上海阿姐のgooブログ

FC2ブログ「全民娯楽時代の到来~上海からアジア娯楽日記」の続きのブログです。

スケートショー「氷上雅姿」 世界のトップスケーターが中国を巡演 ~氷上のLADY GAGAと氷上の天使

2013年06月20日 | エンタメの日記
6月14日にアイススケートショー「氷上雅姿」(ARTISTRY ON ICE)を観に行ってきました。このアイスショーはアムウェイの化粧品ブランド「ARTISTRY」が冠スポンサーとなり、世界の名スケーターを集めてきています。中国で「氷上雅姿」が行われるのは今年で4年目、2013年は北京、上海、広州、台北で開催されました。



■2013年アイススケートショー「氷上雅姿」(ARTISTRY ON ICE)上海公演の出場者

男子シングル
パトリック・チャン
ジョニー・ウィアー
ステファン・ランビエール
カート・ブラウニング

女子シングル
イリーナ・スルツカヤ
アリッサ・シズニー
ジョアニー・ロシェット

ペア
アリオナ・サフチェンコ、ロビン・ゾルコーヴィ

アイスダンス
ナタリー・ペシャラ、ファビアン・ブルザ

アート・オン・アイス(氷上サーカス)
エカテリーナ・チェスナ、アレクサンダー・チェスナ
ウラジミール・ベセディン&アレクセイ・ポーリッシュク

中国人選手
女子シングル:李子君
男子シングル:閻涵
ペア:彭程 王昊

ゲスト
曲婉婷(チュー・ワンティン)カナダのレーベルからデビューした女性歌手。2012年に中華圏全体で大人気に。
DJ“問号”

チケット代:1280元、1080元、880元、580元、380元、280元、180元
場所:東方スポーツセンター(東方体育中心)
2013年6月14日(金)上海 19:30~22:20

各種目のトップスケーターがどっさり現れ豪華なラインナップに驚いたのですが、「氷上雅姿」は毎年メダリストを集められるだけ集めたのではと思うような顔ぶれで、浅田真央やプルシェンコも出場したことがあります。
■記者会見中のランビエールとジョニー・ウィアー。二人ともこのアイスショーに参加するのは今年が初めてではありません。(写真出典ニュース


このアイスショーは華やかな光線、CG、映像、音楽を一体化した演出により、氷上のビジュアルアートを作り出しています。とにかく派手です。ブラウニングの「雨に濡れても」では本当にリンクに雨を降らすなど舞台効果も凝っています。また、DJ、バイオリニスト、ポップシンガーとのコラボレーションもあり、ジャンルを越えたバラエティ豊かなアイスショーです。
■オープニングセレモニー


■自ら作詞作曲した「我的歌声里」が大ヒットした女性シンガー曲婉婷(チュー・ワンティン)。前半ではジョアニー・ロシェットと、後半では閻涵とコラボレーション。閻涵のスケートに合わせて氷上で「我的歌声里」(You exist in my song)を歌う。


構成としては、オープニングセレモニー→前半演技→休憩(リンク調整)→後半開始セレモニー→後半演技→終演セレモニーという流れで、全部で約3時間です。出場スケーターは前半と後半に1回ずつ演技を披露するので、2種類のプログラムを見ることができます。セレモニーを合わせると、好きな選手の演技を少なくとも5回見ることができます。2人の司会者が進行を司どり、一人は上海の女性テレビラジオ司会者ですが、もう一人はペアの中国人メダリスト趙宏博です(パートナーは申雪)。

オープニングセレモニー
パトリック・チェン


ステファン・ランビエール


中国人選手は4人出場しますが、彼らはオープニングセレモニーには参加しませんでした。たまたま今回は4人とも若い選手ばかりのためか、多くのメダルを取った実績のあるゲストスケーターたちとは扱いに差が設けられているのでしょうか。

会場で直接フィギュアスケートの大会を見るのはこれが初めてです。
一流のスケーターたちが次々に登場しますが、まさに百花繚乱、次々と繰り出される技を追いかけることしかできず、約3分間のプログラムはあっという間に終わってしまいます。どの選手も素晴らしいのですが、何をどう評価してよいのか分りません。

何故かというと、いつもテレビで見ているときの実況解説がないからです。

「いまのトリプルサルコーはきれいに入りました」
「コンビネーションジャンプ、着地がちょっとぶれましたね」

といった実況解説がないと、技術的なことが全く分かりません。
テレビを見ているときは解説がうるさいと思ったこともありますが、実際に解説がないと、いまのジャンプが2回転半だったのか3回転だったのかも分かりません。

パトリック・チャンのジャンプの高さと力強さは、素人目に見ても突出していることが分ります。しかし、技術的な面でいうとその程度のことしか判断がつきません。あとは「みんな本当に素晴らしかった」です。

技術ではなく演技としてみると、特に印象深かったのはスルツカヤの「愛のベネチア」です。抑えた滑りの中にラテンダンスのような情熱と深みがあります。ランビエールのプログラムも物語性のあるスケートで、フィギュアの中にもモダンバレエのような要素があるのだと初めて感じました。

中国女子シングル希望の星・李子君は「danzarin of tango lorca」と「サウンド・オブ・ミュージック」を披露しました。素質に恵まれた非常に才能がある選手です。1996年生まれでなので、2014年のソチオリンピックが初の五輪になります。
■李子君(愛称は氷上天使、君君)


「サウンド・オブ・ミュージック」では赤いエプロンドレスに黒い髪を垂らして、愛称のとおり「氷上の天使」でした。前半の「danzarin of tango lorca」では危なげなく演技をこなしたのですが、後半の「サウンド・オブ・ミュージック」では最初のジャンプで大きく転倒してしまったのです。一瞬座り込んでしまい、立ち上がろうとするのに足がもつれているようにも見えました。その姿は全速力で走っていた小鹿が急につまづいて転んだかのように見えて、

あああっ、がんばって!!!

会場中から心の声が聞こえたような気がしました。客席にいる人たち全員がお母さんになったようでした。
そして、どこからともなく拍手が起きたのです。
選手がジャンプに成功したときに大きな拍手が鳴り響くのは分りますが、ジャンプに失敗しても拍手をすることもあるんだと初めて知りました。拍手の音色は成功したときとのものとは異なり、応援するように静かに響きました。

初めてフィギュアを生で見て感じたことは、ジャンプ、スピン、ステップ・・・数々の高度な技は綿密に計算された規定の動きを正確に行わないと実現不可能だということです。
例えば料理であれば、思いつきで調味料を加えてみたら案外美味しくできましたということがあります。しかし、ケーキはきちんと材料の分量を計算して手順どおりに作らなければ上手く膨らみません。それと同じで、フィギュアのジャンプの場合、「適当に飛んでみたら3回転できました」ということは恐らくありえないです。
標準とされる型にできるだけ近づけることが、技の精度・成功率を上げることにつながります。しかし、精度を高めるために標準化すれば、没個性の方向に働くのではないでしょうか。だからこそ、高度な技を正確に繰り出しつつ自分の個性があるスケートをすることは、本当に難しいことで、一流の中の一流の選手にしかできないことなのだと感じました。

個性の表現という点ではやはりジョニー・ウィアーが突出しています。
オリンピックでは選手たちが技に対する執念のエネルギーを燃やしますが、それと同じくらい、ジョニーのアイスショーは個性の表現に対する気迫を感じました。これは確かな技術がある上に成り立つものです。
また、多くの名スケーターがいっぺんに中国にやってきましたが、メインスターはジョニーです。ジョニーは2010年第1回「氷上雅姿」北京公演から4年連続で出演しています。愛称は「氷上のLADY GAGA」です。ジョニーが出場するときだけ控え室からリンクまでレポーターが追跡するという特別映像が加えられていました。司会者が「いつも私たちに嬉しい驚きを与えてくれるジョニー・ウィアーの登場です!」と叫ぶと客席から拍手と歓声が沸き起こります。
前半は黒い上着に黒ストッキングという個性的なファッションで「Army of Me」(ビヨーク)を、後半は真っ白な衣装をファーとスワロフスキーで飾り、Lady GAGAの「Born this way」を披露しました。
■動画URL 台湾公演の「Army of Me」(ジョニー・ウィアー):http://v.youku.com/v_show/id_XNTcyMDk1OTEy.html

今回のアイスショーの前のインタビューでジョニーは、
「中国のファンはLADY GAGAの曲を使ったスタイリッシュな類のプログラムを特に好むようなので、今回もそういう路線のプログラムを用意しました。」と語っています。これに対して中国主催側は「プログラムに合わせて光線や映像などの演出を準備した。プログラムにマッチして高い演出効果を発揮すると思う。」とコメントしています。
■動画:http://v.youku.com/v_show/id_XNTcyMzQzMzAw.html

エンディングセレモニーでは全選手が一緒にアイスショーのテーマソング、伍佰/ウーバイの「花朵舞」に合わせて踊ります。お客さんも一緒に踊ります。欧米の選手がC-POPの中華的なノリの振り付けを楽しそうに踊るのが面白かったです。オリンピックや世界選手権では見れない、少し気の抜けた姿も見ることができました。アイスショーは得点を競うものではなく、「氷上雅姿」(ARTISTRY ON ICE)は美と楽しさを競うことをコンセプトとしているようです。
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中国“回顧的青春映画”のヒットが続く。ハンギョン出演『致青春』、黄暁明主演『中国合夥人』

2013年06月15日 | エンタメの日記
最近中国では中国映画の興行成績が好調です。
中国で公開される映画の本数は中国映画の方が多いのですが、作品単体の興行成績でいうと、毎年ハリウッド映画が上位を占めます。特に最近は3D/IMAXシアターが激増し、派手で迫力のある映像を売りにするハリウッド大作に客足が向いています。これまで中国国産映画は、技術的にもセンス的にも海外作品に遅れをとっていたのですが、2012年の『LOST IN THAILAND(泰囧)』の大ヒットに続き、2013年以降も中国映画の良作が生まれています。

その一つが、女優ビッキー・チャオ(趙薇)の初監督作品として注目を集めた『致青春』です。

タイトル:『致我們終将逝去的青春』(過ぎ去りし我らの青春へ)(通称:『致青春』 英題:『So Young』)
監督:ビッキー・チャオ(趙薇) 監修:スタンリー・クワン(関錦鵬)香港の監督で代表作に「ロアン・リンユィ 阮玲玉」など) ※北京電影学院映画監督学科大学院の卒業制作でもある。
出演:趙又廷(マーク・チャオ)、韓庚(ハンギョン)、楊子姗、江疏影
公開:2013年4月26日
興行成績:7億元突破(2013年 現在)出典:

 



主演は台湾ドラマ「Black&White」で“ヒーロー”役を演じたマーク・チャオ、助演俳優は元SuperJuniorのハンギョンです。ハンギョンは2009年にSuperJuniorを脱退して以来、歌手・俳優として活動しており、ハンギョンにとって2つ目の出演作となります。
助演といってもハンギョンが登場するシーンは少なく、後半部分に集中しています。はっきりいって、観衆から好感を持たれる役柄ではないです。登場人物の中でも利己的な人間です。それだけに、大人の演技を見ることができます。汚い冷徹な顔を見せる部分が多く、俳優として新たな境地が開けたのではないでしょうか。イヤな役だけど演技は良かったです。

この映画は1990年代初頭の大学が舞台です。
いまでも中国の大学生は基本的に全員学生宿舎で生活します。学生宿舎は4人部屋または6人部屋で、学生たちは文字通り寝食を共にします。携帯もネットも自家用車もなかった時代の、大学という名のひとときの楽園が色鮮やかに描かれています。





この映画は、前半と後半は別の人が作ったのではと思うほど印象が異なります。
前半の大学生活は物質的には貧しくても、夢と活力に溢れ、恋愛と友情はいつもすぐそばに存在します。しかし、主人公たちが社会に出た後を描いた後半部分は、無機質な色合いになり、青春が去った後の即物的な現実が描かれています。

『致青春』の公開から約1ヶ月後、またしても、懐かしき日の大学生活を舞台にした回顧的な作品が公開されました。

『中国合夥人』(チャイナ・パートナー)(英題:American dreams in China)
監督:ピーター・チャン(陳可辛)
主演:黄暁明(ホアン・シャオミン)、超(ダン・チャオ)、佟大為(トン・ダーウェイ)
公開:2013年5月17日
興行成績:5億元を超す見込み。出典:和迅網(2013年6月11日)

公式ポスター:左から超(ダン・チャオ)、黄暁明(ホアン・シャオミン)、佟大為(トン・ダーウェイ)


中国きっての美男俳優、黄暁明(ホアン・シャオミン)が浪人の末にやっと大学入学を果たす垢抜けない英語専攻の学生役を演じます。要領が悪く、恋も仕事も貧乏くじばかりを引く冴えない男性ですが、意外な弁才を発揮し英語学校の経営者として成功します。経営者として成功してからは、食えない微笑を常に浮かべ、90度のおじきを欠かさぬ七三分けの中年男という、これまでハンサムなヒーロー役ばかりを演じてきた黄暁明にとっては、まったく新しい役柄です。
主演の3人、黄暁明、超、佟大為は同年代で、中国のドラマ・映画界の第一線で活躍中の若手人気俳優です。この3人の中では佟大為の演技力が光ります。








1980年代、難関を極めた大学入学試験を乗り越え英語学科に入学した3人の学生(黄暁明、超、佟大為)は、それぞれ勉学と恋に青春の日々を注ぎます。ともにアメリカ留学の夢を抱いていますが、1人しか留学を果たすことができず、卒業後は別の道を歩みます。いつしか再会した3人は中国で英語学校を共同経営するようになり、やがてアメリカに上場を果たすまでの規模に成長する・・・という「チャイナ・ドリーム」をテーマにした作品です。「新東方(NEW ORIENT)」という実在の大手予備校の起業経緯がモデルとなっています。

この映画の中核は「チャイナ・ドリーム」を叶えるというサクセスストーリーなのですが、魅力のありかは80~90年代の大学生を取り巻く環境がリアルかつ回顧的に描かれているところです。当時の異常なまでのアメリカ留学熱、留学実現の難しさ、大学教員の貧しい暮らしや理不尽な処遇など、象徴的なエピソードが散らばっています。

年代的に1989年、天安門事件を挟みますが、事件があった時代が過ぎ去っていく過程をさらっと描いています。婉曲的な表現ですが、70年代前半生まれの人が観ると「早送りするような一瞬の描写だけれど、天安門を境とした時代の変化を端的に表現している」と感じるようです。

中国映画はここ数年で着実にレベルが上がり、非常に洗練されてきています。
脚本やストーリー展開、カメラワークなど技術的な面では稚拙なところがなくなりました。これらの作品は、海外で上映されても好評を得るのではと思います。

『中国合夥人』(チャイナ・パートナー)を撮ったのは香港のピーター・チャン監督です。ピーター・チャンは大人の男女の感情をこまやかに描いた作品を作ってきました。これに対して『中国合夥人』は恋愛要素は乏しく、話がスピーディに展開するコメディタッチの作品です。監督の次のようなコメントが報道されています。

「自分が再び『ラヴソング』(マギー・チャン、レオン・ライ主演のラブストーリー)のような作品を撮ることを期待されていることは分かっている。だが、もう自分にはああいう作品は撮れない。人は常に変化する。そのステップに応じて作るものも違ってくる。」

なお、中国映画の興行的な成功を裏で支えているのは香港の映画人だといわれています。この2作も監督、監修を主導しているのは香港のベテラン映画人たちで、長年に渡り、中国大陸映画は香港映画人の技術と経験に助けられています。
参考:「『致青春』から『合夥人』まで。優れた興行成績の裏には香港映画人の影あり」(人民日報

これらの作品は十分面白いですが、見終わった後に人生の糧になるようなずっしりとした何かが心に残るか・・・ときかれると、そこまで深奥な作品ではないと思います。しかし、90分~120分の時間を飽きることなく、眠くなることもなく、話の矛盾にイラつくこともなく過ごすことができます。カメラワークと脚本はテンポが良く、演技のレベルも高く、エネルギーに溢れた80年代、90年代の中国の大学風景を感じ取ることができます。もちろん回顧的に脚色されたものではありますが、その濃厚な映像はとても魅力的です。回顧的青春映画が頻出するのは、2年前に台湾で大ヒットした『那些年,我們一起追的女孩』の影響もあるかもしれませんが、中国も過去を懐かしむ余裕が生まれた、若しくは「昔は良かった」と立ち止まる人々が増えているのかもしれません。
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2013年上海国際映画祭6月15日開幕。日本映画12作+小津安二郎作品8作を上映。インド・タイ映画も楽しみ!

2013年06月11日 | エンタメの日記
2013年6月15日から23日まで「第16回上海国際映画祭」が行われます。上海国際映画祭は毎年6月に行われ、今年は約25ヶ国約360作品が上映されます。



上海映画祭オフィシャルサイト:http://www.siff.com/ (英語/中国語)

上海映画祭では日本映画も毎年上映されています。今年は「日本映画週間」として新作映画12本、また、「小津安二郎監督逝去50周年」として小津安二郎監督作品が8本上映されます。毎年日本映画は上海映画祭の中でも特に人気があります。主催側も力を入れています。他国の映画に比べると、日本映画は比較的新しい話題作が紹介され、娯楽的な作品も多いです。

2013年第16回上海映画祭「日本映画週間」上映12作品:


日本映画週間オフィシャルサイト: http://cjiff.net/index_jp.html (日本語/中国語)

上海映画祭で上映されるヨーロッパの作品は、社会派または芸術的なものが多く、美形スターが出ているわけでもなく、どちらかというと重いテーマの作品が多いです。それに比べると、日本映画のラインナップはカジュアルでジャンルも豊富です。何よりも、上海人はもともと日本カルチャーに対する知識と理解が比較的深いでので、自然と人気が集まります。

6月8日にチケットの一般発売が始まりましたが、多くの作品が発売初日に売切れになります。
チケット販売オフィシャルサイト:
格瓦網(GEWARA)http://www.gewara.com/filmfest/sixteen.xhtml
豆瓣網(douban)http://movie.douban.com/siff2013

今年は小津安二郎監督逝去50周年として「小津安二郎映画特集」が組まれており、「東京物語」「早春」「麦秋」など8本が上演されますが、こちらも人気を集めています。
映画でも小説でも、日本の文芸作品は中国の“インテリプチブル層”(中国語でいうと“小資”)に好まれます。

上海映画祭のチケットサイト(格瓦網)の一般ユーザーがクリックする「注目」ポイント数からみると、以下の作品が特に注目を集めているようです。(※ポイント数は6月10日現在のもの)

1.「東京家族」 (29231ポイント)
2.「おおかみこどもの雨と雪」 (アニメ作品。13365ポイント)
3.「東京物語」 (小津安二郎作品 11767ポイント)
4.「桐島、部活やめるってよ」 (9583ポイント)
5.「テルマエ・ロマエ」 (8892ポイント)

その他の日本作品も、他国の作品に比べると全体的に注目度が高いです。

上海映画祭のチケット価格は1枚50~60元(約750円~900円)です。このチケット定価は何年も前から変わっていません。
かつては上海映画祭の60元という値段を「高いな」と思ったものですが、いまでは「安い」と感じます。一般映画館のチケット価格がどんどん高くなっていったので、それと比べると長らく定価が変化しない映画祭のチケットを、相対的に安く感じるようになりました。

2013年現在、中国都市部のシネコンで公開される映画チケットの相場:
3D・IMAX:120元~100元(約1800円~1500円)
2D :100元~80元 (約1500円~1200円)
中国の場合、映画はアミューズメントなので映画館で一人で映画を観る人はまずいないです。これは、遊園地に一人で行く人がいないのと同じ理由です。そのため、映画館に行くということは少なくとも2枚分のチケット代を支出することになるので、それなりの出費になります。(但しネットで事前購入すると、20~50%割引でチケットを購入できます。)

今年の上海映画祭の見所の一つは「レスリーチャン(張国栄)回顧展」で、「覇王別姫」「欲望の翼」「チャイニーズゴーストストーリー」など9作品が上映されます。

私が楽しみにしているのはインド映画とタイ映画です。

日本ではインド映画といえば、歌やダンスが挿入されるスペクタクルな娯楽映画、いわゆるマサラムービーを思い浮かべる人が多いと思いますが、上海映画祭ではマサラムービーは取り立ててクローズアップされていません。国際映画祭は比較的社会派作品を多く紹介する傾向があるからかもしれません。

中国ではインドのテレビドラマを日常的に放送しています。
作品のジャンルとしては、家族の婚姻にまつわる権力争いを描いたような、インド流大家族ドラマが多いのですが、一見単純なストリーリーですが、登場人物は複雑な心理を持っており、何重にもおよぶ裏切りがドラマの鍵となっていたりします。インド女優の瑪瑙のような大きな瞳はミステリアスに輝き、心の中が読めません。「インド=歌って踊って」というイメージはないです。インドドラマを見ていると審美観や価値観の違いを若干感じますが、鋭い心理描写は見ごたえがあります。

上海映画祭では以下のインド映画がラインナップされていますが、いわゆる「マサラムービー」は入っていないように思います。

・Awaara(流浪者)(1950年代のインド映画)
・3 Idiots (2011年「ボリウッド版阿Q正伝」と紹介されています)
・King Harishchandra (1913年の映画)
・Oye Lucky! Lucky Oye! (2008年)
・Pushpak (セリフなしと紹介されています)
・Dil Chahta Hai (2001年)
・Wake Up Sid (2009年)
・Lagaan: Once Upon a Time in India (2001年)
・Zindagi Na Milegi Dobara(「人生は一度きり」2011年)
・Lessons in Forgetting (社会派実録作品)
・Mumbai Cha Raja(Mumbai's King)
・Murder 3 (2013年)
・The Bright Day (2012年)
・Barfi!(2012年)
・Celluloid Man (ドキュメンタリー)
など。

このラインナップからみると、インドには歌って踊ってのマサラムービー以外の映画も存在するということが分ります。

詳細:チケットサイト格瓦拉網のインド映画一覧ページ

タイ映画の上演は4作と少ないながらも、気になる作品が登場します。
Bie主演のミュージカル映画が上映されます。Bie(Bie Sukrit Wisetkaew/グラミー所属)はイケメン俳優兼歌手で、中国で結構人気があります。中国ではExactのタイドラマが多数放送されており、Pong、Bieなどのタイのイケメン俳優は中国で一定の知名度がありファンがいます。

「Rak/Jub/Jai」(Love Touch Heart)BieとNoona主演のミュージカル映画(2012年公開)


他にはホラー作品2本と、司会者もこなす俳優のTik主演のコメディ映画「Super Salary Man」も上演されます。

上海映画祭では多くの国の映画が上映されますが、映画祭主催側が作品を招聘するというよりは、各国が出品作をそれぞれ用意しているようで、映画の万博みたいなかんじです。国によって紹介する作品の傾向にけっこうばらつきがあります。
映画祭で上映される作品はその国で制作された作品の中のほんの一部ではありますが、普段触れることができない何かを垣間見ることができます。6月に行われるこの映画祭は、上海の映画ファンが毎年楽しみにしている人気イベントです。
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