪れ、韓国芸能ブームを表す「韓流」という言葉が広まります。「韓流」という言葉が最初に生まれたのは中国語圏(台湾・香港)で、中国大陸、日本、韓国でも使われるようになりました。
10年以上に及ぶ「韓流ブーム」全体からみると、今は韓国芸能が盛り上がっている時期とはいえないです。むしろ女優・俳優の容貌も含め、「韓国的な美しさ」に観衆の目が疲れてきているので、ヒット作やスターを生み出すのはこれまで以上に大変なことと思います。PSYの「江南Style」は確かに流行っていますが、2009年頃に流行ったWonderGirlsの「Nobody」やSuperJuniorの「SorrySorry」と同じように、パロディダンスがお茶の間に浸透したというかんじです。

K-POPに関していうと、中国をはじめアジア市場に向けられるのは韓国語曲なので、「アジアツアー」や「ワールドツアー」は基本的に韓国語の曲のみで構成されます。中国語や英語の曲が混じることはあっても、日本語の曲はセットリストに入らないのが通常です。
2PMはここ1年くらい日本語曲ばかりリリースしていますが「What Time Is It」ツアーはアルバム「Hands Up」以前の曲で構成されるのでしょうか。
2PMの日本活動は全く見ていません・・・「青の祓魔師」のエンディング曲しか知らないです。あれも言われなかったら2PMが歌っていると気付かなかったと思います・・。
でも2PMは好きです。2PMが7人だった頃の韓国バラエティ番組(アイドル軍団)がものすごく好きでした。特にどのメンバーが好きということはないですが、曲が好きです。

2PMが日本進出してからはほぼ全く活動を把握していませんが、ブログを通じてお友達になった方から「上海で2PMコンサートがあるけど行きますか?」とメールをもらいました。その方は上海に住んでいましたが、既に上海を離れて遠く離れた国に行ってしまい、会うことはなかなかできないです。でも、上海の芸能情報を通じて自分のことを思い出してもらえたのが嬉しいです。そんなこともあって、11月17日(土)の上海コンサートも観に行く予定です。同行してくれる方がいませんので、誰か観に行かれる方がいらっしゃったら声をかけてください。よろしければ会場にご一緒しましょう~「自己紹介」の下のメールアドレスにご連絡ください~! 上海阿姐
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多言語の国を多言語の友達と旅した日記~~マレーシア旅行記

2012年11月05日 | 普通の日記
今年のゴールデンウィーク、“最も遠くの近場”、中華圏の西南端・マレーシアに旅行に出かけた。私にとっては初めてのマレーシア。中国人の友達であるフェイと初めて2人で旅行することになった。フェイは東京で暮らしており、10年近く交友が続いている。フェイは東京から、私は上海から出発し、クアラルンプールで合流した。
フェイはマレーシアの不動産(コンドミニアム)に興味を持っていた・・といえるほど具体的なものではないが、将来マレーシアのコンドミニアムを所有して、自然に溢れた国際的で便利な環境でゆったり暮らしたい・・・という夢を持っていて、マレーシア旅行を思いついたようだった。私もマレーシアには一度も行ったことがなく興味があったので、一緒に行くことになった。

日本の不動産業者もよくマレーシア不動産物件の広告を出しているが、中国人投資家も興味を持つ人は多い。日本のメディアで「中国人が日本の不動産を買いあさっている」とよく報道されたが、チャイナマネーによる投資は世界中に広がっているので、日本もその一つでしかない。日本の住宅融資制度や税制は、外国人不動産購入者に対して開放的とはいえないので、日本不動産への投資は一定のブレーキがかけらている状態だと思う。買う側の外国人、特に中国人にとっては、オーストラリアやニュージーランド、マレーシアなどの不動産の方が検討する選択順位として上位にある。

マレーシアは東南アジア地区の西南端にあるが、タイやインドネシアよりも遥かに華人社会が残っており、経済、商業における華人社会の影響力が強いため、「中華圏」として扱われることもある。中国からみると、距離的に一番遠くにある「近場」だ。人口比率でいうと、マレー系(約6割)、華人(約3割)、インド系(約1割)と異なる民族が占める国で、それぞれの民族が異なる宗教を持っており、それを尊重しあうことが基本となっている。
■1つのマレーシア。


しかし、異なる文化の中立を目指さなければならなので、極端に目立つものは社会的に受容されにくいのかもしれない。フェイは買物が好きなのでショッピングセンターに行って水着を見たが、地味すぎて気に入ったものがなかった。イスラム文化の影響か、全体的にマレーシアの女性のファッションは保守的で特徴に乏しいと思う。
旅行者として過ごす上ではサービスや治安には問題を感じないが、現地の新聞などを見ると、一家変死事件や成年に対する誘拐事件など怪事件が目に付く。

マレーシアの公用語はマレーシア語だが、準公用語である英語も普及しており、これに加えて華人やインド人は自らの民族の言葉を母語とする。3言語以上話すことができる人が沢山いる。クアラルンプール市内は、タクシー運転手もかなり流暢な英語を話すと思った。タクシー運転手についていうと、香港の運転手よりもクアラルンプールの運転手の方が英語が流暢かもしれない。「マレーシアで英語留学」という広告を時々見かけるが、実際ありだなと思った。その言葉のネイティブではない人たちが集まる環境で外国語を勉強することは、十分可能なことだと思う。

フェイは母語である中国語のほか、日本に長く住んでいるので日本語ができるが、それと同じくらい英語ができる。彼女は日本以外の外国に長期で生活したことはなく、日本で英語を覚えた。フェイはよくしゃべる。よくこんなにしゃべることがあるよなと思うほど、何語であってもよくしゃべる。
しかしフェイの日本語が上手いかというと・・・即答することができない。発音に問題がある。まず「らりるれろ」が正しく言えないのだ。「らりるれろ」が「なにぬねの」になってしまう。中国南部の出身者にはときどきこういう特徴を持つ人がいる。
英語でも同じ問題があり、「R」や「L」から始まる単語が正しく発音できない。フェイが発する「rule」(ルール)は、どう聞いても「ヌーヌ」なのだ。
他にも発音が正しくないところがたくさんあり、知り合ったばかりの頃は、彼女が話す日本語がよく分からなかった。特に電話で話すときは、正直に言うと、何を言っているのかさっぱり理解できなかった。しかし彼女はたくさんしゃべるので、聞いているうちに私の耳が慣れた。私の頭の中に「フェイが発音する“なにぬねの”は“らりるれろ”のこと」とインプットされているので、聞いたときに自動変換されるようになっている。
そして、私の側に「フェイの言う言葉を聞き取りたい、理解したい」という気持ちがあった。友達になりたいと思った。フェイの話すことは面白い。何事においても計算が速く、洞察力が鋭く、行動的で、上からも下からも物事を見れる人だった。
きれいな発音で話せなくても、話が面白ければ、もしくは相手から好意を持たれていれば、言葉は下手でも相手は聞いてくれる。もっとも、きれいな発音で外国語を話せるようになることと、初対面で人から興味を持たれる人間になるのでは、どちらが容易いことなのかは分からないけれど・・・。

クアラルンプールは活気のある街だった。欧米人も多い。繁華街は夜遅くまで賑わっている。短い滞在中に狭い範囲しか見ていないが、感覚的にいうと東京より活気があると思った。最大の欠点はラッシュ時の交通渋滞がすさまじい。運転は荒く、中国よりも危ないと思った。
■有名デパートPARKSONの近辺。


■デパートの地下で食べた中華料理。クアラルンプールの中華料理は美味しい。噂には聞いていたが、本当に美味しかった。ただし全般的にレストランの値段は安くない。


■クアラルンプール(KL)のシンボル・ツインタワー


■独立広場から旧連邦事務局ビル。


■KL市内の伝統モスク、マスジットジャメ(Masjid Jamek)


■クアラルンプールのチャイナタウン。中華系の学校で北京語(普通話)で授業が行われているので、華人は北京語(普通話)を話すことができる。漢字は簡体字と繁体字が両方使われているが、どちらかというと簡体字が使われることが多いのではと思う。


チャイナタウンで、生まれて初めて纏足の痕が残る女性を見た。70歳を過ぎていると思われる女性がチャイナタウンのメインストリートで、観光客向けに纏足の痕が残る足を見せる「見世物」でお金を取っていた。「旧時代において纏足に向けられた審美眼は、現代のハイヒールに向けるそれと同じだった」という文章を読んだことがあるが、なるほどと思うほど、纏足の形はハイヒールに似ていた。折り曲げられたかかとがヒールの形状にそっくりだった。
チャイナタウンの中の本屋の雑誌コーナーを覗いてみると、他の中華圏の都市と同じように、「アイドルは韓国、サブカルは日本」という構図が当てはまるようだ。K-POPのアイドル雑誌がいくつもある。一方でアニメ雑誌も多く、アニメの流行は日本での流行がそのまま反映されている。

■他民族国家だからか、スーパーの食材は非常に豊富。お米だけでも沢山の種類がある。


■ブキッビンタンの近くの通りすがりに見つけたライブハウス。このライブが見たかったのに、フェイが見たくないというので諦めた。非常に残念。今度行ったら必ず見たい。どういうパフォーマンスなのかものすごく気になる・・・。


5月初頭、つまり日本のゴールデンウィークの時期、クアラルンプールのホテルは混んでいなかった。フェイがホテルを予約してくれるというので任せておいたら、出発の3日前になっても予約しようとしないので「いい加減にしないとこっちで予約するよ」と連絡したら、やっと予約してくれたが、それでも十分安い値段で悪くないホテルが予約できた。それに比べて、レストランの飲食費や洋服などは高いと思った。物価に対してホテルの値段が安い。モノレールでクアラルンプールを移動して、少し中心地から外れると、まだ土地が沢山あそんでいるように見える。そういう意味でいうと、クアラルンプールの不動産は投資効果が良いのかもしれない。

フェイとの交友は10年近く続いているが、途中で何度か音信不通になった。彼女はころころ仕事を変え、頻繁に引越しをし、2年に1回は携帯電話の番号が変わる。時々Eメールで新しい携帯番号を伝えてくるが、その番号にかけてみると大抵通じない。番号を書き間違えているのだ。そんな調子なので、こちらから連絡が取れない時期があるのだが、彼女は忘れた頃に私の中国の携帯に電話をかけてくる。「よく私の番号を保管してたね」といつか聞いたことがあったが、私の番号は覚えやすいから暗記しているのだ、と答えた。
「らりるれろ」が言えなくても、「R」や「L」が発音ができなくても、フェイには世界中の色々な国に友達がたくさんいる。自分の携帯はしょっちゅう失くすけれど、私の携帯の番号は覚えていてくれる。またフェイと旅行に行きたいと思う。
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