ランニングおやじの野望!

50歳を目前に突然走り始めた鈍足おやじランナーのトレーニング雑記です。

映画「風強」

2009-11-01 20:52:06 | 本・漫画・映画など

昨日封切りの映画「風が強く吹いている」を観た。泣けた。走りたくなった。以上。
(上の映画パンフ写真下に映り込んでいるのがワシの故障中の右足)

※「高島平」に続き、本日開催の「第1回 しまだ大井川マラソンinリバティ」も無念の欠場。故郷・静岡に久々に誕生した新しいフル大会ゆえ、ぜひとも参加したかったのだが……。なお傷心のオヤジである。
せめて気分だけでもと、スタート時刻に合わせて、いつもの芝生の公園でゆっくり地下足袋クロカン走30kmを4時間かけて。走後プールで1km泳+水中ジョグでほぐす。

★オヤジの心を癒す昭和の歌 (12)
 「風はいつも強く吹いてる~」とサンプラザ中野が熱唱するこの歌。ぎりぎり「昭和」の1988年10月リリース。
 ♪RUNNER (爆風スランプ)

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あぶさんがナンバ歩き?

2009-10-25 21:02:38 | 本・漫画・映画など

当ブログのコメンテイターD-01氏から、あぶさんがナンバ歩きを始めてますよ、との情報あり。

あぶさんとは、水島新司センセー描く野球漫画の主人公、景浦安武。通称「あぶさん」がそのままタイトルに。1973年に連載開始以来36年、スポーツ漫画では最長連載記録更新中である。
酒豪でバットに酒しぶきを吹きかけて打席に向かう代打専門バッターというのが当初の設定だったはずだが、久しく見ない間に3年連続三冠王は達成するわ、行きつけの飲み屋「大虎」の看板娘サチ子と家庭を持つわ、すっかり状況は変わっていたようだ。
1946年12月17日新潟市出身というから現在62歳、今シーズン限りでついに引退との報が今月初めに新聞に載り、まだ連載が続いていたのかと驚いた。
10/6には、実際の福岡ヤフードームで引退セレモニーが開催され、秋山監督から作者に感謝と慰労の花束贈呈が行なわれたそう。昔、「あしたのジョー」の力石の葬儀が執り行われたのを思い起こさせる。

で、主人公は引退してもなお連載は続いて。
引退フィーバーも去って静かな朝を迎え、福岡の拠点にしているマンションのすぐ近くにありながら知らなかった公園を散歩するあぶさん。ラジオ体操が始まるのを眺めていると、見知らぬジイサンから竹刀を振り回して怒鳴りつけられる。「80歳のわしが体操やるっちうに、いい若いもんが座っとるのか?」
このジイサン、周りの人から「剣豪」と揶揄され、「歩き方ひとつわかっとらん」と馬鹿にされている。その歩き方が、いわゆるナンバ歩き。

野次馬「ほらほら見ろや、右足と右腕を一緒に出して歩くか~~?」「ちがうだろと言うても、これでええちうて直さんとよ」
あぶさん「ナンバ歩きだ」
ジイサン「あ…あんた。い、今、なんて言うたと」
あぶさん「ナンバ歩きでしょ。今のは?」
ジイサン「いたー、この歩き方を分かる奴がいたとー」
野次馬「なんね、ナンバ歩きって」
あぶさん「くわしくは知らんのですが、昔の侍の歩き方ですよね。腰に差してる大小が邪魔にならないように、右腕右足を同時に出して、しかも腕はあまり振らずに歩いたんですよ。さらに飛脚は同じ方法でナンバ走りをして、毎日100kmを走ったんでしょ」
ジイサン「気に入ったー。これから池を3周するからナンバ歩きで付き合わせてやるタイ」

といった成り行きでジイサンと3周歩いたあぶさんがバテバテになってしまい、「明日からわしがそのひ弱な体を鍛え直してやるタイ!!」と叱り飛ばされる場面で第874話は終わり次号へ続く。

なぜナンバを持ってきたのか作者の意図はまだ不明だが、これからどうなるんだろうと興味はそそられる。
ただ、Wikipediaで「あぶさん」を調べると、全体的に好意的な文章で紹介しているものの、連載が超長期化するにつれ主人公が「過度に偉大化。ちょっとした言動に対して『やっぱり、あぶさんは凄い』と感動するシーンが目立つ」とあるとおり、今後の展開がいささか不安でもある。

本日は10月最終日曜なので月例川崎へ。10日ぶりのラン。
雨なのに、以前から見たら参加者ほぼ倍増。最後方からゆっくりスタートする。

[1km] 5分30秒 [3km] 15分13秒 [5km] 23分6秒 [10km] 56分4秒

まだまだではあるけれど、痛みが出ずに走りきれてホッとした。
いつもどおりチャリ往復32km、帰途プールで2km泳ぎ30分ほど水中ジョグ。
帰宅後、きょう仙台で開催された「全日本大学女子駅伝」をTV観戦。仙台国際ハーフとコースが重なっているところも多いので自分が走っているような気分で熱くなったオヤジであった。

★オヤジの心を癒す昭和の歌 (11)
 赤い鳥の名曲「翼をください」を夜な夜な聴いているうちに、赤い鳥が解散してできた2つのグループ「紙ふうせん」と「ハイ・ファイ・セット」の曲も関連で聴き続けることに。季節柄、この歌がいいかな。
 ♪冷たい雨 (ハイ・ファイ・セット)
 ♪冬が来る前に (紙ふうせん)

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強く、夢みる

2009-10-20 20:50:52 | 本・漫画・映画など

本屋さんのレジ周りに置かれているPR誌『新刊展望』(日販)11月号に、原田マハさんが「強く、夢みる」と題して巻頭エッセイを寄せている。

ちょうど、新刊で平積みされている『翼をください ーFreedom in the Skyー』(原田マハ作/毎日新聞社刊)をタイトルにひかれて読んでいたところ。
マハさんは3年前、『カフーを待ちわびて』(宝島社文庫)で第1回日本ラブストーリー大賞を受賞し作家デビュー。その頃の経緯と新作をめぐって、「強く望んで具体的に夢想すれば、ときとして奇跡が起こる」と述べている。

「4年前の夏、『カフーを待ちわびて』を書いていた。別に、どこかの文学賞に送ってみようなどと思っていたわけではない。その前年に出かけた沖縄の離島の風景や伝統があまりにも興味深かったので、文章にしてみたい、と軽く思い立っただけだった。そして、その島で出会った一匹のラブラドール犬--『カフー』という名、現地の言葉で『幸せ』という意味の名前を持つ犬だった--がのびのびと浜辺を走りまわるさまに、奇跡のような恋愛譚を重ねてみたい、と夢想していたのだった。
島の印象があまりにも鮮やかだったので、書いていく端から次々に頭の中で映像に置き換わっていった。この物語は映画になったらきれいだろうなあ、などと、またもや夢想を働かせて書き上げたのだった。」

マハさんの夢想は実現した。

「書き上がる数週間前に、『日本ラブストーリー大賞』という文学賞が新設されたことを新聞で知った。記事の最後に『なお、大賞受賞作品は映画化される予定』とあるのを見て、ピンときた。ものは試し、と応募してみたところ、私の夢想が現実になった。本作は今年映画化され、DVDも発売された。『具体的に』夢想することが、ときとして現実を引き寄せることもあるのだ、と知った。」

最新作も同様の経過で完成したそう。70年前、太平洋戦争勃発直前に世界初の世界一周飛行を果たしながら歴史から抹消されてしまった「ニッポン号」(毎日新聞社機)の史実をベースに、草創期のアメリカ人女性飛行士の夢を重ね合わせた、時空を超えた壮大な物語。

「私は飛行機は詳しくなかったが、史実のポテンシャルと友の熱い思いに動かされて物語を書き始めた。調査と執筆に3年を費やし、ようやく完成した。自由を求めて飛ぶ女性飛行士と世界一周機の冒険譚。もちろん恋愛のスパイスも入っている。世界一周などできっこない、と言われた時代に実現してしまったのだ。強く望んで具体的に夢想すれば、ときとして奇跡が起こることを、私はこのニ作を通して十分に知った。」

思い続ければいつか実現する、ことは多くの成功者が語ることではあるけれど、マハさんの場合は、ちゃんと「強く」「具体的に」「ときとして」「…こともある」と留保を幾つも付けているところが老獪か。ただ漠然と妄想しているだけじゃダメなのだ。

ワシも、走れない今のうちに、具体的に夢想を強く脳裡に刻み込むことにしよう。ときとして実現することもあるかも。


★オヤジの心を癒す昭和の歌 ⑩
 もちろん、マハさんの新作と同じタイトルのこの歌。何年か前、息子の使っていた音楽教科書に載っているのを見たときには驚いたものだった。

 ♪翼をください (赤い鳥)
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突然の「休刊」

2009-09-17 22:02:57 | 本・漫画・映画など


火曜の夜、その日発売された月刊マンガ雑誌を読み始めた中1息子が、えー!? と声を上げた。何だ? いきなり最終号って書いてあるよ。連載も全部、むりやり終わらせてるし。

雑誌の創刊や休刊は頻繁にあることとはいえ、子ども向けの定期雑誌がだしぬけに廃刊とは穏やかではない。(雑誌は事実上廃刊であっても、用語としては「休刊」と称するのが通例)
どれどれと見てみると、巻末に休刊あいさつがあった。

「この度『月刊コミックブンブン』は、今回の10月号をもちまして休刊することとなりました。ご愛読いただきまして、本当にありがとうございました。 編集部一同」

えー、これだけ?前号にはまったく予告もなく、まんが賞の募集なども続けているから、かなり急な決定だったようだ。
この月刊マンガ誌は児童読み物の版元としては有名なP社の発行で、中1の息子が小1の時に創刊されて以来ずっと買い続け、中学生になっても惰性のように毎号買っていた。いったいどうしたのか、他社のことながら大いに気になるところ。

昭和のオヤジの脳裡に遠い昔の記憶が甦る。ワシが子どもの頃に愛読していた月刊雑誌『少年』(光文社)。「鉄腕アトム」「鉄人28号」など名作マンガを生み出した名雑誌が、少年サンデー・マガジンなどの週刊マンガ誌に追われる形で休刊したのが昭和43年3月号。ワシはすでに中1だったので、さほどショックは受けなかったが、文庫判で復活した傑作集を今改めて読んでみると、その休刊あいさつには万感がこめられ胸が熱くなる。

「この号を最後に、私たちとみなさんをむすぶ『少年』は、しばらくお休みすることになりました。
この3月号は第23巻第3号、人間にたとえれば、『少年』はすでに成人の日をすぎ、もう大学を卒業する年になったところです。
この長い年月、『少年』は、いつも日本中の少年諸君のよい友だちとしてそだってきました。私たちは、これからもずっとずっと、愛読者のみなさんといっしょに『少年』をつづけていきたいのです。
しかし、ここ4、5年のあいだに、少年諸君のまわりには、あるいはテレビ、あるいは週刊誌と、『少年』をはじめとする月刊誌がこれまではたしてきた役わりを、かわってうけもつ新しい友だちがつぎつぎにふえました。月一回発行の少年雑誌を待ちのぞんでくれる人たちの数は、しだいに減ってきたのです。
こんなわけで、私たちは、『少年』を、いままでのような内容、いままでのようなねだんで、みなさんにおとどけすることができなくなってしまいました。
私たちは、このことをとてもさびしく思います。しかし、日本でいちばん歴史の長い少年雑誌として、23年という年月の流れの中に、『少年』を通じて、数えきれないほど、たくさんの仲間ができ、同じ少年時代の思い出をわけあうことができたことを、うれしくも思います。
みなさんが、やがては学校を卒業していくように、『少年』は、いま卒業の時をむかえたのです。
たとえ『少年』は出なくなっても、私たちと作者の先生がたとが、いっしょうけんめいに作りだしたマンガや小説の主人公たちが、みなさんの心のどこかで生きつづけていくことを、私たちはわかっています。みなさんがおとなになり、こまったことにぶつかって、どうしてよいかわからなくなったとき、それらの主人公たちの顔を思いだしてください。あるいはアトムの強さが、あるいは南郷勇一の明るさが、あるいは若林真一のまけじ魂が、きみをはげましてくれるでしょう。
私たちのこの願いが、たとえひとつでもほんとうになったら、私たちはしあわせです。『少年』は、みなさんといっしょに、いつまでも生きつづけたことになるのです。     『少年』編集部 」

うう、転記しているうちに、すっかりあの頃に戻ってしまった……。
それにしても、青クサイけれどやはり出版の原点とはすなわち志(こころざし)であると、つくづく思うオヤジであった。

土曜の50kmはLSDのようにゆっくり一定ペースで走り続けたためか、ダメージは小さかったようだ。昨日はしばらくぶりで平日朝11km走、1時間10分。ラスト1kmはほぼ全力でも4分半がやっと。スピードが戻るにはまだ時間がかかりそう。
今夜は中1息子と卓球教室へ。週1で全5回のうち2回目。

★オヤジの心を癒す昭和の歌 ④
 ステキなハーモニーの女性デュオ。この歌の作者が谷村新司とは初めて知った……。
 ♪ふりむかないで (シモンズ)

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剣道娘3部作

2009-08-16 06:28:58 | 本・漫画・映画など

ギックリ腰で動けなくなってしまった。ようやく故障が回復に向かいつつあったのに、「泣き面に蜂」「弱り目に祟り目」とはこのことか……。

これまで数々の故障を経験したが腰回りは大丈夫だったのに。金曜の朝、室内で何でもない動きの中で突如来た。
初めてコルセットを装着し、おそるおそる動いている有様。身に覚えはないけど、なんかワシ悪いことしたかなあ……。

シンスプリント治療でお世話になっているT整骨院に這うようにしてなんとかたどり着き、少し状態は良くなった。ただし、1週間は安静。ランニングはもちろん水泳や筋トレなどいっさいのトレーニング厳禁を申し渡されてしまった。人間、ダメといわれると無性にやりたくなるもので、普段はいやいやながらやっていた腕立てや腹筋まで猛烈にやりたくなる。が、とてもできる状態ではない。

しかたがないので、おとなしく読書。2年前の夏に第1作が出て以来毎夏に新作が刊行されて楽しませていただいた誉田(ほんだ)哲也氏の『武士道』シリーズ3部作(文藝春秋刊)を全3巻まとめて再読した。
おもしろい。小説の効用である擬似体験・共感や身につまされる要素もたっぷり詰まっている。

翻訳家で文芸評論も手がける金原瑞人氏評。(朝日新聞 2009.7.30)

「ミステリー作家の誉田哲也がヤングアダルト小説を書いた!
『武士道シックスティーン』は、ヤングアダルトど真ん中の傑作。宮本武蔵の『五輪書』以外の本は読まない熱血剣道少女の香織と、日舞の延長線上で剣道を始めた、天然の入った超のんびり少女の早苗。このふたりの高校生が繰り広げるどたばただけど、しっかり胸にひびく青春小説。続編『武士道セブンティーン』『武士道エイティーン』もぜひ!」

さすがプロの書評家、簡にして要を得た解説で思わず読みたくなる。
3冊で1000ページを超える長編だが、剛一直線の磯山香織と「お気楽不動心」の甲本(西荻)早苗がそれぞれ交互に、らしい語り口で独白するスタイルで、トークショーを聴くようにさらさらと読み進める。

警察官の父の影響で幼少から剣ひとすじ、全国中学生大会で準優勝(しかも本人は負けたと思っていない)の実績を持つ香織が、練習の一環として出場したローカル大会で、ひ弱そうな無名の相手(早苗)に予期せぬ敗戦を喫するところから長い物語は始まる。
最終巻では他の主要人物の独白が加わり、ミステリーっぽい味付けも添えられて怒濤のクライマックスへ。

あえて分類ラベルを貼るとすれば、<スポーツ求道ユーモア青春乙女のザセツと友情ストーリー>といったところか。
これはきっと映画になるなと思っていたら、やはり来春映画公開されるそう。(成海璃子/北乃きい主演)

つい夜更かし。真夜中に世界陸上の女子10000mをTV観戦。9位で惜しくも入賞は逃したものの、福士選手の明るい頑張りに元気をいただいた。ありがとうございます。

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身につまされる話

2009-08-02 19:15:28 | 本・漫画・映画など

全然走れず、7月は82km。月間100kmを割ったのは走り始めて1年後、左脚炎症で80kmしか走れなかった'03年10月以来である。

で、しきりとスポーツ小説を読んでいる。
小説を読む意味合いはさまざまあろうが、擬似体験あるいは代用もその一つ。また、共感あるいは身につまされるという作用も見逃せない。

走れないランナーの多くは、プールへ行くか自転車(ロードレーサー)に乗る。ワシはもっぱらプールで、7月は24回。これまでの最多が月12回だったから大幅自己新。(笑)

本当はロードレーサーにも乗ってみたい。が、家庭の事情で許されない。
しかたがないので、かねてから注目していた高千穂遙氏(SF作家)の新作自転車山岳レース小説『ヒルクライマー』(小学館)を読んだ。
期待以上におもしろかった。ぐいぐい引き込まれ、あやうく電車を降りそこねるところだった。

自転車レースにはランニングと同様に、平地を走行するロードレースと、もっぱら坂道を登るヒルクライムレースがあり、これは坂登りに取り憑かれた人々(SB=坂馬鹿と呼ぶんだそう)の物語。
主要登場人物のひとり、神音大作は45歳の普通のサラリーマン。メタボで悩んでいた5年前、白馬栂池高原で偶然目にしたヒルクライムレースをきっかけにどっぷりとのめりこんでしまった。
メタボは完全解消し、今やアマチュアではトップクラスで専門誌の取材を受けるほどになったものの、家庭は崩壊寸前状態。妻・洋子にはあきれられ、高校生の娘あかりには口もきいてもらえない。その場面。


大作とあかりは、もう2年以上、まともに言葉を交わしたことがない。
あかりが会話を拒否している。
理由はわかっている。洋子から聞いた。
「おとうさんは、あたしを捨てた」
あかりは洋子にそう言ったという。
5年前、アルミフレームのロードレーサーを買った。
(略)
自転車が、大作の日常のすべてになった。
会社の仕事以外で最優先となるのは、レース活動である。いや、ときには仕事よりもレースを優先するときがあった。
(略)
高校生になったあかりは、父親を拒絶した。そのいっさいを否定した。
大作はうろたえ、関係の修復をはかろうとした。
「無理よ」
大作の試みを、洋子は一蹴した。
「自転車をやめられますか?」
「………」
「これは、もう家族か自転車か、どちらをとるのかというニ択になってるわ」
「あかりは、俺がロードを買ったのを喜んでくれた。おとうさんは痩せて、かっこよくなったと言って、自慢していた」
「ものには限度があるのよ。あなたは、やりすぎた。わかってるんでしょ。自分が何をしたのか。会社と睡眠以外の時間を全部自転車に使ってしまったら、家族は、必ずその犠牲になる」
「おまえも犠牲になったと思っているのか?」
「あたしは、すぐに諦めちゃったわ。結婚して20年が経ってるのよ。多少のことじゃ、もう動じたりしない。自転車の値段にはびっくりしたけど」
「………」


…………、とワシまでうつむいてしまってはブログが進まない。程度の差こそあれ身につまされる向きも少なくないのでは。

この小説の話を妻にして、ワシはここまでひどくはないだろうがと弁明したら、「でもそのヒトはアマチュアのトップまでいったんでしょ。ただのジョギングおじさんのあなたは、相対的にやりすぎなんじゃないの」とつっこまれてしまった。藪蛇であったか。

ともあれ、作者の高千穂氏自身が現在の自転車はもちろん、初期のパソコン通信やスキー、モーターバイクなどに猛烈にハマッてきた体験者でもあるので、当然ながらラストはちゃんとハッピーエンドが用意されていてホッとする。


※{私信} いうもお世話になっている理容師ドノ、11月の横須賀ハーフに関する件で至急相談したいことあり。メールください。(当方からは連絡方法がないので、よろしく)

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トキワ荘記念碑

2009-05-17 19:38:11 | 本・漫画・映画など

昨日がクロカン3時間LSD+プールでいささか疲れ気味のため本日休走。朝、筋トレ3セットとステップ昇降20分のみ。

雨模様の日曜。家庭任務の合間に、かねてから行ってみたかった場所へ。豊島区南長崎、旧町名は「椎名町」。かつて手塚治虫・寺田ヒロオ・藤子不二雄ら錚々たる漫画家たちが若き日を共に過ごし、ドラマにもなった名高いトキワ荘があったところ。
現在はすでに取り壊され、某出版社ビルに変わっているが、先月、その跡地にほど近い公園に記念碑が立ったと聞き、ひと目見たくて。

あった。公園内の角地に、こぢんまりと、しかし洒落た雰囲気で。
かつての住人たちの似顔絵とサインが入ったプレートが台座に並び、その上に赤銅色のトキワ荘銅像が可愛らしく建っている。
しばし周囲を歩き回っている間にも次々と人が来ては写真に収めていく。

と、ここまで書いたところで、愛蔵マンガが並ぶ本棚から藤子不二雄(A)先生がトキワ荘時代を含む青少年時代を描いた大長編『まんが道』と今も連載中の続編『愛…しりそめし頃に…』をつい手にとったら、たちまち読みふけって多大の時間を費やしてしまった。どのページも熟知しているはずなのに、名作はいつ読んでも新鮮である。

記念碑の公園から歩いて3分ほど、跡地入口には立看板があるだけ。その向かいにはマンガにたびたび登場するラーメン屋「松葉」が健在で営業中。時間があれば、マンガの中で店員の「しのぶちゃん」が運んでくる松葉のラーメンをぜひ食べてみたかったけれど、任務時刻が迫ってきたので未練を残して夕暮れ迫る駅に戻った。 ⇒トキワ荘通り

日中は昨日封切りの映画「60歳のラブレター」を観て、ただもう涙、涙のオヤジであった。この映画を妻に見せたら、もう少しワシを大切にしてくれ……ないだろうなぁ。
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忌野清志郎詩集

2009-05-05 21:37:56 | 本・漫画・映画など

5/2に58歳で、がんとの闘病の末に亡くなったロックシンガー・忌野清志郎さん。

連休前に出張で行った宮崎の駅構内に古本屋があり、偶然見つけて買った『エリーゼのために 忌野清志郎詩集』(彌生書房1983年)
列車で移動中に読んだ、いくつかの詩がメロディとともに脳裡に浮かんでくる。
ハデな外見と独特の歌いっぷり、繊細な内面が彼の魅力だった。高校生の時にラジオから流れてきた彼の「ぼくの好きな先生」(RCサクセション)は日本語で歌っているロックとして初めて聴いた歌だった。

26年前に発刊されたこの詩集の中に、自らの死をパロディーにしたこんな詩がある。

 「あきれて物も言えない」

 どっかのヤマ師が オレが死んでるって 言ったってさ
 よく言うぜ あの野郎 よく言うぜ
 あきれて物も言えない
    (略)
 ところが おエラ方 それで血迷ったか
 次の週には 香典が届いた
    (略)
 オイラ その香典集めて こうして遊んでるってわけさ
 ますます好き勝手なことができる
 さあ オマエに何を買ってやろうか

 ヤマ師が 大手を振って 歩いてる世の中さ
 汗だくになってやるよりも 
 死んでる方がまだマシだぜ
    (略)
 低能なヤマ師と 信念を金で売っちまう おエラ方が
 動かしてる世の中さ 良くなるわけがない
 あきれて物も言えない

 だから Baby さあ 今夜はどこで遊ぼうか
 まだまだ 香典 集まりそうだ 
 当分 苦労はさせないぜ


いかにも、という感じの清志郎ブシである。  

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漫画になった競技かるた

2009-03-19 21:47:49 | 本・漫画・映画など


いよいよ事前受付が始まったとニュースでもやっている東京マラソン。近所の歩道橋にも交通規制を知らせる横断幕が。残念ながらワシは今回も走れず。(第1回に10kmの部で走れたが)
貴重な出場権獲得者の皆様、落選した20万人余の羨望と怨念を背負ってマジ走りしてくだされ。(笑)

で、全然関係ない話題。
自分自身はやったことがないのに、なぜか以前から強く心ひかれている「競技かるた」。記憶力・瞬発力・持久力など気力・体力の総合戦であり、「畳の上の格闘技」と呼ばれるほど激しい和風スポーツ。

その競技かるたがついに昨年から連載まんが化。『ちはやふる』(末次由紀/講談社KCBL)
コミック最新第4巻が出て、ただちに読み切ったところ。
50歳過ぎたオヤジが少女コミックのコーナーを徘徊するのはいささか気がひけるが致し方ない。

モデルの姉をもつ美少女・綾瀬千早が小学6年の時、転校生との出会いで知った競技かるたの世界。幼なじみとの三角関係が緊張感をはらみつつ、話は高校時代に飛ぶ。
外見は美形ながら言動は完全に三枚目で「無駄美人」とあだ名される主人公の造型がなかなか秀逸。かるた勝負の手に汗握る展開とともに、イケメン青年2人との恋の行く末も気をもたせる。

業界情報によれば、現在全国1200書店で開催されている「2009年 書店員が選んだ 人に薦めたいコミックス フェア」という長い名前のブックフェアでも、書店員アンケート上位銘柄として『ちはやふる』が挙がっている。
作品紹介文⇒「小学6年生の千早が出会った、転校生・新(あらた)。彼には意外な特技があった。それは、小倉百人一首競技かるた。かるたに魅せられた千早の想いを描く、青春ストーリー」
●「新世紀のスポ根マンガ。男性にもすすめたい」(20代男性店員)
●「繊細で鋭い感情描写にぐいぐい引き込まれます。必ず泣けます!」(20代女性店員)


ちなみに、ワシが愛読中の書道まんが『とめはねっ!』(既刊4巻・河合克敏/小学館)も上位銘柄に入っている。
●「書道+柔道=∞?? 読み終わると筆が持ちたくなるマンガです」(30代女性店員)
●「思いっきり文科系、なのにスポ根!? この黄金律がたまらなく好きです」(30代男性店員)

どうやら和風スポ根まんがブレイク中のようだ。次は弓道や算盤かも。


今週は水曜に駒沢公園でスピード練習(km4分半ペースで3km+4分15秒ペースで2km+1km4分)を入れたほかは休養モードのオヤジである。今夜も夕食後、小6息子と一緒におはぎを美味しく食べてしまった。

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長距離走の遺伝子

2009-01-20 20:39:08 | 本・漫画・映画など


ようやく読み終えた600ページを超える長編の陸上小説。『冬の喝采』(黒木亮著/講談社)
カバーをはずすと、書籍本体と見返しの紙色は早稲田カラー・臙脂の装丁が鮮やかに現れる。

熱烈な箱根駅伝ファンや早稲田大学関係者の方々は少なからず、とうに読了されているだろう。昨秋に発刊され、気になりながらも積ん読状態のまま今年第85回箱根駅伝が過ぎていってしまった。

「小説」ジャンルに分けられている本だが、瀬古利彦選手をはじめ主要人物がほぼ実名で登場する実録自伝。著者・黒木亮氏も本名の金山雅之として描かれている。
巻頭、著者の競技者史の中で最も輝かしい場面からプロローグは始まる。

第55回箱根駅伝(1979年)、エース区間である2区で首位に立った瀬古から3区で待つ金山へ。「頼むぞ、金山!」「はい!」
昭和29年(1954年)に優勝して以降長く低迷を続けた早大25年ぶりの首位でのタスキわたしであった。
故障の不安を抱えながらトップをひた走る金山選手。背後の伴走車から「ゆっくり行け」「お前は、必ず走れるから、心配しないで行きなさい」と声がかかる。

声の主は中村清監督、この時65歳。かつてコーチとして早大黄金期を築きあげた後に実業団でも実績を挙げながら、あまりにも強烈な個性が災いして陸上界から長く放逐されていた人物。しかし、「毒のある男だが、どん底に落ちた早稲田を復活させるにはこの男しかいない」とOB会から招聘を受け、再び指導に復帰した。

物語は、その箱根駅伝をラジオで聴く北海道の母親に転じて、雪深い地で長距離走に目覚めた中学2年の金山少年の成長を追う。大学4年、2度目にして最後となった箱根8区を走りきって競技者生活を終えるまでの8年余りを克明に。

積ん読時間は長かったものの、読み始めたら引きずりこまれるようにビルドアップ気味にどんどん加速して読み進んだ。ただのジョギングおやじにすぎぬワシとは次元の違う競技者の世界を垣間見る思いで。
(なにせ、大学3年時に練習の一環として出場した勝田マラソンで「ちんたら走って」2時間30分を切ってしまうレベルなのだ)
走りたくてたまらない衝動に突き動かされて陸上競技の世界に入った金山少年が、やがて自ら「自分はもう陸上競技が好きでない」と終止符を打つ道程は苦渋に満ちていて胸が痛む。

その最大要因でもあった「常識外れの老人」中村監督の言動はすさまじい矛盾と魅力に溢れている。活字で読めば他人事なので面白おかしいが当事者の身になればたまったものではあるまい。
一方、少年を駆り立てた走ることへの不可思議な情熱が、実は父親の遺伝子ゆえであったと出生の秘密がやがて明らかになっていく。そのあたりは何やら「小説」めいてくるが実話なのだろう。

最終章は最後の箱根駅伝を走りきれるかハラハラさせられつつ、ハードな選手生活の中にあっても毎日続けていた英語学習を生かして外資系銀行に入りビジネスの世界に旅立つ青年に拍手を送りたくなる。
エピローグでは、後日談として実の両親との再会が淡々と語られ、強烈な青春の長い物語を締めくくるダウンジョグのよう。フルマラソンを走りきってゴールしたような充実感と安堵に満ちたさわやかなラストであった。

それにしても読み終えて、真っ先に頭に浮かんだ言葉は「もったいない」であった。天賦の才に恵まれながら、度重なる故障もありその翼を十二分に羽ばたかせられなかったのでは……と。後ろを振り向かずに生きるのが信条というご本人も文中で一箇所だけ「もし人生で一つだけやり直せるとしたら、陸上競技をやり直したい」と悔しい思いをにじませている。
ほぼ同時並行して読んだ本が早稲田の現・駅伝監督の『自ら育つ力』(渡辺康幸著/JMAM) だっただけに、「もしも……」の思いはいっそう強まったのだった。




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