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中国SF大作映画「流浪地球」(The Wandering Earth)興業収入歴代2位を記録

2019年02月24日 | エンタメの日記
毎年春節の大型連休の時期には、新年を祝うべく明るく豪華なコメディベースの映画、いわゆる「正月映画」が何本か公開されます。しかし、2019年は「正月映画」が思いのほか振るわず、SF映画「流浪地球」が大ヒットしています。

「流浪地球」(The Wandering Earth)2019年2月5日公開 
監督:郭帆(グオ・ファン/Frant Gwo)
出演:屈楚蕭、李光潔、呉孟達、趙今麦、呉京など
原作:劉慈欣(Cixin Liu)



2019年2月23日現在、「流浪地球」の中国国内の興業収入は42億元(約672億円)を超えています。現在公開3週目なので、まだ伸びる見込みです。

あらすじ:太陽の力が衰え、太陽系が宇宙に呑み込まれていき、地球はすでに人間が居住するに適さない状況にある時代の中国が舞台です。人々は局地的に地下都市を形成して、地下で生活している。地上の広い世界を見てみたくて学校を抜け出した少年と少女が、偶然あるいは運命的に、地球を救う作戦に巻き込まれ重要な役割を担う・・・・という話で、家族愛、仲間との絆、確執と和解、成長、団結、希望---といったポジティブな要素が詰まった作品です。宇宙ステーション、基地などの造形が美しく、SF世界を圧倒的な映像美で見せます。
男女問わず、すべての年齢層に受け入れられるスペクタクル映画で、小学校低学年の子供もたくさん見に来ています。
大筋としては中国賛歌の映画になっていますが、愛国的な表現は比較的少ないです。

「流浪地球」の原作は同名の中篇小説で、2008年に出版されました。
長江文芸出版社版カバー / 映画化に合わせて出版された新装丁版。ポスター付き。


小説「流浪地球」の作者は、大ヒットSF小説「三体」(The three body problem)で有名な劉慈欣(Cixin Liu)です。
「三体」は劉慈欣の代表作で、中国人なら知らない人はいないほどの大ヒット小説です。英語版も出版されています。よく「絶対に読んだ方がいい」と強く薦められる小説です。
「三体」をはじめ、劉慈欣のSF小説は、中国では非常に高く評価されています。物理学的な設定も緻密に練られており、生存をかけた冒険ストーリーの中にゲーム的な要素を取り入れるなど、独創的な表現が熱烈に支持されています。

大ヒット小説「三体」(The three body problem)中国語版、英語版
  

監督を務めた郭帆(グオ・ファン/Frant Gwo)は1980年生まれで、「流浪地球」は3本目の監督作品とされています。
前2作はSF作品というわけではなく、こんなに若い監督が、いきなり大作の監督となってしまうことに驚きます。

特別出演の呉京(ウージン)を除くと、スター俳優を起用しているわけではなく、どちらかというとあまり有名ではない俳優ばかりです。
主役である10代の少年役を演じた屈楚蕭は、身長184cmでスタイルがよく、短髪がよく似合います。
「流浪地球」を見るまでは、屈楚蕭のことをまったく知らなかった人も多いと思います。10代の少年役を演じていますが、実際には20代後半です。
中国芸能界ではいろいろなタイプの若手俳優が次から次へと出てきます。
主役の劉啓役を演じた屈楚蕭。野性味とあどけなさを併せ持つ個性的なルックスの持ち主。




中国の興業収入歴代トップは、2017年夏に公開された中国映画「戦狼2」の56.7億元(約907億円)です。
歴代トップ10のうち、5作が中国映画、3作が中国・香港合作映画、残りの3本がアメリカ映画となっています。
メガヒット作となるには、必然的に大衆に幅広く受け入れられる必要があり、そうなると中国国産映画が強くなってきます。また、トップ10に入る作品は、すべて2015年以降に公開された作品であり、2位、3位は毎年更新されていることから、産業としての中国映画は、いまもなお成長途上にあるといえます。
映像技術、特殊効果、編集技術といった技術的な側面からみると、中国映画のレベルは劇的に向上しています。

【中国映画市場 歴代興業収入トップ10】
1.戦狼2(2017)2.流浪地球(2019)3.紅海行動(2018)4.唐人街探案2(2018)5.マーメイド(2015)

6.我不是薬神 Dying to Survive(2018)7.ワイルドスピード8(2017) 8.西虹市首富(2018)9.捉妖記(2015)10.ワイルドスピード7(2015)
コメント (4)
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