上海阿姐のgooブログ

FC2ブログ「全民娯楽時代の到来~上海からアジア娯楽日記」の続きのブログです。

アニフェス上海 アニソンコンサート(2011年11月26日)~牧野由依、May'n~

2011年11月27日 | エンタメの日記
11月26日(土)に「日本アニメ・フェスティバルin上海」 (日本動漫節in上海)イベントの一つである「アニソンコンサート」(動漫演唱会)に行ってきました。

日時:2011年11月26日(土)17:30~19:00
場所:上海国際体操中心
出演:牧野由依、May'n
チケット:無料(事前申込抽選制)
ウェブサイト:http://www.anifes.com.cn

パンフレットの言葉によると、「日中両国は、昨年5月の日中首脳会議において、本年、「映画、テレビ週間」、「アニメ・フェスティバル」を開催することに同意しました。」ということで、日本側主催者には外務省、経済産業省、総務省、文化庁、観光庁、上海総領事館が名を連ね、中国側は、文化部、広電総局という映画・アニメ・テレビなどを統轄する政府部門が主催者として列記されています。

【写真:パンフレット】日中友好のマークとしてパンダとトキ・・・トキは上海万博日本館でも友好のトレードマークとなっていました。今後もトキが登場するのでしょうか・・・。

  

出演者の牧野由依は、歌手、声優(ツバサ・クロニクルなど)、ピアニストとして活躍しています。小柄でスイートな声の持ち主です。May'n(メイン)はアニメ「マクロスF」(中国語表記は「超時空要塞F」)のヒロインの一人であるシェリル・ノームの歌を担当しブレイクした女性シンガーです。





2人とも海外公演の経験が豊富なようで、海外慣れしてるかんじがしました。分かりやすい日本語でファンと交流するのが上手で、ファンの期待に応えつつ音楽と歌詞のメッセージを伝えるという、ライブならではのふれあいが実現されていました。
それぞれ約8曲ずつ、1人あたりの持ち時間は1時間足らずではありましたが、充実したライブでした。会場の大きさも調度良かったし、嬉しかったのはPA・音響が良かったことです。舞台セット自体はシンプルなものですが、照明はきちんとしていました。

チケットは申込による抽選制だったので、年齢や性別のバランスが取れるように選んでチケットを配布したのかもしれませんが、見たところ観客はほとんどが20代で男女半々くらいでした。

前半が牧野由依で後半がMay'nだったのですが、先に牧野由依のスイートボイスをなごやかに楽しみ、後半はMay'nのアップテンポの曲でアニソンコンサートらしく前向きに盛り上がりました。2人とも歌がすごく上手です。

来場者はアニメファンには違いありませんが、やはり「マクロスF」のファンが多かったのではと思います。一番盛り上がったのがMay'nが歌う「マクロスF」のオープニング曲「ライオン」でした。「ユニバーサル・バニー」や、もちろん「ダイヤモンド・クレバス」も大歓声でした。
簡単な質問コーナーがあるのですが、May'nは「影響を受けた作曲家などはいるか」という質問に、「マクロスFの際、菅野よう子先生に発声や歌唱を指導してもらい、新しいジャンルに挑戦することに対してもすごく励ましてもらった」と答えたのですが、「マクロスF」と「菅野よう子」という言葉が出たとき、観客がひときわ大きく反応しました。菅野よう子先生ファンは中国にも相当たくさんいるはずですが・・・実際どれくらいいるのか知りたいです・・・。

一緒に行った中国人の友達2人は北京に住んでおり、そのうちの1人がマクロスファンで特にMay'nが観たいということで上海まで来ました。彼女たちは11月23日に北京で行われたアニソンコンサートも観に行ったそうです。11/23の北京アニソンコンサートと11/26の上海アニソンコンサートを比較してみてどうだったかと尋ねると、

上海は開放的でチャレンジングだ。

と答えました。

北京のアニソンサートは、有名なアニソン歌手や声優が日本アニメの歴史に残る名曲をメドレーで歌うというものでした。皆が知っている曲を実際の声優、歌手が生で歌ってくれうのは貴重な体験ですが、全体的にいうと、どんな人が見ても楽しめる内容になっており、マニア度はあまり高くないと感じたそうです。また、2階建ての劇場で行われたので、上海のようなライブ感はなく、イベントを見ているというかんじだったのも違いの一つに挙げていました。
北京に比べると上海はマニア度が格段にアップしていたという意味で、こんな企画が実現できるなんて上海は開放的でチャレンジングだ、北京は考え方が保守的だからこんなコアな企画は通らないだろうというのです。

中国の別のアニメ好きの子によると、「マクロスF」のファンだったら、シェリル・ノームの歌は必ず知っているので、その歌手であるMay'nのことは皆好きだと思う。だけど「マクロスF」を見ていなったらMay'nのことは知りようがないし、「マクロスF」自体中国では、熱狂的なファンはいるけれどガンダムシリーズほどメジャーな存在ではないといいます。
そう考えると、日中政府共同主催とうたわれているイベントでよくこんなマニアに嬉しい企画が実現できたなと驚きです。牧野由依もMay'nも全て自分の曲を歌い、他の歌手が歌っている誰もが知ってる有名な曲は歌いませんでした。しかも、ファンですらあまり反応できないような比較的新しいアルバム収録曲なども歌っていました。

アニソンコンサートの最初の中国語アナウンスで「日本政府主催のイベント」という説明はありましたが、日中代表などの仰々しい挨拶はなく、通訳も兼ねた女性司会者が1人ステージに出てきて簡単な開幕の言葉を述べるだけで、いきなりライブが始まりました。これも良かったと思います。観客にとってはライブの時間が少しでも長い方が嬉しいです。

上海のお客さんの反応を見ていると、いわゆるアニソンコンサートにかなり慣れてるなというかんじがしました。実際アニソンコンサートが上海では過去何回か行われていて、映像でみたところ相当盛り上がっていました。2人の女性シンガーに、「かわいいー!」「かっこいいー!」「最高ー!」といった掛け声がところどころで飛び交い、暖かい雰囲気で楽しかったです。一見真面目そうな中国人の女の子もMay'nのアップテンポの曲になると「ウォー!ウォー!」と声を上げて楽しんでいたし、アリーナ席の観客は統率の取れたペンライトの扱い方からして、相当コアな雰囲気をかもし出していました。

「アニメフェス」はアニソンコンサート以外に、交流会、映画上映もあります。
アニメに限らずどんなジャンルにおいても、コアな海外ファンというものは、本国のオリジナル版を好み、海外向けに何らかの変更が加えられることを嫌う傾向があります。今回のようにダイレクトに伝わる機会は貴重だと思いました。来年も「アニメフェス」があることを期待してます。今度は是非チケットを抽選招待制ではなく、特に映画は一般発売制にして、多くの人が自由に観れるようになるといいなと思います。難しい制約があるかとは思いますが、日本アニメ映画の上映会が「上海映画祭」のような形に発展すると嬉しいです。
コメント (17)
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中国演劇版「東京ラブストーリー」上海で上演 ~日本ドラマのバイブル

2011年11月17日 | エンタメの日記
11月13日(日)上海の蘭心大劇院に「舞台劇 東京ラブストーリー」を観に行ってきました。

タイトル  :経典愛情話劇 「東京愛情故事」(ラブストーリーのバイブル:「東京ラブストーリー」)
言語    :中国語(北京語)
上演日   :11月11日~19日 19:30~ (公演時間約2時間半)
チケット  :380元、280元、180元、100元
場所    :蘭心大劇院 (座席数500~700席くらい)
主催    :錦輝伝播、星尚伝播





今年の9月頃から、「東京ラブストーリー放送20周年を記念して、舞台劇版の東京ラブストーリーが11月に上海で上演される」という情報が流れていました。それと同時に9月の時点で「赤名リカを探せ」というタイトルで、ヒロイン役を募集するイベントが企画されていました。しかし「11月に上演するのに、9月にヒロインを公募してて大丈夫なの?」という声が一般からあがるほどで、結局ヒロインの赤名リカ役は、主催であるテレビチャンネル「星尚」の女性司会者・雅静(ヤージン)が演じることになりました。雅静は国立の演劇大学・上海戯劇学院の卒業生でもあります。

舞台版東京ラブストーリーが中国の制作で上演されると聞いて、面白そうだなとは思いましたが、

全11話のドラマのストーリーをどうやって舞台劇に収めるのだろう?
ドラマのイメージを損ねない舞台が果たして作れるのだろうか?

と心配もありました。実際観てみると、なかなか上手く出来ていました。

ドラマの中の名ゼリフや名シーンをつなげるような形で話を展開させ、観客は舞台上でドラマダイジェストを見ているような気分になります。
舞台セットは至って簡単なもので、主に登場人物の自室とオフィスで構成されています。背景スクリーンに夜の東京タワーや首都高を疾走するようなイメージ映像が使われ、こちらもシンプルながら作品の雰囲気によく合っていました。音楽は小田和正の「ラブストーリーは突然に」だけでなく、ドラマのサントラも使われていました。この音楽効果は大きいです。これで否応なしに「東京ラブストーリー」の世界に引きずり込まれます。

リカ、カンチ、三上、さとみの主要キャラクター4人を演じる役者さんたちは、全体的にいうと中国のテレビ局で放送されていた、中国語吹き替え版の雰囲気に非常によく似ていました。まさにドラマのごとくセリフを中心に展開される劇であり、歌唱やダンスが入るものではありません。音楽が効果的に使われてはいますが、役者が歌うわけではないのでミュージカルとは違います。
ファッション、髪型、仕草なども、ドラマのイメージをそのまま取り入れて、リカの紺ブレ、カチューシャ、チノパン、カンチのオーソドックスなスーツ、さとみのロングスカートなど上手く再現していて、相当研究したんだろうなと思わせます。
特にさとみ役は、髪型からファッション、しゃべり方、仕草まで有森也実にそっくりでした。有森也実が中国語しゃべってるのかと思うほど、さとみの雰囲気を忠実に再現していて、視聴者に嫌われるところまでそっくりでした。

一番面白かったのが、さとみが三上と別れた後、カンチと2人きりで部屋で過すシーンです。カンチに依存するさとみのセリフに、劇場全体からざわざわっとブーイングが起きたのです。

やっぱり皆、さとみが嫌いなんだな・・・

お客さんのほとんどが中国人の30歳前後のカップルだったのですが、お客さんの反応からいかに皆が「東京ラブストーリー」を愛しているかが感じられました。中国の東京ラブストーリーファンが劇場に集まって、みんなで一緒にドラマのダイジェストを見ているような錯覚に陥りました。

舞台の演出は基本的にはドラマに忠実ですが、ベッドシーンに関わる表現がほとんどないので、ドラマよりもプラトニックな面が浮き出ています。また、カンチとさとみが結婚したという結末も舞台では描かれておらず、名前を彫った校舎がなくなっても、時が過ぎ去っても、思いは永遠に残る・・・というメッセージが最後に残ります。それは、20年の時間が経っても、この日本のドラマが与えた感動は今も心の中にある・・・というドラマへの思いと重なります。

11月13日の公演を見ましたが、その翌日に日本のネットニュースでこの劇が著作権関係で問題になっているという記事を見ました。びっくりしました。上海のテレビチャンネル「星尚」の企画として舞台劇版・東京ラブストーリーを上海で上演するということは、9月頃から話題になっており、鈴木保奈美が上海に来るかもしれないという話も出ていたほどです。「星尚」は上海最大手のメディアグループSMG(Shanghai Media Group)旗下のテレビチャンネルで、上海ではメジャーなメディアの一つです。流行、ファッション、グルメ、カルチャーなどを中心とした番組を放送しており、雑誌媒体も持っています。日本のファッションや食べ物などもよく紹介しています。
9月6日に中国のネットニュースで報道された記事には「東京ラブストーリー放送20周年を記念して、星尚と錦輝メディアとフジテレビが提携して、「舞台劇 東京ラブストーリー」を制作し関連イベントを行う」と書かれています。
ニュース記事URL(新浪娯楽 2011年9月6日):http://ent.sina.com.cn/v/2011-09-06/11033408875.shtml

劇場の看板には「原作:柴門ふみ(中国語表記では柴门文)」と書かれていたので、看板を見たときは原作者の許可は取っているのかな?と思いましたが、たしかにフジテレビの名前は見当たりませんでした。

ここ最近も上海のテレビチャンネルではよく「東京ラブストーリー」を再放送しています。いま見ても面白いし、「携帯のない都市生活」というものが新鮮に映ります。「東京ラブストーリー」が放送されたのは1991年です。大ヒットしたこのドラマ、当時は多くの女性がリカの髪型の真似をし、「紺ブレ」を羽織って街を闊歩したものです。その影響力は海外にも広がり、このドラマを見て日本に興味を持った、日本語を勉強するきっかけになったという人がたくさんいます。
公演の5日前にチケットを買いましたが、その時点で100元と180元の席は全日程ほぼ完売でした。よく売れてるなと思いました。
制作から20年が経っていますが、中国の視聴者が憧れたあのドラマの中の「東京」は色褪せることなく、今も舞台化されるほどの魅力を放ち続けています。
コメント (10)
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