上海阿姐のgooブログ

FC2ブログ「全民娯楽時代の到来~上海からアジア娯楽日記」の続きのブログです。

アイドルオーディション番組の今後~INTO1と卒業生たち

2021年05月16日 | 創造営2021
中国オーディション番組「青春有你第3季」の決勝戦は直前で放送中止となりましたが、その後番組側からの正式な追加告知はありません。ファイナルに残った練習生20名が沈黙を続けていることから、番組として何か準備していることがあるのでは?と期待を捨てきれずにいます。
5月15日には第三回順位で9位に入った「十七」(シューチー)が天津で行われた野外フェス「麦浪嘉年華」に出演していますが、本人の公式Weiboは「青春有你」参加者の肩書のままで凍結されているような状態で、活動に関する情報発信はありません。
一方で、ファイナルに進出できなかったその他の練習生は、音楽関係の生配信に出演したり、イベントに参加したり、本来の状態に戻っています。

中国版「101系」オーディション番組は2018年から始まり、これまでに男女版合わせて8シリーズが放送されました。中国の大手動画サイト2社(テンセントビデオ、iQIYI)が毎年並行して開催するため、デビューできるような資質のある練習生はすでに枯渇しており、視聴者にも飽きられていると思われていました。
ところが、今年2月に「創造営2021」と「青春有你3」の放送が始まってみると、予想外に練習生のレベルが高く、思ったよりも盛り上がりました。「創造営2021」は海外練習生の大量参加という初の試みにより、明らかな差別化をはかることに成功しました。「青春有你3」は従来どおりの展開だったのですが、とにかく練習生に美形が多く、オタクの琴線に触れる演出が秀逸でコアなファンからは熱い支持を得ていました。
そのため、この二つの「101系」の番組はこれからも毎年放送されるものと思われており、早くも3月から来年の「創造営5」(2022年ガールズ版)に向けて面接が始まっていました。
ところが、「青春有你3」の決勝が中止になるだけではなく、「この種のオーディション番組の運営全般に問題がある」と政府当局が明文で改善命令を出したため、「創造営」と「青春有你」は来年の開催が危ぶまれています。少なくとも「青春有你」は、この番組名で制作を続けることはできないだろうと言われています。
オーディション番組のあり方を政府当局が問題視し、改善命令を出すことは過去にもありました。規制された根本的な理由は、ファンが投票にヒートアップしすぎてさまざまな社会問題が発生したためです。つまり、政府が規制に乗り出すのは、それだけ番組が盛り上がり、視聴者がヒートアップしたことの表れなのです。

「創造営2021」と「青春有你3」がこれだけ盛り上がったのは練習生のクオリティが高かったからであり、それは恐らくコロナの影響だと思います。中国では政府・行政主導のITシステム、AI、ビッグデータとスマホを駆使した罰則及び強制力を伴う感染対策が実施されているため、基本的にはコロナの心配をせずに生活することができます。一方で、海外に出ることは非常に難しくなっており、本来なら海外にいるはずの人材も中国国内に留まっています。芸能活動に関していうと、オフラインの活動は制約が大きいので、映像配信できる形のコンテンツに偏重し、動画プラットフォームの影響力がますます強まっています。

もしコロナがなかったら、あんなにたくさんの海外練習生は集まらなかったのではと思います。中国人練習生にとっても同様で、コロナの影響により活動できる「場」が一局集中する傾向が強まり、予想外にハイレベルの人材が集まったように感じます。

「創造営2021」は無事に11人グループ「INTO1」がデビューすることができました。
INTO1は、テンセントビデオ(WeTV)で配信されるグループバラエティ「未知週刊!」のほか、メンバー個別または2~3名に分かれて、ブランドのイメージキャラクター等の活動を開始しています。全国ツアーを予定しているといいますが、ライブよりもバラエティ番組や広告などが多く、11人揃ってステージパフォーマンスをする機会はなかなか作れないのではと思います。
INTO1「未知週刊!」新しい宿舎の部屋の分配が決まりました。劉宇と周柯宇が2人部屋。他は1人部屋だが部屋の質に差があり、ミカがハズレ、張嘉元が当たりくじを引きました。




「創造営2021」は「青春有你3」の問題が本格化する前に終了したため、全員が無事に卒業することができました。中国に留まっている海外練習生も多いです。

リルーシュ(利路修)と羽生田拳武(アム)と喜内優心(Yuu)が出演する瑞幸咖啡(Lucking Coffee)のCM。3人はともに「天王星娯楽」の所属となっていますが、リルーシュは「自分はタレントではなく事務所の社長王友良(Ivan)の友人で、「創造営」に参加するにあたり便宜的に事務所所属の形をとった」とインタビューで語っています。


投票制オーディション番組に対する批判として、投票用商品である食べ物(ヨーグルトなど)を無駄にしているとうものがあります。
特に、SNS上で拡散されて激しい批判の的となったのは、「投票QRコードのために乳飲料をドブに捨てている」ところを映した画像です。ただし、拡散された画像は今年のものではなく去年のものです。以前は、飲料のキャップの裏に投票QRコードが印刷されていたので開封せざるを得ず、ヨーグルトを大量に捨てているという問題がありました。2021年には改善が図られており、ダース入りの箱にQRコードをつけたり、飲料のキャップではなくパッケージの裏にQRコードを印刷しています。
パッケージを剥がすと投票用のQRコードが出てきます。このヨーグルト飲料の賞味期限は6ヶ月。


それ以上に問題なっているのは、ファンが投票に膨大な額の金銭を投入しており、その金額が年々高くなっているということです。
いまの中国の様々な社会問題、ネット社会の歪さが露呈して最終的に番組制作中止に至りましたが、そこに同時に存在しているのは、中国の人々のあり余るエネルギーと資金力です。
せっかくコロナ感染を心配せずに番組を作ることができる環境にあるのに、コロナとは関係のない理由で放送中止になってしまうのは、なんともいえない気持ちがします。ですが、人材と資金がある限り、形を変えた何かが生みだされると信じています。
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中国プデュ「創造営2021」ファイナル~11人組の国際ボーイズグループ「INTO1」誕生

2021年04月25日 | 創造営2021
「創造営2021」の決勝戦が2021年4月24日(土)中国時間19時からテンセントビデオ、WeTVにて生配信されました。
練習生90名のうち23名を海外から集めた“国際版”中国プデュ「創造営2021」から「INTO1」がデビューします。「INTO1」は中国、日本、タイのメンバーを含む11人グループで活動期間は2年の予定です。「INTO1」というグループ名には、異なるバックグラウンドの11人のメンバーが1つとなり、自分の限界を超えて1番を目指すという意味が込められています。

「創造営2021」ファイナル デビューナイト 


最終順位は、1位:劉宇、2位:サンタ(賛多)、3位:力丸、4位:Mika(米卡)、5位:Nine(高卿塵)、6位:林墨、7位:伯遠、8位:張嘉元、9位:パトリック(尹浩宇)、10位:周柯宇(ダニエル)、11位:AK(劉彰)。
センターは20歳の劉宇(リウ・ユー)。2位と圧倒的な差をつけて1位になりました。2位のサンタと3位の力丸はかなり競り合っていました。

ファイナルでは、グループに分かれたパフォーマンスのほか、ソロのライブパフォーマンスもありました。

サンタ(賛多) 最終順位2位 


ファイナルのソロパフォーマンスでは宿舎「405号室」のルームメイト・于洋(ユーヤン)が作詞作曲した「離刻」(別れのとき)に合わせて、サンタ自身が振付をしたダンスを披露。
サンタは自分の感情をかなりストレートに表すタイプで情の深さがパフォーマンスにも表れていました。
中国人練習生は「中国プデュ」の仕組みを熟知しているので先の展開を読んだ行動をしてしまいます。また、この番組の影響力を理解しているので迂闊なことは言いません。そのため、番組側から何か新しいトラップを仕掛けないと予定調和的な展開になりがちです。今回海外練習生が大量に投入されたのは、一種のマンネリを回避するためであり、実際に海外練習生の純粋さや真剣さが番組に活力をもたらしたと思います。
余談ですが、賛多はきれいな長い指に血管の浮き出た大きな手をしており「手フェチにはたまらない」と言われています。

力丸(Rikimaru) 最終順位3位
「創造営」視聴者は主に10代、20代の女性ですが、力丸はやや上の年齢層の視聴者からも支持されていました。
力丸本人の年齢が比較的高く、ダンス・振付のプロとしての経験もあることから、大人の視聴者でも「アーティスト」として安心して応援できました。
周辺バラエティ「大島日記」最後のvlogで公開された力丸振付のテーマ曲のダンスが大好評でした。12人の練習生たちとのコラボで、各自の特徴やエピソードが振付に織り込まれています。


AK(劉彰) 最終順位11位
第二回公演、第三回公演とパフォーマンスでの評価を着々と上げて、11位でデビューを果たしました。ファイナルのソロパフォーマンスでは「時空を超えた手紙」という自作のRAPを披露。RAPの歌詞の中に、レベル分け審査とバトルを契機とする于洋(ユーヤン)との友情、サンタ、力丸との出会い、「405号室」のルームメイト4人の絆、創造営の公演曲目を組み入れ、安全な道への切符を破って未知の世界にとび込んでいくという思いを歌っています。


AKは1999年12月18日生まれ、広東省の実業家の家庭の出身で、エリート教育を受けて育った頭脳明晰な人です。以前参加したRAPオーディション系の番組では物事をはっきり言う性格から「ちょっと生意気」とみられることもありました。
「創造営」では「405号室」のルームメイトであるサンタ、力丸など外国人練習生との交流を通じて、AKの筋の通った理知的な発言だけでなく、面倒見が良く真っ直ぐな人柄もフォーカスされ人気に繋がりました。
英語が流暢で日本語もできます。生配信の際に、日本語ができるのは「中学校の頃半年間日本の学校に通っていたから」と答えています。
高校では交換留学制度があるケースもありますが、中学校の交換留学制度はかなり珍しいので、AKがどのような経緯で日本に滞在していたのかはよく分かりません。

周柯宇 (ダニエル) 最終順位10位


ルックスの良さ、番組での取り上げられ方からセンター候補と思われていました。しかし、ネガティブニュースも多く、足を引っ張られた感があります。ネガティブニュースの中には本人に関係するものと、家族に関係するものがあり、後者は本人の責任ではないもののファンを戸惑わせるものでした。

パトリック(尹浩宇) 最終順位9位


2003年10月20日生まれ、178cm、タイとドイツのハーフ。父親がドイツ人でドイツ生まれ。
母親とはタイ語、父親とはドイツ語で会話をしています。英語も堪能でバンコクの名門高校に在籍していると言われています。

Nine(高卿塵) 最終順位5位


東南アジア圏、英語圏での人気が高いです。1999年7月11日生まれで、モデル、俳優として芸能活動経験があります。タイBLドラマ「2Moons2」(2019年)に出演していました。3組のカップルが登場するドラマですが、その中でもKit役を演じたNineは好評でした。
タイ出身の練習生は2人中2人がデビューし、デビュー率100%です。

張嘉元 最終順位8位 


張嘉元は、2020年春にテンセントビデオで放送されたボーイズバンド結成バラエティ「明日之子 第4季」に参加して注目された人です。
「明日之子 第4季」はコロナの影響が強く残っていた時期に制作された番組で、参加者の少年の多くが、「コロナの影響で行き場を失っていたところ、声をかけられたので番組に出た」と答えるなど、オーディション番組ながらあまりガツガツした雰囲気がありませんでした。張嘉元も「アコースティックギターが弾ける素人の高校生」として出場しました。黙っていれば中国的な美少年、しゃべらせればリアクションが早く、東北地方出身者特有のユーモアセンスが抜群でした。「明日之子 第4季」ではファイナルの一つ前で敗退したものの、任胤蓬(レン・インポン/楽器はチェロ)、付思超(フー・スーチャオ/楽器はコントラバス)らとともに「銀河系楽団」(ギャラクシー)という弦楽器のグループを結成し、大手事務所「哇唧唧哇」(WAJIJIWA/ワジジワ)の所属となりました。
「哇唧唧哇」(WAJIJIWA)は「創造営」と関わりのある大手事務所で、「創造営」からデビューした歴代のグループ(R1SE、硬糖303)はいずれも「哇唧唧哇」(WAJIJIWA)の所属で、今回結成された「INTO1」も同様であるとみられています。

そのような背景を持つ事務所の所属であるため、WAJIJIWA所属の練習生たちは「事務所の力で勝ち進んでいるのではないか」とネット上で叩かれていました。しかも、パフォーマンスの評価が高く番組後半からどんどん追い上げていた慶怜(ケーレン)が惜しくも12位でデビューを逃したこともあり、デビューメンバーに入った張嘉元への風当たりはやや強いです。

張嘉元は2003年1月8日生まれの18歳、参加者の中でも最年少の部類に入ります。「創造営2021」ではやや野心的なイメージになり、キャラが少し変わりました。そして、以前と比べるとダンスが格段に上達しました。身長185cm、手足が長く色白で、目鼻立ちも整っており、よく見ると張嘉元のルックスレベルの高さは周柯宇と並ぶほどです。将来的なポテンシャルを考えると、デビュー組に入ってしかるべき人材だと思います。

リルーシュ(利路修/LELUSH) 最終順位17位


「早く家に帰りたい男」ロシア人のリルーシュ(LELUSH)は第3回目の順位発表で、なんとデビュー圏内である10位に入ってしまい本気で焦っていました。
視聴者に向かって「自分はデビューを望んでいない。節度のある皆なら自分の気持ちを尊重してくれると信じている。」と最後のお願いをした結果、リルーシュの応援会は「応援会としての組織的な投票はもう行わない」と宣言しました。にもかかわらず、最終順位17位という好成績を残しました。これは、いかにリルーシュの「一般ファン」が多かったかを証明しています。

最後のアピールの場であるファイナルのソロステージで、リルーシュは第1期のレベル分け審査で歌った曲をもう一度歌いました。誰も知らないロシア語のRAP曲「JACKPOT」(原曲:Mr.LAMBO)です。
ファイナルまで来たのだから、応援してくれたファンのために中国語の歌を準備したり、それなりに練習したダンスを披露するのかなと思ったのですが、まさかの「JACKPOT」再演でした。
このことで、リルーシュは舞台に対して本当に欲がなかったということが証明されました。誰にも媚びず、自分に嘘をつかないスタンスは、笑いを通り越して崇高ですらあります。ファイナルで、会場にいる全員の喝采を浴びてリルーシュが歌ったロシア語RAP「JACKPOT」は「創造営」の歴史に残る感動的なパフォーマンスでした。

井汲大翔(ヒロト) 最終順位15位


元から固定ファンを持つ中国人練習生も多い中で、15位をキープしたのは大健闘だと思います。
ファイナルでのソロパフォーマンスが非常によかったです。トレードマークの黒い帽子はお姉さんの帽子だそうです。家族と話すときは関西弁が出ます。
初登場時から可愛らしいルックスで注目を浴びていましたが、あまり感情を表に出すタイプではなく、どちらかというと淡々とした性格で何を考えているのかよく分からないところがありました。ですが、後半に進むにつれて、「アイドルになりたい」という目的意識を明確に持つ芯のある子だということが伝わり、好感度が上がりました。
井汲大翔は2019年の「PRODUCE101 JAPAN」に参加していました。日本ではいま「PRODUCE101 JAPAN Season2」(日プ2)が開催されています。結果的にみると、「日プ2」に参加せずに中国プデュに参加した形になり、勇気のある選択をしたと思います。

张欣尧(ジャン・シンヤオ) 最終順位20位


1994年11月21日生まれ、身長178cm、内モンゴル省赤峰出身。2017年頃黎明期のTikTokerとして有名になった人です。派手な顔立ちではありませんが、バランスの取れた自然な表情が魅力的なイケメンです。2PMのジュノに似ています。
所属事務所の无憂伝媒(无忧传媒)はインフルエンサーのマネージメント会社です。グループアイドルを育てるための芸能事務所ではありませんが、張欣尭をデビューさせるため全社を挙げて応援していることがネットニュースで取り上げられました。

第9期パジャマパーティの両親からのビデオメッセージで、内モンゴルに住む両親のために家を建てたことが紹介されています。張欣尧は普通の大学に通っていましたが、ダンスや歌が好きで自らダンスを学び、当時リリースされて間もなかったTikTok(抖音)に自分のショート動画をアップしたところ大ヒットし、フォロワー数1000万超えの人気となりました。TikTokerとして相当の財産を築いているはずですが、本人はダンスや歌など芸能の道に進むことを望んでおり地道な努力を続けています。
「つきあったら楽しそう」「経済力のある27歳の大人のイケメン」として非腐女子層からの支持が高かったですが、番組内ではフォーカスされる機会がやや少なくもったいなかったです。初回からファイナルまで常に20位をキープし続けたのもある意味異色です。

生配信で行われた「創造営2021」決勝戦のもう一人の功労者。決勝の総司会を務めたのは中国バラエティMCのプロ中のプロ、何炅(ホー・ジョン)です。


これまでの収録放送ではメンターである俳優の鄧超、寧静、歌手の周深、周震南、アンバー、Neneらが仕切っていましたが、決勝生配信の司会は非常に難易度の高い仕事です。プロの司会者・何炅(ホー・ジョン)が進行を任されました。

閉鎖環境で収録される「創造営」の中にいるうちは、潤沢な制作資金と豊富な人材を有するテンセントが練習生たちを守ってくれます。おぼつかないところがあっても編集でカバーしてもらえます。しかし、「創造営」という営巣の外に出ると、世間の厳しさに晒されることになります。特にネット上では理不尽な理由で叩かれることもあると思います。ましてやコロナの影響が続き海外への移動制限もある中、「国際グループ」としてどうやって活動するのか--。新しい可能性を模索すべく「INTO1」は未知の世界に飛び出していきます。
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中国ボーイズアイドルの創生 TFBOYSと中国プデュ~原際画「易安音楽社」の林墨(リン・モウ)

2021年04月21日 | 創造営2021
「創造営2021」には90名もの練習生が登場しましたが、練習生たちの所属する事務所は様々です。番組制作に参画するような有力事務所もあれば、できたばかりの事務所もあり、また、この種のサバイバル番組に人材を送り込むだけのキャスティング会社のような事務所もあります。
中国には、アイドルをいちから育成し、自社でグループデビューさせられるだけの力量のある事務所は僅かしかありません。
グループデビューはできても、その後の活動展開、楽曲やMVのプロデュース、宣伝などを含めた運営力のある事務所は更に少ないです。

目下のところ、中国ボーイズアイドル最大の成功例はTFBOYSです。小中学生の頃から芸能活動している3人のメンバーは全員大学生となり、2021年8月には「デビュー8周年コンサート」が予定されています。移り変わりの激しい中国において、彼らの誕生、成長、存在、そのすべてが「奇跡」と言っても過言ではありません。
TFBOYS 中央:王俊凱、右:王源、左:易烊千玺(イーヤンチェンシー)


TFBOYSを育てた事務所「時代峰峻」は、グループアイドルを自社からデビューさせる力があります。
この事務所では、アイドルを目指す多くの小中学生の少年がレッスンに励んでおり、練習生は「TF家族」と呼ばれています。TFBOYSを頂点とするTFファミリーは絶大なブランド力を持ち、「箱推し」ファンが存在します。箱推しファンは、まだ幼い練習生が事務所に入ったときからチェックし、その成長を見守っています。
「TF家族」のメンバーは流動的で、TFBOYSのコンサートのバックダンサーを務めることなどでファンの前に姿を現します。つまり、ジャニーズJr.のような存在です。
時代峰峻 TF家族公式サイト http://www.tfent.cn/

今のところ、TFファミリーは「中国プデュ」と一定の距離を置いています。TFからデビューできる可能性のある子は、そう簡単に「中国プデュ」に出しません。但し、时代峰峻の所属でも俳優寄りの活動をしているタレントを数名「中国プデュ」に送り込んでいます。

「創造営2021」に参加し、常にデビュー枠である11位内をキープしている林墨(リン・モウ)は、2014年から2016年まで「TF家族」の一員でした。
TF家族を脱退した後、2017年に現所属事務所「原際画」に移り、名前を黄其淋から芸名の林墨(リン・モウ)に変えました。

林墨(リン・モウ) 2002年1月6日生まれ 重慶出身 上海戯劇学院ミュージカル学科在学中 所属事務所:原際画
明るく賑やかで周囲を盛り上げるキャラクター。トークセンスが独特。ダンス、ボーカルともに安定した実力を持つ。


本来「PRODUCE 101」形式の番組は、視聴者である”国民プロデューサー”がアイドルを養成してデビューに導くというコンセプトです。しかし、実際には最初から相当数の固定ファンがついている練習生が多数存在します。林墨(リン・モウ)もそのうちの一人です。

林墨の所属する事務所・原際画(上海原際画文化伝媒有限公司)は、2016年に設立された比較的新しい会社です。
社長の黄鋭(ホアン・ルイ)はTFBOYを育てたプロデューサーの一人で、「時代峰峻」創設初期からのスタッフでした。TFBOYSの初期のバラエティの多くは黄鋭がプロデュースしたものです。
TFBOYSの活動が軌道に乗り、弟グループのデビューに向けて準備が進められていた2016年、黄鋭は「運営方針に対する意見の不一致」を理由に独立してしまいました。そこで新しく立ち上げた会社が「原際画」です。そして独立する際に、「TF家族の有望な練習生を2人連れていった」と言われており、その2人のうちの一人が、当時まだ14~15歳だった林墨(原名:黄其淋)です。
原際画に移籍した林墨は、「易安音楽社」という二次元(漫画)と三次元(実際のアイドル)の融合をコンセンプトとする6人グループのメンバーとして活動を始めました。

2017年「易安音楽社」発足。メンバーを発表。林墨は当時15歳。


2019年の「易安音楽社」。主要メンバーの何洛洛がR1SE(創造営2019)としてデビューしたため、何洛洛を抜いたメンバーで活動。


「易安音楽社」は中国土着の等身大のアイドルを作り出そうとしていました。自然な黒髪、明るく健康的な笑顔、カラフルなファッションが特徴です。
しかし、現時点では当初のメンバー6名のうち林墨を含む3名が「中国プデュ」に投入されています。いまの中国芸能界で、一つの事務所の力だけでアイドルグループをプロデュースすることが、いかに難しいかを表わしているともいえます。

原際画にも「TF家族」と同様の形で、幼い練習生が多数在籍しています。
「創造営2021」第8期で林墨の「弟たち」(後輩)が紹介されています。林墨自身は19歳になったばかりなのに、会社や後輩たちの未来を背負う立場にあります。
なお、林墨と同じ時期に「TF家族」を離れたもう一人の有望な練習生は、現在「青春有你3」に参加している孫亦航(スン・イーハン/原名:黄宇航)です。
孫亦航もまだ19歳ですが、練習生暦7年で老成したイメージがあります。林墨より更に重責を負っている印象を受けます。


前回29位で惜しくも「創造営2021」決勝進出を逃した呉海(ウーハイ)は、元々ダンス講師、振付師として名が知られていました。
呉海(ウーハイ) 1997年11月17日生まれ 重慶出身。日本語、英語が流暢。サンタ、力丸らと組んだ二公の「JOKER」がよかったです。


呉海はTFBOYS、その弟グループ「時代少年団」、練習生「TF家族」の振付やダンス講師をしていたことがあります。
地元では有名なイケメンダンス講師として成功を収めていましたが、裏方ではなく表舞台に立つことを目指して「創造営2021」に参加しました。

このほか、インフルエンサー(網紅/ワンホン)としてかなりの人気・実績がありながら、中国プデュに「練習生」として参加するケースが増えています。インフルエンサーというのは、具体的にいうとTikTokerです。
例えば、20位で「創造営2021」のファイナルに勝ち進んだ張欣尧(ジャン・シンヤオ)はTikTok(抖音)に1000万以上のフォロワーを持つ有名TikTokerです。
練習生ひとりひとりに、それぞれ異なるバックグラウンドがあります。
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「創造営2021」(Chuang 2021)第三回公演~日本人練習生が中国スターと共演

2021年04月13日 | 創造営2021
4月20日(土)「創造営2021」の第三回公演が配信されました。第三回公演が終わると、次に来るのは「第三回順位発表」で、ここで決勝戦に進めるファイナリストが選ばれます。その次は決勝戦・デビューメンバー決定という流れになります。
第三回公演(「三公」)では、33名の練習生が6つのグループに分かれてパフォーマンスをします。”中国プデュ”の「三公」では、各グループにゲストを迎えてコラボパフォーマンスをするのが恒例となっています。「創造営2021」の「三公」は、視聴者(創造営プロデューサー)の投票によって各曲のセンター6名が決まり、センター以外は前回順位の上位者から希望するグループに入るという方式がとられました。
「三公」はセンターが特にフォーカスされる構成になっており、センターと「三公」女性ゲストとの共演が見どころとなっています。

1.ミカ(米卡)をセンターとするパフォーマンス。ゲストは鞠婧祎。
メンバー:ミカ(米卡)、高卿尘(Nine)、呉宇恒、薛八一、曽涵江、張星特。
曲目:「输入法打可爱按第五」


ゲスト:鞠婧禕(チュー・チンイー)1994年6月18日生まれ、身長159cm、四川省出身。
AKB48の上海姉妹グループとして発足したSNH48の元主力メンバー。当時日本のメディアから「四千年に1人の美少女」として宣伝された「キクちゃん」です。2017年にSNH48総選挙で二年連続で1位となり、「殿堂入り」を果たしてSNH48を卒業。現在は女優・歌手として活動しています。
2017年に主役を演じたドラマ『熱血長安』が当時の中国Webドラマとしては記録的なヒットとなり、女優として注目を浴びました。その後、ハイペースで『芸汐伝』『如意芳霏』『漂亮書生』(成功館スキャンダルの中国版)など古装ファンタジードラマのヒロインを次々と務め「Webドラマの女王」と呼ばれています。SNH48時代から歌を得意としており、現在はソロの歌手として舞台に立つことも多いです。

2.賛多(Santa)をセンターとするパフォーマンス。ゲストは毛暁彤。
メンバー:賛多(Santa)、付思超、井朧、謝興陽、魏子越、張騰
楽曲:「NANA PARTY」


ゲスト:毛暁彤(マオ・シャオトン/Rachel Momo)、1988年2月16日生まれ、身長163cm、天津出身、中央戯劇学院卒業。
10代前半から多数のドラマに出演しており、キャリアが豊富。第一線で活躍している有名な女優です。歴史ドラマ、武侠ドラマ、現代もの、様々なジャンルの作品に出演しており、代表作は『三十而已』(30女の思うこと〜上海女子物語〜) 『ラブ O2O』(微微一笑很傾城)『王女未央-BIOU-』『宮廷の諍い女』など。競技ダンス(ラテン)の経験があり、「創造営2021」にはダンスパートナーとして参加しました。

3.慶怜(ケーレン)をセンターとするパフォーマンス。ゲストはアンバー。
メンバー:慶怜(ケーレン)、胡烨韬、井汲大翔、栄耀、俞更寅
曲目:「衛星XL」


ゲスト:元f(x)のアンバー(エンバ)。「創造営2021」を含め中国の番組では「劉逸雲」(リウ・イーユン)と中国名で表記されることが多いですが、会話の中ではAmberと呼ばれています。2019年9月1日にSMエンターテイメントとの契約が終了。「創造営2021」にメンターとして参加。三公「衛星XL」では練習生と一体となってステージを作りました。慶怜とダブルセンターのようなポジションで、キレのあるダンスとRAPのパフォーマンスを見せました。

4.劉宇をセンターとするパフォーマンス。ゲストは孟美岐。
メンバー:劉宇(リウ・ユー)、伯遠、 呉海、羽生田挙武、張欣尭
曲目:「冒険計画」


ゲスト:孟美岐(モン・メイチー/ミギ) 1998年10月15日生まれ、河南省出身。
2016年に韓国でデビューした中韓混合グループ「宇宙少女(WJSN)」のメンバー。
2018年に放送された「創造営101」に参加し、1位の成績でグループデビュー。期間限定グループ「ロケットガールズ」のセンターを務めた。
孟美岐は韓国進出に力を注いできた中国芸能事務所YUE HUA Entertainment(乐华娱乐/樂華娛樂/ウィエファ)の所属です。YUE HUA は韓国Mnet版の「PRODUCE101」シリーズにも多くの練習生を送り込んでおり、「中国プデュ」元年の2018年に放送された「創造営101」と「偶像練習生」にもYUE HUA所属の中国人練習生が多数参加しています。孟美岐は「創造営」の先輩として三公に参加。

5.力丸をセンターとするパフォーマンス。ゲストは劉些寧。
メンバー:力丸(Rikimaru)、オスカー、AK(劉彰)、パトリック(尹浩宇)、張嘉元、周柯宇(ダニエル)
曲目:「璧」


ゲスト:劉些寧(リウ・シエニン/サリー)1996年10月23日生まれ、深セン出身。
昨年テンセントビデオで配信された「創造営2020」(ガールズグループ版)に参加し、6番目のメンバーとしてグループデビュー。「硬糖少女303」(BonBon Girls 303)のメンバー。「創造営」の先輩として三公に参加。
KPOPグループgugudan(クグダン)の唯一の中国人メンバーとしてデビュー。劉些寧が「創造営2020」に参加した時点では、gugudanは正式には解散していませんでしたが、グループとしての活動はほぼなく、劉些寧は中国に帰国して「創造営2020」に出場しました。韓国グループデビューを経験しており、高いダンススキルとクールな美貌で最初から注目されていました。ストイックで孤高のイメージが強く、最終的には6位という成績でデビュー。

6.林墨をセンターとするパフォーマンス。ゲストはNene。
メンバー:林墨、甘望星、何屹繁、利路修(LELUSH)、任胤蓬
曲目:「天突然下起雨,是我在想你」


ゲスト:Nene(鄭乃馨)タイ人。1997年6月25日生まれ。身長164 cm。タイバンコク出身。 
「創造営2021」のアシスタントトレーナーとしてレギュラー参加しています。劉些寧と同じく昨年「創造営2020」に練習生として参加し、最終順位5位でグループデビュー。現在「硬糖少女303」(BonBon Girls 303)の唯一の外国人メンバー。「中国プデュ」からグループデビューしたメンバーとしては、2人目のタイ人です。Neneの前には、李紫婷(Mimi)というタイ華僑の女の子がグループデビューしたことがあります。ただし、李紫婷は最初から普通に中国語ができて、実力派歌手というポジションが明確でした。それに比べると、Neneは歌、演技、ダンスどれもこなしますが、愛らしいリアクションがバラエティ向きです。中国語はこの一年でかなり上達しました。

番組のレギュラーであるトレーナーのアンバー、アシスタントのNeneのほか、鞠婧禕(キクちゃん)、毛暁彤(マオ・シャオトン)、孟美岐(モン・メイチー)、劉些寧(リウ・シエニン)がゲストとして三公の舞台に参加しました。

しかし、「三公」で最も注目を集めたのはゲスト審査員として参加した俳優の龚俊(ゴン・ジュン)です。龚俊はいまものすごく売れている俳優です。


2月から3月にかけて放送されたWebドラマ「山河令」の主役・温客行役を演じて大人気に。本人は「歌もダンスも壊滅的」と公言していますが、気さくに歌ってみせたり、CPの相方である俳優・張哲瀚の名前をここぞというタイミングで出したりして、番組とファンのニーズに直球で応えるサービス精神旺盛な人気俳優です。
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モザイクのかかった“中国プデュ”「創造営2021」と「青春有你3」~ソニーミュージック橋本裕太の活躍

2021年04月02日 | 創造営2021
現在中国では「PRODUCE101」形式のオーディション番組が2つ平行して放送されています。いわゆる“中国版プデュ”といわれるものです。2月中旬に始まったので、ちょうど中盤から後半にさしかかるところです。

テンセントビデオの「創造営2021」は水曜日と土曜日、iQIYIの「青春有你3」(Youth With You 3)は木曜日と土曜日に放送されることになっていますが、放送日はやや変則的になっています。
3月25日(木)に放送されるはずだった「青春有你3」(第11期)は当日になって放送延期が発表されました。
その2日間後、3月27日(土)に放送された第2回公演の回では、練習生たちが着用しているAdidasのTシャツのロゴに、すべてモザイクがかけられていました。


モザイクがかけられる前の回。全員がAdidasのTシャツを公式練習着として使用していました。


これは「新疆ウイグル産綿(新疆綿花)使用問題」に起因するものです。

欧米アパレル市場では2020年頃からウイグル産綿の使用について異議を唱える世論があり、大手アパレル企業では「ウイグル産綿を使用しないこと」をデューディリジェンスに掲げる動きが広がっています。
つまり、ウイグル産綿の使用問題はいまに始まったことではないのですが、3月24日に共産党青年団組織のWeibo公式アカウントで正面からH&Aを批判したことをきっかけに、中国のネット上で一気に火がつき大問題となりました。
さらには、国際NGO「ベター・コットン・イニシアティブ」(BCI)が批判の対象となっため、BCIに加盟している大手企業が軒並みボイコット対象になり、Adidas、ナイキ、Pumaなども影響を受けました。
このネット発のボイコットを受け、メジャーな中国芸能人が次々と、Adidas、ナイキ、Puma等との広告イメージキャラクターを終了すると宣言しました。

もうひとつの“中国プデュ”、テンセントビデオの「創造営2021」はPumaブランドをスポンサーとしていますが、3月27日放送分からPumaのロゴにモザイクがかけられました。


モザイクがかかる前の回の練習風景。


SNSが火をつけるボイコットの特徴は、前々から存在していた問題なのに、あるタイミングで爆発的に情報が拡散し、過激な短文論争が展開される点です。どのタイミングで爆発するのかは予想ができず、竜巻のようなものです。

大量のモザイクがかけられ白っぽくなった「創造営2021」(第6期)が放送された数日後、Avexが中国のネット上で叩かれる騒ぎが起きました。
それは、2018年にAvex日本サイトに掲載された記事の中の、国に関係する単語の並べ方に問題があるとして炎上しました。
記事の内容としては、アジアでの音楽事業展開について紹介しているだけで、政治的な要素はまったくありません。むしろ、アジアの音楽市場を好意的に捉えている内容なのですが、「台湾」の記載の仕方に問題があると叩かれて炎上しました。記事は中国語で書かれたものではなく、日本向けに日本語で書かれたものです。
「こんなことでこんなに炎上するのか」とびっくりせざるを得ません。また、過去の細かい発言や表記まで掘り起こして干渉されるのであれば、対策のしようがありません。
Avexは「Avex国際部」のWeiboアカウントを通じて即座に対応しました。

なぜこのタイミングで過去のことが掘り起こされたのか。「ウイグル産綿使用問題」で白いモザイクが揺らめく番組映像を見て、人々の政治的な情緒が刺激されたのかもしれません。
また、これまでの「中国プデュ」のあり方と比べると、今回の「創造営2021」はAvex所属の練習生が強すぎたかも?という気はします。
この種の番組でデビューメンバーが特定の事務所に偏ると視聴者は反感を抱きます。視聴者が「有力事務所は番組制作側と繋がっているから優遇されている。」と疑うからです。
「PRODUCE 101」形式の番組には100名近くもの練習生が参加するため、全員に均等にカメラが向けられるわけではありません。長い尺を取ってフォーカスされる練習生もいれば、欠点を指摘される練習生もいるし、全く存在感を示せずに去っていく練習生もいます。
扱いに差があるのは仕方のないことですが、順位は視聴者の投票で決まり投票には課金が伴うため、特定の事務所の練習生が優遇されていると感じると、「投票者である視聴者を尊重していない。」という不満が生まれます。そのことが、番組の中で目立っていたAvex勢を叩く遠因になったかもしれません。

ただ、今回のAvexの過去のネット記事のことがなくても、日本人選手が攻撃される潜在的な要素(主に政治的な問題)は山のように存在します。
そもそも、中国のネット・SNSは毎日何らかの問題で炎上しています。炎上が常態化しており、移り変わりも早いです。
今日叩かれるのは自分でも、来週には別の人が叩かれています。

参加している練習生は本人の行動とは関係のない原因で叩かれて気の毒としかいいようがありませんが、このような状況の中でできるのは、気にしないこと。そして、思うことがあっても個人的な意見を発しないこと。しかないのではと思います。
恐ろしい波が向かってきたとき、波を止めることはできず、波に呑み込まれないように泳いでいくしかないです。
Avex側もできることはやったと思うので、周りに惑わされず練習生たちがパフォーマンスに集中できることを願っています。

「創造営2021」では沢山の日本人練習生が活躍していますが、「青春有你3」に参加している日本人の橋本裕太も健闘しています。
橋本裕太は「青春有你3」の唯一の日本人練習生です。

橋本裕太 1995年2月5日生まれ 身長180cm ソニーミュージック所属。


シンガーソングライターとして活動しており歌がうまいです。中国語もかなりできて、中国人練習生とのコミュニケーションも活発です。
歌唱力という武器があり、中国人に混じって頑張る真っ直ぐで温厚な努力家という印象を持たれており、中国ファンから応援されています。
特にベテラン練習生・姜京佐がルームメイトだったのが良かったです。
姜京佐と橋本裕太。テーマ曲の練習に挑むために結成されたコンビ。


宿舎(4人部屋)のルームメイトは姜京佐、李俊濠、劉冠佑。ルームメイトに恵まれました。


テーマ曲の日本語版をアカペラで歌い大きな反響がありました。第1回目順位発表では51位で通過。


「創造営2021」の方が話題性がありますが「青春有你3」も面白いです。
「青春有你3」の方がビジュアルへのこだわりが強く、メイクが濃くて衣装が耽美系です。そして話の展開がオタク(腐女子)向けです。とにかくCPネタを次々と投下してきます。逆にいうと、CP人気に乗れない練習生はかなり不利になります。
全員参加のテーマ曲のパフォーマンスに挑む際は、練習生が各自誰かに宛てて手紙を書き、マッチングすればコンビ成立というお見合い番組のような展開でした。CPを煽るカメラワークが天才的で、練習生たちもCPを煽って楽しそうに盛り上がる姿が映し出され、この子たちは一体どういうメンタリティなんだろう・・・と思います。
しかし、番組収録中にスポンサー商品の広告撮影が入ったり、他社メディアのインタビューを受けたり、さらには別のバラエティ番組にゲスト出演したりと外部の「仕事」が多いです。こういった「仕事」はランキング上位の人気練習生にあてがわれます。
そのため、一部の練習生は課題パフォーマンスの準備に集中することができず苦労します。練習中も広告撮影用のメイクをしたまま参加している姿が見受けられます。

「創造営2021」も同様に広告や外部の「仕事」はありますが、相対的にいうと「創造営2021」の方が練習生たちが一つのステージを作り上げていくプロセスを重視しています。
「創造営2021」がこれほど多くの外国人練習生を迎え入れたのは、テンセントビデオの海外版アプリ「WeTV」を普及させるためでもあり、中国企業テンセントの海外事業展開の一環といえます。
タイ、マレーシアなど東南アジア、日本、韓国をメインターゲットにしています。日本人練習生がこの番組に出るのは大変なことと思いますが、「創造営2021」に参加したことによって、タイやフィリピンなどでも存在を知ってもらえる可能性もあります。
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「創造営2021」第5期(3月20日)順位発表~90名のうち上位55名が次フェーズに進出

2021年03月22日 | 創造営2021
3月20日(土)放送の「創造営2021」第5期で最初の公式順位発表がありました。練習生90名(実際には和馬の辞退により89名)のうち上位55名のみ次のフェーズに進むことができます。56位以下の35名(34名)は「創造営2021」の収録地である海花島から去ることになります。

上位11名は、次回から「Aクラス」として第二回公演に挑みます。
上位11名は、1位:劉宇、2位:サンタ(賛多)、3位:力丸、4位:ミカ、5位:周柯宇(ダニエル)、6位:林墨、7位:张嘉元、8位:ケーレン、9位:尹浩宇(パトリック)、10位:任胤蓬、11位:オスカーです。
大きな波乱はなく、ケーレン(慶怜)が8位まで伸びたのが快挙といえます。


56位以下の練習生は番組から去ることになります。ただ、放送日3月20日の1週間くらい前からネット上(主にWeibo)に誰が敗退するかの情報が漏れていたこともあり、発表自体にあまり驚きはありませんでした。

サンタ、力丸、ミカ、ケーレンの上位メンバーのほか、日本人参加者で勝ち進んだのは、
17位:井汲大翔(ヒロト)、27位:羽生田拳武(アム)、32位:一ノ瀬飛鳥、44位:上原一翔、49位:佐藤永翔です。

60位:都築雄哉、63位:喜内優心(Yuu)、70位:門脇慎剛、71:リンドウ、72位:原部凌、78位:田口馨也、87位:隅田隼平は海花島に別れを告げます。
もしKazuma(和馬)が辞退していなければ、11位内に入っていた可能性が高いです。

喜内有心(Yuu)が62位で敗退してしまったのは、大変惜しまれています。
筋肉を鍛えることとドラゴンボールが大好きな底抜けに明るいキャラで皆から愛されていました。
ダンスの経験が浅く、パフォーマンスの評価があまり高くなかったことが順位に響いたのではと思います。


気になったのは、嘉尚伝媒という事務所から参加していた3名、陳俊潔、李沛洋、鄭明鑫がほとんどカメラに映ることなく敗退したいったことです。
185㎝以上の長身、モデルのようなスタイルの見栄えの良い3人です。エース格とされたのは、元走り幅跳びの選手で身長191㎝の陳俊潔でした。
ところが、陳俊潔は収録の初期段階で足を怪我してしまい、ほとんどパフォーマンスに参加できませんでした。負傷してからカメラが向けられなくなり、李沛洋と鄭明鑫もあまりフォーカスされなくなりました。李沛洋は非常に舞台映えするルックスだったので、「カメラにあまり映らないけれどすごい美形がいる」として一部の視聴者の間で話題になっていました。
もったいないです。しかし、陳俊潔が怪我をしてしまったので、実質的に3人揃っての辞退だったのかなとも思います。

陳俊潔 20歳 身長191cm 新疆出身。李沛洋  23歳 身長185㎝ 河南省出身。鄭明鑫 17歳 身長188cm 河南省出身。


練習生としてトレーニングした期間が短く、ダンス・歌のパフォーマンスの評価は高くありませんでした。この3人は別のオーディション番組に出直すのかもしれません。


「創造営2021」は「創造営」(テンセント版中国プデュ)シリーズの4回目です。「創造営2021」は国際版として企画されており、23名もの海外練習生が参加しています。
日本人参加者は17名のうち9名、タイ人は2名とも勝ち進みました。その他の欧米ロシア系はあまり振るわず、利路修(LELUSH)以外は敗退してしまいました。

番組の中では中国語、英語、日本語、タイ語、ロシア語が飛び交い、重要な説明や連絡事項は5か国語で表記されていますが、主要言語は中国語です。重要な場面では海外練習生も中国語で話さなければなりません。
中国人練習生の中には英語や日本語ができる人がかなりいて、彼らが海外練習生を助けてくれています。
米国育ちの周柯宇(ダニエル)やブラジル育ちのオスカーは英語が流暢です。AK(刘彰)、呉海(ウーハイ)などは日本語ができます。
その中でも、AK(刘彰)は母語の中国語のほか、英語、日本語と三か国語ができるので、日本人練習生から頼られています。

AK(刘彰)1999年12月18日生まれ 身長180㎝ 広東省出身。初回順位発表では13位。ラッパー。


高校は広州にある某高校の国際部を卒業し、現在ニューヨーク大学在学中。専攻は数学と経済学。中国語、英語、日本語がしゃべれます。すごいエリートです。
AKは2020年に別のRAP系オーディション番組(「話唱新世代」)に出ていました。そのときは「ちょっと生意気なかんじ」というイメージを持たれていましたが、「創造営2021」では非常に魅力的なキャラクターとして人気を集めています。頭の回転が早く弁才があり、率直かつ理知的な発言は番組でたびたびフォーカスされます。
頭が良くて、裕福な家庭で育ち、英語が堪能で日本語もできて、180㎝の高身長で小顔、頭の回転が早くさっぱりした性格、さらに音楽の才能があるという漫画の設定が現実になったような人物です。米国大学進学時のTOEFL、SATのスコアも満点に近いハイスコアだったとネット上で言われています。
ただし、この種のびっくり人間は中国には時々いて、単なるスペックの高さだけでは注目を集めることはできません。
番組側の良心的な編集により、性格的な魅力がクローズアップされてはじめて視聴者からの人気と支持を得ることができます。

AK、賛多、力丸、于洋の4名は4人部屋の同室です。彼らの「405号室」(405宿舎)は非常に人気があり、ネット上には「405号室ハコ推し」も存在します。


言葉の壁がありながらも、深い友情を結んでいる練習生もいます。代表例が曽涵江(ハンジャン)とミカです。

曽涵江(ハンジャン)ラッパー。四川省出身 20歳 身長178cm。


曽涵江は元々英語は得意ではありませんでしたが、ミカと話しているうちに英語がかなり上達したようです。ミカからは「ハンジャンの英語はPerfect」と褒められています。ミカはやさしい人です。

Avex、日米ハーフグループ「Intersection」のミカ(米卡)は登場直後から人気が高く、レべル分け審査でもメンターから高評価を得ていました。
一方、曽涵江(ハンジャン)は個人で活動していたラッパーで、有名事務所の所属でもなく、これといった前歴やバックグラウンドもありません。
第1回目公演の曲目を選ぶ際に、曽涵江は優先的に曲目を選べるポジションにあり、「酔拳」というジャッキー・チェンの曲を選びました。
ところが、定員7名の「酔拳」を選んでくれる人がなかなか現れず、曽涵江は焦っていました。


曽涵江がミカを強引に「酔拳」に引き入れたことから、二人の友情が始まりました。


3月20日に発表された順位は毎週公布される順位の中間発表と大きな差はありませんでした。
大きな変動といえば、ロシア人の利路修(LELUSH/リルーシュ)が29位という好成績で勝ち進んだことです。
順位が発表されたとき、利路修は苦笑していました。
「皆も知っているとおり、自分の夢はグループデビューすることではない。なぜ29位の席に自分がいるのか分からない。本来はダンスや歌に優れている人がここにいるべきだ。視聴者の皆さんには感謝しているけれど、もし自分が残ることで誰か一人去らなければならないのは間違っている。公平ではない。視聴者の皆さんはもっと他の参加者に目を向けてほしい。そして自分にはもう投票しないでほしい。」という可笑しくも誠意ある発言でまた注目度が上がってしまいました。

利路修は勝ち進んでしまったため、雑誌Esquire(エスクァイア)中国版『時尚先生』の企画に参加。芸能人として十分通用するルックスです。


力丸、AK、サンタ(賛多)、劉宇、羽生田拳武(アム)。アムは高いパフォーマンス力と、他と被らない個性を発揮しているので人気があります。


タイ人の高卿尘(Nine)、ケーレン(慶怜)、ミカ(米卡)、任胤蓬、タイ人のパトリック。任胤蓬はWAJIJIWA(ワジジワ)という有力事務所の所属です。この事務所は番組の制作にも関わっていると思われます。「明日之子 第4シーズン」というバンド結成オーディション番組にチェロ奏者として出場し注目を浴びた人です。


「創造営」は番組でのパフォーマンス以外にも、ミニバラエティやスポンサー商品のCF、雑誌モデルなど様々な芸能活動を体験することができます。競争に勝ち進むほど露出するチャンスは増えますが、仮に勝ち進むことができないとしても、番組内での努力や活躍によって視聴者の記憶にその名を残すことができるはずです。
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「創造営2021」グループバトル終了~個性的な練習生とKazumaの辞退

2021年03月12日 | 創造営2021
テンセントビデオで配信されている“中国版プデュ”「創造営2021」の第3期が放送され、第1回パフォーマンス(グループバトル)が終了しました。
放送開始からまだ1ヶ月弱ですが、徐々に人気が固定してきています。
2021年3月4日12:00までの集計結果によると、1位は先週に引き続きミカでした(日米ハーフグループ「Intersection」のメンバー)。



2位:サンタ(WARPs 日本人ダンサー)
3位:周柯宇(ダニエル)(18歳、身長188cmのイケメン)
4位:Kazuma(和馬)(日米ハーフグループ「Intersection」のメンバー)
5位:任胤蓬(チェロ奏者としてバンド結成バラエティ「明日之子第4季」に出場、銀河系楽団のメンバー)
6位:劉宇(20歳で様々な中国民族舞踊を踊りこなすダンサー。やや小柄)
7位:張嘉元(ギター奏者。「明日之子第4季」に出場、銀河系楽団のメンバー)
8位:力丸(WARPs 日本人ダンサー・振付師)
9位:林墨(易安音楽社メンバー。ボーカル、ダンスともに安定した実力がある明るいキャラクター)
10位:オスカー(ブラジル育ちの中国人ラッパー、2020年の「少年之名」でファイナルの手前まで残る)
11位:ケーレン(慶怜)(日米ハーフグループ「Intersection」のメンバー)

デビュー枠は上位11名です。現時点での人気投票では上位11人に日本人選手が5人もランクインしています。
残りの中国人練習生6名は、いずれも他のオーディションバラエティに参加した経歴があり、もともと相当数の固定ファンがいます。

Avexが送り出したIntersection、WARPsのメンバーは、全員が上位11名内に入っています。特にIntersectionの日米ハーフ3人組がここまで人気が出るとは予想外だったのでは思います。
ところが、人気順位4位のKazuma(和馬)が突然番組を辞退することを宣言し、日本に帰ってしまいました。
この種の番組では、初期段階で辞退する選手が出るのは比較的よくあることです。しかし、コロナの影響が続く中、厳しい出入国規制と隔離を乗り越えて「創造営2021」に参加するためだけに中国に渡航した外国人選手がこの段階で辞退するのは違和感があります。しかも4位という人気です。Kazumaの辞退は大きな波紋を呼びました。
「家庭の事情」により帰国せざるを得ないと本人が動画で説明していますが、辞退を惜しむ声が強いです。ミカ、Kazuma、ケーレンの3人の中ではKazumaが一番中国語が上達していたと思います。

Kazuma(和馬/和马)瞳がきれいだと中国のWeiboなどで相当話題になりました。


「PRODUCE 101」形式の番組はボーイズグループとしてデビューすることがゴールですが、実際にはグループデビューに対してそれほど期待はされていません。
というのは、中国では「PRODUCE 101」形式の番組が直近4年間に8回も開催されており、グループは飽和し参加者は枯渇状態にあります。
さらに、バンド、RAP、ストリートダンス、俳優育成など、ジャンルを変えただけの似たような形式のバラエティが中国では大量に制作されています。それでも、グループデビューすれば、一人のタレントとして一定の実力があり、応援してくれるファン集団がいることの証明になります。
視聴者はグループデビューさせるために投票したのだから、視聴者の気持ちを尊重するのであれば、グループ活動をしっかりやるべきです。しかし現実主義の中国芸能界では、効率の悪いグループ活動は軽視される傾向にあります。

このような背景のもと、参加する側も、明らかにアイドル「練習生」の経歴を持たない子がたくさん参加しています。
練習生歴の長い実力者よりも、むしろ毛色の変わった個性的な選手のほうが注目されるケースもあります。

「創造営2021」に出場している個性的な選手

諾言(ヌオイェン) 22歳 180㎝ 広東省出身
イケメンプロゲーマーです。
eスポーツチームeStar所属。「王者栄耀」プロリーグ(KPL)2019年世界チャンピオン。


中国は韓国と並んでeスポーツが盛んで、eスポーツやプロゲーマーを題材にした漫画や小説がたくさんあります。
諾言は明るく人懐っこいキャラクターで、漫画の世界から来た人みたいです。プロゲーマーとしてクラブに所属したまま、アイドルを目指して番組に参加しています。


甘望星(ガン・ワンシン) 20歳 183㎝ 湖南省出身
元々は湖南省長沙にあるテーマパーク「世界の窓」のお化け屋敷のNPC(キャスト)。
TikTokやWeiboで「長沙のテーマーパークにものすごくかっこいい幽霊(キャスト)がいる」と話題になり、注目されました。
背が高くてものすごく化粧映えします。ダンスや歌のレッスンを受けたことはなく、言葉にかなりの地方訛りがありイジられやすいキャラクターです。


特殊メイクをしていないと素朴な雰囲気。


利路修(LELUSH) 27歳 180㎝ ロシア出身。天王星芸人管理有限公司所属。


「出場者90人の中で、たった一人の無欲な男」としてマニアックな人気を集めています。ロシア人ですが中国語がかなり上手いです。
レベル分けパフォーマンスでは、誰も聞いたことのない謎のロシア語のRAP曲「JACKPOT」を一人で披露し、90人中最下位でFクラスに振り分けられる。顔立ちを含めルックスは整っているのに、常に無表情で空気のような存在。
元々、日本人練習生の羽生田挙武(アム)と喜内優心(Yuu)の中国語サポーターとして撮影現場に同行したところ、番組スタッフに「中国語ができるし、ルックスも悪くないから君も出てみないか。」と誘われて急遽練習生として参加することに。ただし、ダンスや歌の経験はゼロ。最初は1ヶ月という話だったのに、すでに3ヶ月もスマホもパソコンも使わせてもらえない閉鎖環境での撮影が続いているので家に帰りたがっています。
好きなアニメは「デスノート」と「コードギアス」。将来の夢は「洋服のデザインをすること」または「猫と暮らすこと」。いずれにしてもアイドルと全く関係がありません。

コロナの影響が続く中、外国人が中国で芸能活動を続けることは難しいかもしれませんが、利路修(LELUSH)と羽生田挙武(アム)と喜内優心(Yuu)が3人で活動したら面白いと思います。


3人が所属する「天王星芸人管理有限公司」という会社は香港人の王友良(Ivan Wang)という男性の会社で、「ちびまる子ちゃん」の中華圏でのキャラクタープロデュースを行っているとのことです。

なお、グループバトルには、キムタクと工藤静香の娘のKōki,(中国語表記:光希)がコメンテーターとしてオンライン参加しています。主に英語で、日本語も交じえながらコメントしています。特に辛辣なことを言うわけでもなく、番組の国際性を引き立たせ華を添える役割を果たしています。

比率から計算すると、11名のデビューメンバーのうち3名が外国人になるのでは?と言われています。
日本人勢のほか、タイ人の2名も人気・実力を備えているので、タイ人の練習生がデビューする可能性があります。
ただし、コロナの影響が続く中、外国人が中国で芸能活動するとなると、一定期間まったく帰国できない可能性があります。それを考えると、Kazumaのほかにも辞退者が相次ぐのではと心配する声もあります。
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「創造営2021」練習生レベル分け審査終了~Mika、Santa、力丸、井汲大翔などが人気

2021年02月28日 | 創造営2021
中国動画サイトテンセントビデオで”中国版PRODUCE 101”「創造営2021」(CHUANG 2021)を放送中です。2月27日(土)の放送で、練習生90名全員のレベル分け審査が終わりました。「創造営2021」には外国人練習生が23名も参加しており、そのうち17名は日本人です。
(過去記事:中国版プデュ「創造営2021」放送開始

2月27日(土)に上原一翔、 一ノ瀬飛鳥、佐藤永翔、都筑雄哉、原部凌の5名のレベル分けパフォーマンスが放送されました。
5名とも日本人ですが、所属事務所は異なる混合チームです。ピンクの衣装で『Hack』(原曲:末吉秀太)を披露。


一ノ瀬飛鳥は、中国の有名弾幕サイト「bilibili動画」の投稿主としてかなり有名な人です。「一之濑asuka」のアカウント名でbilibili動画に100万人以上のフォロワーを持っています。bilibiliオリジナルトーク番組「非正式会談」にレギュラー出演しており中国語が上手いです。

都筑雄哉、原部凌は個人練習生として参加。上原一翔(DIWON MEDIA)は日韓ハーフで英語が流暢。佐藤永翔 (スターダスト)は中国語が上手いです。
一ノ瀬飛鳥と佐藤永翔は、番組の中で通訳を介することなく、中国語でコミュニケーションが取れると思います。

佐藤永翔はレベル分けテストの際に、祖父は中国人で中国黒竜江省の牡丹江に住んでおり、中国文化を重んじる家庭で育ち、弟も一緒に中国語を勉強していると語り、単独で中国東北地方の食文化を歌った中国語RAP『東北吃貨行進曲』(原曲:安吉)を披露しました。
原部凌は「We don't talk anymore」で単独でダンスを披露、『HACK』の可愛らしい振付とは全く異なるパワフルなパフォーマンスを見せ、上原一翔は英語で「Mercy」を歌い、Jazzテイストの曲調で『HACK』とは異なる一面を見せました。

門脇慎剛 レベル分けテストは単独で出場。中国語で『咖啡』(元EXOのクリスとルハンのコラボ曲)を歌う。
自己紹介で「日本にいたときは俳優をしながら兼業でデリバリーの配達員をしていた」と語り、配達員をイメージさせるファッションで登場。
所属は「賀喜娯楽」という中国の事務所となっています。


RBW所属の井汲大翔、田口馨也、隅田隼平。MAMAMOOの『HIP』日本語バージョンでレベル分けテストに挑みました。


RBWは韓国の芸能事務所でK-POPガールズグループ「MAMAMOO」の所属事務所です。
中国Weibo(中国版TwitterのようなSNS)には、MAMAMOO、PurpleKiss、OneWe、OneUsが井汲大翔(HIROTO)、田口馨也(KEIYA)、隅田隼平(JUNPEI)を応援するメッセージ動画がアップされています。
井汲大翔と田口馨也は「PRODUCE 101 JAPAN」(日プ)にも出ていました。

井汲大翔は他の練習生からも口々に「可愛い」と言われ、注目度が高い練習生です。「吉祥弟弟」と呼ばれています。
可愛いだけではなく、軽やかでスピード感と華のあるダンスパフォーマンスを見せ、高評価を得ました。
井汲大翔(HIROTO)単独でSEVENTEENの『CALL CALL CALL!』(日本語Ver)を披露。中国プデュの舞台は照明やカメラ等の設備が良いせいもあり、すごくキレイに見えました。


2月27日(土)放送回(第2期)では、練習生90名全員のレベル分けテストが終了し、第1回目の公演曲14曲の曲目も発表され、練習生全員の選曲も終了しました。さらに、恒例の合宿所の部屋分けまで進みました。

「創造営2021」の収録が行われているのは中国最南端・海南島の沿岸にある「海花島」という人工島です。
海花島は観光、レジャー・ビジネス用に開発された世界最大の人工島で、CGのような風景ですが本物です。水色の楕円形状の建物が番組の宿舎・収録場所。


宿舎は2人部屋、4人部屋、6人部屋、8人部屋、10人部屋、12人部屋に分かれます。12人部屋の風景。


2月27日の放送後に、現時点での人気順位が発表されました。外国人練習生として参加しているMIKA(米卡)が1位になりました


今回の人気順位の集計期間は2月25日12:00までなので、3分の1くらいの練習生のレベル分けテストが未放送の状態で行われたランキングです。そのため登場シーンが多かった練習生に有利な結果となっています。
それでも、外国人練習生であるMIKAが一位になったのは快挙です。

日中ハーフグループ「INTERSECTION」のメンバーであるMIKAのボーカルは、英語曲も中国語曲も大人っぽい情緒があります。爽やかな短髪に、常に穏やかな笑顔に謙虚な言動で、良好なキャラクターイメージを形成しています。
Mika以外のINTERSECTIONのメンバー、Kazuma、Caelan(ケーレン)も人気があります。Kazumaは明るく華やかで、ケーレンは感情豊かな弟キャラというイメージです。3人は番組の中で基本的に英語で会話しています。多分、日本語も英語と同じくらい話せるのではと思いますが、基本的には英語で会話しています。

Mikaはレベル分けテストの追加フェーズであるバトルに挑戦者として参加。挑戦に失敗し「F」クラスに入れられてしまいます。
その後、第1回目パフォーマンスの曲選びの際に、最後の1名の枠を争うことになり、バスケシュートのゲームをします。その後のインタビュー映像。


日本人参加者のSanta(賛多)とRikimaru(力丸)も非常に人気があり、人気順位はSantaが4位、力丸が8位でした。
2人はダンスの実力が突出しており、Santaは17歳で世界チャンピオン、力丸は振付師としても有名で、他の中国人練習生から「以前、力丸のダンスレッスンを受けたことがある」とか「自分のダンスの先生の先生が力丸」などというコメントもあり、次元の違う扱いです。2人ともレベル分けテストで「A」判定を受けました。

宿舎の部屋分けでSantaと力丸は4人部屋に入りました。ルームメイトの中国人の刘彰は「AK」という名で知られる中国人ラッパーです。AKはすごく日本語が上手いです。多分英語もすごく流暢です。もう一人のルームメイト于洋はボーカルの実力者で、レベル分けで「A」判定を受けました。


日本人練習生は全体的に「アイドルとしての理念を持っており、礼儀正しく努力家。ぱっと見は分からなくても確かな実力がある」存在として番組の中で扱われています。
中国版プデュ「創造営2012」の舞台セット、衣装、編曲などは非常に贅沢に作られています。さらに、番組に附随するフォト撮影、ミニ番組の撮影、スポンサー商品の宣伝CFなどもあり、中国版は自由度が高いというか「プデュ」の枠を超えた作りになっています。練習生はこの番組に参加することで、日本ではできないような様々な経験ができるはずです。

Santa(賛多)、Rikimaru(力丸)、刘彰(AK)、于洋の4人部屋ルームメイトで、番組スポンサー商品のヨーグルトドリンクを飲む。中国プデュはこのような商品宣伝シーンが番組の内外に大量に差し込まれます。
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中国版プデュ「創造営2021」(CHUANG 2021)放送開始~日本人練習生が多数参加

2021年02月20日 | 創造営2021
2021年中国版「PRODUCE 101」の放送が始まりました。大手動画プラットフォームのテンセントビデオの独占配信で、毎週水曜日と土曜日の夜8時(中国時間)に配信されます。第1回目が2021年2月17日(水)に始まり反響を呼んでいます。

中国では2018年から「PRODUCE 101」形式の番組が制作されており、2021年版は4回目となるため「創造営4」とも呼ばれています。なお、テンセントビデオとは別の大手動画サイトiQiyi(愛奇芸)でも「PRODUCE101」形式の番組が制作されており、現在「青春有你3」(Youth with You)が並行して放送されています。

「創造営2021」(PRODUCE 101) 放送開始日:2021年2月17日(水) テンセントビデオ独占配信


トレーナー:鄧超(中国のベテランスター俳優)、寧静(中国ベテラン女優)、周深(ハイトーンボイスを持つ男性歌手)、f(x)のアンバー、R1SE 周震南(創造営2019 1位でデビュー)、硬糖少女303 Nene(創造営2020 5位でデビュー、中華系タイ人)
参加練習生:90名

「創造営2021」には23名もの外国人練習生が参加しています。参加者の25%を外国人が占めており、これまでになく国際色豊かです。しかも23名のうち17名が日本人です。
「創造営2021」が国際化路線を目指していることは企画段階から宣伝されており、中国、日本、韓国、タイ等で同時放送(配信)する予定だと言われていました。ただ、1回あたり3時間近い尺があり、しかも1週間に2回のペースで放送されるので、日本を含め海外のテレビ局で枠を確保するのは難しいかもしれません。配信プラットフォームとの提携も考えられますが、テンセントビデオの海外版アプリ(WeTV)でも視聴できます。

「創造営2021」の第1回目はプデュの慣例に従い、練習生同士の顔合わせとレベル分けテストが行われました。番組構成はシンプルで、比較的スピーディにテンポよく展開しています。レベル分けテストでA、B、C、Fの4つに分けられますが、5名のトレーナーのほか、練習生自身もレベル分けの投票に参加できるというルールになっています。

中国では2018年以降「PRODUCE101」が毎年開催されています。
番組として人気はあるものの、4年間で男女版交互に8回も開催されたので、当然のことながらかなりネタ切れになってきています。
そこで思い切って23名もの外国人練習生が投入されましたが、第1回目を見たところ外国人練習生の参加は番組的にとても良い効果を上げており、視聴者からも好意的に迎えられていると思います。

第1回目のレベル分けテストには、Avexの日米ハーフのボーイズグループ「INTERSECTION」の3名、ダンサーのSANTA(賛多)とRIKIMARU(力丸)、羽生田挙武(アム)と喜内優心(Yuu)が登場しました。

遡ってみると、最初の“中国版プデュ”は2018年にIQIYIで配信された「偶像練習生」です。ここから9人組のボーイズグループ「NINE PERCENT」がデビューしました。
過去記事:中国バラエティ「偶像練習生」(Idol Producer)から中国ボーイズグループ「NINE PERCENT」誕生

中国人男子練習生は細身で背が高くスタイル抜群、念入りなメイクに手の込んだヘアスタイル、そしてキラキラした衣装を常に身に纏っていました。
宿舎で男子練習生たちが高級化粧水とパックで肌をお手入れするのは当たり前の光景で、「番組撮影のために毎日ファンデーションがダンボールの箱単位で消費されている」と揶揄されるほどでした。びっくりするような「美しい男子」が次々と登場して女性視聴者を喜ばせはしましたが、アイドルだからといって、男子がここまで美容にこだわるのはどうかしていると苦言を呈する人も少なくありませんでした。
また、あまりにもK-POPの影響が強く、綺麗だしダンスも上手いけれど、K-POPの高度な模倣と言わざるをえず、パフォーマンスは画一的になりがちでした。

「創造営2021」も美形がたくさん参加しています。
人気もパフォーマンスの評価も高い周柯宇(ダニエル)。身長188㎝、18歳、アメリカ生まれ。ものすごくスタイルがいいです。




薛八一(シュエ・バーイー)(写真右側)。身長182㎝、22歳。大学で演劇を学びすでに俳優として活動しており、NHKドラマ「ストレンジャー~上海の芥川龍之介」にも出演しています。


外国人練習生は、中国プデュの流れを変える存在になりそうです。
Avexの日米ハーフのボーイズグループ「INTERSECTION」の3名。MIKA(米卡)、Kazuma(和馬)、Caelan(慶怜)。




3人のハイレベルなダンスとボーカルパフォーマンスは高く評価され、特にMIKAの声質と包容力のある男性的な雰囲気が好評でした。中国プデュで髭のある練習生がカメラの前に登場したのは初めてかもしれません。
レベル分けテストで3人でパフォーマンスを披露した後、3人ともソロパフォーマンスのチャンスをもらっており、厚遇されていたと思います。
Kazumaは中国語で郭頂の「水星記」を歌い、中国語の発音も素晴らしく、トレーナーから絶賛されました。

「天王星芸人管理有限公司」の所属として出場している羽生田挙武(アム)と喜内優心(Yuu)は、中国人練習生の張騰と呉宇恒の4名で日中混合チームとしてレベル分けテストに挑みました。4人で4Fの名曲「流星雨」を披露。
左端:羽生田挙武(アム)23歳、172㎝ 右端:喜内優心(Yuu)18歳、175㎝。なお、左から2番目の呉宇恒は今回の出場者の中でも非常に人気のある練習生です。


羽生田挙武と喜内優心はコンビで登場しており、明るく飾り気のないキャラクターは中国プデュの出場者にはない個性です。
2人のWeiboには、中国入国直後の2週間のホテル隔離の日々を映したvlogがアップされており、vlogも好評です。
羽生田挙武はレベル分けテストの後、ソロのチャンスも与えられ、吉川晃司の「モニカ」を歌い会場を熱狂させました。「モニカ」は中華圏の大スター・レスリー・チャン(張國榮)が広東語でカバーして大ヒットしたので、中国人ならば誰でも知っている曲です。
Wiboのプロフィールによると、この二人は「天王星芸人管理有限公司」という香港の会社の所属とされています。vlogなどを見ても、中国人視聴者の心を掴むツボを心得ていると思います。

そして、初回放送の目玉となったのが、ダンサーSANTA(賛多)とRIKIMARU(力丸)のパフォーマンスでした。
二人はプロの振付師・ダンサーとして有名で、大御所として迎えられていました。





第1回目では外国人練習生のダンス・ボーカルのスキルと、中国人練習生とは違ったテイストのルックスが注目を集めました。
第1回目を見る限り、日本人練習生は基本的に好意的に迎えられており、カメラのカット数やパフォーマンスの尺も多めに配分されていて、厚遇されていると感じます。今後番組が進むにつれ、どうしても言葉の壁にぶつかる場面も増えてくるかもしれませんが、「中国プデュ」に新しい風を吹き込む存在として好調なスタートを切ったのではと思います。
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